地方再生に資する赤字路線バスの再生 関東財務局 ◆ 埼玉県日高市内においては、主として通勤による路線バス利用者が減少。そのため、一部バス会社が撤退を表明。 ◆ 2006年4月に同路線を引き継いだイーグルバス㈱は、①乗客の利用状況をIT等を活用して「見える化」を行ったうえ で、②ダイヤの最適化、③端末型オンデマンドバス(おでかけサポート便)等の取組みにより、効率的な運行体制と顧 客満足度を高め、利用者の増加につなげている。 イ ・1995年までは人口増加が続いて いたものの、1996年から2005年ま では人口が減少。 【データの収集】 ・バスの乗降口に赤外線センサーとGPS (全地球測位システム)を取り付け、停留 所ごとの乗客人数、バスの位置や運行時 間等を把握。 【顧客ニーズの把握】 ・バス利用者に対するアンケートの実施。 各種の改善策 ○ダイヤの最適化 バス遅延の原因を解明(ネックとなっている箇所 の停車時間を拡大)し、利用者を待たせない最適 なダイヤに。 鉄道との接続時間の最適化。 地域の評価 ・得られたデータから徹底的に無 駄を排除。 ・利用者の潜在的ニーズの掘り起 こし。 ・利用者に対するサービスの向上。 ○端末型オンデマンドバス(おでかけサ ポート便) 高台に住む高齢者の買い物の利便性を考慮し、 臨時停留所を設置のうえ、終点以降の延長運転 を行う。 顧客満足度の向上 通勤利用者の減少が顕著になっているなかで、イーグルバスの取組みは、「買 い物」や「通院」といった日常利用者を増加させようとの取組みで評価している。 今後も引き続き住民のニーズを掘り起こすなど、交通弱者対策に取り組んでい きたい。(日高市) 利用者の増加 ・1970年代に郊外団地に転入した 住民の定年退職増に伴い、1990年 代後半から通勤利用者が減少。バ ス路線の採算が悪化。 グ ル バ ス の 取 組 み 分析・検討 見える化 ー 以前の状況 ・2007年度と 2014年度の利 用者数を比較 すると、2014年 度は約2割増加 している。 〔参考〕イーグルバス㈱ 代表者:代表取締役社長 谷島 賢 資本金:5,000万円 従業員数:205名 本社:埼玉県川越市 営業所(車庫):川越、都幾川、寄居、東京(羽村市) 和紙の里の「バスハブ化」による地域活性化 ◆ 東秩父村(人口3,048人、2015年12月末)は人口の減少に伴い、バス路線の利用者が減少。一方で、平日の利用者は 少ないものの、休日の朝にはハイカー等の観光客によりバスが満員となっている状況に。 ◆加えて、高齢化(高齢化率35.6%、2015年12月末)により自動車を所有しない高齢者は買い物難民化しつつある状況にも。 ◆観光客及び地域住民の利便性の向上を目的に、既存の観光施設(和紙の里)を中心とした整備を企図。整備に際し ては、生活関連施設を設置するとともに、当該地をハブとして村内のバス路線をスポーク化し、観光客、地域住民双方 の利便性を高め、地域活性化を図るもの。 和紙の里:バスハブ化構想 期待される効果 ① 和紙の里にバスの中継ポイントを作り、バス路線(イーグルバス路線と村営バス路線)の見直 しを行ったうえで、ここを起点にバス路線をハブ&スポーク化し、便数の増加を図る。 ② 和紙の里に直売所、カフェなどの生活施設を併設する。直売所は生鮮食品に加え弁当・惣菜 も扱うスーパーのような機能を持たせるとともに、ATMも設置する計画。 全てのバスをハブで結束させることによ り、運行便数増加及び待ち時間短縮 ・東秩父和紙の里は、「細川紙」の 紙漉き体験などができる観光施設。 ・「細川紙」は、「石州半紙」「本美 濃紙」とともに、2014年11月にユネ スコ無形文化遺産に登録。 ・細川紙は、東秩父村と小川町で 伝承されている。 生活機能 向上 生活施設を併設し、買い 物難民の解消 バスの 利便性向上 小 川 町 駅 寄 居 駅 ハブとなるバス停 留所のイメージ (ときがわ町の「せせ らぎバスセンター」) 観光地へのオプション路線 ① バスの利便性が高まる ことで、地域住民のみなら ず、村外から訪れるハイ カー等の観光客の利便性 も高まり、バス利用者の増 加が見込まれる。 ② 和紙の里周辺に生活施 設を集めることで、地域住 民の利便性が高まり、日常 生活の機能維持が見込ま れ、買い物難民の解消が 図れる。 ③ 各種生活施設の配置に より、雇用の創出や賑わい が生み出され、地域の活 性化に資する。 (参考)併せて「道の駅」の指定も目指 し、PR効果を高め、観光客のさらなる 増加を企図している。
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