Title Author(s) Citation Issue Date URL Clinical Significance of the Negative U Wave in Electrocardiogram( Abstract_要旨 ) Watanabe, Noboru Kyoto University (京都大学) 1966-11-24 http://hdl.handle.net/2433/212020 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 【17 4 氏 】 学 位 の 種 類 渡 わた 医 学 位 記 番 号 論 学位授与 の 日付 昭 和 41 年 11 月 24 日 学位授与 の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当 学位 論文 題 目 C linical Signif i cance of th e N eg ative U W ave in E le(:troeardiog ram 辺 なべ 学 医 博 博 登 のぼ る 士 第 323 号 (心電図陰性 U 波 の臨床 的意義 につ いて) (主 査) 論文 調査 委員 教 授 高 安 正 夫 論 文 内 教 授 脇 坂 行 一 容 の 要 教 授 深 瀬 政 市 旨 心電図 U 波 の成因 につ いてはいろいろの仮説 があるがまだ定説 がな く, またその臨床的意義 も判然 と し ない。 そ こで陰性 U 波 出現 と年令 , 血圧 , 心電図所見等 との関連 を追求す る ことによ りその臨床的意義を 明 らかにせ ん と して本研究 を施行 した。 対象 は1959年 か ら1963年 までの三重県立医科大学第三 内科初回診 療時 の心電図で U 波 を明 らかに認 めた2387例を用 いた. U 波型 につ いては (±) または (辛) 二相性 U 波 は便宜上陰性 U 波 と見放 したが aV R 誘導での陰性 U 波 は正常心電図 に通常見 られ るものであ り, その臨 床的意義がないために aV R を除外 した11誘導での陰性 U 波 出現率 を検討 した。 年令別 に見 た場合男女 と も39才 までの若年層では11誘導 中 1 誘導以上での陰性 U 波 出現率 はほ とんど有意 の差 を認 めなか った。 し 0才以上の高令層では 32.12 % と著 か し40才か ら高令 になるに したが って漸次 その出現率 は増加 し, 特 に7' 明な増加 を認めた。 一般 に高血圧性疾患 , 動脈硬化症等 の老人性疾患は40才以上 の高令者 に多 い ことが知 られているが, この年令層 に比例 して心電図上陰性 U 波 出現 が著 明な増加 を 示 した こ と は興味深 い こと である。 血圧 との関係では男女 とも最高血圧 160 m m H g または最低血圧 90 m m H g 以上のいわゆる臨 床上高血圧性疾患 と見倣 され る症例で陰性 U 波 出現率 が明 らかに増加 しさ らに血圧 が上昇す るに したが っ てその出現率 も漸次増加 した。 しか しこれ ら高血圧性疾患の中で も40才以上の高令層での平均 出現率 は 27.15 % であるのに比 し39才以 下 の若年層では 11 ・98 % と有意 の差 を認めた。 すなわ ち陰性 U 波 出現 は高血圧だけでな く年令 とも密接な 関係があることが理解 された 脈圧 との関係では 70 m m H g よ り脈圧が大 き くな るに した が い 漸次 陰性 。 U 波 出現率 が増加 し, 特 に 120 m m H g 以上の異常 に大 きな脈圧群 では著 明な増加 を認めた。 これ らの群 には大動脈弁閉鎖不全症 , 動脈管開存症 , 一部の高血圧性疾患が多 く含 まれていた。 不整脈 の心電図でそ の基調律 における陰性 U 波 出現率 はや は り40才以上の高令層で著明な増加 を認めた。 11誘導 中 1 誘導以上 で陰性 U 波 を認めた ものが仝例中337例 あ り, この中各誘導別 に陰性 U 波 出現を見 ると, 四肢誘導では aV L で割合高率 に認め られた。 胸部誘導では V 4 - V 6 の左胸壁誘導で高率 に認め られ, 最高 は男女 とも V 5 で - 427 - あ った。 そこで V 5 ,V 6 における ST ,T の変化 と陰性 U 波 出現率 との関連 を検討 した ところ, ST では低 下群 とりわけ 0.1 m V 以上の著明な低下群で , 陰性 U 波 出現率が特 に高 く, T 波 との関係では陰性 T 波お よび (辛) 二相性 T 波でその出現率が高 か った。 左脚 ブロック, 心筋硬塞 , 左室肥大 の場合やは り左胸壁 誘導で ST 低下や T 逆転を認め ることが多 く, したが って これ らの心電図では陰性 U 波 出現率が 79.4- 83.3% と著明な高頻度を示 した。 また冠不全 , 心筋障碍で も比較的その頻度が高 か った。 臨床診断 との関 係では高血圧性疾患並びに心疾患で陰性 U 波 出現率が高 く,特 に心筋硬塞症 ,先天性心疾患で高率 に見 られ た。 高血圧性疾患の中, すで に心 , 脂 , 腎障碍 を合併 している症例では, 高血圧のみの群 に比 しその出現 率 は約 2 倍であ った。 すなわ ち悪性高血圧症 または高血圧 が相 当期間持続 した場合 にU 波逆転 をきたす と 考 え られた。 陰性 U 波 のみが唯一 の心電図所見であ った症例 は, 全例中51例 あ りこの場合の陰性 U 波 もや は り V 5, V 6, aV L で高率 に認 め られた。 臨床的 に見 た場合 , これ ら症例の中59% が高血圧性疾患 , 冠疾 忠 , 弁膜疾患であ った。 一方狭心様発作時 に一過性 U 波逆転 を認 め得 た症例を経験 したが , 他面著者は犬 で実験的 に冠血管結染後一過性 U 波逆転 を観察 している。 この事実 に基づ いてやは り一過性 U 波逆転は急 性冠不全 の- 兆候 と見倣すべ きであ り, 臨床上狭心様不定愁訴のある場合 ST , T 変化が現われない時 に は U 波逆転 に も注 目すべ きである。 以上本研究 によ り陰性 U 波が高血圧性疾患や冠疾患 と密接な関係があることが理解 された。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 心電図 U 波 の本質 につ いてはいまだ じゆ うぶん解 明されてお らず臨床上の解釈 もじゆ うぶ ん とは言えな い。 また陰性 U 波 につ いての広範 な臨床的研究 をみない。 本研究 は この臨床的意義を明 らかにせんと して 三重県立医科大学第 3 内科で とった 5 カ年問の心電図中明 らかにU 波 を認 めた 2,387 例 につ いて年令 ・ 血 圧 ・ 病名 ・ 心電図所見 と対比 して陰性 U 波 の出現を統計的 に検討 した ものである。 その結果40 才以上最高 血圧 160 , 最低血圧90 , 脈圧 70 m m H g 以上で は進むに したが って出現率が大 とな り, ことに高血圧群で も高令者では若年者群 よ りも有為 に高率であ った。 陰性 U 波 の最 もよ くあ らわれる誘導 は V 5,V 6,V 4,aV L の境である。 ST 低下 , 陰性 T , 二相性 T で出現率が高 い。 左心室肥大 , 左脚 ブロック, 心筋硬塞などでは左胸壁誘導で79.4- 83.3% の高率 に認 めた。 高血圧疾患 では脳 ・ 腎の障害 を合併 しあるいは悪性高血圧や長期持続 した ものに高率であ った。 他方狭心発作中一過 性 U 波 の逆転 をみ, また犬の冠動脈結熟実験で も同様 U 波の逆転がみ られた。 すなわ ち一過性 U 波逆転 も 急性冠不全の- 兆候 と考 え られ る。 以上本研究 は学術上臨床上有益であ り, 医学博士 の学位論文 と して価値 あるもの と認定す る。 … 4 28-
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