海外安全対策情報(平成26年10月~12月期) 1.社会・治安情勢 (1

海外安全対策情報(平成26年10月~12月期)
1.社会・治安情勢
(1)2002年の独立後は,国連等の支援の下,平和の回復・定着を進めた。2006
年には一部国軍兵士による待遇改善要求デモが暴動に発展する事案,2008年2月には
当時のラモス=ホルタ大統領及びグスマン首相襲撃事件が発生したものの,この様な危機
にも,国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)や国際安定化部隊(ISF)等の
支援を受け,その都度,平和的な解決を図ってきた。
(2)警察機能については,2009年5月,国内の治安維持を担当していた国連警察
(UNPOL)から東ティモール国家警察(PNTL)への警察権限委譲が開始され,2
011年3月には東ティモール全土で警察権限の委譲が完了した。2012年に実施され
た大統領選挙及び国民議会議員選挙がおおむね平和裏に終了し,東ティモールが紛争から
の回復・和解を進め,安定的な開発段階に入ったことを受け,UNPOLは同年10月に
任務を終了するとともに,UNMITも同年12月をもって完全撤収した。
(3)現在,当国の犯罪情勢は一般的に落ち着いており,また単に外国人であることを理
由に,凶悪犯罪の標的とする社会的背景は見られない。ただし,急速な開発の影響から,
社会格差や失業問題は悪化しており,特に首都ディリ及び近郊においては,若年層による
暴力・暴走行為などの社会問題化が懸念されており,潜在的な治安リスクは払拭されず,
治安の悪化を想定した安全対策は必要である。
(4)当国では,民族・宗教を背景とする対立はなく,テロの原因となりうる社会的環境
は見られない。また,イスラム過激派の当国侵入の動きも確認されていない。しかしなが
ら,過去の紛争に起因する和解は進んでいるものの,未だ併合派に対する反感は払拭され
ておらず,潜在的な脅威として残っている。
(5)安全対策上参考になる事件・事故
(ア)10月18日夜,ディリ市ベト地区で2つの若者グループの争いが発生。4名が負
傷。争いには弓が使用された。
(イ)11月10日朝,ディリ市タイベシ地区のマーケットで投石行為が発生。被害の状
況は不明。
(ウ)12月13日夜,ディリ市コルメラ地区のコンサート会場で3名の若者が何者かに
刺される事件が発生。1名は重傷。
(エ)12月19日夜,ディリ市パンタイクラパ地区でバイクに乗っていた男性が何者か
に殴られる事件が発生。男性は病院に運ばれたものの頭部の被害が大きく死亡。
(オ)12月22日未明,バウカウ県ラガ地区でマーシャルアーツグループ間の衝突が発
生。3名死亡,5名負傷,5軒の家が焼かれた。
2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)当国警察等の犯罪統計による事件発生件数は次のとおり。
総数
殺人
傷害
誘拐
性犯罪
窃盗
強盗
2014年10月
244件
3件
88件
0件
5件
22件
0件
11月
212件
3件
93件
0件
3件
13件
0件
12月
267件
2件
130件
0件
7件
17件
5件
(2)邦人被害事案
(ア)11月26日夜,ディリ市パンタイクラパ地区で,帰宅途中にあった在留邦人の車
両にバイク(現地人男性の2人乗り)が併走し車両の窓ガラスを執拗に叩き制止を求める
事案が発生。停止を求められる理由に身に覚えがなかったため,警察の配置されている場
所まで車両を走行させたところ,バイクは逃走した。
(イ)12月26日未明,日本のNGO事務所で空き巣が侵入,パソコン2台等の盗
難被害。人的被害はなし。
(ウ)12月27日午後,ディリ市パンタイクラパ地区で,邦人女性が複数(6~7
名)の子供達から胸等を触られる被害が発生。金品等の盗難被害はなし。
(3)強盗,殺人,強姦
何れも邦人被害の事案は発生していない。
3.テロ・爆弾事件発生状況
テロ・爆弾事件は発生していない。
4.誘拐・脅迫事件発生状況
邦人被害の誘拐・脅迫事件は発生していない。
5.日本企業の安全に関する諸問題
関連情報はない。
(了)