序章 緑の基本計画とは

序章
序章
序-1
緑の基本計画とは
緑の基本計画とは
緑の基本計画とは
『緑の基本計画』とは、都市緑地法第4条に規定されている「緑地の保全及び緑化の推進
に関する基本計画」のことであり、市町村がその区域における緑地の適正な保全及び緑化の
推進に関する施策を、総合的かつ計画的に実施するため、その目標と実現のための施策等を
内容として定めることができるとされています。
「緑の基本計画」は、平成6年の都市緑地保全法(現在の都市緑地法)の改正により創設さ
れた計画制度であり、緑地の保全から公園緑地の整備、その他の公共公益施設及び民有地の
緑化の推進に至るまで、都市の緑全般について、将来のあるべき姿とそれを実現するための
施策を定めた総合的な計画です。
「緑の基本計画」はその内容として
(1)緑地の保全及び緑化の目標
(2)緑地の保全及び緑化の推進のための施策に関する事項
を定めなければならず、必要に応じて以下の事項を定めることとされています。
(3)地方公共団体の設置に係る都市公園(都市公園法第2条第1項に規定する都市
公園をいう。)の整備の方針その他保全すべき緑地の確保及び緑化の推進の方針
に関する事項
(4)特別緑地保全地区内の緑地の保全に関する事項
(5)緑地保全地域及び特別緑地保全地区以外の区域であつて重点的に緑地の保全に
配慮を加えるべき地区並びに当該地区における緑地の保全に関する事項
(6)緑化地域における緑化の推進に関する事項
(7)緑化地域以外の区域であつて重点的に緑化の推進に配慮を加えるべき地区及び
当該地区における緑化の推進に関する事項
また、緑の基本計画の内容は、公表の手続きを経ることを通じ、市民に明らかにする必要
があります。
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序章
緑の基本計画とは
序-2
緑の基本計画の特徴
(1)緑の基本計画の特徴
①
法律に根拠をおく計画制度であること
「緑の基本計画」は、総合的な都市における緑に関するマスタープランとして、法律にその
根拠をおく計画制度です。
②
緑とオープンスペースの全てに関する総合的な計画であること
「緑の基本計画」は、都市公園の整備や特別緑地保全地区の決定などの都市計画による事
業・制度のみならず、道路の緑化、河川等の水辺、港湾や学校などの公共公益施設の緑化、
住民や企業の緑化活動など民有地における緑地の保全や緑化、さらには緑化意識の普及啓発
等ソフト面の事項も含めた、当該市町村の区域内の都市の緑全般に関する幅広い総合的な計
画です。
③
住民に最も身近な市町村が、その自治事務として策定する計画であること
「緑の基本計画」の策定主体は住民に最も身近な市町村であり、その策定は市町村の自治事
務とされています。このため、地域の諸条件を十分に勘案しつつ、各市町村の独自性・創意
工夫を発揮し、オリジナリティーあふれる計画を策定することが期待されています。
④
計画の策定に際して住民意見の反映が義務づけられていること
行政が意思決定を行う際の住民参加や透明性の確保に対する要請が高まる一方で、住民の
生活環境の向上に対する意識や参画共働の意識はますます高まっています。また、緑の基本
計画に基づき実施される各種制度は、住民との協力に基づくものが数多くあります。このた
め、「緑の基本計画」の策定または変更時にはあらかじめ住民の意見を反映させるために必
要な措置を講ずることとされています。
⑤
計画内容の公表が義務づけられていること
都市の緑の保全・創出には、各公共公益施設の管理者にとどまらず、住民、事業者等いろ
いろな主体が関係しており、緑の基本計画を実効あるものにするためにはそれらの積極的な
協力・連携等が不可欠です。このため、「緑の基本計画」を公表し、積極的な周知措置を図る
こととされています。
⑥
都市緑地法担当部局が、都市の緑に関する総合的な調整役となり策定する
マスタープランであること
緑の基本計画策定にあたっては都市緑地法担当部局が中心となって関係制度・事業部局を
とりまとめ、それらを先導していく必要があり、都市の緑に関する総合調整機能を発揮する
ことが期待されています。
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緑の基本計画とは
(2)緑の基本計画策定の意義
①
緑の空間的な整合性の確保
市町村内の緑は、全体がネットワークを形成するように整備されることが望ましく、緑の
多様な機能に応じて、骨格となる緑、特徴ある緑をその場所々々に応じ適宜配置することが
必要です。
緑の基本計画は、市町村内の緑の配置に関する計画であり、本計画の策定により、空間的
に整合性のある緑の形成を図ることが可能となります。
②
多様な主体間の一体性の確保
緑の基本計画の策定は、民間および関係行政部局の参加を得て緑の将来ビジョンと保全・
整備・管理の具体的方策を決定するものであり、本計画の策定により、多様な主体が協力し
一体となって緑を形成することが可能となります。
③
施策間の整合性の確保
「緑の保全」に関係ある施策には、都市計画の地区指定、条例による助成金の支給、保存
樹木への指定等、様々なものが考えられ、これらの施策が保全の優先度に応じて、計画的に
整合性をもって適用されることが必要です。
緑の保全ばかりでなく緑の創出についてもこのような施策の総合性を確保するために、緑
の基本計画を策定することが必要です。
④
緑の機能の戦略的配置
緑には多種多様な種類があり、種類ごとに位置も形態も機能も異なります。これらの特質
を活かし、緑の役割分担を図り、都市に必要な緑の機能を緑全体で満たすことが必要です。
緑の基本計画において、様々な機能を持つ都市公園をそれらの機能分担に配慮しつつ戦略
的に配置することが重要です。
⑤
施策等の一貫性の確保
緑の形成には長期間の行政施策や民間の活動が必要です。
このような施策や活動の方針が決まっていなかったり、むやみに変更されたりしては、効
率的な緑の形成は不可能であり、民間の協力も得られなくなります。
このため、厳しい財政状況下にあっても、長期的に見て一貫性が確保されることが必要で
あり、このような一貫性を担保するため、多くの主体の参加を得て緑の基本計画を策定する
ことが必要です。
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緑の基本計画とは
(3)緑の基本計画と既存制度の関係
『緑の基本計画』は、「市町村の建設に関する基本構想」に即し、「市町村の都市計画に関
する基本方針」に適合することが必要であり、この結果、「都市計画区域の整備、開発及び
保全の方針」とも整合が図られることとなります。
「緑の基本計画」は、市町村の建設に関する基本構想に即すること(法第 4 条第 3 項)とさ
れており、地方自治法第 2 条第 5 項に定める市町村の基本構想(総合計画)及び国土利用計
画法第 4 条に基づく市町村計画に即した内容としなければなりません。
また、都市計画法第 18 条の 2 に基づく市町村の都市計画に関する基本方針(都市計画マ
スタープラン)に適合すること(法第 4 条第 3 項)とされ、その結果として、都市計画法第
6 条の 2 に基づく「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(都市計画区域マスタープラ
ン)とも整合が保たれることとなります。
さらに、環境基本法に基づく「環境基本計画」等とも調和が保たれることとされています。
旧園部町では平成 15 年、旧八木町では平成 16 年に緑の基本計画が策定されており、いず
れも策定後 4、5 年しか経過しておらず、公園緑地の配置方針や緑化の目標等については、
大きな変更の必要はないものと思われます。
従って、南丹市緑の基本計画は、両緑の基本計画における基本的な考え方や方向性を踏襲
しつつ、南丹市としての状況や今後の社会情勢の予測などを踏まえながら策定するものとし
ます。
国土利用計画市町村計画
即す
(市町村の建設に関する基本構想)
南丹市総合振興計画
(国土利用計画法第8条)
即す
即す
(市町村の都市計画に関する基本方針)
(都市計画区域の整備開発及び保全の方針)
南丹市都市計画マスタープラン
南丹都市計画区域マスタープラン
(平成 15 年)
八木町緑の基本計画
基本的考え
の踏襲
即す
適合
園部町緑の基本計画
基本的事項
の位置づけ
南丹市
緑の基本計画
(平成 16 年)
■緑の基本計画の位置づけ
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調和
適合
環境基本計画
景観計画
農業振興地域整備計画
森林整備計画
等
序章
序-3
緑の基本計画とは
計画の対象範囲
『南丹市緑の基本計画』は、市全域を対象として、緑地の保全に関する事項を定め、都
市計画区域内を対象として、都市公園の配置や都市緑化の推進等に関する事項を定めま
す。
都市緑地法では、緑の基本計画は「都市における緑地の適正な保全及び緑化の推進に関す
る措置で、主として都市計画区域内において講じられるものを総合的かつ計画的に実施する
ために定めること」とされています。
しかし、本市においては、市域の9割近くを森林が占めており、北部の都市計画区域外に
広がる森林が市の緑の骨格を形成する上で重要な役割を果たしているとともに、日吉ダム周
辺の施設や日本の原風景の残るかやぶき民家群などは重要な地域資源として位置づけられて
います。
このため、南丹市緑の基本計画は、市全域について緑地の保全等に関する措置を総合的に
定めるものとし、このうち、都市公園等の施設緑地に関する事項について、都市計画区域内
を対象に定めるものとします。
■計画の対象地域
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序章
緑の基本計画とは
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計画の期間
本計画は、平成 22 年を基準年として、上位計画である南丹市都市計画マスタープランの
目標年次と整合を図るものとして、概ね 20 年後の平成 39 年を目標年次、概ね 10 年後の平
成 29 年を中間年次とし、緑地の保全・創出及び都市緑化の推進等に関する施策について、
長期的・総合的な視点に立って定めるものとします。
序-5
緑地の分類
(1)緑地の分類
緑の基本計画が対象とする緑地は、「施設緑地」と「地域制緑地」に大別され、それぞれ
以下のように分類されます。
都 市 公 園
都市公園法で規定するもの
施
設
緑
都市公園以外
で公園緑地に
準じる機能を
持つ施設
都市公園を除く公共空地、国民
公園、自転車歩行者専用道路、
歩行者専用道路、地方自治法設
置又は市町村条例設置の公園、
公共団体が設置している市民農
園、公開している教育施設(国
公立)、河川緑地、港湾緑地、
農業公園、児童遊園、公共団体が
設置している運動場やグランド、
こどもの国、青少年公園、等
公共公益施設
における植栽
地等
学校の植栽地、下水処理場等の
付属緑地、道路環境施設帯及び
植樹帯、その他の公共公益施設
における植栽地、等
公共施設緑地
地
都市公園以外
緑
民間施設緑地
地
市民緑地、公開空地、市民農園(上記以外)、
一時開放広場、公開している教育施設(私立)、
市町村と協定等を結び開放している企業グランド、
寺社境内地、屋上緑化の空間、民間の動植物園、等
法による地域
緑地保全地域(都市緑地法)
特別緑地保全地区(都市緑地法)
風致地区(都市計画法)
生産緑地地区(生産緑地法)
近郊緑地保全区域(首都圏近郊緑地保全法他)
近郊緑地特別保全地区(首都圏近郊緑地保全法他)
歴史的風土保存区域(古都保存法)
歴史的風土特別保存地区(古都保存法)
自然公園(自然公園法)
自然環境保全地域(自然環境保全法)
農業振興地域・農用地区域(農業振興地域整備法)
河川区域(河川法)
保安林区域(森林法)
地域森林計画対象民有林(森林法)
保存樹・保存樹林(樹木保存法)
名勝・天然記念物・史跡等緑地として扱える文化財
(文化財保護法)、等
協
緑地協定(都市緑地法)
地
域
制
緑
地
等
定
条例等によるもの
条例・要綱・契約・協定等による緑地の保全地区や緑化の
協定地区、樹林地の保存契約、協定による工場植栽地、都
道府県や市町村指定の文化財で緑地として扱えるもの、等
■緑地の分類
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緑の基本計画とは
(2)都市公園の分類と配置の基本的な考え方
■都市公園の種類と内容
種
類
種
別
街区公園
内
容
もっぱら街区に居住する者の利用に供することを目的とする公園で誘致距離
250m の範囲内で1箇所当たり面積 0.25ha を標準として配置する。
主として近隣に居住する者の利用に供することを目的とする公園で近隣住区
住区基幹
公
近隣公園
当たり1箇所を誘致距離 500m の範囲内で1箇所当たり面積2ha を標準とし
て配置する。
園
主として徒歩圏内に居住する者の利用に供することを目的とする公園で誘致
地区公園
距離1km の範囲内で1箇所当たり面積4ha を標準として配置する。都市計画
区域外の一定の町村における特定地区公園(カントリ-パ-ク)は、面積4
ha 以上を標準とする。
都市住民全般の休息、観賞、散歩、遊戯、運動等総合的な利用に供すること
都市基幹
公
総合公園
を目的とする公園で都市規模に応じ1箇所当たり面積 10~50ha を標準として
配置する。
園
運動公園
都市住民全般の主として運動の用に供することを目的とする公園で都市規模
に応じ1箇所当たり面積 15~75ha を標準として配置する。
主として一の市町村の区域を超える広域のレクリエ-ション需要を充足する
広域公園
ことを目的とする公園で、地方生活圏等広域的なブロック単位ごとに1箇所
当たり面積 50ha 以上を標準として配置する。
大
公
規
模
大都市その他の都市圏域から発生する多様かつ選択性に富んだ広域レクリエ
園
-ション需要を充足することを目的とし、総合的な都市計画に基づき、自然
レクリエーション都市
環境の良好な地域を主体に、大規模な公園を核として各種のレクリエ-ショ
ン施設が配置される一団の地域であり、大都市圏その他の都市圏域から容易
に到達可能な場所に、全体規模 1000ha を標準として配置する。
主として一の都府県の区域を超えるような広域的な利用に供することを目的
として国が設置する大規模な公園にあっては、1箇所当たり面積おおむね
国営公園
300ha 以上を標準として配置する。国家的な記念事業等として設置するもの
にあっては、その設置目的にふさわしい内容を有するように配置する。
特殊公園
風致公園、動植物公園、歴史公園、墓園等特殊な公園で、その目的に則し配
置する。
大気汚染、騒音、振動、悪臭等の公害防止、緩和若しくはコンビナ-ト地帯
緩衝緑地
等の災害の防止を図ることを目的とする緑地で、公害、災害発生源地域と住
居地域、商業地域等とを分離遮断することが必要な位置について公害、災害
の状況に応じ配置する。
主として都市の自然的環境の保全並びに改善、都市の景観の向上を図るため
に設けられている緑地であり、1箇所あたり面積 0.1ha 以上を標準として配
緩衝緑地等
都市緑地
置する。但し、既成市街地等において良好な樹林地等がある場合あるいは植
樹により都市に緑を増加又は回復させ都市環境の改善を図るために緑地を設
ける場合にあってはその規模を 0.05ha 以上とする。(都市計画決定を行わず
に借地により整備し都市公園として配置するものを含む)
災害時における避難路の確保、都市生活の安全性及び快適性の確保等を図る
ことを目的として、近隣住区又は近隣住区相互を連絡するように設けられる
緑道
植樹帯及び歩行者路又は自転車路を主体とする緑地で幅員 10~20mを標準と
して、公園、学校、ショッピングセンタ-、駅前広場等を相互に結ぶよう配
置する。
注)
近隣住区=幹線街路等に囲まれたおおむね 1km 四方(面積 100ha)の居住単位
出典:国土交通省ホームページ
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序章
緑の基本計画とは
■都市公園等の基本的な配置の考え方(配置パターン図)
出典:緑の基本計画ハンドブック 2001 版(国土交通省資料)
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