第143回日商簿記検定3級 オリジナル予想問題「簿記ナビ模試」 解説

第 1 問(20 点)
問 1 売上取引・商品券
売上取引と商品券に関する問題です。
商品券を受け取った場合、他店発行のものは他店商品券勘定で、当店発行のものは商品券勘定で処理します。
なお、本問のようにおつり(貸借差額)が発生する場合は、問題の指示に従って処理します。
商品券に関する問題は、第 103 回の問 4 や第 104 回の問 3、第 114 回の問 1、第 118 回の問 5、第 120 回の問 2、
第 124 回の問 1、第 129 回の問 3、第 138 回の問 5 でも出題されていますが、いずれも簡単な問題ばかりです。
簿記 3 級の商品券に関しては、本問(売り上げに伴う商品券の授受)と第 114 回の問題(商品券の精算)を押
さえておけば十分です。
問 2 固定資産の購入・消耗品
固定資産の購入と消耗品に関する問題です。
消耗品は購入時に消耗品勘定で処理する場合(資産処理)と消耗品費勘定で処理する場合(費用処理)があり
ますが、本問は問題に列挙されている勘定科目の中に消耗品勘定がある(消耗品費勘定がない)ので、消耗品勘
定で処理します。
また、備品に限らず、土地や建物などの固定資産を購入したさいに、不可避的に発生した費用(付随費用)は
購入原価に含めて計算するので、本問の「プリンタの設置費用 ¥ 15,000」は購入原価に含めて処理します。
・業務用高性能プリンタ 3 台( @ ¥ 300,000 )+ プリンタの設置費用 ¥ 15,000 … 備品勘定で処理
・プリンタのインクカートリッジ 20 個( @ ¥ 5,000 )… 消耗品勘定で処理
★解答:購入時の仕訳(消耗品は資産処理)
(借)備
品 915,000 / (貸)普通預金 1,000,000
(借)消 耗 品 100,000 / (貸)現
金 1,115,000
固定資産と消耗品がセットになった問題は、第 113 回の問 3 や第 123 回の問 3 でも出題されているので、あわ
せてご確認ください。
問 3 資本の引き出し・租税公課
資本の引き出しと租税公課に関する問題です。
本問は、まずはじめに 4 月分の電気代 ¥ 15,000 を使用割合に基づいて営業用(事業用)と店主用の 2 つに分
けて、前者を当期の費用として水道光熱費勘定で処理し、後者を資本の引き出しとして処理します。
電気代 ¥ 15,000
→ 80%( ¥ 12,000 )は商店が負担すべき支出
→ 当期の費用として処理
→ 20%( ¥ 3,000 )は店主個人が負担すべき支出
→ 資本の引き出しとして処理
なお、本問は問題に列挙されている勘定科目に資本金勘定がある(引出金勘定がない)ので、資本の引き出し
に関する仕訳は資本金勘定で処理します。
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
1
また、問題文に「普通預金から引き落とされるのは 1 週間後」とあり、実際の支払いは後日になるので未払金
勘定で処理する点にも注意してください。
資本の引き出しに関する問題は、第 102 回の問 3 や第 106 回の問 4、第 107 回の問 2、第 111 回の問 3、第 114
回の問 2、第 117 回の問 5、第 122 回の問 1、第 125 回の問 2、第 126 回の問 5、第 127 回の問 5、第 129 回の問
5、第 133 回の問 3、第 135 回の問 4、第 136 回の問 1、第 139 回の問 4 でも出題されているので、あわせてご確
認ください。
問 4 仕入取引・手形取引・当座取引
仕入取引に手形取引・当座取引を絡めた問題です。
まず手形取引に関しては、以前に受け取った約束手形を裏書譲渡しているので、受取手形勘定を減額します。
仕訳をぱっとイメージできない場合は、
約束手形受取時の仕訳をまず考えたうえで解答仕訳を導きだしましょう。
☆参考・約束手形受取時の仕訳
(借)受取手形 400,000 / (貸)売上など 400,000
★解答仕訳①
(借)仕
入 400,000 / (貸)受取手形 400,000
当座取引に関しては、
【当座預金勘定と当座借越勘定を使う 2 勘定制】と【当座勘定のみを使う 1 勘定制】の 2
つがありますが、本問は、問題に列挙されている勘定科目に当座預金・当座借越勘定がある(当座勘定がない)
ので、2 勘定制を採用していると判断します。
【当座預金勘定と当座借越勘定を使う 2 勘定制の解答手順】
当座を増加させるような取引(商品の売上や有価証券の売却など)の場合は、まず当座借越があるか確認しま
す。当座借越があればそれを相殺したうえで残りを当座預金勘定に計上し、ない場合は全額をそのまま当座預金
勘定に計上します。
逆に、当座を減少させるような取引(商品の仕入や有価証券の購入など)の場合は、まず当座預金の残高があ
るか確認します。当座預金の残高があればそれをゼロになるまで減額したうえで残りを当座借越勘定に計上し、
ない場合は全額をそのまま当座借越勘定に計上します。
本問は、問題文に「当座預金の預金残高は ¥ 150,000」とあるので、まず当座預金勘定を残高がゼロになるま
で減額し、残額 ¥ 50,000 を当座借越勘定で処理します。
★解答仕訳②
(借)仕
入 200,000 / (貸)当座預金 150,000
(借)仕
入 200,000 / (貸)当座借越 150,000
以上、★解答仕訳①②をまとめると解答の仕訳になります。
問 5 債権の貸倒れ
債権の貸倒れに関する問題です。
売掛金の貸倒れに関する問題は、売掛金の発生時期によって 2 つのケースに分けることができるので、まず貸
倒れた債権がいつ発生したのかを確認しましょう。
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
2
① 前期以前発生・当期貸倒れ
「前期以前発生・当期貸倒れ」というケースは、決算を通過しているので貸倒引当金が設定されています。よ
って、この債権が貸倒れた場合は、まず貸倒引当金を取り崩し、それでも足りない場合は貸倒損失勘定で処理し
ます。
② 当期発生・当期貸倒れ
「当期発生・当期貸倒れ」というケースは、決算を通過していないので貸倒引当金が設定されていません。よ
って、この債権が貸倒れた場合は、全額を貸倒損失勘定で処理します。
本問は、問題文に「当期に発生した売掛金 ¥ 500,000 が貸し倒れた」とあるので②のケースに該当します。
よって、貸倒れた売掛金 ¥ 500,000 の全額を貸倒損失勘定で処理します。貸倒引当金の情報はダミーデータな
ので、うっかり使わないように気をつけましょう。
債権の貸倒れに関する問題は、第 101 回の問 2 や第 109 回の問 1、第 116 回の問 4、第 120 回の問 5、第 128 回
の問 2、第 139 回の問 5 でも出題されているので、あわせてご確認ください。いずれも簡単な問題です。
第 2 問(10 点)
補助簿の選択問題です。最近では、第 126 回・第 128 回・第 135 回で出題されています。
補助簿の選択は、商品有高帳に関する部分を適切に処理できれば「短い解答時間で高得点が狙える論点」なの
で、特に仕入戻し・仕入値引・売上戻り・売上値引の 4 つの処理をきちんと押さえておきましょう。
解答手順は、まず仕訳を書きだしてから、借方貸方の勘定科目ごとに考えていくと分かりやすいです。
(1)商品の仕入
仕
入
帳 → (借)
仕
入 900,000 /
商 品 有 高 帳
(貸)
受 取 手 形 400,000
← 受取手形記入帳
(貸)
支 払 手 形 350,000
← 支払手形記入帳
(貸)
当 座 預 金 150,000
← 当座預金出納帳
商品を仕入れたさいは、仕入帳だけでなく商品有高帳にも記入する点に気をつけてください。
(2)前期貸倒れ債権の回収
現 金 出 納 帳 → (借)
現
金 100,000 /
(貸)
償却債権取立益 100,000
← な
し
前期に貸倒れた債権を回収したさいは、償却債権取立益勘定で処理します。売掛金勘定の増減はないのでご注
意ください。
(3)仕入戻し
買 掛 金 元 帳 → (借)
買 掛 金 160,000 /
(貸)
仕
入 160,000
← 仕
入
帳
商 品 有 高 帳
商品を返品したさいは、仕入時と同様、仕入帳だけでなく商品有高帳にも記入します。
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
3
(4)売上値引
売
上
帳 →
(借)
売
上
60,000 /
(貸)
売 掛 金
60,000
← 売 掛 金 元 帳
帳 → (借)
売
上 120,000 /
(貸)
売 掛 金
120,000
← 売 掛 金 元 帳
(5)売上戻り
売
上
商 品 有 高 帳
(5)の売上戻りは、商品が手元に戻ってくるので、売上帳だけでなく商品有高帳にも記入します。
一方、(4)の売上値引は売上の利益部分を差し引く(修正する)だけなので、商品有高帳に記入する必要はあり
ません。典型的なひっかけ論点なので、きちんと理解しておきましょう。
仕入戻し
仕入値引
売上戻り
売上値引
商品有高帳
◯
◯
◯
×
仕
入
帳
◯
◯
×
×
売
上
帳
×
×
◯
◯
本問の他には、郵便為替証書・送金小切手等の通貨代用証券や、他店振出小切手を受け取った場合、現金の増
加として処理する(現金出納帳に記入する)点も問われる可能性が高いので、きちんと押さえておきましょう。
第 3 問(30 点)
本問は、1 月 1 日時点の残高試算表に 1 月中の取引を反映させて、1 月末時点の残高試算表を作成するスタンダ
ードな試算表作成問題です。
試算表作成問題の解き方は「下書き用紙に全取引の仕訳を切る方法」と「下書き用紙にT勘定を設定する方法」
の 2 つがありますが、本問のように二重取引を考慮する必要がある問題は、前者の「下書き用紙に全取引の仕訳
を切る方法」で解くことをおすすめします。なお、具体的な解答手順は以下のような流れになります。
① 問題の資料(B)の勘定記録から取引を推定し、下書き用紙に仕訳を書く。
② 問題の資料(B)の 6 つの勘定を先に集計する。
③ 残りの勘定の金額を集計する。
① 問題の資料(B)の勘定記録から取引を推定し、下書き用紙に仕訳を書く。
まず本問は、問題文に「1 月中のすべての取引は(B)の勘定記録に反映されている」という注意書きがあるので、
(B)の勘定から取引を推定して下書き用紙に仕訳を書きます。
仕訳自体は簡単なものばかりなので特に問題ないと思いますが、解答時間を短縮するために、勘定科目や金額
はなるべく省略した形で書きましょう。例えば、現金は「ゲ」
、売掛金は「う×」
、100,000 は 100,-(最後の 000
を横棒で書く)といった感じで省略します。
なお、勘定科目や金額の省略方法に関しては、簿記検定ナビの勘定科目の省略パターン一覧表ページでも詳し
く解説しています。興味のある方は一度ご覧ください。
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
4
★普通に書くとこんな感じです。
現金
当座預金
現
金 542,000
受 取 手 形 542,000
当 座 預 金 385,000 売 掛 金 385,000
現
金 300,000
借 入 金 300,000
当座預金
広告宣伝費 126,000
現
金 126,000
支 払 手 形 221,000 当 座 預 金 221,000
買 掛 金 191,000
現
金 191,000
買 掛 金 320,000 当 座 預 金 320,000
給
現
金 600,000
支 払 家 賃 140,000 当 座 預 金 140,000
料 600,000
売掛金
3,000 受取手数料
3,000
買掛金
売 掛 金 844,000
売
受取手形
売 掛 金 422,000
買 掛 金 243,000 支 払 手 形 243,000
売 掛 金
買 掛 金 320,000 当 座 預 金 320,000
売
422,000
上
50,000
当座預金
385,000
貸倒引当金
8,000
上 844,000
50,000
仕
入 762,000 買 掛 金 762,000
売 掛 金 385,000
買 掛 金 191,000 現
金 191,000
売 掛 金
買 掛 金
入
8,000
仕入
30,000 仕
30,000
売上
仕
入 100,000
受 取 手 形 100,000
売 掛 金 844,000 売
上 844,000
仕
入 762,000
買 掛 金 762,000
受 取 手 形 510,000 売
上 510,000
仕
入 270,000
支 払 手 形 270,000
支 払 手 形 360,000 売
上 360,000
仕
売
買 掛 金
30,000
広告宣伝費
入
30,000
広告宣伝費
上
50,000 売 掛 金
広告宣伝費
広告宣伝費
50,000
★勘定科目や金額を省略して書くとこんな感じです。S は「売上(Sales)
」の頭文字です。
現金
当座預金
ゲ
542,-
う手
542,-
当
385,-
う×
385,-
〃
300,-
借入
300,-
〃
3,-
う料
3,-
広ヒ
126,-
ゲ
126,-
し手
221,-
当
221,-
か×
191,-
〃
191,-
か×
320,-
〃
320,-
給
600,-
〃
600,-
しや
140,-
〃
140,-
売掛金
買掛金
う×
844,-
S
844,-
仕入
762,-
か×
762,-
う手
422,-
う×
422,-
か×
243,-
し手
243,-
S
50,-
〃
50,-
〃
320,-
当
320,-
当
385,-
〃
385,-
〃
191,-
ゲ
191,-
8,-
〃
8,-
〃
30,-
仕入
30,-
貸引
仕入
売上
仕入
100,-
う手
100,-
う×
844,-
S
844,-
〃
762,-
か×
762,-
う手
510,-
〃
510,-
〃
270,-
し手
270,-
し手
360,-
〃
360,-
か×
30,-
仕入
30,-
S
50,-
う×
50,-
広告宣伝費 385,000
広告宣伝費 385,000
広告宣伝費 300,000 広告宣伝費 300,000
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
5
② 問題の資料(B)の 6 つの勘定を先に集計する。
下書き用紙に仕訳を書いたら早速、集計に入り…たいところですが、資料(B)の 6 つの勘定については、勘定の
貸借差額で金額を算定することが出来るので、これらを先に集計して答案用紙に金額を記入しましょう。
①で書いた仕訳から集計することも出来ますが、二重取引を考慮する必要があり面倒なので、資料(B)の勘定を
使ってサクッと集計するほうが楽です。
金額を記入し終えたら、仕訳を書いた下書き用紙に戻ってください。
既に 6 つの勘定(現金・当座預金・売掛金・買掛金・仕入・売上)の集計は終わっているので、これらの勘定
には打ち消し線を引いて、残りの勘定の集計の邪魔にならないように工夫します。
現金
当座預金
現
金 542,000
受 取 手 形 542,000
当 座 預 金 385,000 売 掛 金 385,000
現
金 300,000
借 入 金 300,000
当座預金
広告宣伝費 126,000
現
金 126,000
支 払 手 形 221,000 当 座 預 金 221,000
買 掛 金 191,000
現
金 191,000
買 掛 金 320,000 当 座 預 金 320,000
給
現
金 600,000
支 払 家 賃 140,000 当 座 預 金 140,000
料 600,000
売掛金
3,000 受取手数料
3,000
買掛金
売 掛 金 844,000
売
受取手形
売 掛 金 422,000
買 掛 金 243,000 支 払 手 形 243,000
売 掛 金
買 掛 金 320,000 当 座 預 金 320,000
売
422,000
上
50,000
当座預金
385,000
貸倒引当金
8,000
上 844,000
50,000
仕
入 762,000 買 掛 金 762,000
売 掛 金 385,000
買 掛 金 191,000 現
金 191,000
売 掛 金
買 掛 金
入
8,000
30,000 仕
30,000
広告宣伝費
仕入
広告宣伝費
広告宣伝費
売上
仕
入 100,000
受 取 手 形 100,000
売 掛 金 844,000 売
上 844,000
仕
入 762,000
買 掛 金 762,000
受 取 手 形 510,000 売
上 510,000
仕
入 270,000
支 払 手 形 270,000
支 払 手 形 360,000 売
上 360,000
仕
売
買 掛 金
30,000
入
30,000
上
広告宣伝費
50,000 売 掛 金
50,000
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
6
あ
③ 残りの勘定の金額を集計する。
最後に、残りの勘定の金額を集計しますが、資料(A)の前月繰越高を足し忘れないように注意してください。
また、問題の資料(A)の借入金と受取手数料の金額が「?」になっており、自分で算定する必要がありますが、
これは答案用紙の「借入金 500,000」と 1 月中の取引「
(借)現金 300,000 / (貸)借入金 300,000」から
月初の借入金の金額 ¥ 200,000( = ¥ 500,000 - ¥ 300,000 )を逆算し、さらに差額で受取手数料の金額
¥ 3,000 を算定します。
第 4 問(10 点)
経過勘定を絡めた勘定記入に関する問題です。解答するさいには、期首から日付順に 1 つずつ考えていくと分
かりやすいです。
具体的な解答手順は…まず全ての仕訳を書いて、問題用紙の 4 つの勘定に勘定科目・金額を記入し、最後に答
案用紙に答えを記入する、という流れをおすすめします。
■問題
受 取 地 代
3/31 損
益
⑨
4/1
前 受 地 代
①
5/31 現
3/31
⑦
4/1
②
④
120,000
?
9/30 当座預金 135,000
未 収 地 代
240,000 3/31
4/1
⑧
9/30 当座預金 135,000 9/30 当座預金 135,000
⑤
120,000
金 360,000
?
3/31
③
損
⑥
240,000
9/30 当座預金 135,000
益
3/31 受取地代
⑩
まず、前受地代は負債なので、期首の日付(4/1)になっている貸方④には、
「前期繰越」を記入します。次に、
前受地代勘定の前期繰越額 ¥ 120,000 を、受取地代勘定に振り替えます(再振替仕訳)
。
★4 月 1 日の仕訳(再振替仕訳)
(借)前受地代 120,000 / (貸)受取地代 120,000
上記の仕訳の結果、①に「前受地代」
、③に「受取地代」
、⑦に「120,000」が入ることが判明します。
次に、5 月 31 日の取引ですが、これはすでに受取地代勘定に記入されているので特に問題ないと思います。
★5 月 31 日の仕訳(地代の受け取りに関する仕訳)
(借)現
金 360,000 / (貸)受取地代 360,000
最後に 3 月 31 日の仕訳を考えます。未収地代は資産なので、期末の日付(3/31)になっている貸方⑥には、
「次
期繰越」を記入します。
この未収地代勘定の次期繰越額 ¥ 240,000 は、受取地代の一部を見越計上したことにより生じたものなので、
収益の見越しに関する仕訳をきります(決算整理仕訳)
。
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
7
★3 月 31 日の仕訳 1(収益の見越しに関する仕訳)
(借)未収地代 240,000 / (貸)受取地代 240,000
上記の仕訳の結果、②に「未収地代」
、⑤に「受取地代」
、⑧に「240,000」が入ることが判明します。また、こ
の時点で受取地代勘定の期末残高が確定するので、その全額を損益勘定に振り替えます(決算振替仕訳)
。
★3 月 31 日の仕訳 2(受取地代の期末残高を損益勘定に振り替える仕訳)
(借)受取地代 720,000 / (貸)損
益 720,000
上記の仕訳の結果、⑨と⑩に「720,000」が入ることが判明します。
勘定記入に関しては、苦手意識を持っている受験生が多いですが、勘定の流れをイメージできるようになると
一気に点数が伸びます。最初は解答・解説を見ながらでもよいので、実際に手を動かして体で覚えるように心が
けてください。
■完成形
受 取 地 代
3/31 損
益 720,000
前 受 地 代
4/1 前受地代 120,000
5/31 現
4/1 受取地代 120,000
4/1 前期繰越 120,000
9/30 当座預金 135,000
損
9/30 当座預金 135,000
益
金 360,000
3/31 未収地代 240,000
720,000
720,000
9/30 当座預金 135,000 9/30 当座預金 135,000
未 収 地 代
3/31 受取地代 240,000 3/31 次期繰越 240,000
3/31 受取地代 720,000
第 5 問(30 点)
空欄推定の精算表作成問題です。
精算表作成問題については、第 119 回試験・第 123 回試験で出題されたような「精算表の空欄を推定する問題
(推定問題)
」と、それ以外の回で出題された「文章で与えられた未処理事項・決算整理事項を処理する問題(文
章問題)
」の 2 種類があります。
出題頻度は後者の文章問題のほうが高いですが、出題間隔を考えるとそろそろ前者の推定問題が出題されても
おかしくないので、本問を使ってきちんと対策しておきましょう。
本問の解答手順は…問題用紙のなお書きと答案用紙の精算表から決算整理仕訳を推定し、空欄部分をひとつひ
とつ埋めていきます。
【決算日までに判明した事項】
1.現金過不足の処理
問題用紙のなお書きに「現金過不足のうち、販売費の記入もれだけが決算日までに判明した」とあり、また、
答案用紙の修正記入欄に「現金過不足 5,000」
「雑損 2,000」と記入されています。
これは、期中に計上した現金過不足 ¥ 5,000 に対し、記入がもれていた販売費を適切に処理し、原因不明分
を雑損として ¥ 2,000 計上したことを表しているので、差額の ¥ 3,000 が販売費の金額になります。
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
8
★解答仕訳 1
(借)販売費 3,000 / (貸)現金過不足 5,000
(借)雑 損 2,000
【決算整理事項】
2.売上原価の算定
問題文に「売上原価の計算については、精算表の「売上原価」の行で行うこと」という指示があるので、
「仕入」
の行で行う場合の「仕入・繰越商品・繰越商品・仕入(しーくりくりしー)
」ではなく、
「売上原価・繰越商品・
売上原価・仕入・繰越商品・売上原価(浮く牛食う)
」という仕訳をきります。
☆「浮く牛食う」は仕訳の勘定科目の頭文字をとった語呂です。
(借)う・売上原価 期首商品棚卸高 / (貸)く・繰越商品 期首商品棚卸高
(借)う・売上原価 当期商品仕入高 / (貸)し・仕
入 当期商品仕入高
(借)く・繰越商品 期末商品棚卸高 / (貸)う・売上原価 期末商品棚卸高
期首商品棚卸高( ¥ 326,000 )と当期商品仕入高( ¥ 2,669,000 )は、答案用紙の残高試算表欄から金額
を引っ張ってくるだけですが、期末商品棚卸高は金額が分からないので、売上原価の行の差額で算定します。
8,629,000 8,629,000
売
上
原
価
326,000
224,000 2,771,000
2,669,000
雑
損
2,000
2,000
期首商品棚卸高( ¥ 326,000 )+ 当期商品仕入高( ¥ 2,669,000 )- 期末商品棚卸高 = ¥ 2,771,000
期末商品棚卸高 =( ¥ 326,000 + ¥ 2,669,000 )- ¥ 2,771,000 = ¥ 224,000
★解答仕訳 2
(借)売上原価
326,000 / (貸)繰越商品
(借)売上原価 2,669,000 / (貸)仕
(借)繰越商品
326,000
入 2,669,000
224,000 / (貸)売上原価
224,000
3.貸倒引当金の繰り入れ
修正記入欄の借方「貸倒引当金繰入 10,000」から、当期の繰入額が ¥ 10,000 であることが判明します。
★解答仕訳 3
(借)貸倒引当金繰入 10,000 / (貸)貸倒引当金 10,000
4.固定資産の減価償却
損益計算書欄の借方「減価償却費 135,000」から、当期の減価償却費が ¥ 135,000 であることが判明します。
また、修正記入欄の貸方「建物減価償却累計額 90,000」から、建物にかかる減価償却費が ¥ 90,000、車両に
かかる減価償却費が ¥ 45,000( = ¥ 135,000 - ¥ 90,000 )であることが判明します。
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
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★解答仕訳 4
(借)減価償却費 135,000 / (貸)建物減価償却累計額 90,000
(借)減価償却費 135,000 / (貸)車両減価償却累計額 45,000
5.収益(受取利息)の繰延べ
貸借対照表欄の貸方「前受利息 6,000」から、次期に繰り延べる受取利息が ¥ 6,000 であることが判明しま
す。
★解答仕訳 5
(借)受取利息 6,000 / (貸)前受利息 6,000
6.収益(受取手数料)の見越し
残高試算表欄の貸方「受取手数料 35,000」と損益計算書欄の貸方「受取手数料 43,000」から、見越計上する
手数料 ¥ 8,000( = ¥ 43,000 - ¥ 35,000 )を算定します。
★解答仕訳 6
(借)未収手数料 8,000 / (貸)受取手数料 8,000
7.費用(販売費)の繰延べ
残高試算表欄の借方「販売費 421,000」と修正記入欄の借方「販売費 3,000」、損益計算書欄の借方「販売費
411,000」から、次期に繰り延べる販売費 ¥ 13,000( = ¥ 421,000 + ¥ 3,000 - ¥ 411,000 )を算定し
ます。
★解答仕訳 7
(借)前払販売費 13,000 / (貸)販売費 13,000
8.費用(支払利息)の見越し
修正記入欄の貸方「未払利息 4,000」から、見越計上する支払利息が ¥ 4,000 であることが判明します。
★解答仕訳 8
(借)支払利息 4,000 / (貸)未払利息 4,000
9.費用(支払保険料)の繰延べ
貸借対照表欄の借方「
(
)保険料 5,000」から、次期に繰り延べる保険料が ¥ 5,000 であることが判明し
ます。
★解答仕訳 9
(借)前払保険料 5,000 / (貸)支払保険料 5,000
【残高試算表欄の空欄部分の金額】
支払保険料
修正記入欄の貸方「支払保険料 5,000」と損益計算書欄の借方「支払保険料 51,000」から、支払保険料の金額
¥ 56,000 を算定します。
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
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売掛金
支払保険料の金額を算定後、修正記入欄の合計金額 ¥ 8,629,000 から逆算して、売掛金の金額 ¥ 187,000
を算定します。
受取利息
修正記入欄の借方「受取利息 6,000」と損益計算書欄の貸方「受取利息 3,000」から、受取利息の金額 ¥ 9,000
を算定します。
貸倒引当金
受取利息の金額を算定後、修正記入欄の合計金額 ¥ 8,629,000 から逆算して、貸倒引当金の金額 ¥ 5,000
を算定します。
【当期純損失の計算】
損益計算書欄の借方合計(費用)と貸方合計(収益)の差額、または貸借対照表欄の借方合計(資産)と貸方
合計(負債および純資産)の差額により当期純損失の金額を算定します。
損益計算書欄の収益の合計額:¥ 4,002,000
損益計算書欄の費用の合計額:¥ 4,003,000
当期純損失 = 収益の合計額 - 費用の合計額 = ¥ 4,002,000 - ¥ 4,003,000 = △ ¥ 1,000
貸借対照表欄の資産の合計額:¥ 4,783,000
貸借対照表欄の負債・純資産の合計額:¥ 4,784,000
当期純損失 = 資産の合計額 - 負債・純資産の合計額 = ¥ 4,783,000 - ¥ 4,784,000 = △ ¥ 1,000
通常、精算表作成問題では当期純利益が発生することが多いですが、ごくたまに当期純損失が発生する問題も
出題されます(ex.第 135 回試験の第 5 問)
。純損失になっても慌てず冷静に対応しましょう。
第 5 問の解説は以上です。
精算表作成問題の推定問題対策は本問だけで十分なので、その分、復習をしっかりやって完ぺきに仕上げてお
きましょう。
第 143 回日商簿記検定 3 級 予想問題「簿記ナビ模試」 解説
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