厚生労働省保険局医療課塩澤信良氏より

病院部会研修会要旨
講演 1 平成 28 年度診療報酬改定報告
(厚生労働省保険局医療課塩澤信良氏より)
「病院及び介護保険における栄養管理指針」について
講 師 公益社団法人 大阪府栄養士会
病院部会 部会長 西村 智子氏
平成 28 年度診療報酬改定の概要として、①
性・凝集性などに配慮した嚥下調整食(日本
2025( 平成 37) 年に向けて、地域包括ケアシス
摂食嚥下リハビリテーション学会の分類
テムと効果的 ・ 効率的で質の高い医療提供体制
に基づく)に相当する患者。栄養状態にあ
の構築を図る。②地域包括ケアシステムの推進
る患者とは、「血中アルブミンが3.0g/dL
と医療機能の機能分化 ・ 強化、関連に関する充
以下である患者」と「医師が栄養管理に
実等に取り組むことが挙げられ、下記の 4 つ
より低栄養状態の改善を要すると判断し
の視点より構成されている。
た患者」のうち、いずれかの条件を満た
①地域包括ケアシステムの推進と医療機能の
分化・強化,連携に関する視点。
すこととされている。
②厚生労働大臣が定める特別食として「てん
②患者にとって安心・安全で納得できる効果
的で質が高い医療を実現する視点。
かん食」を追加した。
③外来・入院栄養食事指導料として初回は概
③重点的な対応が求められる医療分野を充実
する視点。
ね30分以上、2回目以降にあっては概ね20
分以上療養のために必要な栄養指導を行
④効率化・適正化を通じて制度の持続可能性
を高める視点。
った場合に、初回260点、2回目以降200点
を算定する。
1.栄養関係の改定の狙いは、地域包括システ
④栄養食事指導は一週間に1回(入院中2
ム推進のための取組みの強化として、栄養
回)とされているが、この解釈は金曜日
指導の対象及び指導内容の拡充にある。
に1回目を実施したら2回目は次週の日曜
①がん、摂食・嚥下機能低下、低栄養の患者に
日から実施できる。これは以前からこの
対する治療食を、個別栄養食事指導(外来・
方法であるそうで、7日間空ける必要はな
入院・在宅患者訪問)の対象に含める。
い。
②指導には長時間を要することが多く、よ
⑤在宅訪問栄養指導料については、当該指導
り充実した指導を適切に評価する観点か
せんに従い、食事の用意や摂取等に関す
ら、外来・入院・栄養食事指導料につい
る具体的な指導を概ね30分以上実施した
て、指導時間の要件及び点数の見直しを
場合算定され、調理は必須ではなくなっ
行う。
た。
③在宅で患者の実情に応じた有効な指導が可
⑥入院時の経腸栄養製品の使用に係る給付の
能となるよう、指導方法に係わる要件を
見直しとして、流動食(市販されているも
緩和する。(調理実技を必須としない)
の)のみ提供した場合の食事療養費は1割引
2.主な改正点
き下げられた。(1食575円)
①外来・入院・在宅患者訪問栄養食事指導の
⑦栄養サポートチームに院内又は院外の歯科
対象に、従来の厚生労働大臣が定める特
医師が参加した場合を評価し、歯科医師
別食以外に、がん患者、摂食機能又は嚥
連携加算として、栄養サポートチーム加
下機能が低下した患者、低栄養状態にあ
算に50点を加算する。
る患者を含めた。摂食機能又は嚥下機能
が低下した患者とは、医師が、硬さ・付着
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(文責 病院 金石智津子)