質疑応答 2016年3月 薬事情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介(2016年3月) 【医薬品一般】 Q:アレルギー性結膜疾患における抗アレルギー点眼薬の特徴は?(薬局) A:アレルギー性結膜疾患は、アレルギー性結膜炎(季節性、通年性)、春季カタル、アトピー性 角結膜炎、巨大乳頭結膜炎に分類されるが、いずれも抗アレルギー点眼薬が第一選択薬となる。 防腐剤による薬剤アレルギーに注意が必要である。 分類 特徴 成分名 主な商品名 備考 Ⅰ型アレルギ アシタザノラ ゼペリン ーの即時相反 スト水和物 応を軽減 アンレキサノ エリックス 炎症細胞の結 クス 膜局所浸潤の イブジラスト ケタス 各種ホスホジエステ 抑制により遅 ラーゼに対する阻害 発相の反応を 効果があり、抗ロイ 軽減 コトリエン作用や抗 メディエーター 活性酸素作用がある 遊離抑制薬 クロモグリク インタール 防腐剤非含有の製剤 抗 酸ナトリウム がある ア レ トラニラスト トラメラス 抗TGF-β作用や結 ル リザベン 膜線維芽細胞からの ギ コラーゲン産生抑制 ー 作用がある 点 眼 ペミロラスト アレギサー 点眼回数が1日2回 薬 カリウム ル かゆみ・充血 エピナスチン アレジオン メディエーター遊離 等を抑制 塩酸塩 抑制作用も有する オロパタジン パタノール メディエーター遊離 塩酸塩 抑制作用も有する ヒスタミンH1 ケトチフェン ザジテン ヒスタミンH1 受容 受容体拮抗薬 フマル酸塩 体拮抗作用が強い 防腐剤非含有の製剤 がある レボカバスチ リボスチン ヒスタミンH1 受容 ン塩酸塩 体拮抗作用が強い Q:鉄欠乏性貧血時は、HbA1c値に影響するか?(薬局) A:HbA1cは、赤血球中のヘモグロビンにグルコースが非酵素的に結合した糖化ヘモグロビン であり、HbA1c値は総ヘモグロビンに対する糖化ヘモグロビンを%で表す。貧血は、赤血 球の減少により血液単位容積中のヘモグロビンが正常値より減少した状態である。鉄欠乏の状 態でヘモグロビンが減少すると、代償性に赤血球の平均寿命が延長する。その結果 、HbA1c 値は本来の数値より高い偽高値を示しやすくなる。一方、鉄剤を投与すると幼弱赤血球が増加 し、赤血球の平均寿命が短縮して偽低値を示す。従って貧血時は、赤血球寿命に関連しない血 糖コントロール指標の血清グルコアルブミン(GA)で判断するのが望ましい。 Q:パキシルTM 錠とパキシルTMCR錠の違いは?(一般) A:パキシルTM 錠は、セロトニンの再取り込み阻害作用により、消化管粘膜細胞近傍のセロトニン 濃度が増大し、5-HT3 受容体を介して嘔吐中枢が刺激されるため、投与初期に悪心・嘔吐の 副作用が起こりやすい。パキシルTMCR錠は、腸溶性フィルムコーティングを用いて消化管内 での薬物放出部位を限定し、さらに2層の放出制御技術を用いて胃を通過後も緩やかに放出す るよう設計されているため、5-HT3 受容体への急激な刺激が減少し、悪心・嘔吐の副作用が 軽減する。また、血中濃度の立ち上がりが緩やかで、反復投与時の血中濃度の変動が小さくな るとともに、有効濃度が長時間持続するため、治療効果の向上も期待できる。 Q:パーキンソン病患者のうつ症状の治療薬は?(薬局) A:パーキンソン病でのうつ合併頻度は20~80%と様々だが、患者や家族のQOLを決定する最大 の因子がうつとされる。成因として、①疾患受容や症状の進行に対する反応性うつ、②パーキ ンソン病の非運動症状の1つとしてのうつ、③大うつ病の合併が考えられる。パーキンソン病 の十分な治療を行ってもうつの改善が認められない場合、以下の薬剤を試みる。 薬剤 報告 一般的に、三環系抗うつ薬は抗コリン作用、抗ヒスタミン作用、鎮静作用が 強く、不整脈、心伝導障害、起立性低血圧等の副作用も時に重症となり、認 知障害、譫妄の原因にもなるので、第一選択薬としては問題がある。 ・ノルトリプチリン(25~150mg/日)のランダム化二重盲検プラセボ対照ク 三環系 ロスオーバー比較試験(19例、8週間+8週間)で、Andersen自作の尺度 抗うつ薬 にてうつ症状の改善に有効だった(p<0.001)。運動機能には変化はな く、副作用はめまい、失神など。 ・アミトリプチリン(25mg/日)とセルトラリン(25~100mg/日)のランダ ム化比較試験(31例、3ヶ月)で、Hamilton Depression Scale (HAMD) にて両薬剤とも有効だった(プラセボ群は未設定)。 副作用として、振戦、無動、歩行障害、wearing off等のパーキンソン症状 の悪化が報告されているので、注意が必要である。 ・citalopram(20mg/日、本邦未発売)、fluoxetine(20mg/日、本邦未発売)、 SSRI フルボキサミン(150mg/日)、セルトラリン(50mg/日)のランダム化比 較試験(52例、6ヶ月)で、Beck Depression Inventory(BDI)、HA M-Dにてすべての薬剤において有効だった報告があるが(プラゼボ群は 未設定)、他の試験で無効との報告もある。 ・ペルゴリド(1.5~4.5mg/日)とプラミペキソール(1.5~4.5mg/日)のラ ンダム化比較試験(41例、8ヶ月)で、Self-Rating Depression Scale by ドパミン Zung(SDS)は両薬剤ともそれぞれの前後比較で有意差を認めたが、 アゴニスト Montgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)はプラミペキ ソール群のみで改善した(プラセボ群は未設定)。 (パーキンソン病治療ガイドライン2011より) 【安全性情報】 Q:尿が緑色系になる薬剤は何があるか?(薬局) A: 薬剤名(色調) アミトリプチリン(青緑) インドメタシン(緑) トラニラスト(緑) トリアムテレン〔青(青白い蛍光)〕 フルタミド(琥珀~黄緑) 薬剤名(色調) ミトキサントロン(青~緑) ミノサイクリン(緑、青、黄褐~茶褐) プロポフォール(緑、白濁) 黄連解毒湯、加味逍遙散などのサンシンを含有する 漢方製剤(青~緑) Q:ポルフィリン症の患者に禁忌の薬剤は何か?(薬局) A:ポルフィリン症は、ヘム合成過程のポルフィリン代謝に異常がある一群の疾患で、代謝過程の 酵素欠損のために、ポルフィリン体およびその前駆物質が肝、造血組織、皮膚等に沈着する。 それにより、光線過敏(日焼け、熱傷様症状)、消化器症状(激烈な腹痛、下痢、便秘、嘔吐、 肝不全)、神経症状(痙攣、麻痺、意識障害)等を呈する。主な禁忌薬剤は以下のとおり。 禁忌薬剤 理由 バルビツール系薬剤 酵素誘導により、ポルフィリン合成を促進し、 抗てんかん薬(カルバマゼピン等) 症状悪化のおそれがある。 経口避妊薬 エストロゲン及びプロゲストーゲンがポルフィ エストロゲン製剤 リン症の症状を促進するおそれがある。 光線力学的療法用剤 ポルフィリン症患者が合併する光線過敏症をさ メトキサレン らに悪化させるおそれがある。 ダナゾール、トリクロホスナトリウム、 ポルフィリン症の増悪や誘発の報告がある。 トルブタミド、ヒドロキシジン
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