Page 1 Page 2 Page 3 Page 4 又弑—南承上海母子女用が相続されて

井)
説
と
禅
宝 鏡 三 昧歌 の解 釈 を め ぐ って!
卦
易 卦 説 と禅 (
新
易
-
新
井
勝
二三八
龍
〇)共 著 ﹃顕 訣 耕 雲 註 種 月 撞 接 藁 ﹄ 等 を 中 心 に、 両 師 が 如 何
い て述 べた の であ るが、 こ ﹄で は そ の補 説 と し て、 そ の前 後
に易 学 と宗 乗 を よく ふま え て そ の 一致 を 示 そう と した か に つ
禅 に お い て易 卦 説 が 採 り 上 げ られ た のは、 中 国 曹 洞 宗 開 祖
の諸 説 を 考 慮 しな が ら、 易 卦 説 と禅 と の 一致 点 を 更 に細 密 に
はじめに
洞 山 悟 本 大 師 良 倫 (八〇 七-八六九)﹃宝 鏡 三昧 歌 ﹄ を 噛 矢 と
再 考 し て み た い。
一、禅 に お け る 易 卦 説 の 伝 承
す る。
所 で 同 洞 山 ﹃五 位 顕 訣 ﹄ が、 禅 (こ鼠では特に曹洞禅) の 要
旨 を へ 偏 正 回 互 不 回 互 兼 帯 の五 位 で論 理 的 に 簡 潔 に 示 し て い
易 卦 と 五位 を 最 初 に対 比 せ しめ て説 いた の は、 洞 山 と並 ん
ト
で 申 国 曹 洞 宗 開 祖 と さ れ る 曹 山 元 証 大 師 本 寂 (八四〇-九〇
ル
孚、 正 中 偏=巽、 偏 中 正=党、 兼 中 到=党 寓 と 各 位 に卦 が 配
キテ
当 さ れ て い る の み で、 そ の説 明 は余 り にも 簡 略 に過 ぎ、 且 つ
ジ
る の に対 し、﹃歌 ﹄ は響 喩 を 多 用 し て説 いた 中 に ﹁重 萬 六交。
一)作 と い う性 海 見 拙 (-一六七 五)篇 ﹃曹 山 録 ﹄ 所 載 ﹁五位
こ の こと に関 し て、 先 般 私 は ﹃印仏 研﹄ 第 二十 六 巻 第 一号
各 位 の説 明 は 易 の卦 説 とは 必 ず し も 一致 せず、 従 って各 位 と
ト
偏 正 回 互。 畳 而 為 レ三。 変 尽 成 レ五。﹂ と述 べ た 為、 こ の 解
﹁﹃顕 訣 耕 雲 註種 月 撲 接 藁 ﹄ にお け る 五 位 説 の特 色 ﹂ ﹃宗 学 研
各 卦 が 如 何 に通 ず る のか、 又 畳 変 の具 体 相 等 は 一切 不 明 であ
リ
釈 を め ぐ り易 は単 な る響 喩 か否 か、 易 卦 の重 寓 と 偏 正、 畳 変
旨 訣 ﹂ と思 わ れ る が、 そ こ で は 正 中 来=大 過、 偏 中 至 H中
究 ﹄ 第 二十 号 ﹁易 学 と宗 乗 ﹂ で、 日本 曹 洞 宗 室 町期 の傑 堂 能
ソデ
と 回 互、 更 に根 本 的 に易 卦 と禅 と の関 係 が問 題 と な った。
勝 和 尚 (一三五 一-一四二三)南 英 謙 宗 和 尚 (一三八六- 一四六
-653-
る。 かく し て諸 説 が紛 糾 した。
先 づ済 下 覚 範 慧 洪 (一〇 七 一-二
二八)﹃智 証 伝 ﹄ は、 重
る。
) か ら二 正 に至 り 騨
一少 陰、 二 正 よ り 三 偏 に 至 り 一
朋少 陽 と
正 回 互L と は 重 寓 の 初 偏 (省灯 は陽=偏=白、陰 "正=黒 とす
な る のを さ し、﹁畳 而 為 三 ﹂と は こ の少 陰 ・少 陽 の上 に 一陽 ・
六交 の二 ・三 ・四交 (内互
寓 と は 心 の 響 説 と し、 重 寓≡の
一陰 を夫 々畳 ん で≡寓、 玖 朋
臨、聾 震、 罷 巽 の四 卦 を だ す こ と
丁 正 中 来、 罷
玖 日 偏 中至、 罷 坤=兼 中到 で、 寓 と玖 と は 象相 対 す る ので兼
さ す と し、 聾 震=正中偏、≡巽=偏中正、≡寓
正 位 に帰 せ しめ れ ば 難坤 と な り、 全 体 合 し て五 卦 と な る のを
﹁変 尽 成 五。﹂ と は、 前 四卦 中 の陽 交 を変 じ尽 く し て 陰 の
る。
体と いう。易 では下から数え る。
)を 畳 み =醐
巽、 次 に 三 ・四 ・五
偏 中 正 に 展開 し た のを ﹁畳 而為 三 ﹂
だ が、 寓 は本 卦 の故 数 え ず、 他 の三 卦 とな る こ とを いう とす
正 中 偏、 党
交 (外互体 という。
)を畳み開
=党 と な る。 か く し て 重萬丁 兼 中
到 が、 盟
偏 中至 と な り、 こ れ が ﹁変 尽 成 五。﹂ で あ
と し、 そ の党 を 上 に 巽 を 下 に お け ば 太 過 "
繍≡闘" 正 中 来、 逆 に
す れ ば中 孚 罷≡
る と いう。
こ の五位 と 五卦 の配 分 は ﹃旨訣 ﹄ に 相応 し た も の で あ る
が、 覚 範 は これ に よ り当 時 普 及 し て い た第 四位 兼 中 至 説 を否
英 ﹃偏 正 五位 図説 詰 難 ﹄ 跋 が、 洞 下 無 名 氏 が詰 難 し た 明峰 下
これ は 以前 に は な い全 く 独 自 に し て詳 細 な説 で あ る が、 南
中 至 説 を 誤 り と し て いる。
想 の説 明 にま で は至 ら ず、 又 そ の卦 説 も互 体 の変 化 で変 尽 と
の偏 正 五位 図説 が頗 る省 灯 説 に 似 て い る、 と い って い る の
定 し、 偏 中 至 説 を 主 張 す る論 拠 に用 い た ま で で、 易 ・禅 の思
はな ら ぬ と ころ に問 題 を 残 し た の であ る。
﹃宝 鏡 三 昧 玄義 ﹄ で、 師 は重 寓 の易 的 略 説 の外、 三 と な 五 位
ま ず 名 相 を 明 ら に した い の み等 と い って い るが、 寓 を 畳 三 で
とも あ れ省 灯 は、 序 で は真 意 は各 人 にあ る の み で、 自 分 は
で、 或 いは そ れ に徹 った の かも 知 れ な い。
の前 三 位、 五 と は 後 二 位 を いれ た も の等 と いう 簡単 な 説 明 に
は 外 し、 変 尽 五 では いれ、 萬 を 変 化 の根 本 と し なが ら坤 を 究
そ の次 にみ え る の が、 洞 下 雲 外 雲 舳 (一二四二-一一
三二四)
終 って いる のみ で あ る が、 全 体 を 功勲 的 に 捉 え兼 中至 説 を と
を 混 瀟 し てお り、 易 説 や 宗 旨 の理 解 が 恣 意 的 であ った 為、 こ
極 と した り、 中 と正 を 混 同 し、 正 中 来 を 重 視 し て済 洞 の宗 旨
そ の後 日本 で、 宏 智 派 東 陵 永 興 (-一三六五)に も参 じ た済
れ等 の諸 点 を 傑 堂 ・南英 師 資 か ら 手 厳 しく 批 難さ れ た の であ
り、 正 中来 中 心 の異 説 的 な も ので あ る のが 窺 わ れ る。
下無 塵 省 灯 (生没年 不詳)は ﹃偏 正 五位 図説 ﹄ で、 重 寓 の意 義
二三九
った。
井)
は そ の 上下 卦 の中 交 が陰 で、 中 の宗 旨 自 体 だ か ら と し、 ﹁偏
易 卦 説 と禅 (新
-654-
易 卦 説 と禅 (新
井)
二、 傑 堂 ・南 英 の 易 卦 説 と 禅
ハ
省 灯 の後 に でた 両 師 の説 は、 前 述 ﹃藁 ﹄ と、 師 説 を 承 け た
レ
ノ
ナ リ(1)
﹃藁 ﹄ では ま ず ﹁世 間 法 太 極。 一易。 二儀。 四象。 八 卦。
ノ
南 英 ﹃重 寓畳 変 訣 ﹄ に 明 ら か であ る。
チ
即 是 出 世 間法 事 理。 兼 帯 五 位。﹂ と、 易 と五 位 の全 同 を の べ、
二四〇
兼 中 到 の当 体 不 犯 中 を 示 す と、 適 確 に捉 え て いる。
そ の畳 変 説 を 簡 単 に いえ ば、二 交 を 初 交 へ、四 交 を 三 交 へ、
とな
九 は陽交 國を示す。)と な り、 偏 正 回 互 し ≡巽=
六 交 を 五交 に畳 み下 げ る と六 五 朋正 が 一と な り、 初 九 回偏 が
開(六は陰交、
正が
り、 上九 幽偏 が "と な り、 偏 正 回 互 し て開
=ハ
兄H偏 中 正 と な
正 中 偏 と な る。 これを 逆 に畳 み上 げ る と、 六 二
来 で あ り、 逆 にす れば 口
鳳
聾闇
中 孚=偏 中 至 と な る。 そ し て、 結
過=正 中
局 重 寓 ・巽 ・党 が 畳 三 で、 後 二 を 加 え て 変 尽 五 と 見 得 る と
る。 この党 の下 は巽 であ るか ら、 党 上 巽 下 は ≡大
よ って重 寓 の説 明 か ら み ると、 易 の根 本 は あく ま で も 太 極
し、 慧 覚 ・省 灯 説 に対 し 変 じ尽 く し て お り、 ﹃旨訣 ﹄ と も 合
それ は 重寓 と そ の畳 変 に こそ 顕 わ れ て いる と いう。
で、 そ れ が 一易 ・二儀、 四象 ・八 卦 と展 開 し、 更 に 八卦 を 二
す る と し、 各 卦 と 各 位 の解 釈 は スペ ー スの都 合 上 紹 介 し尽 く
キ
ノ キガ
又 この結 論 と し て、 変 じ 尽 き ても 畢 寛 寓 を 寓 れ ぬ 故、 回 互
せ ぬが、 勝 れ た 対 応 性 を 説 い て い る。
乗 し た 六十 四卦 は間 断 な く変 化 す る 万象 の事 相 を 表 わ し た も
ニ
即 ち ﹃象 伝 ﹄ (易経古 代 の註釈書) に、 重 寓 と は ﹁麗 二乎 正 一﹂
ツク
ので あ るが、 重 寓 は そ の中 で全 体 の理 を具 え て い る と い う。
卦 と あ るが、 正 と は万 物 が夫 々そ のあ る べ き正 し い処 に つい
ヲ
ク
ハ
テ
ヲ
ク
ニ
ノ
シ
ヲ
ニ
ノ
紅 心 々裏 中 二紅 心ご であ る
ル
円 転 し て ﹁如 二環 無 端 而 已﹂ と し、 宗 旨 と直 接 関 連 づ け て重
テ
寓 の畳 変 こ そ ﹁好 手 々中 呈 二好 手
ハ
て い る こ とを 意 味 す る の で、 太 極 が渾 然 と し て 一であ る相 を
ニ
示 す も のと す る。 か く し て上 卦 の寓 は ﹁日月 以 レ気 而 麗 二於 軽
と す る。
ニハ
ノ
で 好 手 と は ﹁世 間 法 面﹂ 紅 心 と は ﹁出 世 間法 面 ﹂ で、
ニ
ス
ヲ
チ
ノ
ル
ニ
これ に 三 義 あ り と し ﹁一者 重 寓 六交。 伏 義 (八卦 の創 説者)好
こ
清 之 天 ご ﹂ 下 卦 の寓 は ﹁百 穀 草 木 以レ形 而麗 二於 重 厚 之 地 ご
を 示 し、 天 地 乾 坤 の二儀 を 旦ハえ て い る と いう。
又 木 火金 水 の 四象 に つい て は、 内 互体=巽=木、 外 互 体=
ニハ
ノ
シ
ノ
ニ
ス
ヲ
ニ
ス
ノ
乃 的 々以 心 伝 心。 脈
チ
手 中。 洞 上之 祖 因 呈 二好 手 殉 乃 伏 義 紅 心裏。 中 一
洞 上之 紅 心
は 玖=水 の形 で、寓=火 と合 し て
ニハ
党=金、互体 の 中 四交= 闘
ト シテ
(2)
紅 心 中 二紅 心 一
也。 三 者寓 中 女。 好 手 之 中 呈 二巽 党 姉 妹 好
ニ
ニ 者 洞 上 祖 々展 転 相 伝。 好 手 呈 二好 手
ヲ
ル
四象 を 含 ん で い る。 か く し て 八卦 以下 の万象 凡 て重 萬 卦 に簗
々
ル
然 と存 在 し て い ると 深 い易 理 解 か ら巧 み に説 く。 又 こ の重 寓
カラ
手 ご と述 べ て いる。 一は 伏義 と 洞 門 祖 師 の 心 手 即 体 用 が 一
ノ
の禅 的 宗 旨 を ﹃訣 ﹄ で、心 ・火 の故 に ﹁這 箇 綴 不 レ可 レ触 ﹂ と、
-655-
用 と巽 ・党 の用 が 一如 で あ る こと を 示 し、 世 間 法 と出 世 間 法
と、 三 は易 で は寓=次 女、 巽 月長 女、 党=三 女 の故 に、 寓 の
如 な る こと、 二 は洞 門 祖師 に そ の体 用 が 相 続 さ れ て い る こ
て も みた が、 これだ け な らば、 な お両 師 が 易 説 理 解 に か けた
た表 明、 実 践 的 綿 密 性 の主 張、 本 証 妙 修 の把 握 の 4点 を あげ
そ こで、 用 語 も思 考 方 法 も、 確 か に禅 と は差 異 の み ら れ る
彪 大 な努 力 の意 味 は明 らか とな らな い。
と が徹 底 し て 一如 で あ る こと を強 調 し た も の であ る。
み た い。﹃藁 ﹄ は 一般 的 見 解 に 順 じ て、 前 述 の如 く 易 説 の特
易 説 を、 ﹃藁 ﹄ が 特 に重 視 し た 意 義 に つい て、 更 に 一考 し て
は 払柄 で 圃
闘卦 を 画 い て示 し た り、 或 いは 笠 竹 五 十 本 を とり、
質 で あ る天 地 に よ る説 明が、 禅 の特 質 であ る天 地 に よ る直 指
こ の 一如 思 想 は、 五 位 で 解 明 す べき 究 極 の物 体 現 前 を ﹃藁 ﹄
一本 を 太 極 と し て措 き、 四 十 九 本 を 太 極 の用 と し て、 それ が
ナリ
と 一如 で あ り、 中 で も寓 卦 が火 を 示 す故 に、 背 触 倶 非 の不 犯
ヘ
﹁箭 々相 柱。 脈 々不 断 ﹂ の回 互 一如 の宗 旨 を 示 す と し、 易 笠
中 の宗 旨 が見 ら れ る と説 く の み で は な い。
下 交 は陰 柔 交 で あ る のに対 し、 寓 卦 で は陽 剛 交 と な って いる
闇で あ る のに対 し、 寓 卦 で は陰 柔 交 開であ り、 又通 常 そ の上
易 説 で は通 常、 第 五交 が君 ・天 子 位 を 表 わ し、 本 来 陽剛 交
の儀 そ のも のが 禅 の根 本 道 理 を 説 き ぬ い て い る、 と示 し て い
る の に も知 る こと が で き る。
三、 易 卦 と 禅 一如 の 根 本 道 理
ニ
ニ
ス
ニ
クス
ニ
(3)
ヲ
シ
如 二洞
キハ
こ こに ﹃藁 ﹄ が、 禅 発 生 の源 泉 であ る中 国 精 神 の象 徴 と し
提 を、 具体 的禅 機 的 な 君臣 のあ り方 で示 す と いう、 勝 れ た見
が、 ﹃藁 ﹄ は これ は萬 卦 が、 君 は 尊 貴 にも 住 せず 臣 位 で そ の
ノ
この よ う に両 師 の 一如 説 は徹 底 し て い る が、 六十 四 卦 の中
リト
尊 貴 を表 わ し て いる、 と卦 説 に即 し つ つ、宗 旨 の不 犯誰 ・傍
ヲ
フ
重 寓 の み を特 に 一切 の根 本 と し た りす る の は、 易 説 に と らわ
ズ
ヒテ
解 を 示 し て いる。
ヲ
ヲ
れ た禅 宗 旨 の理 解 と受 取 ら れ か ね な い。 こ れ を ﹃藁 ﹄ は、
ニシ(
浅)
モ シ
ク ヲ
ク ジテ ヲ
﹁吾 宗 無 二講 深 易 道 亦 無 二講 深 幻砥 今 説 レ易 者。 多 論 三言象
ぜ
テ
上幻 以 二道 体 一
論 レ易。 交 象 自然 円 二転 於 道 中 一。 ﹂ と、 洞 上 宗
いて い る の は 明 ら か であ る。 これ は宗 乗 に達 し た両 師 に し て
て の易 の意 義 を 深 く捉 え、 そ の観 点 か ら易 と禅 と の 一如 を説
ノ
不レ忘 二笙 蹄 殉 強 言 三道 在 二其 中 幻而 実 尽 二道 意 一者鮮。
旨 は易 の言 象 に と ら わ れず、 易 道 仏 道 の道 体 か ら み る故 両 者
言 い得 た事 柄 に外 な ら な い。
しか し これ だ け なら ば、 易 と禅 を 如 何 に 一致 せ し め よ う と
全く 円転 し て 一体 不 分 な る にあ り と いう。
こ れを めぐ って私 は、 両 師 が 易 卦 を 重 ん じ た 理由 と し て、
二四 一
それ は却 って、 禅 と 一致 す る 面 の み の易 選 択 が明 白 と な る の
井)
前 掲 ﹁易 学 と宗 乗 ﹂ で、 中 国 文 化 崇拝 の風 潮、 悟 り のす ぐ れ
易 卦 説 と禅 (新
-656-
井)
二四二
展 開 か ら、 宗 旨 と の関 連 性 を 説 い て い るが、 そ の易 理 解 や 宗
易 卦 説 と禅 (
新
み で、 易 の事 象 重 視 の特 質 は とも あ れ、 易参 究 が 邪 路 に 陥 る
旨 理 解 は、 質 量 と も に到 底 両 師 に拮 抗 で き る も の で は な い。
と さ れ る、 指 月 慧 印 (一六八九-一七六 四)﹃不 能 語 五位 説 ﹄
更 に江 戸 中 後 期 に かけ て、 五位 説 を 宗 旨 的 に復 古 大 成 し た
危 険 も あ る こ とを 考 え る と、 両 師 が易 儀 で禅 機 を 尽 く す と ま
に 我 々 は 日本 曹 洞宗 開 祖 道 元 禅 師 (一二〇〇-一二五
で した 意 味 如 何 と いう こ と にな ら ざ る を 得 ま い。
こ
三)が 禅 と は 必 ず し も 一致 せぬ 教 学 上 の典 籍 を 拮 ず る に 用 い
の無 理 解 が う か が わ れ る ので あ る。
洞 水 月 湛 (一七二八-一八〇二)﹃五位 顕 訣 元字 脚 ﹄等 で は、 易
(4)
説 を 単 な る響 説 と し て殆 ん ど顧 み ぬ所 に、 そ の深 義 に ついて
近 代、 眼 蔵 を 解 す る の に、 徒 ら に哲 学 的 教 学 的 論 理 のみ に
おれ ぬ。 即 ち 法 華 を 転 ず る とは 法 華 に転 ぜ ら れ る こ と で あ
り、 そ れ は 法 華 が 転 ず る のみ と な る 一方 究 尽 のと ころ に 宗 旨
い。 そ し てそ の意 味 で、 傑 堂 ・南 英 師 資 の易 卦 説 理 解 の甚 大
止 ま って い る傾 向 は こ ﹄に胚 胎 し て い る と 思 わ れ て な ら な
た 勝 れ た 論 理 を ﹁法 華 転 法 華 ﹂ 巻 を通 じ て想 い起 こさ ず に は
に易 のみ の転 ず る 所、 宗 旨 の極
ニ
も 極 ま る と いう も の で、 こ
な 努 力 に非 常 に親 し さを 感 ぜざ るを 得 な い の であ る。
1 ﹃曹全書﹄ 注解 五、掛頁
2 同書 44頁
3 同書1頁
90
チ ンヤ
ニ
リ
ガ
ニ
﹃曹 全 書﹄ 注 解 五 ﹁不 能 語 位 説 ﹂ 緬 頁 では、 ﹁重 寓 本 非 二卦 交 一
五 相 堂 堕 二 巽 党 笙 第 ご ﹁的 従 在 二己 玄 会 ご と、 卦 説 と宗 旨 と は
4
ズ
地 の転 ず る 所 と な る論 理 が あ ろ う。
道 元 禅 師 は 中 国 曹 洞 禅 の兼 帯 思 想 を 徹 底 せ し め て 一元 の世
界 を説 き、 傑 堂 ・南 英 は そ の原 典 と も い う べ き ﹃宝 鏡 三昧
歌 ﹄ の易 理 解 に、 宗 祖 の精 神 の伝 承 を 示 した の で あ る。
お わり に
以 上、 傑 堂 ・南 英 両 師 の説 を 申 心 に、 易 卦 説 と禅 を み て き
テ
ヲ
テ
カスニ
ヲ
フ
ヲ
ノ
ヲ
直 接 の関 係 な く、 自 己 の玄 会 のみ 重 要 と し、 同 書 ﹁五位 顕 訣 元
チ
カ ニ ズル ニ
た が、 両 師 の説 の卓 越 性 は、 そ の後 に現 わ れ た 諸 説 と比 較 す
ト
字 脚﹂ 躍 頁 で ﹁霧 按 四 宗 祖 所 三以 喩 二乎 寓 陰 陽 回 互 之 旨 幻 不 レ
リ
れ ば 明 ら か で あ る。 即 ち 江 戸 初期 に 日本 曹 洞 宗 に甚 大 な影 響
過下一寓 為 二四 卦 一
乃 立 レ象 以 明中 唯 心 転加﹂ と 唯 心 転 の み を 重 ん
の であ る。
(駒 沢 大学 教 授 )
じ て、 易 は 讐 説 にす ぎ な い とす る のは ﹃藁﹄ の理 解 に及 ば ぬ も
ギ
を与 え た 明 永 覚 元 賢 (一五七八-一六五七) ﹃洞 上 古 轍 ﹄ や、
そ の直 後 の 日本 の 黙 隠 祖 俳 (-一六八 一) ﹃曹 洞 五 位 紗 或 問 ﹄
連 山 交 易 (一六 三五-一 六九四)﹃宝 鏡 三昧 ﹄ 注 (﹃印仏研第 三+
二巻第 一号 ﹁曹洞 五位 思想 の展 開﹂参 照)等 は、 易 卦 説 の理 解 と
-657-