藍高だより - 北海道札幌英藍高等学校

発行日 平成 28 年5月2日
藍高だより
北海道札幌英藍高等学校
平成 28 年度第2号
(通算 13 号)
〒002-8053
札幌市北区篠路町篠路 372-67
℡011-771-2004
■時を守り 場を清め 礼を正す
本校のすべてのホームルーム教室には生徒指導部
の掲げる本校生徒指導の三原則
ただ掃除をやらされることではなく、掃除に主体
的に取り組むことで、以下の心が育つからです。
・気づく心
・素直な心
時を守り 場を清め 礼を正す
・謙虚な心
が掲示されています。
・感動の心
・感謝の心
これは、教育者であり哲学者でもあった森信三さ
どんな仕事でも、ただやらされているという認識
んが残された言葉です。
で業務だけこなしている人間と、心を込めてその業
世の中で活躍できる可能性を高めるためには、で
務を少しでも良い状態に仕上げようとする人間と
きることを増やすために、いろいろな能力を伸ばさ
では、たとえもらえる給料が同じであったとして
なければなりません。学力はそんな能力の典型です。
も、周囲の人間から与えられる「信用」や「ありが
ですから、学ぶ機会を与えられたのであれば、その
とう」に大きな開きが出てしまいます。
機会を最大限活かすべきなのです。
掃除の時間だけでなく、お世話になった環境に対
だからといって、せっかく高い学問を身につけて
して、感謝の心を込めて「来たときよりも美しくす
も、根本となる人間性を磨かなければ、社会で幸福
る」。そんな心配りが出来る人間になりましょう。
に生きていくことは難しいとも言われます。
学校は学力だけではなく、体力・人間力も磨くこ
とで、社会で愛され、幸福に生きていく力を総合的 ●礼を正す
企業の求める人材には“明るい人”と書かれてい
に伸ばす場所です。そのような人間になってもらう
ます。では、ムリしてでも明るくふるまわなければ
ための三原則です。
ならないのかというと、そうではありません。
今回は、その意味を考えてみたいと思います。
基本となる「挨拶」と「返事」を明るくするだけ
でその人の印象はガラリと変わります。
●時を守り
職場で「おはよう」と声をかけたときに、相手に
社会で生きていくうえで、一番大切なのは「信用」
聞こえるように「おはようございます」と返したり、
です。狼少年の寓話にもあるように、「信用」がな
「○○さん」と声をかけられたときに、「はい」と
い人は誰も助けてくれなくなります。
素直な返事をするだけでいいのです。
「信用」の基本は時間を守ることです。
それだけで人間関係がよくなります。聞こえない
また、5分前までに行動し、準備を整えておく人
程度の反応だと、相手からすると「無視されたので
間と、ぎりぎりまで行動しない人間とでは、有効に
は?」などと思われ、人間関係を壊すことにつなが
使える時間が大きく変わってきます。
ります。
元気な挨拶・明るい返事を身につけましょう。
●場を清め
ある小学校の校長は、「教室を見た瞬間にすべて
がわかる。雑草だらけの畑でいい作物が育たないよ
うに、雑然とした教室でいい子が育つわけがない」
と言っていました。
自動車用品販売業のイエローハット創業者の鍵山
秀三郎さんは、“掃除道”を提唱し、掃除は心磨き
とも言っておられます。
森信三先生は「足もとの紙くず1つ拾えぬ程度の
人間に何が出来よう」とも言っています。
なぜ掃除がそこまで大事なのでしょうか。
学校敷地内は禁煙です。
平成 16 年3月 17 日教育長決定
「道立学校喫煙対策に関する指
針」によって、道立学校敷地内は
全面禁煙となっています。敷地停
車中の車両内も含まれます。
この3原則は、相手のことを考えた行動ができる
ようになろうという考えが根幹にあるのです。
■5月の予定
2(月) 支部壮行会
6(金) 生徒総会、奨学金説明会(3年次)
9(月) 携帯電話安全教室
10(火) 交通安全教室
12(木) hyper-QU(全年次)漢字コンクール
13(金) PTA合同専門委員会
16~27 高体連支部大会
18(水) 尿検査(3次)
20(金) 第2回公務員全国公開模試(3年次)
28(土) 第1回全統高2模試
第3回就職・公務員模試(3年次)
31(火) 考査1週間前
身だしなみ強化週間
■読書のススメ
多感な高校生の時期には、
いろいろな悩みを抱えがちで
す。そんな時、メンター(人
生の指導者・助言者)を持つ
ことで楽になることがありま
す。
自分が大変な状況になると、自分だけが悲劇の主
人公になってしまったような気がします。「もうダ
メだ。どうにもできない…。」今までに体験したこ
とがない悲劇に、どのようにして乗り越えられるか
がわからないことから、もう絶対に解決できないと
思い込んでしまうことがあります。そんな思い込み
からネガティブな行動パターンに陥ってしまうのだ
けは避けたいものです。
世の中には、自分以上に大変な状況を経験した人
がいるものです。そんな人が何を考え、どのように
生きてきたのかを知ることで、困難を乗り越えるヒ
ントを得ることができたりもします。
自らの周囲でそのような経験を持つ素晴らしいメ
ンターと出会えればよいのですが、なかなか期待で
きません。数多くの自分と違う生き方に触れ、その
中から自分に向いている解決策を見出すためには、
いろいろな本を読むことが有効です。
自分があこがれる登場人物だったら、自分のよう
に悩んだときにどう考え、行動するのかを考え、真
似をしてみることで解決することもできるのです。
私の場合、もしかしたら重篤な病気かもしれない
と医者に言われたことがありました。最悪のシナリ
オどおりだと死を覚悟しなければなりませんでし
た。そんなとき、友人から心理学者 V.E.フランクル
の本を薦められました。
ユダヤ人の彼はナチスのアウシュビッツ強制収容
所に収容され、終戦後解放された経験を持ちます。
彼はその過酷な生活の中で、生きることをあきらめ
た人から死んでいったと感じます。そこから、人生
に起きるすべてのできごとや人生のすべての瞬間に
存在する意味が重要なのだとするロゴ・セラピーの
考えを提唱します。
私はこの本のおかげで、万が一余命が宣告された
としても、残された人生に意味をもたせるような生
き方をすればよいのだと考えることができました。
(結局、最悪のシナリオは避けられましたが。)
ぜひ、多くのよい本と出会うことを願っています。
「僕は読書が大好きだ。もっと多くの人に本を読む
ようアドバイスしたい。本の中には、まったく新し
い世界が広がっているんだ。旅行に行く余裕がなく
ても、本を読めば心の中で旅することができる。本
の世界では、何でも見たいものを見て、どこでも生
きたいところに行ける。」(マイケル・ジャクソン)
家庭でも「キャリア教育」!(5)
~利他の精神~
教頭 矢橋 佳之
Give&Take という言葉があります。
“Give”は「あげること」、“Take”は「も
らうこと」です。
Give&Take は「してあげたらしてもらえた」
となります。結果として、「してもらえた」ので
あれば良いのですが、見返りを期待して、「して
あげたのにしてもらえなかった…」などと考える
とトラブルの元になりかねません。
では、
Give と Take を入れ替えた Take&Give
はどうなるでしょう。
「してもらえたからしてあげた」となります。
これは見返りがなければしてあげないというこ
とになります。自分が受け取るものの有無や量に
よってしてあげるかどうか、どの程度してあげる
かが決まります。ある意味、受け取ったものにみ
あう反応しか返さないので、損はしないのですが
ちょっと卑しくなります。目先は損していなくて
も、行き過ぎると「信頼」を失うという大きな損
をしてしまうこともあるかもしれません。
もっとも卑しいのは Take&Take。「してもら
い、してもらう」。困ったトラブルメーカーさん
の可能性大です。あれもして欲しい、これもして
欲しい…。要求ばかりで自分は何もしない。この
意識で許されるのは、赤ちゃんくらいではないで
しょうか。
あと一つあるのは Give&
Give。これは「してあげて、
してあげる」です。見返りを
求めず、与え続ける。ものす
ごく高貴な感じがします。こ
れは親の愛だという人もいま
した。
会社を選ぶときに「給料が高くて、休みが多く
て…」などと、社員として受け取るものばかり考
えて選ぼうとする人もいます。ちなみにそんなに
条件が良い職場ならば、みんなが殺到し、簡単に
入れるわけがありません。
矛盾するような気もしますが、会社に対して
「自分は何をすることができるのか」まで考えら
れる人間のほうが、結果的には多く受け取ること
ができる会社に入れる可能性が高まるのです。
「働く」の語源は「はた(傍)をらく(楽)にする」
にあると言われます。誰かのためになることで、
感謝の証として代償を受け取ることができると
いうのが「働く」のメカニズムです。
世の中の人たちに与えられることを少しでも
増やすためにいろいろな能力を高める。高校生が
学ぶ必要性は、そういうところにもあるのです。