岩沼市水道事業ビジョン概要版

概要版
岩沼市水道事業ビジョンの策定にあたって
岩沼市の水道事業は、昭和 28 年に創設され、昭和 30 年から給水を開始し、その後、人口増加に併
せて給水区域の拡張と施設の更新に取り組み、安心・安全で良質な水道水を安定して供給する体制の構
築に努めてきました。
しかし、今後の日本の人口減少傾向は確定的で、岩沼市においても、給水人口や給水量が減少し、料
金収入の減少が見込まれます。さらに、水道施設の老朽化に伴う更新需要の増大、東日本大震災を踏ま
えた防災対策の見直しなど、非常に厳しい事業環境の変化に直面しています。このような状況の中で、
水道事業を持続させるための問題解決を図るには、関係者が目指すべき将来像を共有し、それぞれの役
割を果たしつつ、強いつながりの下で一丸となって対応していく必要があります。
岩沼市では、将来にわたり、安心・安全で良質な水道水を、安定的に供給し続けるために、現状分析
を行って課題を明らかにするとともに、それらの課題を解決するために今後の目指すべき将来像と取り
組むべき施策を示す「岩沼市水道事業ビジョン」を策定しました。
岩沼市水道事業ビジョンでは、50 年~100 年先というような長期的な将来を見据えた上での、今後 10
年(平成 28 年度~平成 37 年度)にわたる水道事業経営に関する施策目標を定め、今後の水道づくりの指
針として示します。
水道事業の概要
岩沼市の水道事業は、昭和 28 年に当時の岩沼町において創設され、昭和 30 年から給水を開始しま
した。これまでに 4 度の拡張事業を行い、人口増加に併せて給水区域の拡張と施設の更新に取り組み、
現在に至っております。
第 3 次拡張事業では玉崎浄水場を建設し、第 4 次拡張事業で、岩沼市全域を給水区域に拡張しまし
た。また、不足水量を充足する水源として、宮城県営仙南・仙塩広域水道用水供給事業より受水してい
ます。
年度
項目
行政区域内人口
給水区域内人口
給水人口
普及率
生活用原単位
生活用有収水量
生活用以外有収水量
1日最大配水量
1日平均配水量
1人1日最大配水量
1人1日平均配水量
有効率
有収率
負荷率
(人)
(人)
(人)
(%)
(㍑/人/日)
(m3/日)
(m3/日)
(m3/日)
(m3/日)
(㍑/人/日)
(㍑/人/日)
(%)
(%)
(%)
既認可計画
S54
55,740
55,740
55,740
100.0
230
12,820
10,424
36,850
27,640
661
496
90.0
84.1
75.0
現状
H26
44,059
44,059
44,018
99.9
207
9,118
3,866
17,128
14,698
389
334
93.0
88.3
85.8
推計
H37
42,471
42,471
42,463
100.0
208
8,832
3,866
16,858
14,093
397
332
95
90.1
83.6
水源別
水源
施設名称
自己水源 阿武隈川表流水 玉崎浄水場
受 水 上水受水(七ヶ宿ダム) 仙南・仙塩広域水道
合 計
※1 H27~H31までの契約水量
施設能力(m3/日)
最終
計画年次
16,600
16,600
21,800 ※1 11,000
38,400
27,600
主な施設
施設名
施設能力
玉崎浄水場
15,050m3/日
根方高区配水池
5,200m3
根方低区配水池 10,000m3
志賀第一配水池
30m3
志賀第二配水池
30m3
水需要の見通し
岩沼市の給水人口は、平成 21 年度の 44,347 人をピークに減少傾向となっていましたが、平成 25
年度からわずかですが増加に転じ、平成 26 年度末には 44,081 人となっています。しかしながら、
今後の人口予測では再び減少傾向となり、目標年度である平成 37 年度には 42,463 人となる見通し
です。
給水人口の減少に伴って、一日最大配水量も減少していくと見込まれており、平成 37 年度には現状
よりも 270m3/日少ない 16,858m3/日になる見通しです。
19,000
44,500
44,000
給水人口(人)
43,000
17,000
42,500
16,000
42,000
15,000
41,500
41,000
一日最大配水量(実績)
一日最大配水量(推計)
40,500
給水人口(実績)
給水人口(推計)
40,000
14,000
H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37
一日最大配水量(m³/日)
18,000
43,500
13,000
水道事業の現状における問題点と課題
現状分析の結果を踏まえ、岩沼市水道事業ビジョンが目指すべき方向、目標を整理する基となる本市
水道事業が抱える課題を抽出・整理すると、以下のようになります。
目標
安 全
課 題
1.浄水施設の適切な更新
老朽化した玉崎浄水場の設備更新
2.水質管理の維持
現行水質管理の継続的維持
3.給水水質の向上
給水水質の維持、鉛製給水管の解消
1.安定した水源の維持
二つの水源(自己水と受水)の維持
2.施設の耐震化
配水池の耐震化、管路の耐震化
3.バックアップ機能の強化
停電、落雷対策、配水池の適正な運用、管路のバックア ップ
管の整備
4.危機管理システムの強化
応急給水施設の整備、応急復旧・応急給水体制の強化
1.事業経営の効率化・強化
健全財政の強化、組織の強化、人材育成、業務の効率化の
推進
2.効率的な施設の整備
老朽化施設及び管路の更新、漏水防止対策の推進
3.利用者サービスの充実
広報充実、利用者ニーズの把握、サービスの充実
強 靭
持 続
課題の概要
岩沼市水道事業の目指すべき方向
これからの岩沼市水道事業は『すべての市民に安心で良質な水道水を安定して供給する水道』を基本
理念として掲げ、
「新水道ビジョン」により水道における政策目標として示された「安定」「強靭」「持
続」の3つの視点により、今まで以上に水道事業のレベルアップとサービス向上を目指した事業運営に
取り組むことを基本目標としていきます。
この基本理念を実現するためには、水道法の精神である「清浄にして豊富低廉な水の供給を図る」を
念頭に置いて、目指すべき将来像について共有できるイメージを持つことが必要となります。
そのために、本市水道の将来像として、次の 3 つの基本方針を示し、施策の推進を図ります。
フォローアップ
計画への反映
岩沼市水道事業ビジョンで示した施策を
確実に実施していくため、以下の点に留意
して事業運営に取り組みます。
改善策の検討
計画の策定
【 A ction】
・未達成目標への対応
・新たなニーズの把握
【 P lan】
・ビジョン(目標)の設定
・基本計画の策定
①PDCAサイクルに基づき、継続的に改
善を図りながら、効果的・効率的に事業
を運営します。
情報開示・収集
説明責任
PDCAサイクル
(持続可能な発展)
実施計画の策定
②岩沼市水道事業ビジョンは、変化する事
業環境に対応するため、計画期間の中間
であっても必要に応じて見直しを検討し
達成状況の確認
事業の推進
【 C heck】
・事後評価の実施
・顧客満足度の把握
【 D o】
・事業の実施
・進捗状況の管理
ます。
実施結果の整理
岩沼市水道事業ビジョンにおける基本理念と施策
基本
施策
安
心
・
水安
道全
安 水で
を良
全 提質
供な
す
る
水
道
強
靭
災
害
に
強
く
安
定
し
て
供
給
す
る
水
道
、
運
営
基
盤
を
強
化
し
持
続
健
全
な
財
政
と
利
用
者
満
足
度
の
高
い
水
道
施策目標
浄水施設の適切な更新
主要施策
事業内容(概要)
浄水処理施設の適切な更新
・老朽化した浄水処理施設の補修・設備の更新を行います。
給水水質監視設備の維持
・市内の給水栓3ヶ所に水質自動測定装置を設置し、玉崎浄水場中央管理室
において、常時監視制御しています。今後とも給水水質の監視を継続してい
きます。
水質検査体制の維持
・現在の水質検査体制を維持し、水質の監視を行います。
水質管理の維持
・漏水工事や布設替え工事の他、管路の耐震化工事や、老朽管の布設替え
工事の推進と併せて、早期の鉛製給水管の解消についても努めていきま
す。
給水水質の向上
・年に1回、管内に沈澱した砂・錆等を取り除く洗管作業を実施しています。水
配水管洗管の継続
質維持のため、洗管作業は継続して行っていきます。
・貯水槽水道施設の安全確保のため、貯水槽水道施設の管理者に対して、
貯水槽水道への関与
水質の適正な管理に関する指導・助言を行います。
・岩沼市の水道では、阿武隈川を水源とする自己水と仙南・仙塩広域水道か
地震等の災害や水質事故等の
安定した水源の維持
ら受水の2つの水源を持っています。今後も非常時に備えて、この2水源を維
非常時に対応した水源の維持
持していきます。
・根方高区配水池、根方低区配水池について、優先して耐震化を進めていき
主要施設の耐震化
ます。
施設の耐震化
・基幹管路及び重要管路については、φ75mm~φ300mmの口径があり、総
基幹管路の耐震化
延長で13,518mとなっております。これらの管を優先して耐震化工事を進めて
いきます。
・自家発電設備は、老朽化し容量も不足してきたことから、更新を行います。
停電、落雷対策の強化
制御技術の向上や情報電子化等により落雷被害を防ぐための対策も行って
いきます。
バックアップ機能の強化
・容量については、十分確保されています。水需要の推移を見ながら緊急貯
配水池容量の適正な運用
水量と滞留時間のバランスを考慮して、配水池を運用していきます。
バックアップ(バイパス)管路
・ボトルネックとなる箇所での事故は被害を拡大することから、被害を最小限
の整備
に抑えるためにバックアップ管路の整備を行っていきます。
・市内3ヶ所に耐震性貯水槽が設置されていますが、管理・運用は、防災課
応急給水施設への関与
のため、非常に備えて、運用方法、情報提供、有事における応急給水の確保
危機管理システムの強化
を図ります。
応急復旧・応急給水体制の
・応急給水拠点の整備、資器材の備蓄、調達ルートの確保、マニュアルの整
強化
備等を行い、応急給水・復旧体制の充実に努めます。
・人口減少に伴う給水収益の減少、老朽化に伴う膨大な施設更新事業が見
健全財政の強化
込まれるなか、水道を「持続」させるための事業計画・財政計画との調和を図
りながら料金の適正化について検討していきます。
・老朽化に伴う膨大な施設や管路更新が見込まれ、現在の体制での管理が
組織の強化
難しくなるため、職員の増員も視野に入れながら有能な人材を確保、育成す
る組織づくりを進めます。
事業経営の効率化・強化
・水道事業は、多面的な知識が必要となるため、職員研修等の充実による人
人材育成
材育成を図るとともに、退職者(OB)の豊富な技術・知識の有効活用について
も検討を行います。
・管路情報システムのデータ内容の拡充を行い、維持管理の向上と業務の
業務の効率化の推進
効率化を進めます。また、料金収納は直営で行っていますが、これについて
も委託する方向で検討します。
・浄水処理施設については、電気計装設備・機械設備の更新を進めます。老
老朽化施設及び管路の更新 朽管については、昭和55年以前に布設された管路約29kmを優先して更新し
ます。
効率的な施設の整備
・漏水対策の施策として、①計画的な漏水調査作業、②配水管の更新事業、
漏水防止対策の推進
③迅速な修理体制を継続して実施します。また、水圧の高い区域について
は、減圧弁の見直しを行い、適正水圧を確保します。
・さまざまな情報を広報誌、ホームページや各種メディアを活用し、水道水の
広報の充実
安全確保の取り組み、水道水質の情報及び水道料金等の受益と負担につい
ての情報をわかりやすく提供するよう努めます。
・ご意見やご要望を実現していくために、アンケートやインターネットを利用し
利用者ニーズの把握
た広聴活動についても取り組み、これらにより収集された顧客ニーズについ
利用者サービスの充実
て職員で情報共有化する仕組みづくりに努めます。
・市民にとって、利便性の高い水道サービスの提供を目指して、地元の水道
工事業協同組合と連携して迅速な対応ができるように努めてまいります。水
サービスの充実
道料金の支払い方法についても多様化を検討するなど、お客様サービスの
向上に努めます。
鉛製給水管の解消