1 我が国の石油産業の競争力強化に向けた石油精製設備対応・事業

我が国の石油産業の競争力強化に向けた石油精製設備対応・事業展開可能性に関する調査
一般財団法人
1
石油エネルギー技術センター
調査情報部
主任研究員
山本
総一
調査目的
我が国は、石油製品需要の減少が見込まれ、また、品質の点でも、ガソリン、軽油など
低硫黄で高品質な燃料を供給する能力がある。
これに対して、世界の石油製品需要の概況、特に世界の需要を牽引すると予想されるアジ
ア太平洋地域について、中国、インドなどの国別を含む需給動向や需給に影響する製油所
の増強について把握する。また、世界的な環境規制の流れから、アジア太平洋地域におけ
る規制対象となる硫黄分の含有率を含めた、燃料規格の動向を把握する。
これらを基に、国内の設備を利用した製品等の輸出や海外への事業進出の可能性に関する
情報を提供したい。
本調査が我が国並びに我が国石油石化産業の将来戦略を考える上で、いささかなりともお
役に立てれば幸いである。
2
調査の内容
具体的には、世界の石油製品需要、特に世界の需要を牽引すると予想される中国、イン
ドを含むアジア太平洋地域におけるガソリン、軽油留分等の製品別を含めた現状、将来動
向を把握する。アジア太平洋地域と世界各地との貿易の動向、地域内の状況を調査する。
各国の需給バランスに影響する製油所の新増設について二次装置を含めた現状、将来状況
を把握する。
世界的な環境規制の流れから、規制対象となる硫黄分の含有率を中心とした、アジア太平
洋地域の燃料規格の現状、将来動向を把握する。
上記を基に、我が国の需要、品質や設備を勘案しつつ、輸出先候補を絞るとともに、課題
についても触れたい。
また、我が国の海外事業展開の現状、方法等についても言及したい。
本発表では、燃料の代表例として、ガソリン、軽油留分を紹介する。
詳細は、平成 26 年度「我が国の石油産業の競争力強化に向けた石油精製設備対応・事業
展開可能性」調査報告書を参照されたい。
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調査の結果
3.1
石油製品の需給
3.1.1
世界の石油製品需要
世界の石油製品需要は、2035 年にかけて、9,300 万 BPD から 1.1 億 BPD 以上へと全般的
には伸びる。
3.1.2
世界の地域別石油製品需要
世界の地域別石油製品需要は、アジア太平洋地域が約 3,000 万 BPD から 4.500 万 BPD
へと約 1.5 倍になる。ラテンアメリカ、中東、アフリカもそれぞれ 300 万 BPD 程度伸び
る。CIS 諸国もやや伸びる見込みである。一方、北米、欧州は減少する。
1
世界の地域別石
油製品需要は、
アジア太平洋地
域が約 3,000 万
BPD から 4.500
万 BPD へと約
1.5 倍になる。
ラテンアメリカ、
中東、アフリカ
もそれぞれ 300
万 BPD 程度伸
びる。CIS 諸国
もやや伸びる見
込みである。一
方、北米、欧州
は減少する。
我が国は、アジア太平洋地域という需要が大きく成長する市場に位置する。
3.1.3 アジア太平洋の石油製品需給
現状および将来
アジア太平洋地域における石油製品全体の需要は、今後も伸びる。
2020 年末までは年 2.2%、その後 2020-2035 年の間は年 1.5%の割合で増加する見込みで
ある。今後、2013-2035 年の間で、ガソリン需要は年 1.6%、オンロードディーゼルは 2.3%
に増加する見込みである。
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その他
40
LPG
重油
35
30
25
軽油留分
20
ジェット/ケロシン
15
10
ナフサ
5
ガソリン
0
2015
2016
Gasoline
2017
Naphtha
2018
Jet Fuel / Kero
Source: Hart Energy, 2015
図
2019
2020
2021
Middle Distillate
2022
Residual Fuel
2023
LPG
2024
2025
2030
Other Products(1)
アジア太平洋地域の石油製品需要(2015-2030 年)百万 BPD
アジア太平洋地域の 2013-2030 年の製品割合を、下図に示す。軽油留分、特にオンロー
ドディーゼルが伸びると思われる。ガソリンの割合は、ほぼ一定で、石油全体の需要の伸
びと同様に、需要量としては伸びる。重油の割合は他の地域と同様 11%から 7%に減少す
る見込みである。
2
3.1.4 アジア太平洋の国別の石油製品需給
3.1.4.1
表
ガソリン
アジア太平洋地域のガソリン需給バランス 百万 BPD
アジア太平洋地
域のガソリン需給
バランスを左表に
示す。インドネシ
ア、マレーシア、オ
ーストラリア、ベト
ナム等が主な供給
不足で、輸出先候補
となる。一方、イン
ド、シンガポール等
は、供給余力があ
り、我が国が輸出す
る上での競合国と
なる。なお、中国は
輸出が増加してい
るため、輸出候補先
から除いた。
Hart Energy 社データより作成
3.1.4.2
表
軽油留分
アジア太平洋地域の軽油留分需給バランス
百万 BPD
アジア太平洋地
域の軽油留分需給
バランスを左表に
示す。オーストラリ
ア、インドネシア、
ベトナム、バングラ
デシュ等が主な供
給不足で、輸出先候
補となる。一方、韓
国、シンガポール、
インドは、供給余力
があり、我が国が輸
出する上での競合
国となる。なお、中
国は輸出が増加し
ているため、輸出候
補先から除いた。
Hart Energy 社データより作成
3
3.2
貿易
3.2.1
アジア太平洋地域内
3.2.1.1
ガソリン
シンガポールにガソリンが輸入されて集まり、そこから各地へ輸出されており、製品ト
レーディン
グの中心と
なっている。
アジア太平
洋地域内の
国 々 で 10
万 BPD レ
ベルの製品
貿易が実施
されている。
Source: Hart Energy, 2015
図
(2013 年、百万 BPD)
アジア太平洋地域内のガソリンの貿易
3.2.1.2
軽油留分
ガソリンと
異なり、ハ
ブ機能は利
用されてお
らず、2 国
間で直接取
引している。
地域内で
10 万 BPD
レベルの製
品貿易が実
施されてい
Source: Hart Energy, 2015
図
る。
アジア・太平洋地域内の軽油留分の貿易
3.2.2
(2013 年、百万 BPD)
アジア太平洋地域外との貿易
3.2.2.1
ガソリン
2014 年、アジア太平洋地域は、ガソリンを 27 万 BPD 輸入(輸入:0.35 百万 BPD
輸出: 0.08 百万 BPD)し、供給不足である。
2020 年においても、アジア太平洋地域は、ガソリンが供給不足で輸入量は約 80 万 BPD
と見込まれる。2030 年は更に輸入が拡大する見込み。アジアからのガソリン輸出は減少す
4
ると思われる。ガソリン輸出国に留まるのはインドのみの見込みである。
2020 年のガソリン輸入
2020 年のガソリン輸出
欧州
欧州
北米
0.31
アフリカ
輸入量:0.85 百万 BPD
南米
輸出量:0.06 百万 BPD
Source: Hart Energy, 2015
図
生産量は、6.42 百万 BPD
2020 年のガソリンの貿易
アジア太平洋は輸入地域(輸入先:露、米、中東)、将来もさらに輸入が伸びる(2030 年:1.15 百万 BPD、
輸入先:米、中東)。
3.2.2.2
我が国は、地域外にも競合相手。
軽油留分
アジア太平洋地域の軽油留分の需給はほぼ均衡し、5 万 BPD の輸出である。2020 年、ア
ジア太平洋地域は軽油留分を 29 万 BPD 輸入していると見込まれる。
2020 年の軽油留分輸入
2020 年の軽油留分輸出
欧州
北米
アフリカ
0.02
南米 0.04
Source: Hart Energy, 2015
2020 年輸入量:0.60 百万 BPD
輸出量:0.31 百万 BPD
生産量:11.28 百万 BPD
図
2020 年の軽油留分の貿易
アジア太平洋は輸入地域(輸入先:露、中東)、将来もさらに輸入が伸びる(2030 年:0.36 百万 BPD、
輸入先:露、中東)。
アジア太平洋地域外にも競合相手。
5
3.3
石油精製能力
2015 年に約 3,000 万 BPD、2020 年には 3,400 万 BPD 以上へ製油所新設、増強がなさ
れる。二次装置の伸びは、常圧蒸留能力と同程度で、現時点では、大きな二次装置の設備
増強はないと見られている。
表
アジア太平洋地域の精製能力と予想される拡張処理能力
百万 BPD
Source: Hart Energy, 2015
特に注目する国別の精製能力拡張計画の概要(2016-2020)は、中国 273 万 BPD、インド
180 万 BPD、インドネシア 115 万 BPD、ベトナム 76 万 BPD、マレーシア 30 万 BPD と
見込まれている。
3.4.燃料品質
3.4.1
ガソリン
燃料品質の代表として、アジア太平洋地域各国の硫黄分上限の 2015 年から 2030 年におけ
る推移を次の図に示す。オーストラリアを除く主要国で、低硫黄化が進む。我が国は、硫
黄分の点で、優位にある。具体的には、現在、ガソリンの硫黄分が 10 ppm なのは、日本、
韓国、台湾で、今後、2017 年に中国、2020 年にインド、2021 年に ベトナムが予定して
いる。2025‐2030 年時点で、ミャンマー、カンボジアは 501ppm 以上、インドネシア、
ラオスは 151ppm 以上、オーストラリアは 51ppm 以上、タイ、マレーシア、フィリピン
等は 31ppm 以上である。
6
2015
図
2025-2030 年
ガソリンの硫黄分上限(2015~2030 年)
3.4.2
オンロードディーゼル
燃料品質の代表として、アジア太平洋地域各国の硫黄分上限の今後の推移を見ると、主要
国で、低硫黄化が進む。我が国は、硫黄分の点で、優位にある。具体的には、現在、オン
ロードディーゼルの硫黄分が 10 ppm なのは、日本、オーストラリア、ニュージーランド、
シンガポール、韓国、台湾で、今後、2017 年に中国、2020 年にインド、マレーシア、2021
年にベトナムが予定している。一方、2025‐2030 年時点でミャンマー、カンボジア、ラ
オスは 2001ppm 以上、インドネシア、タイ、フィリピンは 16ppm 以上である。
3.5
我が国の状況
3.5.1
需給
ガソリンは需要が
減少し(2014 年から
2019 年にかけて-
1 .8 %/年)、現在の
能力を維持すると供
給能力は余剰が発生
する見込みである。
将来的には、供給余
力が増えることにな
り、輸出に振り向け
ることは可能性があ
る。軽油は堅調に推
移し、ほぼ一定の需
要が見込まれる。
(平成 27 年総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 石油・天然ガス小委員会)
7
3.5.2
輸出
2015 年の石油製品の貿易の状況について、財務省貿易統計より、揮発油、軽油の輸出を
示す。我が国の輸出先として、ガソリン(揮発油は、ほぼ 100%ガソリン、石油連盟 石油
製品バランス:2015 年輸出ガソリン 356.3 万 KL、ナフサ 1.0 万 KL)は、主に石油ハブ
であるシンガポールに輸出されている。次いで、韓国、オーストラリア、インドネシアの
順である。軽油は、ほぼ半分がオーストラリアであり、直接消費国へ輸出している。アジ
ア太平洋地域では、シンガポール、香港、フィリピンの順となる。
また、地域別に見ると、ガソリンは、千葉、四日市、仙台から、軽油は、千葉、四日市、
川崎、堺から輸出されている。
3.5.3
燃料品質
我が国は、ガソリン、軽油留分において、全量を硫黄分10ppm 以下で供給可能である。
シンガポールに代表される輸出型製油所では、オーストラリアからインドネシアなど幅広
い品質の燃料を供給しているが、高品質燃料を全量製造できるわけではない。
3.5.4
製油所の課題、稼働信頼性、コスト
我が国の燃料製造コストを 2008 年から 2012 年にかけて比較すると、順位を下げている。
左図で各年の日本平均は
右側の第 3、題 4 四分位に
位置し、日本の製油所群は
国際的に比較して輸送用燃
料生産コスト「(原油コスト
+操業コスト-副産物収益)
÷(生産量)」の高い分類に
位置するとの評価がなされ
ている。
図
輸送用燃料生産コストの推移
(出所)「我が国石油精製業の競争力の国際比較・分析等に関する調査報告書」より
8
下の左図では、2012 年の日本の製油所群の「操業コスト」は世界的に高い水準にあると
評価され、そのうち「エネルギーコスト」が 67.4%占めるとしている。操業コストを左右
する要素として、製油所における設備構成の複雑性、設備稼働率、その前提となる稼働信
頼性、さらに製油所の「規模の経済」等があげられる。
図
操業コストの分布
図
エネルギーコストの分布
(出所)
「我が国石油精製業の競争
力の国際比較・分析等に関する調
査報告書」より
左図に示す「設備停止の原因」
によれば、日本の設備停止時間は、
世界的に見ても高い水準にあると
評価されており、定期補修等によ
る停止期間が長い。
製品の輸出に関しては、稼働信
頼性の向上、エネルギーコスト等
の操業コストの低減による競争力
の向上が必要と思われる。
図
設備停止の原因
(出所)「我が国石油精製業の競争力の国際比較・分析等に関する調査報告書」より
3.6
今後の方向性
製品輸出、海外進出、海外石油ハブの利用、製油所の競争力について、以下に示す。
3.6.1
製品輸出
我が国は、品質上優位にあるので、アジア太平洋地域で燃料品質規格を厳しくしたとき
に供給不足が生じた市場へ輸出することが考えられる。アジア太平洋地域のガソリンの供
給不足を勘案すると、ガソリンを中心に、余剰の製品、半製品・基材を輸出することが良
いと考える。設備投資の可能性が小さいことから、今後の国内需要の減少による輸出余力
の増分を利用することが考えられる。また、季節要因などで発生する、余剰な基材などを
石油ハブなどに輸出することで最適な運転条件を維持し、余剰在庫の削減につながると考
9
える。
製品等輸出に関する留意点として、今後競合する可能性のある、中国の輸出、インドの
製油所建設、中東の製油所建設の動向を把握する必要があると思われる。
注目すべき輸出先として、オーストラリア、ベトナム、マレーシア、インドネシアがあ
る。輸入需要と燃料品質から注目すると、オーストラリア、ベトナム、マレーシアが供給
不足で、現在燃料品質が高いあるいは近い将来高くなる点で候補と考える。また、インド
ネシアは、供給不足で輸入需要はあるものの、燃料品質が高くなかったが、本年、排ガス
規制である EuroⅣ規制を都市部から実施との発表があり、今後、高品質燃料の供給不足
となる可能性も出てきた。
3.6.2
海外進出
海外進出には、製油所等の製造、油槽所、給油所等の物流に参画するとともに、委託製
造を利用する方法もある。形態としては、単独、或いは合弁があると考えられる。アジア
地域では、製造、物流部門を国営企業が担っており、合弁先となる場合が多いと思われる。
他に、委託精製や石油ハブでの製品タンクの利用や運営も考えられる。
3.6.3
海外石油ハブでのトレーディング
供給過剰の市場から大量に安く買い、不足市場へ高く売る等があり、タンクを利用する
ことも考えられる。
石油ハブとしてのシンガポールの位置付けは、中東等から東南アジアへの中継地点。ア
ジア太平洋の市場に近い。原油(中東)、石油製品(中東、インド、韓国、中国、欧州)、
LNG(中東、アジア・太平洋)を扱っている。
3.6.4
製油所の競争力(製造コスト)
製造コストを下げ競争力を高めるためには稼働信頼性の向上と低いエネルギーコスト
が必要と考えられる。稼働信頼性の向上は、製油所の停止時間を短くし稼働率を高くする
のもので、製品単位当たりの固定費が下がり、操業コストを低くできるとされている。定
修では対象装置等を見直して日常点検時に実施することや工程の最適化等による期間の短
縮を継続的な検討が必要といわれている。
我が国の軽油の需要が維持されること等から連産品で余剰となるガソリン等を輸出す
ることも考えられる。
製造コストを下げるに当たっては、ベテラン従業員の定年退職、連続運転の長期化に伴
う操業運転技術の維持向上機会の減少に対して、トラブルの回避に立上げも含めた自動運
転の利用も稼働時間向上に繋がると思われる。
製油所のエネルギー源は、スチームや電力等であり、低コストのスチームや電力の確保、
低エネルギー化、製品得率の向上等を含めた運転条件の最適化をアジア太平洋地域の製油
所のように継続的に検討することも必要と思われる。
3.6.5
製油所の競争力(製造能力・設備)
アジア太平洋地域の製品輸出先候補におけるガソリン製造能力の指標として、次表の二
次装置能力に示す接触分解装置能力を比較すると、我が国よりオーストラリアの比率が高
くガソリンに比重を高く置いているが、他のインドネシア、マレーシア、ベトナムの比率
が低く軽油留分に重点を置いている。しかしながら、オーストラリアは、供給不足で輸出
余力がないことがわかる。
10
表
二次装置能力(百万 BPD、主な輸出先候補)
インドネシア、
マレーシア、ベト
ナムは軽油留分を
増産してもガソリ
ンはあまり増せな
いことがわかる。
また、水素化脱硫
能力が小さく、直
ちには高品質な燃
料を製造できない。
このため、燃料品
質を向上する場合
に、装置増強の時
期により、供給不
足が発生する可能
性もあると思われ
る。
アジア太平洋地域において、石油製品輸出で競合する可能性がある主な国は、中国、イ
ンド、韓国、シンガポールと思われる。現状では、我が国の二次装置割合と比較すると軽
油留分の製造を指向していると考える。
我が国の製油所の規
模は、韓国、シンガポ
ール等の海外の輸出型
製油所に対して小さい。
各製品・半製品の製造
量が小さく、輸出型に
した場合でも規模の点
で不利なことを示唆し
ている。
製品出荷の点では、次ページの表に示すように出荷設備が小さく、設備の無い製油所が
過半を占めている。製品等の輸出を行うためには、個別の製油所で、出荷用のタンク、出
荷設備、および、大型の製品タンカー用の港湾施設が必要である。大規模製油所より、個々
の規模の小さいことについては、複数製油所から製品等を製品タンカーに積み込むことな
どで、不利な点を小さくする可能性もあると思われる。
11
3.7
まとめ
①石油製品需給: 世界の石油製品需要は伸び、特に、アジア太平洋の伸びが大きい。アジ
ア太平洋は軽油留分の伸びが大きく、軽油留分の需給は均衡しているが、ガソリンは輸入
、今後輸入は増えると予想されている。
②製油所: アジア太平洋では製油所の新増設が計画されており、軽油留分生産が指向され
ていると思われる。
③製品品質: アジア太平洋の燃料品質は低硫黄化等の向上が見込まれている。
④製品輸出: 供給不足市場(オーストラリア、インドネシア、ベトナム等)に製品輸出を
行うことが有効と思われる。品質上優位にあるので、燃料品質規格を厳しくしたときに供
給不足が生じた市場へ、ガソリンを中心に、半製品・基材を輸出することが考えられる。
ガソリンは、国内需要の減少で発生が見込まれる余剰の利用も考えられる。
⑤海外進出: 海外進出には、製油所等の製造、油槽所、給油所等の物流に参画および、委
託製造の可能性もある。形態としては、単独、或いは合弁が考えられる。アジア地域では
、製造、物流部門を国営企業が担っており、合弁先となる場合が多いと思われる。他に、
委託精製や石油ハブでの製品タンクの利用や運営も考えられる。
⑥海外石油ハブでのトレーディング: 石油ハブであるシンガポールにて、製品等の貿易が
効率的と考えられる。
⑦製油所の競争力: 過去のソロモン分析によると、稼働信頼性の向上は、対象の見直しや
順序の最適化などによる定修期間の短縮を図ることが重要と思われる。タイPTT等の軽
油製造中心の製油所でも検討されていた。
また、コスト削減は、低コストのスチームや電力の確保、低エネルギー化、製品得率の向
上、最適化をはかるため運転条件等の検討することが重要と思われる。
以上
12