学生の確保の見通し等を記載した書類

1.学生確保の見通し及び申請者としての取組状況
(1)学生確保の見通し
4 年制大学を取り巻く状況は、平成 4 年に 205 万人であった 18 歳人口が年々減少を
続け、平成 21 年には 121 万人となり大学全入時代の到来と言われる一方で、進学希望
者は都市型大規模校に集中するなど、地方の中小規模の私立大学にとっては入学志願
者の確保が非常に厳しい状況となっている。
また、私立大学の約 4 割が入学定員割れとなっていることに加え、
「ゆとり教育」の
世代が大学生となり、学力の低下のみならず、学びに対する姿勢も変化・多様化して
いる。
このような状況から、本学では、急速に到来した少子・高齢化による様々な問題の
ほか、国際化・情報化・多様化の進展と労働形態の変革、環境問題の深刻化などに即
応した人材の育成が急務であるとの考えに加え、従来の外国語学部、法学部及び経済
情報学部(以下「文系 3 学部」という。)でも入学者が毎年漸減傾向にあるという現状
を考慮して、新しい学びの領域を提供することが重要であると判断した。
平成 28 年 4 月に設置を予定している「人間社会学群」には、
「国際言語文化学類」
「現
代法律学類」
「産業経営学類」の 3 学類を併せて設置し、人間社会の諸問題に柔軟に対
応できる人材の育成を目指している。
これらの 3 学類は、これまでの本学の伝統である外国語・法学・経済学・情報とい
った実学的な教育を展開しつつも、本学が医療系の分野を擁する総合大学であるとい
う強みを活かし、それぞれが持つ教育資源を有機的に組み合わせることによって、専
門性に役立つ教養教育の充実と社会に直結する実践力を並行して高めるカリキュラム
を構築している。
このようなことから、人間社会学群の教育目標を具現化するにあたっては、大学教
育のユニバーサル化が進む中、高校教育と社会を接続する役割がますます必要とされ
ていることを踏まえ、多様な資質や能力を有する優秀な人材を確保することが重要で
ある一方で、基礎的な知識はもとより、多様な価値観、様々な異文化・社会への理解、
学ぶ意欲、物事の善悪を判断する社会的規範力などをもとにして、学生の確保につな
げたいと考えている。
① 入学定員設定の考え方
人間社会学群の入学定員の設定にあたっては、これまで毎年、漸減傾向にあった
文系 3 学部(入学定員 380 人)の募集を停止し、現状の文系 3 学部の志願者数及び
入学者数(
「姫路獨協大学 外国語学部、法学部及び経済情報学部の志願者・合格者・
入学者数等の推移」
【資料 1】参照。)を根拠としつつ、関西の私立大学で初めて学群
制を導入することや、従来の学部のハードルを超えたカリキュラムを編成すること
による取組みがもたらすであろう需要をも加味して決定した。
さらに、平成 28 年 4 月開設予定の看護学部(設置認可申請中)の入学定員につい
ても、文系 3 学部から 80 人を振り替えることによって、大学全体の収容定員を減少
させることとした。
<参考>
大学全体の入学定員数及び収容定員数
現
行
変
入学
更
後
収容
学部・学科名
入学
収容
定員
定員
80
320
学部・学科名
定員
定員
100
400
人間
国際言語文化学類
法学部 法律学科
130
520
社会
現代法律学類
100
400
経済情報学部 経済情報学科
150
600
学群
産業経営学類
100
400
医療保健学部 理学療法学科
40
160
医療保健学部 理学療法学科
40
160
作業療法学科
40
160
作業療法学科
40
160
〃 言語聴覚療法学科
20
80
〃 言語聴覚療法学科
20
80
〃
こども保健学科
50
200
〃
こども保健学科
50
200
〃
臨床工学科
40
160
〃
臨床工学科
40
160
100
600
100
600
80
320
650
2,800
外国語学部
〃
外国語学科
薬学部 医療薬学科
〃
薬学部 医療薬学科
看護学部 看護学科(仮称)
合
計
670
2,880
合
計
② 定員充足の見通し及び定員充足の根拠となる調査結果の概要
定員充足の見通しにあたっては、競合すると思われる他大学の志願者数及び入
学者数等を調査し比較検討を行うことが望ましいが、人間社会学群という「学群
制」の導入は、関西の私立大学で初めての試みであり、そのうえ、上記に表示し
たとおり、人間社会学群のもとに、文学、法学及び経済学を専門分野とする学類
の設置は、全国の私立大学の中でも見受けられない。
このため、本学が設置する人間社会学群の中の 3 学類の学位の分野が、従来の
文系 3 学部の文学、法学及び経済学の分野をそれぞれ継承していることから、国
際言語文化学類は文学、現代法律学類は法学、産業経営学類は経済学に置き換え、
「本学の文系 3 学部における過去 4 年間の志願者数及び入学者数の状況」や日本
私立学校振興・共済事業団
私学経営情報センターが公表している「私立大学・
短期大学等 入学志願者動向」をもとに検討を行った。
その根拠となるデータとして、先ず一つ目は、本学の文系 3 学部における過去 4
年間の志願者数及び入学者数の状況である。(「姫路獨協大学
外国語学部、法学
部及び経済情報学部の志願者・合格者・入学者数等の推移」
【資料 1】参照。
)
従来の文系 3 学部の過去 4 年間の入学定員充足率の平均は、
外国語学部 57.8%、
法学部 44.2%、経済情報学部 45.7%となっているが、これらを 3 学類のそれぞれ
の入学定員に置き換えると、国際言語文化学類(入学定員 80 人)は 72.5%、現代
法律学類(入学定員 100 人)は 58.0%、産業経営学類(入学定員 100 人)は 69.0%
となる。入学者数をみれば、それぞれの学類の入学定員には届かない状況にある
が、志願者数の平均を 3 学類に置き換えると、国際言語文化学類 141 人、現代法
律学類 112 人、産業経営学類 144 人となり、それぞれ入学定員を上回っている。
二つ目は、日本私立学校振興・共済事業団
いる「私立大学・短期大学等
私学経営情報センターが公表して
入学志願者動向」をもとに、国際言語文化学類は
外国語学部、現代法律学類は法学部、産業経営学部は経済情報学部にそれぞれ置
き換えて、平成 23 年度~平成 26 年度までの志願者数及び入学者数(全国私立大
学の志願者・入学者等の状況【資料 2】参照。)を調査した。
その結果、外国語学部の志願者数は毎年増加していることから、過去 4 年間の
志願倍率の平均は 6.7 倍と堅調に推移しており、入学定員充足率の平均も 109.4%
と安定している。法学部についても志願者数は、毎年増減があるものの、過去 4
年間の志願倍率の平均は 7.3 倍であり、入学定員充足率の平均は、やや減少傾向に
はあるものの 105.7%となっている。また、経済情報学部については、全国の私立大
学の内、4 大学にしか設置されておらず、過去 4 年間の入学定員充足率の平均は 70.8%
であるが、志願倍率は毎年 1.0 倍以上を維持しており、入学定員数を上回っている状
況である。
以上のことから、3 学類を従来の文系 3 学部に置き換えてみれば、今後も引き続き
受験生によるニーズは維持されるものと予想される。
さらに、人間社会学群の 3 学類の教育課程は、1 年次では 3 学類共通の教養教育や
基礎教育を学び、2 年次から希望する学類での「幅広い知識」や「高度の専門性」が学
修できるようにしているため、入学時に将来の目標としていた自身の進路の変更につ
いても柔軟に対応できるという利点や多彩なコースが設定されているという魅力もあ
り、これらを加味すれば 3 学類の入学定員の充足は、十分可能であると判断した。
③ 学生納付金の設定の考え方
本学の人間社会学群の学生納付金等の設定にあたっては、①大学経営に係る収支面
において、学年進行が完成する平成 31 年度には帰属収支差額(帰属収入-消費支出)
がマイナスにならないように配慮すること、②学生への教育や設備面における維持・
向上のために必要な資金を確保すること、などの観点をもとに検討した結果、従来の
文系 3 学部に設定していた金額を踏襲することとし、次のとおり設定した。
【初年度】
入学金 30 万円
授業料 80 万円(年間)
施設設備費 15 万円(年間)
合計 125 万円
【2 年次以降】
授業料 80 万円(年間)
施設設備費 15 万円(年間)
合計 95 万円
(2)学生確保に向けた具体的な取組状況
① 入学試験において、一括募集を導入する。
人間社会学群の教育課程の編成にあたっては、受験前後における進路の迷いや、
入学時に将来の目標としていた自身の進路の変更に、柔軟に対応できるよう配慮し、
学生が主体的に設定した目標等に沿った教育・支援・指導を展開することとしてい
るため、入学試験においては、3 学類による一括募集を導入することとした。
②
高校訪問及び高校教員対象の入試説明会を強化する。
兵庫県内・外の高校を訪問することは、進路指導担当者等と面談し、パンフレッ
トなどをもとに大学の情報を提供しながら、高校側からの要望などを受けたり、情
報交換を行うなど、大学と高校の信頼関係を構築するうえで、最も大切な要素であ
る。このため、訪問するスタッフは事務職員が中心であるが、事前に研修を実施し、
人間社会学群の魅力や特色を高校教員に説明することによって、それらの情報を生
徒や保護者に伝えてもらい、本学への関心を抱き受験を考えるきっかけとなるよう、
一校あたり年間 3~4 回の訪問を計画している。
また、毎年 6 月頃に実施している本学での高校教員を対象にした入試説明会は、
主に兵庫県内からの参加者が多いが、兵庫県外から本学への志願実績がある高校の
教員へも積極的に参加を呼びかけ、本学の人間社会学群に関するアピールを強化す
る。
③
ホームページでの紹介を充実させる。
本学のホームページに人間社会学群の概要のほか、教育の特色、カリキュラム構
成、授業内容、入学試験に関する募集要項等を掲載し、人間社会学群に関する内容
を充実させるとともに、同学群のリーフレットなどの請求が容易にできるように配
慮する。
④
オープンキャンパスの開催
高校生が大学を選択するにあたって、大いに参考となるものとしてオープンキャ
ンパスがある。本学における平成 26 年度のオープンキャンパスは、年間7回実施し、
延べ 905 人が本学へ足を運び、キャンパス内の雰囲気を感じ取るとともに、学部・
学科の説明、模擬授業、個別相談等などを通じて、各自の希望分野への受験を考え
るきっかけになっている。このため、平成 27 年度は、実施回数を増やし、6 月~9
月までの期間に計 8 回開催し情報の提供を行う。
また、このように本学が開催するオープンキャンパスのうち、特に夏休み期間中
に開催するオープンキャンパスでは、近畿地方に加え、中国・四国地方方面からも
無料送迎バスを運行することによって参加者の利便性を図っており、これらの対応
がオープンキャンパスへの参加者の増加につながっていることから、引き続き、学
生募集における重要な手段として位置づけ、生徒・保護者への宣伝を強化する計画
である。
2.人材需要の動向等社会の要請
(1)人材の養成に関する目的その他の教育研究上の目的
近年の現代ビジネスや日本経済に漂う閉塞感の中、仕事や家族生活を取りまく状
況は不安定であり、生活の拠りどころとなるべき地域コミュニティにも大きく影が
差している。
また、少子高齢化社会の加速による「教育」「医療」「福祉」などの課題のほかに
も「若年者の雇用」「女性の就業力」「外国人労働力の活用」など従来の雇用形態の
変化への対応、都市と地方の間の「格差問題」、東日本大震災を契機に加速する「資
源・エネルギー問題」など、これまで経験したことのないほどの課題が山積してい
る。
このような現代社会を生き抜くためには、幅広い基礎的教養を持ち、人が人間ら
しく生き、人間の社会や地域の中で他者との協働により、社会を動かしていく知識
と能力が必要不可欠であることから、本学群では、人文科学・社会科学・自然科学
に関する幅広い教養を身につけるとともに、それぞれが国際言語文化、現代法律、
産業経営に関係する専門分野を深く修めることによって、人間社会の諸問題に柔軟
に対処できる人材を育成することを目的としている。
(2)上記(1)が社会的、地域的な人材需要の動向等を踏まえたものであることの客
観的な根拠
人間社会学群の 3 学類は、従来の文系 3 学部の学位の分野を継承していることか
ら、社会的、地域的な人材需要の動向については、これらの学部の求人状況等(下
表を参照。
)をもとにして説明する。
外国語学部の求人状況は、毎年減少しているものの、過去 3 年間の平均は 197 社
となっており、入学定員(100 人)の約 2 倍である。法学部については、大きな増減
はなく 300 社前後で推移し、
過去 3 年間の平均は 300 社となっており、
入学定員(130
人)に対して約 2.3 倍である。経済情報学部は毎年増加し、過去 3 年間の平均は 375
社となっており、入学定員(150 人)に対して 2.5 倍である。
このようなことから、本学への求人数は、いずれの学部においても入学定員の 2
倍以上を確保している状況である。
今回、人間社会学群の 3 学類の設置にあたっては、従来の文系 3 学部よりも入学
定員を減少させて対応していることや、不安定ながらにも景気が回復基調にある社
会的情勢と、それに伴う雇用環境の改善傾向を踏まえれば、今後、本学の卒業生の
進路及び人材を受け入れる社会的需要は、現状の数値を上回ることが期待できると
考えている。
<参考> 「姫路獨協大学 外国語学部・法学部・経済情報学部の求人数等」
学部名
求
人
社
数
(単位:社)
平成 23 年度
平成 24 年度
平成 25 年度
外国語学部
233
204
155
197
法学部
298
311
292
300
経済情報学部
333
395
398
375
平
均
添 付 資
料
【資料 1】
姫路獨協大学 外国語学部、法学部及び経済情報学部の
志願者・合格者・入学者数等の推移・・・・・・・・・・P1
【資料 2】
全国私立大学の志願者・入学者等の状況・・・・・・・・P2
【資料1】
姫路獨協大学 外国語学部、法学部及び経済情報学部の志願者・合格者・入学者数等の推移
学部・学科名
外国語学部
外国語学科
法学部
法律学科
経済情報学部
経済情報学科
合 計
平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度
平 均
志願者
150
151
149
114
141
合格者
115
126
136
98
119
入学者(A)
57
65
61
48
58
入学定員(B)
100
100
100
100
100
A/B*100
57.0
65.0
61.0
48.0
57.8%
志願者
136
119
83
110
112
合格者
103
74
70
84
83
入学者(A)
66
58
50
56
58
入学定員(B)
130
130
130
130
130
A/B*100
50.8
44.6
38.5
43.1
44.2%
志願者
200
156
106
114
144
合格者
158
123
81
85
112
入学者(A)
90
85
55
44
69
入学定員(B)
150
150
150
150
150
A/B*100
60.0
56.7
36.7
29.3
45.7%
志願者
486
426
338
338
397
合格者
376
323
287
267
313
入学者(A)
213
208
166
148
184
入学定員(B)
380
380
380
380
380
A/B*100
56.1
54.7
43.7
38.9
48.4%
【資料2】
全国私立大学の志願者・入学者等の状況
1.外国語学部
年 度
A
B
C
D
E
集計学
部数
入学定員
(人)
志願者数
(人)
入学者数
(人)
志願倍率
(C/B)
28
27
28
28
9,886
9,721
9,831
9,791
9,807
78,682
65,062
60,599
60,527
66,218
10,615
10,728
10,734
10,824
10,725
8.0
6.7
6.2
6.2
6.7
107.4%
110.4%
109.2%
110.6%
109.4%
A
B
C
D
E
集計学
部数
入学定員
(人)
志願者数
(人)
入学者数
(人)
志願倍率
(C/B)
82
81
80
80
31,476
31,428
31,513
31,513
31,483
228,674
231,867
219,525
238,692
229,690
33,095
33,197
33,027
33,733
33,263
7.3
7.4
7.0
7.6
7.3
E
入学定員
充足率(%)
(D/B)
105.1%
105.6%
104.8%
107.0%
105.7%
A
B
C
D
E
集計学
部数
入学定員
(人)
志願者数
(人)
入学者数
(人)
志願倍率
(C/B)
550
550
550
600
563
581
703
739
918
735
310
413
393
476
398
1.1
1.3
1.3
1.5
1.3
平成26年度
平成25年度
平成24年度
平成23年度
平 均
E
入学定員
充足率(%)
(D/B)
2.法学部
年 度
平成26年度
平成25年度
平成24年度
平成23年度
平 均
3.経済情報学部
年 度
平成26年度
平成25年度
平成24年度
平成23年度
平 均
4
4
4
4
E
入学定員
充足率(%)
(D/B)
56.4%
75.1%
71.5%
79.3%
70.8%
※上記の表は、日本私立学校振興・共済事業団 私学経営情報センターが発表している「私立大学・短期
大学等 入学志願者動向(平成22年度版~平成26年度版)」をもとに、本学で作成している。