陸奥湾産ホタテガイの放射助数について

青水増事業概 要 Vol第 5号 (1976)
陸奥湾産 ホ タテガ イの放射肋数 について
高橋
は
じ
め
克 成 ・塩垣
優
に
昭和47年 に三沢沖 に異常発生 した ホタテガ イが、 どこに生息 す る母貝に由来 した ものか とい う問題の
解 決 の糸 口を見 出す 目的の.
一
環 として、陸奥湾 の地 ま き増殖漁場か ら採集 した貝の放射肋数 を数 えた結
果 を報告 す る。測定 に供 した貝 は、 ホタテガ イ成育 調査 として、昭和 49年 5月に採集 された 貝であ る。
調
査
方
法
ホタテガイの採集期 日 ;昭和49年 5月20日∼ 5月24日
ホタテガ イの採集場 所 ;陸奥湾の地 ま き増殖漁場 内の24地点 (第 1図参照 )
放射 肋の計数時の条件 ;1
. 途 中か ら 2本 に枝分 れ した場合 の放射 的は 1本 として数 えた。
2. 殻 の両端 は放射 肋 として数 えた。
3. コケ ムシの付着が著 しく計算不能 の 個体 (左殻 に多 い )は除いた。
調
査
結
果
湾 内24地点 で採集 した貝 をA∼ Gの 7
地域 に区分 し、 それ ぞれの放射 肋数の出
現 頻度 、平均肋数等 を第 1表に示 した。
表 よ り放射肋数は右殻左殻 とも15- 26の
範囲 に あ り、その出現 頻度 には生息地 の
違 いによ る有意差 は認 め られない。測定
.65
貝 全体の平均値 は右殻 が 20.85土 1
本 、左殻が 19.79士 1
.89本で、右殻 の
数 が多 い。右殻 と左殻 の放射 肋数の違 い
につ いて、 1個体づつの差 を求 め、 それ
らの出現頻度、平均値等 を第 3表 に示 し
た。右 ・左 殻 の放射 肋数の差 は- 6本か
本 の広 い範囲 にわた り、右殻 が左
ら+6
殻 の放射 肋数よ り多 い個 体 は全体の 68.0
%で、逆 に少 ない個体 は13.9虜 であ った。
差 の平均値 は1.09土 1.46本 であ る。
第 1図
貝の採集
第 1表
地域
区分
陸奥湾産 ホ タテガ イの放射 肋数
採集
支 した漁場
所 の組 合
名
-
殻
右 G
D
A
C
F
E
B 川
横
活
奥
久粟坂
浦
原別
菩田
浜
水川
内
田 .脇野沢
野
油川
後潟
東悶沢
.土屋
内 .青森
.茂浦
.造道
敬
也
ノ
占
ヽ
ヽ
ヽ 査数
調体
個 15㈱
4
3
2
8
1 2
1
8
6
9
2
3
1
0
8
1
1
6
0
17
18肋 1
9 と20
21出 2
放 射
数
そ の
現 頻 度
標準
平均
㈲偏差
肋数
(
帝)
0
個体数
調
( 査)内は
貝 の満
年令
0
1
.0
1 0
1
.0
9
1 4
3
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1
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9
3
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0
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.
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17
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.
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0
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0
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6
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1 0
1
.
0
5
1 20
1
.8
4
5
2
7
97
5
2
0
1士 1
.7
5
9
32
9
6
4
0 3
4(6
9
2
1
0
19
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(
0
10
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2
2
3
2
4
2
5
2
6
2
5 -
体
24 689
殻
左 G
D
A
E
F
C
B 横
盾水川
川
浦
右殻
全
田のみ*
内浜
〟
と同
.股野沢
じ
体
3
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8
2
3
6
0
19
)2
32
(8
9
0
)1
22
8
3
1 6
26
2
8
5
37
6
0
9
1 0
2
1
.0
3
5
8
1 3
2
0
7
1.
.4
0
5
3
9 1
4
5
畠
8
6
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1
.
.
6
5
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1
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12
2
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13
2
1
.
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7
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9
1士
土
士2
1
1
.
,6
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7
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1 4
1
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1
9
))3(41
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0
3
3
8
(
)
31
2(
381
3(
219)
全
0.1 0.6 2.3
0
7
2
3
4(6
30
1)
)2
3(
2
68
9
0)
)2(30)
4.1 13.4 19.3 23.8 22.
0
東
*
育水増事業概要 Vol第 5号 (1976)
入、垂下
8年 貝、 同年 11月陸奥湾 に搬
び右 殻 とされた )の放射 肋数の 出現頻度 と平均 値お よ
射肋数 は一般
左 殻に陸奥湾
の放射肋数 の差を第 2
,4表 に示 した。 放
少 ない こ ともあ り、 右殻
産 貝よ り多 いが、測 定個体数が
照
筆
側
4
F妻
毒
一
N
N
異 が大 きい (平均値の差 は
1いては 2つの測定群 に差
につ
N
右殻 と左殻 の放射肋数 の差.
は陸奥湾
6本 )0 貝よ
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と くに清水川 で採集 した貝では - 0.
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3
%の個体 が左殻 の放射肋数
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北海道内 8地方の 放射肋数 を測定 し、 地方 的変異 )が
ぐ
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るこ とを報 告 して い る。 その 中で放射 肋の変 異 は のあ
ト
の生態 学 的要因 とは別個の動物体 内に存す る内因 海洋
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る もの と想像 され るとし、放射肋数が遺伝 的 に維 によ
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れ本調査か
るこ とを示唆
らは陸奥湾
してい内に
る。
く
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方 的変異 は認 め られなか った
生息 す るホ タテガイには地
貝か ら生れた 貝で あ るため と が、 それ は同 じ湾 内の母
で も、 サ ロマ湖 の近 隣で あ る下湧
思 われ、
別、 木下 の報告 の中
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義
JJ
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ホ考
タテガイの放射 肋数 につ
の方が多
く注
目 され
る。
いては、
木下
(193
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り少 な く、
湖 の 3地先 の放射 肋数 はほ とん ど同 じサ ロマ湖、 能取
る。
三 沢沖で異常発生 した貝の母
三沢産 貝の放射肋数 と、本 調査 の結
貝の生息地 につ いては、
埋
. 避]
F 哨
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-I
(木下 19 噴
蘭産 よび北海道
火湾産 (小川 ・他 1971 1 北海 道室 果お
⊂〉
ぐ
1
■
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堤
雄
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1
分布 を示 して い
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者
E
磯顧、
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者
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、
捕
周
*
Y
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茸
粧
瞥
F
笹
岸
等
〓
盟
登
啄
駆
g
忘
j
れ
)
山
C
r
.
北海道 噴火 湾産 (昭和 4
背水 増事業概 要 Vol第 5号 (1976)
第 3表
地域
区分
陸奥湾産貝 の右殻 と左殻 の放射肋数の差 (右殻 一左殻 )
A
000
B
0 0.5
0 0.5 2.8
0
0
0
000
C
D
E
1
.7
0
G
0
1
2
3.4 1
6.9 33.7 21
.3 3
4
0.2
採集場所
奥
水
5
0.2
0.2
値
差
6
0
1
.54土 1
.27
5.8
01
3.9
4 30
2.6 2
19
8
1 2.3 0.5
0 8.1 ll.6 17.8
0
1
.7
1
5土 1.44
0
8
0 1.7
44
0 6.9
0
3.4 19.0 27.6 29.3 6.9 5.2
0 1
0.
0 1
3.3
1
.21土 1
.21
.0 5.0 5.0 1.7
1
.0 4.0
8.3 1
8.2 28.6 21.6i
1
3
噴火湾産 貝 の右殻 と左殻 の放射肋数の
㈱5 - 4
準均偏
㈲
20.2 2.2 2.2
9.3 1
4
19
.0
1 16
7
4 6
5.7
0 3.5 4.7 8.1 23
0.
.7
0.3
02
3.8
3 15
第 4表
盾
0
0
0 1
.7 3.3 1
.7 10.0 25.0 25.0 20
0 0
00
F
全体
標
平
放 射 肋 数 の 差 と そ の 出 現 頻 度 (虜)
㈱6 - 5 - 4 - 3 - 2 - 1
0
8 2.3
0
0.68土 1.91
0
0.87土 1.89
0
.1 3.5 1
∴0 0.2
放 射 肋 数 の 差 と そ差
の(
出
右殻
現 一左殻
頻 度 )(i)
内
0
0
川
0.0 20.0 30.0 20.0 3.3
0 10.0 6.7 1
0
000
6.
7 36.7 23
.3 20
.0 3.
3 -2
1
0- 0
01
1
2
33
40
5
60
1
.09土 1.71
1
.09士 1.46
平
標
準捧)
均偏
値
差
0.57士 1
.1
0