日消 外 会 誌18(3):625∼630,1985年 選択的 胃迷走神経切離兼幽門洞切除術 におけ る右 胃大網動静脈 お よび神経枝温存 の意義 について―臨床的検討― 新潟大学医学部外科教室第1講座 高桑 一喜 松原 要一 松尾 仁之 薛 吉田 正弘 田宮 洋一 若桑 正一 加藤 知邦 三浦 宏二 武藤 輝一 CLINICAL APPRAISAL OF THE OPERATIVE PRESERVATION NEUROVASCULAR Kazuyoshi 光広 PROCEDURE IN ANTRECTOMY FOR CHRONIC TAKAKUWA, Yasuhiro 筒井 WITH OF THE RIGHT GASTROEPIPLOIC PEDUNCLE VAGOTOMY 康弘 SETSU, WITH SELECTIVE DUODENAL Yoichi MATSUBARA, Masahiro Syoichi WAKAKUWA, YOSHIDA, Mitsuhiro Koji MIURA ULCER Hitoshi MATSUO, Yoichi TAMIYA, TSUTSUI, and Terukazu GASTRIC Tomokuni KATO, MUTO Department of Surgery, School of Medicine, University of Niigata 十 二指 腸潰瘍 の外 科 的治療 と して選 択的 胃迷 走神 経切離 兼 幽門洞 切 除術 を施行 す る際 に,右 胃大 網 動 静脈 とこれに沿 う神 経枝 を温存 した13例 を温 存群,こ れ らを切 離 して施 行 した16例 を切 離群 と し, 両群 間 で術後 の減 酸率 や術 後早 期の 胃内容 停滞 につい て比較 検討 した.術 後3ヵ 月 の減酸 率 は両群 間 で差 は認 め られ なか った.術 後3ヵ 月 までの 胃内 容停滞 発生 頻度 は温存 群 で15%,切 り,温 存 群 で有意 に少 な か った(p<0.05).従 離群 で63%で あ って,選 択的 胃迷 走神 経切 離兼 幽門洞 切 除術 を施 行す る際 に右 胃大網動 静脈 と これ に沿 う神経枝 を温 存 す る こ とは,術 後早 期 の 胃内容停滞 を軽減 す るため に右 用で あ る と考 え られ た. 索 引用 語:十 二 指 腸潰 瘍,選 択 的 胃迷 走 神 経切 離 兼 幽 門洞 切 除術,胃 内容 停 滞,術 後 減 酸 率,右 胃大 網 動 静脈 と これ に 沿 う神 経 枝温 存 I.緒 Farmer&Smithwick Harkinsら 言 1),Edwards 著 者 ら の 施 設 で も1961年 よ り消 化 性 潰 瘍 に 対 す る選 & 2), 3)の先 駆 的 業 績 や そ の 後 の 多 数 の 臨 床 的, 実 験 的 研 究 に よ り,迷 走 神 経 切 離 術(迷 切 除 術(幽 Herrington 切)は 切)兼 幽門洞 消 化性 潰瘍 患者 の 胃分泌病 態生 理 に 択 的 手 術4)の 一 環 と して 迷 切 半 胃切 除 術5)(保 存 的 胃切 除 術6))を 導 入 し,そ の 成 績 に つ い て こ れ ま で 数 多 く発 表 して き た7)∼10).当初 は 術 前 胃 液 酸 度 の 高 い 胃潰 瘍 お よ び 十 二 指 腸 潰 瘍 症 例 を 対 象 と し,迷 切 は 全 幹 迷 切, 立 脚 した 合 理 的 な減 酸 手 術 で あ り,潰 瘍 再 発 が 著 し く 胃切 除 範 囲 を50%以 少 な く,術 後 遠 隔 成 績 も極 め て 良好 な 優 れ た 術 式 で あ よ り迷 切 に は 選 択 的 胃 迷 切(選 る こ と が 立 証 され,現 さ ら に 術 後 遠 隔 成 績 の 検 討 か ら,胃 切 除 範 囲 を40%以 る標 準 的 手 術 の1つ <1984年11月21日 〒951新 科 在 で は主 に十二 指腸 潰瘍 に対 す と して 確 立 され た 感 が あ る. 受理 > 別刷 請 求 先:高 桑 潟 市旭 町通1番 町 一喜 新 潟 大 学 医 学 部 第1外 下7}と して,主 下 と し て 施 行 し て きた が,1964年 胃 迷 切)を と り入 れ, に術 前 胃酸 分泌能 の高 い十 二 指腸 潰瘍 や 幽 門 近 接 胃潰 瘍 症 例 に 対 して 施 行 して い る10).こ れ に よ り,選 胃 迷 切 兼 幽 切 で は,潰 瘍 再 発 は 認 め られ ず, 遠 隔 時 の 術 後 障 害 発 生 率 も少 な い 優 れ た 結 果11)が認 め Youarereadingapreview.Wouldyouliketoaccessthefull-text? Accessfull-text 80(630) 選 択 的 胃迷走 神 経 切離 兼 幽 門 洞切 除 術 に お け る右 胃大 網 動 静脈 対 し て な さ れ た ア ン ケ ー ト調 査 の 結 果 か ら ―.日 消 外会 誌 20) Farmer J Surg Herrington year Surg 23) : 295-305, JL, Sawyers cases. Andersen Aarhus Surg D, HƒÓstrup county report on eral standard ulcer. 189 25) Feather Ten 16 : 18-24, Jordan : vagotomy An 26) Koo J, for 189 Lam chronic 武 藤 輝 一, 松 木 ulcer cell duodenal 1983 13: et for report on selective al: Sev- Ann Surg P Chan parietal duodenal SK, 東 京, 1979 T : Evaluation In : Vagotomy of on trial. J Alexander-Williams. Med Books selective Edited London, by Wil- Ltd, 1973, p85-96 29) 大久 保 高 明, 藤 沢 祥夫, 福 島恒 男 ほ か: 胃 ・ 十二 指 腸 潰 瘍 に 対 す る私 の 治療 方 針 ― 小 範 囲 切 除術 を 中 心 に―. 手術 27: 40-47, 1973 容 排 泄 時 間 お よび 遠 隔成 績 につ い て. 日消 外 会 誌 11: 947-953, duodenal cell vagotomy of 1979 吻合 部 潰瘍 と 141-155, 潰 瘍 にお け る術 式 別 にみ た 術 後 の 減酸 効 果 ・胃 内 R : 643-653, A Ann 30) 大 西 淳 夫, 鋳 谷 周三, 児玉 博 行 ほ か: 胃 ・ 十二 指 腸 vagotomy. results. treatment trial. 久, 松 原 要 一 ほ か: liam Heinemann with with ulcer. controlled 今 日の 臨 床 外 科 Kennedy vagotomy. vagotomy vagotomy 1978 31) 渡 部 洋 三, 近 藤 慶一 郎, 加 藤 弘 一: 術 後 の 愁訴 お よ び 障害― 胃内 容 停 滞―臨 外 interim versus antrectomy Surg and 1979 PH Ann The interim 1978 Hall clinical randomized AG Cox, parietal operatins year An gastric elective to 27) 28) in E: II. secretion DB, for prospective, そ の 治 療. Amdrup 2 : 91-100, JC, 25- 1975 trial. selective J Surg Goligher A : Results : 610-616, following and : antrectomy uleer acid antrectomy メ ジ カ ル ビ ュ ー 社, Distal H, in rate World 24) 182 reduction vagotomy : vagotomy recurrence HW 1973 WS vagotomy, truncal and truncal Surg 197 : 265-271, Scott duodenal Ann : disease. vagotomy-antrectomy. Sharpe for RH ulcer 1970 : 469-474, LT, Smithwick peptic JL, with vagectomy 611 in 120 106 Palumbo with HW, surgery experience Arch 22) of gastric drainage, 1983 Harrower choice Am 1433-1443, DA, The 21) 16: 日消 外会 誌18巻3号 and ulcer. 32) Rosati selective a variant et al: Proximal 36: 1715-1721, 1981 33-37, I, Serantoni proximal C, Ciani vagotomy in technique. 1976 PA : Extended : Observations Chir Gastroenterol on 10 :
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