1 流通の多段階化

卸売段階の水平的な分化= 業種別
(生産段階の商品別)
• 消費財卸(衣料品,食料品,医薬化粧品,)
• 産業財卸(繊維品,化学製品,機械器具,)
• 各種商品卸売業(総合商社など)
1 流通の多段階化
• 流通の段階数が多くなることを流通の多段階
化という。
流通多段階化の論理
1
2
3
流通サービスへのニーズが増大
商品流通の作業量増加
流通サービスの費用の増加,流通サービスの分業
(=流通の多段階化)
卸売流通は卸売業者のみが担うとは限らない
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44
45
47
46
48
製造原価
90円
卸売段階における多段階性とW/R比率
生産者
生産者の取り分:
マージン 10円
製造原価
• W/R比率
=「卸売の販売額」と「小売の販売額」との比率
出荷価格 100円
90円
生産者
生産者の取り分:
マージン 10円
1次卸
卸売価格 130円
出荷価格 100円
流通が多段階 → W/R比率が高い
卸売段階での所有権の移転(売買)の回数が
多くなればなるほど、卸売段階での販売額が
重複計算されて、その販売総額が大きくなり、
W/R比率が高まるから。
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卸売業者
卸売業者の取り分:
マージン 30円
2次卸
卸売価格 130円
小売業者
卸売業者の取り分:
マージン 30円
卸売業者の取り分:
マージン 30円
卸売価格 160円
小売業者の取り分:
マージン 20円
小売業者
小売価格 150円
小売業者の取り分:
マージン 20円
小売価格 180円
消費者
消費者
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日本の流通経路は長くて複雑なのか
W/R比率の解釈について
卸・小売比率(W/R比率)
• 1988年 日本3.10
米国0.99
• 1999年 日本3.4
米国1.6 (1997年)
• 2007年 日本3.07
米国1.66
• W/R比率の高さは、多段階性の証拠か?
→ 日米間でのW/R比率の格差は、
流通の多段階性のみを意味するのではない
W/R比率で比較することの問題点
• 原料輸入が多い日本では,それが卸売業者
(総合商社)によって行われ,総合商社の販
売額がWに含まれ、Wを大きくしている。
• 製品輸出の多い日本では,輸出も総合商社 63
を経由するため,Wを大きくしている。
W nW
⋅
nW
N
W
=
R nR
R
⋅
nR N
nW
卸売店舗数
nR
小売店舗数
N
人口
卸売1店舗当り販売額 小売1店舗当り販売額 卸売店舗密度 小売店舗
密度
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W nW
⋅
大
nW
N
W
=
R nR 大
R
⋅
nR N
日本
米国
W nW
⋅
nW
N 小
W
=
R nR 小
R
⋅
nR N
○卸売店舗密度と小売店舗密度の比率を比べ
ると日本と米国との間に大差はない。よって、
日本のW/R比率が米国よりきわめて高いこ
とは、卸売と小売の1店舗当り販売額の格差、
つまり卸売業と小売業の規模の格差が、日
本では米国に比べて著しいということを意味
している。(日本では、小売業は相対的に小
規模だが、逆に卸売業は総合商社などの大
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規模卸が存在して平均的に大きい。)
第4章 現代の流通構造
• 電子商取引(eコマース)の普及によって流通
構造はどう変わるか。以下の二点から検討
– インターネット(eコマース)の利用によって、節約
される流通費用と増える流通費用
– 生産者がおこなうインターネット販売
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