1 平成 26 年度検査結果について (1) 検査体制等 農政部農地整備課の検査員2名以上により1日間から3日間実施しました。 農業振興事務所の土地改良区指導担当職員及び関係市町職員が立会いました。 (2) 検査件数 ■ 定期検査・・・・ 41(土地改良区:39 ■ 特別検査・・・・ 2 土地改良区連合:2) 0 検査結果について (1) 指摘事項の傾向 定期検査を実施した 41 土地改良区等において 322 件の指摘をしました。 検査事項別の内訳は以下のとおりです。 ■ 組織及び運営 ① 地区及び組合員に関すること ・・・・・・・・・・ 39件 ② 総(代)会に関すること ・・・・・・・・・・・・ 13件 ③ 理事・監事に関すること ・・・・・・・・・・・・ 66件 ④ 定款、規約その他の諸規程に関すること ■ 事 70件 ・・・・・・・・・・・・・・・ 40件 業 ⑤ 事業に関すること ■ 会 ・・・・・ 計 ⑥ 賦課金、予算決算、出納事務に関すること ・・・・ 93件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1件 ■ その他 ⑦ その他 平成26年度土地改良区等検査の指摘件数割合 その他 0.3% 地区・組合員 12.1% 総(代)会 4.0% 会計経理 28.9% 理事・監事 20.5% 事業 12.4% 定款諸規程 21.7% -1- 栃木県農地整備課 (2) 事項別の指摘事項について ① 地区及び組合員に関すること・・・39件(指摘事項の 12.1%) [主な指摘内容] ・ 定款に定められた地区と維持管理計画書の地域又は土地原簿に記載された土地 が整合していません。 ・ 土地原簿の一部事項が記載されてなく、また組合員名簿と整合していません。 地区及び組合員に関すること 定款と維持管理計画書、土地原簿が 整合していない 14 土地原簿の一部事項を記載していない 又は資格得喪届と整合していない 14 土地原簿と組合員名簿の一部内容が 整合していない 7 3 編入すべき土地又は除外すべき土地がある 土地原簿を適正に整備していない <解 1 説> 土地改良区の地区について、維持管理計画書、定款、土地原簿など が整合していないことが確認されました。 また、土地原簿では土地の所在地や地目、組合員の生年月日などの 事項が記載されていないことが確認され、組合員名簿では資格得喪通 知届の内容と組合員名簿が整合していないことも確認されました。 土地原簿や組合員名簿は、土地改良区の運営全般に影響を与える可 能性があるため、正確に記載し土地改良区事務所に備え付けておかな け れ ば な り ま せ ん 。( 法 第 29 条 ) -2- 栃木県農地整備課 ② 総(代)会に関すること・・・13件(指摘事項の 4.0%) [主な指摘内容] ・ 総(代)会で付議すべき事項及び議決の方法が適正に行われていません。 ・ 総代選挙の手続きが適正に行われていません。 総(代)会に関すること <解 付議事項を適正に議決していない 3 議事録を適切に作成していない 3 複数の議案を一括で採決している 2 選挙人名簿の作成が不適切である 2 選挙管理委員会との調整が不適正である 1 総(代)会の開催通知に必要事項を 記載していない 1 総会の代理表決を適正に処理していない 1 説> 賦 課 基 の 基 準 及 び 徴 収 方 法 、定 款 変 更 、補 正 予 算 の 編 成 な ど に つ い て 、 総(代)会で適正に議決されていないことが確認されました。 総( 代 )会 は 、土 地 改 良 区 等 の 意 思 決 定 と し て の 最 高 機 関 で あ る た め 、 付議事項は適正に議決された上で土地改良区等の運営が行わなければ な り ま せ ん 。( 法 第 30 条 ) 総 代 選 挙 に つ い て は 、選 挙 人 名 簿 の 一 部 内 容 が 記 載 さ れ て い な い な ど 、 適正に作成されていないことが確認されました。 な お 、総 代 選 挙 に 当 た っ て は 、市 町 村 選 挙 管 理 委 員 会 の 管 理 の も と に 、 平等及び秘密の原則により実施されなければなりません。 ( 法 第 23 条 ) -3- 栃木県農地整備課 ③ 役員(理事・監事)に関すること・・・66件(指摘事項の 20.5%) [主な指摘内容] ・ 理事会及び監事会の付議すべき事項が適正に議決されていません。 ・ 役員の選任(又は選挙)が適正に行われていません。 ・ 監査が適正に行われていません。 役員(理事・監事)に関すること 理事会の付議事項を適正に議決していない 25 役員の選任(選挙)を適正に行っていない 7 理事会又は監事会の議事録を 適正に作成していない 7 監事会又は監査の開催時期や回数が不適正 6 監事会の付議事項を適正に議決していない 6 役員選任(選挙)を適期に行っていない 4 監査を適切に行っていない 4 理事会の開催回数が不適正である その他 <解 3 4 説> 理事会及び監事会では、定款及び規約等で定められた付議事項が適正 に議決されていないことが確認されました。 特に、理事会では予算流用や契約に係る事項が、監事会では監査結果 の報告などが議決されていません。 理事会は土地改良区等の執行機関であり、監事会は土地改良区等の運 営全体を監督する重要な機関であることから、これらの付議事項は適正 に 議 決 さ れ な け れ ば な り ま せ ん 。( 法 第 19 条 ・ 第 19 条 の 4 ) また、役員の選任(又は選挙)においては、実施時期や公告、届出な どの手続きが適正に行われていないことが確認されました。 土地改良区等の役員は、土地改良区の運営に重要な役割を担っている ため、選任(又は選挙)に当たっては、適正に実施されなければなりま せ ん 。( 法 第 18 条 ) -4- 栃木県農地整備課 ④ 定款、規約その他諸規程に関すること・・・70件(指摘事項の 21.7%) [主な指摘内容] ・ 定款に規定された経費の分担基準と実際の賦課基準が整合していません。 ・ 土地改良事業又は付帯事業が定款に規定されていません。 ・ 規約、会計細則、その他諸規程と実態が整合していません。 定款、規約その他諸規程に関すること 定款の分担基準と実際の賦課に相違がある 20 定款に土地改良事業・付帯事業を記載していない 14 諸規程が未整備又は現状と整合していない 7 規約内容と現状が矛盾・相違している 6 5 会計細則・監査細則と現状が整合していない 4 積立金管理運用規程を整備していない 地区除外等処理規程を整備していない 3 用排水施設使用規程を整備していない 3 定款の変更認可を申請していない その他 <解 2 6 説> 定款に規定された経費の分担基準と実際の賦課基準が異なっていることが 確認されました。特に定款では、すべての農地で地籍割に賦課することを規 定しているにも関わらず、田と畑で異なる賦課基準を設けていたり、地区ご とに異なる賦課基準を設けていました。 さらに、土地改良区等が行う事業では、土地改良施設の新設及び変更の事 業や受託事業及び発電事業などが、定款に規定されないまま実施されている ことが確認されました。 定款は、土地改良区等の事業・経費分担などについて定める基本規則であ り、適正に執行されなければなりません。(法第 16 条) -5- 栃木県農地整備課 ⑤ 事業に関すること・・・40件(指摘事項の 12.4%) [主な指摘内容] ・ 維持管理計画書及び土地改良施設台帳が適正に整備されていません。 ・ 工事に係る契約締結や随意契約などの手続きが適正に行われていません。 事業に関すること 維持管理計画書を整備していない 18 土地改良施設台帳を整備していない 10 理事会で随意契約などを議決していない 6 用排水施設使用規程と実態が整合していない 2 定款に規定がない附帯事業を実施している 2 その他 2 <解 説> 土地改良区等が定める維持管理計画書において、区画整理前の土地や 水 路 な ど が 記 載 さ れ て お り 、現状と整合していないことが確認されました。 また、土地改良施設台帳が整備されておらず、管理すべき土地改良施 設が特定されていないことも確認されました。 土地改良区等は、管理すべき農地や土地改良施設を特定し、その管理 方法や維持管理費を明らかにした維持管理計画書に基づき土地改良事業 ( 維 持 管 理 や 整 備 な ど ) を 実 施 し な け れ ば な り ま せ ん 。( 法 第 5 条 ) 維 持 管 理 に 係 る 工 事 に つ い て は 、請 負 契 約 や 随 意 契 約 の 方 法 に つ い て 、 理事会で適正に議決されていないことが確認されました。 -6- 栃木県農地整備課 ⑥ 賦課金、予算決算、出納事務に関すること・・・93件(指摘事項の28.9%) [主な指摘内容] ・ 定款に規定された経費の分担基準と異なった基準で賦課されています。 ・ 収支決算書に誤りがあります。 ・ 財産目録が適正に記載されていません。 賦課金、予算決算、出納事務に関すること 17 実際の賦課と定款の賦課基準が違う 収入・支出が適切ではない(根拠・証拠書類) 11 収支決算書と会計主要簿が整合しない 9 財産目録に必要事項を記載していない 9 7 会計主要簿を整備していない 土地原簿の面積と賦課面積が整合しない 6 項・説明種目相互間流用を議決していない 6 延滞金減免を議決していない 3 地区除外の決済が適切ではない 3 督促状を発していない 2 会計経理を単独で処理している。 2 会計補助簿を整備していない 2 特別会計の設置を総会で議決していない 2 現金の取扱いが不適正である(規程がない) 2 賦課金の設定が運営費を下回っている 2 出納閉鎖期間の支出が不適正である 2 その他 <解 8 説> 実際の賦課基準と定款に規定された経費の分担基準が異なったまま 賦 課 さ れ て い る こ と が 確 認 さ れ ま し た 。( ④ と 同 様 の 指 摘 ) 賦 課 金 は 、土 地 改 良 区 が 組 合 員 に 対 し て 公 平 に 課 す 分 担 金 で あ り 、定 款 の 規 定 に 基 づ き 、土 地 改 良 事 業 に 要 す る 経 費 に 充 て る た め に 賦 課 徴 収 す る も の で す 。( 法 第 36 条 ) ま た 、金 銭 出 納 簿 と 収 入・支 出 整 理 簿 な ど の 会 計 主 要 簿 と 証 拠 書 類 な どが符合せず、収支決算書の誤りが確認されました。 ⑦ その他・・・1件(指摘事項の 0.3%) ・ 他土地改良区と重複した土地があり、管理すべき施設が整理されていません。 -7- 栃木県農地整備課 3 指摘事項の対応について (1) 改善策の提出 検査結果の内容において指摘事項があった場合、土地改良区等に対し改善策の提 出を求めています。 なお、指摘事項に係る土地改良区等への指導・助言は、関係農業振興事務所が行 っています。 (2) 管理台帳の整備 農業振興事務所は、土地改良区等から提出された改善策に基づき、管理台帳を作 成し、指導事項に係る改善が図られるまで指導・助言及び進行管理を行います。 (3) 検査及び指導のフロー 土 検査実施 地 改 良 区 等 改善策提出 指導 立 会 い 改善指導・助言・進行管理 農 業 振 興 事 務 所 結果通知 管理台帳提出 管理台帳提出 栃 木 県 農 地 整 備 課 (4) 会議等への主な付議事項 ■ 総(代)会・・・ 維持管理計画の設定又は変更、賦課基準及び賦課方法、 定款・規約・諸規程等の設定・変更、役員の選任、 当初予算・補正予算の編成、役員等の報酬・日当等の設定・ 変更、事業報告・収支決算・財産目録の承認など ■ 理 事 会・・・ 請負・随意契約の方法、指名業者の選定、滞納金の減免 項・説明種目相互間の流用、予備費の充用など -8- 栃木県農地整備課 4 参 考 資 料 (1) 土地原簿及び組合員名簿(土地改良法第 29 条) ■土地原簿(土地改良法施行規則第 24 条で定める記載事項) 番号 氏名又は 名 称 権利の目的たる 土地の所在 地目 用途 地籍(㎡) 権利の種類 備考 権利(権原)の種類とは・・ ・所有権 ・使用賃借による権利 ・賃借権 などです。 ■組合員名簿(土地改良法施行規則第 23 条で定める記載事項) 番号 氏名又は 名 称 生年月日 住所 施行令第 4 条 4 項 に規定する土地 備考 総代選挙において、2以上選挙区 に複数の土地を所有する場合、 届出した土地の所在地を記載し ます。 (2) 経費分担の基準(定款例第 24 条) (経費分担の基準) 第24条 第4条第1項第1号及び第2号の事業に要する経費に充てるための賦課金 は、予算の定めるところにより、当該事業の施行に係る土地につき地籍割に賦課する。 2 前項の規定にかかわらず各事業に共通する土地改良区の運営事務費に要する経費 に充てるための賦課金は、土地改良区の地区内にある土地の全部につき地籍割に賦課 する。 いわゆる「事業賦課金」です。 いわゆる「運営賦課金」です。 当該事業の施行に係る土地とは、農用 地及び土地改良施設の新設・変更・維持 前項の「事業賦課金」とは別にして すべての土地に対し賦課します。 管理を行う区域の受益地です。 例えば、定款第4条で土地改良区の一 事業賦課金に係る賦課に当た 部区域で圃場整備事業を実施すること っ て は 、維 持 管 理 や 整 備 事 業 な を記載した場合は、維持管理事業費とは どの受益地に対して、地積割、 別にして賦課します。 水量割、その他、客 観的な基準 とすることが重要です。 -9- 栃木県農地整備課
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