CompactRIO でトンネル工事向け IoTシステムを構 築、安全管理と省エ

CompactRIO でトンネル工事向け IoTシステムを構 築、安全管理と省エ
ネを同時に実現
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NI Developer Community
"CompactRIO によって実現した IoTシステムによ り、トンネル工事の
現場に出入りする作 業員の行動履歴を正 確に把握できるよう
になった。それと同 時に、システム運用 により、工事現場で
消費される電力を従
来に比べて約2割削 減できることを見込 む。"
(
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白石 雅嗣, 株式会社錢高組 (The Zenitaka Corporation) (http://www.zenitaka.co.jp/)
)
エンジニアや研究者
で構成される世界規 模のコミュニティ
で、最新のサンプル
コードやチュートリ
アルを検索したり共
同作成したりできま す。
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http://decibel.ni.com/content/community/zone
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(
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)
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)
ナショナルインスツ
ルメンツとは
ナショナルインスツ ルメンツは、テス
ト、制御、および組 込設計アプリケー
ション用グラフィカ ルシステム開発プ
ラットフォームを提 供することによっ
て、システムの設 計、試作、および実
装のあり方に変革を もたらしていま
す。
(
http://www.ni.com/company/standardize.htm
)‌NIについてもっ と知る (
http://www.ni.com/company/standardize.htm
)
(
課題:
/cms/images/casestudies/zenitakagumi_fig4.png?size
山岳トンネル工事の
現場における2つの 課題を解決できるシ ステムを構築する。 1つ目の課題は、作 業員の安全を確保す
)
るために、入坑管理 や行動履歴の把握を 電子的に行えるよう にすることである。 もう1つの課題は、 工事現場で消費され
る電力量を自動的に 削減できる仕組みを 構築することであ る。
ソリューション:
CompactRIO を使用し、作業員や 車両の検知、粉塵や 可燃性ガスなどの濃 度測定、各種電気機 器の監視/制御が可
能なIoTシステム を開発する。収集し た情報を基に、作業 員の安全を確保でき ることを確認したう えで、照明や換気
ファンの自動制御を 行うことによって無 駄な消費電力を削減 する。
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お客様名:
白石 雅嗣 - 株式会社錢高組 (The Zenitaka Corporation) (http://www.zenitaka.co.jp/)
平澤 啓 - 株式会社イー・アイ ・ソル (EISOL) (http://www.ei-sol.co.jp/)
背景
錢高組は、庁舎、オ フィスビル、商業施 設などを対象とする
建築事業と、トンネ ル、橋梁、ダムなど を対象とする土木事
業を2つの柱として 展開している。それ らのなかで、山岳ト
ンネルの工事につい ては従来から2つの 課題が存在してい た。その課題とは
「安全性の向上」と 「消費電力の削減」 である。
山岳トンネルの工事 では非常に多くの電 力を消費する。施工
用の機械や工事用の 照明、換気ファンな ど多くの電気機器が
昼夜通して使用され るからである。とこ ろが、電力の消費量
については、一般的 に厳密に管理されて いるとは言えない。
電力会社から明細書 が送られてきたとき に、どれくらいの電
力を消費したのかが わかるといったこと が少なくないのであ
る。場合によって は、最大需要電力を 抑えるために、デマ
ンド監視装置が導入 されることもある。 ただ、その場合も契
約電力を超過しない よう警報を受け取っ たり、電力の総消費
量を把握したりする ことが可能になるだ けだ。消費電力の削
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量を把握したりする ことが可能になるだ けだ。消費電力の削
減に取り組むために は、何にどれだけの 電力が使われている
のかという内訳を把 握しなければならな い。つまり、消費電
力の可視化が必須だ ということである。
一方の安全性につい ても、必ずしも厳格 な管理が行われてい
るとは言えない。ト ンネル工事の現場で は、現在でも「名
札」による入坑管理 が行われていること が少なくない。つま
り、表、裏がそれぞ れ赤、白に塗られた 名札を坑道の入口に
用意しておき、入坑 時に各自がそれを裏 返すという方法であ
る。名札を裏返すの を誰かが忘れてしま えば、適切な管理が
行われていない状態 に陥ってしまうこと になる。
課題
上述したような状況 を改善するために、 錢高組では、トンネ
ル工事における安全 性を向上すると同時 に、消費電力の削減
も実現するシステム を構築したいと考え た。より詳しく言え
ば、山岳トンネルの 工事現場において、 坑内のどこに誰がい
るのかを明確にし、 坑内でどのような作 業が行われているの
かを正確に把握し て、全作業員の安全 を維持したまま、電
気設備を細かく制御 して無駄な電力を削 減するというもので ある。
コンセプトは固まっ たものの、工事の現 場に設置しても壊れ
ない堅牢なハード ウェアは存在するの か、それらは作業環
境の変化に応じて問 題なく移動させるこ とはできるのか、 RFIDによる人や
車両の検知は正しく 行えるのかといった 具合に懸念は尽きな
かった。このよう に、錢高組としては 初めて取り組む事柄
が多いシステムで あったが、実現性の 高い提案を受けた
イー・アイ・ソルに 共同開発のパート ナーとして協力を仰 ぐことにした。
ソリューション/効 果
錢高組からシステム の構想と要件を提示 されたイー・アイ・
ソルは、それに応え るためにさまざまな 提案を行った。その
なかで、システムを 具現化するための手 段として、ナショナ
ルインスツルメンツ (NI)の製品を提 案した。具体的に
は、ソフトウェアプ ラットフォームとし てNI LabVIEWを使
用し、ハードウェア プラットフォームと してはNI CompactRIO
を使用してシステム を構築することに なった。
図1に示したのが、 錢高組とイー・アイ ・ソルが共同で開発
した安全対策・省エ ネ制御システム 「TUNNEL EYE」の概念図で
ある。このシステム は、IoTを活用す ることにより、山岳
トンネルの工事にお ける安全管理のため の機能と消費電力を
削減するための機能 を同時に提供する。 2016年3月の時
点で、錢高組による 高松自動車道 志度 トンネルの工事現場
に試験的に導入され ている。
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図1. 開発したシ ステムの概念図
このシステムは、工 事現場の事務所など に設置されたサーバ
と、IPアドレスが 割り当てられた複数 の制御端末で構成さ
れる(図2)。制御 端末としては CompactRIO を使用し、必要な機
能はLabVIEW によって開発した。 各制御端末は、入坑 者や工事車両を検知
するためのRFID リーダ、粉塵(ふん じん)や可燃性ガス
などの濃度を測定す るための濃度計、工 事用の照明/換気 ファン/トンネル掘
削機械の稼働状態を 監視するための電力 計などを備えてい
る。各端末は、制御 の対象となる電気機 器や100 mごと
に配備されている分 電盤に取り付けら れ、サーバとはネッ
トワークで結ばれて いる。
図2. CompactRIO によって構成した制 御端末
各制御端末は、入坑 者や車両の位置、各 種ガスの濃度などの
データを取得し、そ れらをサーバに送信 する。サーバ側では
受信したデータの分 析/処理を行い、結 果に応じて照明や換
気ファンを制御する ための指示を端末に 送信する。各種の測
定データと電気機器 とを関連づけ、 IoTで相互通信を 行って自動的に消費
電力を削減するため の制御を行う仕組み だ。 CompactRIO
を利用した分散計測 システムでは、 CompactRIO で測定を行ってデー
タを処理し、結果を サーバに一方的に アップストリームす
るケースが多い。そ れに対し、 TUNNEL EYEではサーバか ら CompactRIO
側へのダウンスト リームも行う。そう した双方向通信を利
用している点が特徴 の1つだ。
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このように構成した システムによって、 安全性の向上、消費
電力の削減のそれぞ れについて以下に示 すような効果を得る
ことができた。
まず、安全性の向上 に関しては、各人が 携帯するRFIDタ グを利用すること
で、入坑管理の電子 化を図ることができ た(図3)。それだ
けでなく、誰がどこ にいるのかを把握し たり、坑内をどのよ
うに移動したのかを 記録したりすること も可能になった。仮
に坑内で火災や落盤 などの緊急事態が発 生したとしても、行
動履歴によって所在 を追跡することが可 能になったというこ とだ。
図3. 入坑者や作 業環境の情報を表示 する画面
このような入坑管理 システムは、これま でまったく存在しな
かったというわけで はない。ただ、今回 のシステムでは、入
坑者の情報を、照明 や換気ファンの自動 制御と関連付けてい
る点が大きく異な る。つまり、安全確 認の機能に連動して
省エネの機能が働く ようになっているの だ。その動作を土砂
の搬出という作業工 程を例にとって説明 する。この工程で
は、大型のダンプト ラックがトンネル内 を往来することにな
る。そこで、そのト ラックの動きを検知 し、トンネル内の照
明を通常よりも明る くするよう制御す る。同時に、トラッ
クからの排気ガスや 掘削で生じた粉塵が 舞いやすくなるの
で、換気ファンの風 量も増やすように制 御を行う。もう1つ
の例として、トンネ ル工事の先端部(切 羽)に作業員がい
て、電気機器である ドリルジャンボが稼 働しているケースを
考える。その場合、 車両の往来はなく、 ガスや粉塵は発生し
にくいので、照明の 照度を下げて、換気 ファンの風量を弱め
るという制御を行 う。このように、入 坑者や工事車両の状
態、施工機械の稼働 状態、各種ガスの濃 度の状態の組み合わ
せに応じ、照明と換 気ファンを自動的に 制御することで、無
駄な電力消費を抑え ることができる。ま た、安全が確認でき
れば、タブレット型 端末から消灯や停止 といった操作を行っ
ても構わない。加え て、省エネを図るた めの基本的な取り組
みとして、現場で消 費される電力の内訳 を可視化することも
可能になる(図 4)。
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図4. 消費電力を 可視化した結果
消費電力の削減に は、特に換気ファン の制御が大きく寄与
する。通常は、連続 して最高速で運転す るのだが、実際には
粉塵が少なければそ れほどの強さは必要 ない。そこで、濃度
計によって粉塵の量 を測定し、その結果 に応じて強度を変更
すれば無駄な電力を 消費しなくて済む。 この手法は従来から
活用されていたのだ が、TUNNEL EYEの手法には大 きく異なる点があ
る。濃度計は、切羽 での建設用機械との 接触や、発破などに
よる故障を防ぐため に、切羽から50 mほど離れた位置に
配置される。そのた め、従来の方法では 濃度計が粉塵をとら
えたときには、すで に切羽が高濃度の粉 塵環境にさらされて
いるということが あった。そのような 状態になってから風
量を最高速に制御し たのでは遅いと言え る。それに対し、今
回のシステムでは、 人や工事車両を検知 し、各装置の消費電
力を測定し、濃度の 測定も行っている。 それらの情報に基づ
いて、坑内でどのよ うな作業が行われて いるのかを自動的に
判断している。その 結果、これから粉塵 の量が増える作業が
行われるということ がわかったら、実際 に粉塵の濃度が高く
なる前に、換気ファ ンが自動的に最高速 に設定される。これ
により、従来の方法 よりも安全を維持す るための確実性が高
まっている。この種 の制御フローについ て何度もプログラム
を修正して最適化を 図った結果、スムー ズな運用が可能にな
り、効率的な省エネ も合わせて実現する ことができた。
TUNNEL EYEの設計/実装 は、わずか2ヶ月の うちに完了すること
ができた。その後は テストと修正が繰り 返されたわけだが、
その作業も1ヶ月間 で収束した。計3ヶ 月という短期開発を
実現できた理由とし ては、再構成が可能 な CompactRIO
と、グラフィカル開 発が可能な LabVIEWによ るところが大きい。
今後の展開
錢高組では、今後の 山岳トンネルの工事 にも新システムを適
用していく予定であ る。ただ、最初の現 場で運用を始めた段
階なので、今後の展 開について明確な決 定事項があるわけで
はない。それでも、 システムの拡張性/ 柔軟性については、
ソフトウェアで実現 する部分は今回の実 績をベースとしてど
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ソフトウェアで実現 する部分は今回の実 績をベースとしてど
のような現場でも対 応できるよう、ある 程度のカスタマイズ
を施せるようになっ ている。また、現場 によっては、換気
ファンに加えて集塵 機も使ったり、土砂 の搬出はトラックで
はなく連続ベルトコ ンベアを使ったりと いった違いがある
が、モジュール式の CompactRIO であれば、そうした 違いにも対応できる
はずだ。さらに、現 場からは、人手のか かる作業を自動化し
たいといった要望も あるので、今後はそ ういう方向でシステ
ムが進化していくこ とになるかもしれな い。
一方、イー・アイ・ ソルは TUNNEL EYEの名称でこの システムを外部に販
売していきたいと考 えている。安全管理 や省エネを目的とす
るシステムはすでに 存在するが、それら を同時に実現するシ
ステムは見当たらな い。2つの課題を同 時に解決できる TUNNEL
EYEならではの効 果を訴求していきた い。
お客様情報:
白石 雅嗣
株式会社錢高組 (The Zenitaka Corporation) (http://www.zenitaka.co.jp/)
Tokyo
日本
図1. 開発したシ ステムの概念図
図2. CompactRIO によって構成した制 御端末
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図3. 入坑者や作 業環境の情報を表示 する画面
図4. 消費電力を 可視化した結果
法律関連事項
このユーザ事例(こ の「ユーザ事例」) はナショナルインス ツルメンツ (「NI」)の顧客 によって作成された ものです。このユー
ザ事例は「現状のま ま」提供され、一切 の保証を伴いませ ん。また、このユー ザ事例の使用につい ては、本サイトの使
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