平成28年4月27日(水)放送分 - 放送法遵守を求める視聴者の会

TV 報道検証 報告書
テレビ局: テレビ朝日
番組名:報道ステーション
放送日: 2016 年 4 月 27 日
出演者: 富川悠太(メインキャスター)、小川彩佳(サブキャスター)、後藤謙次(コメンテーター、ジャーナ
リスト)
検証テーマ: 衆院選挙改革
報道内容要旨:
・ 校舎に亀裂 生徒の自宅も…学校再開にいくつもの壁
・ 志賀原発「直下に活断層」廃炉の可能性高まる
・ 「核のごみ」最終処分場
核のごみ受け入れをめぐって玄海町町長が前向きに検討していると報道されたが、町長本人が「それはない」
と否定し反対する議員たちに答える様子を伝えた。また、核のごみ受け入れは国から全国の自治体に受け入
れを要請するものだが、交付金などを受けることができるというシステムも紹介された。街の人は「どこか
には持っていかなければいけない。うちに持ってきてくれと言うのは誰もいない」と話した様子を報じ、
「み
んなで考えなければならない問題」と富川氏がコメントした。
・ 春の園遊会に 1800 人出席
・ トランプ氏東部で圧勝 普通の政治家に「進化」?
・ 衆院「10 減」委員会可決 『アダムズ』導入は先送り
第三者機関が求めた一票の格差を是正するためのアダムズ方式が 2020 年の国勢調査後に先送りされたこと
が報じられた。それに対し民進党からは「違憲判決が出ているのに、まだ抜本的な改革を先送りするのか」
と与党を批判した。ナレーターによるアダムズ方式の説明があったが、それでは地方の議席数が減るため「地
方に強い地盤を持つ自民党内からは強い反発があったため先送りとなった」という補足があった。「アダム
ズ方式が導入された時、与党議員の方から批判的な意見が出たことは残念であった」という民進党議員のコ
メントに対し、自民党の細田幹事長代行が「日本、地方にとって最も適切なやり方なのかどうか常に検討せ
ねばならない。しかし問題を鵜呑みにしているわけではない」と答えた。後藤氏は「(先送りしたのは)現
職の議員の負担を減らすためであって、選挙制度は常に政治の思惑の産物である。違憲状態という判決が出
ている中、放置すると安倍総理の解散権が縛られてしまう。立法で(アダムズ方式の採用)努力をしてます
よということを最高裁にアピールし、それによって最高裁も今回は違憲状態の判決は見送るかと、ある面で
心象をよくしようとするという思惑があるわけですね。解散権をいつでも行使できる、求心力が必要なので
今回は安倍総理が先頭に立ってアダムズ方式の導入を推し進めた結果があり、夏のダブル選はあるかわから
ないが、ハードルを一つ乗り越えたと言える。ただ解散には大義名分が必要で、熊本地震などを乗り越えな
いと解散権は発動できない。そもそもこの問題は選挙のたびに言われており、他にも衆参の関係や選挙区制
度の弊害もあるので、根本的な改革が必要」と述べた。富川氏は「安倍総理はまだ決めかねていると。とに
かく、熊本地震の被災者にとってはダブル選どころの話じゃない。」とコメントした。
検証報告(放送法第 4 条の見地から):
衆院で可決された「10 減」の改革案について、賛否の秒数は以下の通り。
賛成 22 秒(46 %) 反対 26 秒(54%) (その他 311 秒)
ほぼ半数ずつだが、スタジオ内のコメントでは「政治的思惑の産物」などやや政権に批判的なワード・言い回
しが見受けられた。
「印象操作」に関する所見(最高裁判例の見地から):
特になし。
検証者所感:
後藤氏の「熊本地震などを乗り越えないと解散権は発動できない」との発言や、富川キャスターの「とにかく、
熊本地震の被災者にとってはダブル選どころの話じゃない。」との発言から、この度の震災を理由として「ダブ
ル選挙は行うべきではない」とする主張がうかがえるが、同番組では一昨日の 25 日にも、北海道5区の補欠選
挙の報道に絡めて同様の訴えをしている。
このように特定の見解に誘導するような報道の仕方が今後も繰り返されるとすれば、特定の政治的意図を伴った
報道と言わざるをえないだろう。
そもそも、衆参ダブル選挙を行わなくても、参議院選挙は必ず行わねばならないのである。参議院議員の任期は
憲法で定められているので、被災地域のみ任期を特例で延ばすというのは、少なくとも現行憲法下においては不
可能であろう。
一方、もしダブル選挙となった場合に、2つの選挙の投票を別の期日に行う「変則衆参同時選挙」となった場合
には、被災者にとってはそれ相応の負担増が考えられるが、同日選挙の場合、参議院選挙の投票のついでに衆議
院選挙の投票が行えるので、衆議院選挙により生じる追加的負担は微々たるものである。
そのことから言っても、震災を理由に、繰り返し「ダブル選挙の回避」を主張することには恣意性を感じざるを
えない。
備考:
放送法遵守を求める視聴者の会