森林機能開発学分野 - 農学部 大学院生物資源環境科学府 大学院農学

森林生態系の未知の機能を探る
森林機能開発学分野では,
森林とそこに生育する多様な生物を分子から生態系までの幅広い視点から研究し,
これにより地球環境を保全・修復することを目指しています。
地球森林科学コース
森林機能開発学分野
卒業生の
活動の分野
地球森林科学コース
森林機能開発学分野
卒業生の
進学していま
卒業生のおよそ8割は大学院修士課程に進学しています。学部卒業者と修士修了者の主な進学先は,公務員の場合,農林水 主な進学先
産省,国土交通省,地方自治体の行政および研究職,また民間企業では,製紙,化学,住宅・建材,商社,情報,環境な
土交通省,
地
ど幅広い分野にまたがっています。
た民間企業で
報,
環境など
葉の不思議
◉森林生態系の未知の機能を探る
森林生態系の未知の機能を探る
森林機能開発学分野では,森林とそこに生育する多様な生物を分子から生態系までの幅広い視点から研究
森林機能開発学分野では,
森林とそこに生育する多様な生物を分子から生態系までの幅広い視点から研究し,
し,これにより地球環境を保全・修復することを目指しています
。
これにより地球環境を保全・修復することを目指しています。
木材の構造
分野長による分野紹介
形成層活動の結果,
樹幹の内側に木
部が形成されます。この木部が年々蓄
葉の不思議
樹木細胞壁形成の統合サイエンス
樹木細胞壁形成の統合サイエンス
卒業生の
植物細胞の中では,
葉緑体やミトコ
地球上バイオマスの90%以上を
ンドリア,
ペルオキシゾームなどの細胞
占める樹木細胞壁の形成機構を、遺 卒業生のおよそ8
伝子工学、生合成酵素、成分化学、組 進学しています。学部
小器官と細胞質の間をいろいろな物
質が移動します。移動する物質の量や
公務員
織科学を駆使して解明し、
バイオエタ 主な進学先は,
速度が変わると,
光合成の効率や樹木
地方自治体
卒業
ノール、化成品原料、紙・パルプ等に利 土交通省,
の成長は大きく影響されます。この物
用しやすい樹木の開発を通して、二酸
積されたものが木材です。木材は主に
質の移動を葉を壊さずに測定したり,
化炭素排出の少ない持続的再生産社
コントロールする技術は急速に進歩し
会の構築を目指しています。
炭素,
水素,
酸素からできているので,
樹
ています。
た民間企業では,
製紙
報,
環境など幅広い分
「未来の自
木は炭素を固定し続けることに貢献して
地球上バイオマスの9
0%以上を
植物細胞の中では,
葉緑体やミトコンドリア
,
ペルオキシゾーム
地球上バイオマスの9
0%以上を占める樹木細胞壁の形成機
植物細胞の中では,
葉緑体やミ
トコ
などの細胞小器官と細胞質の間をいろいろな物質が移動しま
構を,
遺伝子工学,
生合成酵素,
成分化学,
組織科学を駆使して解
占める樹木細胞壁の形成機構を、
遺
ンドリア,
ペルオキシゾームなどの細胞
います。
森林とDNA研究
育種されたチークのプランテーション
す。
移動する物質の量や速度が変わると,
光合成の効率や樹木の
明し,
バイオエタ
ノール,
化成品原料,
紙・パルプ等に利用しやす
伝子工学、
生合成酵素、
成分化学、組
小器官と細胞質の間をいろいろな物
木材の構造
成長は大きく影響されます。この物質の移動を葉を壊さずに測
い樹木の開発を通して,
二酸化炭素排出の少ない持続的再生産
織科学を駆使して解明し、
バイオエタ
質が移動します。移動する物質の量や
(左図は小学館の「世界の木材」
から引用)
定したり,
コントロールする技術は急速に進歩しています。
社会の構築を目指しています
。 紙・パルプ等に利
ノール、化成品原料、
速度が変わると,
光合成の効率や樹木
形成層活動の結果,
樹幹の内側に木
用しやすい樹木の開発を通して、二酸
の成長は大きく影響されます。この物
森林機能開発学分野長
松村 順司
分野長による分野紹介
DNAの謎を解明し森林生態系を探る
森林は,地球上で最も多様性に富んだ生物社会で,遺伝子の宝
DNAの謎を解明し森林生態系を探る
庫です。長い生物進化の過程で形成された生物多様性や,DNA
森林は,
地球上で最も多様性に富んだ生
に秘められた情報を保持することは人間の営みにとって不可欠です
。
物社会で,
遺伝子の宝庫です。
長い生物進
複雑な森林の生命現象を個体レベルとともに DNA レベルで明らか
化の過程で形成された生物多様性や,
DNA
とは人間の
にし,より優れた機能を持つ森林を育てる試みが始まっに秘められた情報を保持するこ
ています。
森林とDNA研究
部が形成されます。この木部が年々蓄
積されたものが木材です。木材は主に
コントロールする技術は急速に進歩し
炭素,
水素,
酸素からできているので,
樹
ています。
生活するためには不可欠な資源です。
この資
木は炭素を固定し続けることに貢献して
源の利用を持続可能なものにするため,
樹木の
います。
育成と材質の評価を行い,
次世代の木質資源
の創出に関する研究が行われています。
分子レベルから樹木の諸機能を解明する
(左図は小学館の「世界の木材」から引用)
営みにとって不可欠です。複雑な森林の生
命現象を個体レベルとともにDNAレベルで明
らかにし,
より優れた機能を持つ森林を育てる
森林生物資源(樹木・キノコ)には抗菌・抗ガン・分野長による分野紹介
リラックス効果
試みが始まっています。
樹木では,
光エネルギーを化学エネルギー
に変換する反応が行われています。葉緑体
により炭酸ガスが固定され,
これがセルロース
などの高分子化合物となり樹木に蓄積されま
などの生理活性を持つ成分が多数含まれています。このような有用
す。物質生産効率や環境適応力を高めるた
森林生物の潜在機能を活用する
成分を探索すると共に,その生合成機構の解明が行われています
。
めに,
分子レベルでの生理機構の研究が進
また,森林生物資源(樹木・キノコ)の潜在的な化学成分・機能
森林生物資源(樹木・キノコ)
には抗菌・抗 生活するためには不可欠な資源です。
この資
められています。
ガン・
リラックス効果などの生理活性を持つ成 源の利用を持続可能なものにするため,
DNAの謎を解明し森林生態系を探る
をスクリーニングし,健康や快適住空間に寄与す
る機能解明に向け
樹木の
木材の構造
分が多数含まれています。
このような有用成分 育成と材質の評価を行い,
次世代の木質資源
循環型社会を目指す木質バイオマスの
た研究が行われています。
森林は,
地球上で最も多様性に富んだ生
を探索する
と共に,
その生合成機構の解明が
形成層活動の結果,
樹幹の内側に木部が形成され
の創出に関する研究が行われてい
ます。
物社会で,
遺伝子の宝庫です。
長い生物進
高度利用
行われてい
ます。
また,
森林生物資源
(樹木・キ
木材のサイエンス
化の過程で形成された生物多様性や,
DNA
ます
。この木部が年々蓄積されたものが木材です
。
木
ノコ)
の潜在的な化学成分・機能をスクリーニ 分子レベルから樹木の諸機能を解明する
循環型資源としての木質バイオマス
(樹
に秘められた情報を保持するこ
とは人間の
木材は強靭さや和やかさなどの多様な機能を
もち,かつ無公害で,
ングし,
健康や快適住空間に寄与する機能解
材は主に炭素,
水素,
酸素からできているので,
樹木は
木)
の高度利用は,
地球温暖化防止
・化石資
営みにと
って不可欠です。
複雑な森林の生
樹木では,
光エネルギーを化学エネルギー
人類が快適・安全に生活するためには不可欠な資源です
。この資
明に向けた研究が行われてい
ます。
源の枯渇問題に対する重要な解決策です。
炭素を固定し続けることに貢献しています
。
命現象を個体レベルとともにDNAレベルで明
に変換する反応が行われています。
葉緑体
源の利用を持続可能なものにするため,樹木の育成と材質の評価を
未利用材や木質バイ
オマス廃棄物からのバイ
らかにし,
よ
り優れた機能を持つ森林を育てる
木材のサイエンス
によ
り炭酸ガスが固定され,
これがセルロース
行い,次世代の木質資源の創出に関する研究が行われています
。
(上図は小学館の
「世界の木材」
から引用)
試みが始まっています。
オエタノール変換技術の開発や遺伝子工学
なり樹木に蓄積されま
木材は強靭さや和やかさなどの多様な機 などの高分子化合物と
手法による,
循環型エネルギーとして利用しや
分子レベルから樹木の諸機能を解明する 森林生物の潜在機能を活用する
能をもち,
かつ無公害で,
人類が快適・安全に す。物質生産効率や環境適応力を高めるた
すい木質バイオマス生産にも挑戦しています。
めに,
分子レベルでの生理機構の研究が進
樹木では,光エネルギーを化学エネルギーに変換す
る反応が行わ
森林生物資源(樹木・キノコ)
には抗菌・抗
められています。
ガン
・
リラックス効果な
れています。葉緑体により炭酸ガスが固定され,
これがセルロ
ースなどどの生理活性を持つ成
分が多数含まれています。
このような有用成分
の高分子化合物となり樹木に蓄積されます。物質生産効率や環境
循環型社会を目指す木質バイオマスの
27
を探索する
と共に,
その生合成機構の解明が
適応力を高めるために,分子レベルでの生理機構の研究が進められ
高度利用
行われています。
また,
森林生物資源
(樹木・キ
森林生物の潜在機能を活用する
ています。
ノコ)
の潜在的な化学成分・機能をスクリーニ
ングし,
健康や快適住空間に寄与する機能解
循環型社会を目指す木質バイオマスの高度利用
明に向けた研究が行われています。
循環型資源としての木質バイオマス(樹木)の高度利用は,地球
木材のサイエンス
温暖化防止・化石資源の枯渇問題に対する重要な解決策です
。未
木材は強靭さや和やかさな
どの多様な機
利用材や木質バイオマス廃棄物からのバイオエタ
ノール変換技術の
能をも
ち,
かつ無公害で,
人類が快適・安全に
開発や遺伝子工学手法による,循環型エネルギー
と
して利用しやす
い木質バイオマス生産にも挑戦しています。
27
育種されたチークのプランテーション
化炭素排出の少ない持続的再生産社
質の移動を葉を壊さずに測定したり,
循環型資源としての木質バイオマス
(樹
木)
の高度利用は,
地球温暖化防止・化石資
源の枯渇問題に対する重要な解決策です。
未利用材や木質バイオマス廃棄物からのバイ
オエタノール変換技術の開発や遺伝子工学
手法による,
循環型エネルギーとして利用しや
すい木質バイオマス生産にも挑戦しています。
会の構築を目指しています。
私は高校の
と考えていま
ジしか持って
うと広く森林
林科学コース
卒業生か
す。その中で
た事がきっか
効率的に育て
「未来の自分を見
業の研究員と
「森林」
と
私は高校の頃から
意味を持って
と考えていました。
し
森林とDNA研究
育種されたチークのプランテーション
写真は,
東南アジア熱帯降雨林
(フタ
高炭素固定能を有する早生樹木の
バガキ林)
です。現在,
急速に消失し,
地
育成と材質の評価は,
持続可能でかつ
球環境にとって大きな問題となってい
環境との相性が良い資源利用が求め
ます。熱帯地域の遺伝子資源を守り,
熱
られる中で極めて重要です。海外およ
する中で、未
ジしか持っておらず
に出会えるよ
うと広く森林につい
ださい。
林科学コースに進学
す。その中で樹木の
た事がきっかけとな
帯林を修復
・
再生するためのDNA研究
び日本の早生樹を対象に,
利用可能性持続
写真は,
東南アジア熱帯降雨林
(フタバガキ林)
です。
現在,
急速に
高炭素固定能を有する早生樹木の育成と材質の評価は,
効率的に育て製品に
が世界規模で進められています。
(右
と材質育種による高付加価値樹木の
消失し,
地球環境にとって大きな問題となっています
。
熱帯地域の
可能でかつ環境との相性が良い資源利用が求められる中で極め
業の研究員として働
上の写真はDNA塩基配列分析)
創出について科学しています。
遺伝子資源を守り,
熱帯林を修復・再生するためのDNA
研究が世
て重要です。
海外および日本の早生樹を対象に,
利用可能性と材
界規模で進められています(上の写真はDNA
。
塩基配列分析)
「森林」
という言葉
質育種による高付加価値樹木の創出について科学しています。
意味を持っています
する中で、未来の自
キノコの機能性
写真は,
東南アジア熱帯降雨林
(フタ
高炭素固定能を有する早生樹木の
"
" に出会えるよう、
有意
高脂肪飼料を40日間
バガキ林)
です。現在,
急速に消失し,
育成と材質の評価は,
持続可能でかつ
高脂肪飼料を40日間食べさせたマウスの
X 線CTスキャン画像
(腹部)
。 地
ださい。
食べさせたマウスのX線
球環境にとって大きな問題となってい
環境との相性が良い資源利用が求め
黒い部分が体脂肪
(白い部分は骨、灰色の部分は内臓・筋肉)
です。
写真左
CTスキャン画像(腹部)。
は高脂肪食 、右は5%キノコ配合高脂肪食で飼育したもので,
キノコを食べ 熱
ます。熱帯地域の遺伝子資源を守り,
られる中で極めて重要です。海外およ
黒い部分が体脂肪(白い
させると皮下脂肪 、内臓脂肪の減少しているのがわかります
。
帯林を修復・再生するためのDNA研究
び日本の早生樹を対象に,
利用可能性
部分は骨、灰色の部分は内臓・筋肉)
森林機能開発学分野長
が世界規模で進められています。
(右
と材質育種による高付加価値樹木の
です。写真左は高脂肪食、右は5%キノコ配合高脂肪食で飼育したもので,
キノコを
白石 進
上の写真はDNA塩基配列分析)
創出について科学しています。
日本製紙株
卒業生からのメッセージ
食べさせると皮下脂肪、内臓脂肪の減少しているのがわかります。
「志を強く」
キノコの機能性
「チャンスが来た時に掴めるよう準備しておき,後は流れに身を任せる」
キノコの機能性
何かをやり遂げたいけれど,どうすればよいか分からない,そんな時に恩師の考え方に感
"
"
動して選んだ研究室。“準備” のために外へ出てばかりでしたが,自由にさせてもらいました。
高脂肪飼料を40日間
そして修 士1年にチャンス到 来。研 究で 評 価され,国 際 学 会で 受 賞。招 待 講 演で 世 界 中
食べさせたマウスのX線
の研 究 者を前に発 表した快 感は 忘れられません。卒 業 式でも学 生 表 彰されました。全て
CTスキャン画像(腹部)。
は先 生 方のおかげですが,強い志を持てば 果たせるという不思 議さに驚きを感じています。
黒い部分が体脂肪(白い
森林機能開発学分野長
白石 進
後輩達の志により,農学部の益々の発展を期待します。
部分は骨、灰色の部分は内臓・筋肉)
です。写真左は高脂肪食、右は5%キノコ配合高脂肪食で飼育したもので,
2013年 修士課程修了 キノコを
波多江 芙美子
日本製紙株式会社 食べさせると皮下脂肪、内臓脂肪の減少しているのがわかります。
パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 ハウジングシステム事業部 R&Dセンター