Title Quantitative Cytochemical Studies of Deoxyribonucleic Acid in

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Quantitative Cytochemical Studies of Deoxyribonucleic Acid
in Hemopoietic Cells( Abstract_要旨 )
Yoshida, Yataro
Kyoto University (京都大学)
1968-01-23
http://hdl.handle.net/2433/212419
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
【1
0
6】
I--L1---L
氏
吉
名
田
よし
だ
禰
太
や
学
郎
た
ろう
学 位 の 種 類
医
学 位 記 番 号
学位授 与 の 目付
3
28 号
昭 和 4
3年 1月 23 日
学位授与 の要件
学 位 規 則 第 5条 第 1項 該 当
研究 科 ・ 専攻
医 学 研 究 科 内 科 系 専 攻
学位 論文 題 目
Quant
i
t
at
i
veCyt
oc
hemi
c
alSt
udi
e
sofDeoxyri
bonuc
l
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c
Aci
di
n Hemopoi
et
i
eCel
l
s
(造血細胞 の DNA 量 に関す る定 量 的細 胞化 学的研究)
論 文 調 査 委員
教 授 脇 坂 行 一
医
博
(主
博
士
第
査)
論
文
内
教 授 高 安 正 夫
容
の
要
教 授 深 瀬 政 市
旨
造血細胞 の増殖 に関す る細 胞 回転 論 的研究 は巨赤芽球性貧血や 白血 病等 の血 液疾 患 の病態生理 の解 明 に
重要で あ る
。
デ オ キ シ リボ核 酸
(
DNA)が細胞 の分裂 ・ 増殖 に際 して一定 の量 的変動 を示す事実 に か ん
がみ, 著者 は細胞 レベル におけ る
DNA の顕徴 測光法 的定量 を用 いて 巨赤芽球 性貧血 および白血 病 に お
け る造血細胞 の増殖 の量的解析 を試 み, 以下 の知見 を得 た。
B12) 欠 乏 に もとづ く巨赤芽球性貧血 患者一 悪 性 貧 血 4例 お
第 1報 : 正常人 5例 および ビタ ミン B12 (
Bl
i
ndLo
o
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r
o
me l 例- の骨髄塗抹標本 に Fe
ul
ge
n 染色 を行 な い, Ne
ut
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よび
Co
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o
p
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o
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o
me
t
e
r(京大病理) で骨髄細胞 の DNA 量 を測定 した。 巨赤芽球性 骨髄
の好 塩基性 ・ 多染性 巨赤芽球 および巨大額 粒球系細胞で は正常 に比 L
を有す る細胞 が多 いが,
Te
t
r
a
pl
o
i
d(
4
C)前後 の DNA 量
B12 投 与後 には これ ら相対 的に DNA 量 の多 い細胞 は急速 に減 少 し, 代 っ て
Di
pl
o
i
d(
2
C)と 4
C の 申間 の DNA 量を有す る細胞 (
I
nt
e
r
me
di
a
t
ec
e
l
l
)が増 え る。 またあ ら か じ め
i
n vi
t
r
o で 1 時 間 H3
t
h
y
mi
di
ne (
H3
Td
R) を添加酵 還 した骨髄細 胞浮遊液 を用 いて同一細胞 につ き
DNA 定量 と Aut
o
r
a
di
o
gr
a
p
hy を連続 して行 な った成績で は, 巨赤芽球性 骨髄細胞 の DNA 合成 の障
棉(
Ar
r
e
s
t
)が証 明 され, かつ この障碍 は B12 投 与後 には速 かに除 かれ ることが確認 された。
以上 の諸点 よ り
B12 欠 乏 によ る巨赤芽球性造血 において は DNA 合成 期 (
S)の延 長 とそれ に もとづ く
増殖能 の低下 が示唆 され, その病態発生 には
DNA 合成 の障碑 が重要 な役割 を演 じて い るもの と 推 測 さ
れる
。
第 2 報 '. 各種 白血 病症 例 および正常 人の骨髄 な らびに末梢血 中 の白血球 につ き前報 同様 に顕徽 測光法 的
DNA の定量 を行 ない, 細胞集 団 と して の DNA 量分布 を ヒス トグ ラムにて比 較検 討 した。 慢性 骨髄性 白
血病細胞 の
DNA 墓分布 は 正常頼 粒球形成 とほぼ同 じく 2
Cと 4
C の問 に幅広 く分布 す るが, 急性 白血
病で は分布 の幅 は狭 く
は
2
C 付近 に著 し く高 い Pe
a
k を示 す。 一般 に活傑 な分裂 ・ 増殖 を営む細 胞集団で
2
Cと 4
C の中間 に分布 す る Ⅰ
nt
e
r
me
di
a
t
ec
e
l
l は S期, 4
C 付近 に分布す る細 胞 は DNA 合成 後期
-2
7
9-
(G
2)
にあると考え られ るが, 慢性骨髄性 白血病では これ ら S ない し G
2
期にあ る細胞の比率がほぼ正常
で あるのに反 し, 急性 白血病で はその比率 は著 しく低い。 また病型 のいかんを問わず同一 の白血病症例内
で は末梢血 に比 し骨髄 の方が この S ない し G
2
期の細胞の比率が高 い。 これ らの成績か ら慢性骨髄性 白
血病で は正常頼粒球形成 に近 い分裂 ・ 増殖が行 なわれているが, 急性 白血病 にあ っては白血病細胞 の平均
世代時間の延 長 していること (ことにDNA 合成 前期
Gl) , もし くは DNA 合成 も分裂 も営 まない細胞集
(
No
nDNAs
y
nt
he
s
i
z
i
ng,No
np
r
o
l
i
f
e
r
a
t
i
ngp
o
p
ul
a
t
i
o
n)の存在 して いることが示唆 され る。 なお,
団
急性 白血病では
DNA 量分布 の Mo
d
eが」
上常 (
2
C)に比 し右 または左 に偏 した症例がみ られたが, 細胞
学的な病型分類 との間には必ず しも一定 した関係 は認め られなか った0
第 3報 : 急性 白血病における細胞回転を さ らに詳細に検討すべ く, 第 1報 に述べたごと く顕徴測光法的
DNA 定量 と H3
Td
R によ る Aut
o
'
r
a
di
o
gr
a
p
hy を同一標本で連続 して行な う方法を用いて, 急性 白血
病細胞 の
よ り,
の
DNA 合成を検索 した。 本法 は同一細胞で DNA 量 と H3
TdR 標識態度を開通 させ ることに
S期内の各時点で の DNA 合成 の様 相を知 ることが可能で あ る。 H3
Td
R で標識 され る白病細胞
DNA 量 と銀粒子数 の関係 よ り推定 して, S期 を通 じで DNA 合成速度 は一定で はな くS期の中点付
近で合成 は最 も速かで S期 の始め と終わ りは緩慢で あると思われ る。 またか くして得 られた DNA 合成 曲
線 は急性 白血病で も慢性骨髄性 白血病で もほぼ同 じくS期 内で
DNA 量 は e
xp
o
ne
nt
i
a
lに倍加 してゆ く
こと, したが って白血病細胞において も DNA合成 の時間的推移は他 の多 くの細胞種で記載 されているも
のと軌 を一 にす ることが推定 されたO しか し急性 白血病で は慢性骨髄性 白血病 と異 な り, 同 一
を有す る細胞群
DNA 量
(
Ce
l
lc
yc
l
e上同一段 階にある細胞群) の中において も銀粒子数 に著 しい差があ り, DNA
合成速度 の極めて速かな もの, よ り緩慢 なものおよび少数 の合成 の
と解 され る。 なおこの他 にも
Ar
r
e
s
tを示す もの等が混在 している
No
n
DNA s
yn
t
he
s
i
z
i
ng, No
np
r
o
l
i
f
e
r
a
t
i
ngp
o
p
ul
a
t
i
o
n の存在 も想定 さ
れ るので, 急性 白血病細胞 は形態的には比較的均一 に見 えて も増殖能 よ りみれば単一 の細胞集団 とは考え
〔
径
がたい。 核 酷
・DNA量 ・ 標識態度の関連 よ り考察す るに大部分の小型 白血病細胞 は No
np
r
o
l
i
f
e
r
a
t
i
ng
c
e
l
l に相 当す ると思われ るが, その本能や G. 細胞 との異同な ど不明の点が多 く, 白血病化学療 法 と 関
連 して今後 の重要な課題 といわねばな らない。
以上 の研究成績 よ り DNA合成 の面か ら巨赤芽球性造血 および白血病 における細 泡増殖 の特徴cj) 一端 を
明 らかに したもの と考える。
論 文 審 査 の 結 果 の 要
旨
著者 は巨赤芽球性貧血 および白血病 における造血細胞 の増殖様式を明 らかにす るため, 細胞 レベルにお
ける
DNA の顕倣測光法的定量 および H3
t
h
ymi
di
n
e(
H3
Td
R)による Aut
o
r
a
di
o
gr
a
p
h
yを用 いて,
細胞 回転を研究 した。 その結果,
細胞が多 く, また
B12 欠乏によ る巨赤芽球で は, 正常に比 し 4
C前後の DNA 量を有す る
DNA 量か らみ ると S期 にあると考え られ る赤芽球で も H3
Td
Rで標識 されない細胞
があることか ら, 巨赤芽球 には
DNA 合成 の障害が存す ること, また これ らの異常は B12 投与後速やか
に正常化す ることを明 らかに した。 また慢性骨髄性 白血病で は S ない し G
2
期 にある細胞 の比率が正常
とほぼ同 じで, 正常頼粒形成 に近 い分裂増殖が行なわれているが, 急性 白血病で は
-2
8
0-
DNA 量の分布 が 2
C
付近 に高 い峯 を示 し, 白血病細胞 の平均世代時間 (ことに Gl fu」) の延長, もし くは非分裂細胞集団 の存
在を示唆す る所見を得 た。 さ らに急性 白血病で は形態的に比較的均一 に見 えて も D N A 合成 か ら み た 増
殖能 には種 々の異な った程度 のものがあ り, 小型 白血病細胞 の多 くは非分裂細胞集団に属す る と 推 定 し
た。
以上本論又 は D N A 合成 の面か ら, 巨赤芽球性貧血 および白血病におけ る細胞増殖 の特徴 を明 らかに し
たもので, 学術上有意義で あ り, 医学博士 の学位論文 と して価値 あるものと認め る。
-2
8
1-