資料1 第2回研究会における主な御意見 第2回研究会における主要なご意見は次のとおり。 1.カルタヘナ法の適用について 玄米は胚芽があるので、発芽能力があり、カルタヘナ法の生物にあたる。胚 芽が取れた白米はカルタヘナ法の生物には該当しない。(髙野センター長) 遺伝子組換えカイコの蛹が繭の中で生きていれば、カルタヘナ法の適用を 受ける。(鈴木室長) 2.遺伝子組換え生物の生物多様性について 組換え体の外部漏出や風評被害が問題であり、遺伝子組換え植物の野外 栽培候補地は慎重に決める必要。(髙野センター長) 遺伝子組換えカイコと野生のクワコの交尾は自然条件下では困難。(瀬筒 委員) 3.GMP 適合性 GM 遺伝子組換えカイコの場合、カイコの卵から GMP 管理になるのではない か。(冨田委員) 花粉症治療米は、カプセル剤にすれば栽培工程の GMP 管理は必要ないが、 自主基準として運用し、作業内容を記録することにしている。(高野センター 長) バイオ医薬品の GMP 管理において、通例、出発物質移行が規制当局の直 接の調査対象となる。製造に利用する培地や試薬、フィルター等も最終製品 の品質に影響が生じることを念頭に置く必要があり、医薬品製造販売企業 は、医薬品製造工程で使用する原材料の品質が適切であることを確認する 必要がある。(石井委員) どの物質が GMP 管理の出発物質になるかは、化学薬品においても議論が 進行中。原薬の品質に及ぼす影響を考慮して出発物質を検討する必要。 (石井委員) 4.バイオ医薬品の品質管理 バイオ医薬品の開発と製造では、品質の確保、安定供給が重要。医薬品と して承認されるまでに同じ品質で安定生産できるシステムを確立しておく必 要。市販後は、臨床試験を繰り返すことなく品質管理によりヒトへの有効性 を担保するのが医薬品(承認書に記載された製造方法を変更する場合は, 一部変更承認申請や軽微変更届出が必要)。(石井委員) イネ・カイコでも、原料・原薬の品質評価方法、栽培・飼育工程が品質に及ぼ す影響についてのデータを蓄積すれば、品質確保の適切な手法が見つかる。 (石井委員) バイオ医薬品の品質のリスクマネジメントは、品質特性の解析、リスクの数 値化、重要品質特性(CQA)の特定という流れ。どのように CQA を決定した かの明確化が、品質管理手法の構築や、規制当局とのコミュニケーションに 役立つ。また、品質確保のためには、CQA を適切な範囲に収める必要があ り、その範囲はケースバイケース。(石井委員) 経験に基づいて恒常性の確保を目的に品質管理戦略を構築する従来の Quality by Testing に対し、より進んだ手法として、科学及び品質リスクマネ ジメントに基づいて有効性安全性との関連を明らかにしながら品質管理戦 略を構築する Quality by Design が提唱されている。(石井委員) 5.花粉症治療イネの有効成分 花粉症治療米は、抗原タンパク質をシャッフル、融合化して抗原性を抑えた タンパク質が有効成分。難消化性タンパク質顆粒 PB-I 分画に成分を高蓄積 することで、これまで医学会で否定されてきた経口免疫を実現できる可能性。 (高野センター長) 東大の清野先生のグループではコレラワクチンを含むムコライスの医師主 導型治験を開始。先進的な医薬品開発は企業が出資しにくく、医師主導型 治験を推進すべき。花粉症治療米もこれを利用すれば、有効性を示せるの ではないか。(坂元委員) 6.花粉症治療イネの栽培基準 隔離ほ場で栽培した花粉症治療米は、タンパク質の翻訳後修飾等に大きな 変化は認めていない。一方、タンパク質量は気象条件、栽培条件等で増減 するため、栽培方法を一定化することで品質を安定化させる必要。(髙野セ ンター長) 薬用作物であれば、最終的に成分量を調整できるが、医薬品としての花粉 症治療米の場合、栽培段階において、ある一定の範囲に入ることが要求さ れる。(髙野センター長) 7.食品へのコンタミリスク防止 タンパク質の構造を改変しているとは言え、アレルゲンを組み込んだコメとな るため、食品へのコンタミはゼロリスクを求めざるを得ないのではないか。花 粉飛散による通常の主食用米へのコンタミ防止や栽培段階での厳格な区分 管理をどのように措置するかの議論が必要ではないか。仮に、それら措置を 講じてもゼロリスクが無理であれば、食品の安全性としてのリスク評価を行 う必要があるのではないか。(鈴木室長)
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