家族:やすらぎと愛情の育まれる場所

東京ジャーミイ金曜日のホトバ 2016 年 5 月 20 日
家族:やすらぎと愛情の育まれる場所
尊敬すべき信仰者の皆様! クルアーンの以下の章句におい
とり、楽園の門であります。 子どもたちを目にするのは私たち
て、神はこう命じておられます。「主があなたがた自身から、あ
の喜びです。子どもとは、家庭における最も愛すべき果実であ
なたがたのために配偶を創られたのは、主の印の一つである。
ります。彼ら には思いやりと慈しみ、関心と愛情を注いでやら
あなたがたはかの女らによって安らぎを得るよう(取り計らわ
ねばなりません。彼らは、両親の手の中で準備を整えられつつ
れ)、あな たがたの間に愛と情けの念を植え付けられる。本当
ある未来の財産であります。 兄弟、姉妹の皆様! 家族の中では、
にその中には、考え深い者への印がある(30 章 21 節)」。 また、
誰もがお互いに気を配り、そして誰もがそれぞれに特別の責任
ハディースにおいては、私たちの預言者(彼に平安あれ)は次
を負っています。時として家族 は、母親にとり、父親にとり、
のように仰っています。「本当に、信仰 する者のうち最も完全
また子どもたちにとっての試練ともなります。この試練に立ち
な信仰を得た者とは、行ないにおいて最も優れた者、そして自
向かうには、私たちは家族の尊厳と名誉、そして家族ひとりひ
分の家族に最も親切にふるまう者のことです」。
とりの自尊心を傷つけるのではなく、むしろ守り、かつ高めて
兄弟、姉妹の皆様! 神のみ使いは私たちに、常に家族を大
ゆかねばなりません。この試練を乗り越えるのに必要なのは思
切にするようにと助言なさいました。彼が家族というものをど
いやりと慈しみ、優しさ、それに良識であって、怒りをぶつけ
うとらえていたかは、聖ハディージャに対する彼の愛情、献身、
たり、攻撃したり、誰かを害したりすることではありません。
誠実さに見出すことができます。実際、聖ハディージャは預言
そこには、家族が「ひとつ」 であり、「共にある」という考え方
者(彼に平安あれ)の妻であると同時に、また忠誠心の象徴で
があります。喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しい時も、
もあります。私たちの預言者は、自らよりも先にこの世を去っ
共に助け 合って苦労を一緒に分かち合うということです。
た妻について、いつも感謝と共に思い返し、また、いつまでも
兄弟、姉妹の皆様! 家族とは、全能の神から私たちへの恩
彼女のことを心の中にとどめておかれました。常に、彼女に対
恵であります。しかし現代において、時として家族の重要性は
する自らの忠誠を語られました。ある日、その理由を問われた
完全には 理解されていません。そのため、家族は、重荷とみな
神のみ使いは、次のように応えておられます。「他の誰もが私を
されることもあるかもしれません。家族という、くつろぎをも
信じなかったときに、彼女は私を信じてくれた。誰もが私の言
たらしてくれる環境は、無責任さや、配慮の足りない行ない、
葉を否定したときに、彼女は確かめ、肯定してくれた。誰もが
気まぐれ、欲望などのせいで犠牲になることもあります。残念
私を助けるのを拒んだときに、彼女は 持てるものを費やして私
なことに不義、不誠実、不寛容、そして暴力などのせいで、家
を支えてくれました。全能の神は、彼女との子どもたちをもっ
族が崩壊してしまうこと もあります。私たちの住まう社会には、
て私を祝福してくださいました」。
負の影響にさらされ苦く悲しい結末を迎えた崩壊家庭が存在し
兄弟、姉妹の皆様! 家族の中では、誰もが大切に扱われる
ます。さらには小さな子どもたちが、崩壊家庭における最も重
べき貴重な存在です。一人ひとりが愛情に満ちた心を持ち、そ
い代償を払わされています。人生という旅を始めたばかりで、
の魂は、 常に周囲の人たちに向けて開かれています。母親とは
生活の負担の下に押しつぶされるのを余儀なくされているので
献身の象徴であります。損得の勘定をすることなしに、 どのよ
す。
うな苦労でも引き受けてくれます。だからこそ私たちの預言者
兄弟、姉妹の皆様! 神の名において結ばれた、自分の配偶
(彼に平安あれ)も、私たちが最も第一に心を配り、良い行な
者を思い起こしましょう。大いなる祝福として授けられた、子
いをもって遇さねばならないのは私たちの大切な母である、と
どもたちについて考えましょう。何があろうとも互いを失うこ
仰せられているのです。 尊敬、安心、やさしさを表わすのが父
とのないよう、相手の存在に感謝して両親や配偶者、そして子
親です。家族を悪から守るためなら、どのような挑戦にも困難
どもたちと、手に手を取りあいましょう。聖なる啓典が教えて
にも立ち 向かいます。家族の生活を支えるためにあらゆる努力
くれている、以下の祈りをもって本日の ホトバを終わります。
を尽くすことこそ、楽園にいたる鍵であることを知っているの
「主よ、心の慰めとなる配偶者と子孫を私たちに与え、主を畏
です。私たちの預言者の言葉を借りるならば、父とは私たちに
れる者の模範にして下さい (25 章 74 節)」。