研究者 氏名 一井 康二 所属 広島大学大学院工学研究院社会環境空間部門 役職 准教授 項目 一般課題 ⑧公共施設の維持・管理に関するもの テーマ ラジコンボートと画像解析による床版劣化度把握技術の開発 港湾構造物の多くは厳しい海洋環境下にあって劣化進行が著しい反面、波浪条件ドでの安全確保 が難しいため、定期的な劣化状態の把握は容易ではない。例えば、桟橋床版ではボート調査やダイ バーによる調査が一般的だが、調査実施が大掛かりな上に、定性的な評価に留まる。そこで本研究で 研究内容の は、ラジコンボ一トに設置したカメラからの撮影画像による桟橋床版の3次元形状復元手法を開発す る。 重要性 本研究開発により、金国各地に存在する公共施設の桟橋に対し、①簡便に、②安全を確保しつつ、 ③定量的な劣化把握が可能となり、施設利用時の安全確保および合理的な維持管理計画の立案が 可能となる。 研究内容 1.撮影システム(カメラ搭載ラジコンボート)に以下の改良を加える。 ①リモートでの状況把握 ②形状復元用カメラ:撮影角度の調整機能 ③モーションセンサーの追加に よる位置把握機能 ④アウトリガー等による安定性向上 2.劣化度や劣化範囲の異なる桟橋床版模型を作成し、制作した撮影システムにより撮影、画像解析 研究計画・ を行って、形状復元を試みる。形状復元のソフトウエアは、これまで検討に用いていたもののほか、今 方法の妥当 後の普及を考慮して、市販されているソフトウエアの適用も試みる。 性 ①適切な撮影位置、撮影枚数、シャッタースピード(種々のバリエーションで形状復元を行い、適用性を 検討) ②形状復元結果の精度 ③適切なデータ処理手法の提案 3.実際にボートやダイバーによる調査が行われている桟橋を対象に、現場計測を行い、提案手法の 適用性を検証する。特に、現場の条件を考慮して、形状復元結果の座標系の設定手法を提案する。 本研究開発は、ドローンの普及とともに、各方面で研究や応用が進んでいる技術の港湾版である。 他の構造物を対象とした場合と同様の検討手法が適用できるものの、撮影方法(ドローンではなくラジ コンボート)やデータ処理(コンクリート剥落)において港湾の特徴に配慮した検討が必要であり、そこに 研究内容の 本研究開発の特色があるといえる。 独創性 また、画像解析の専門家と港湾構造物の設計実務の専門家が研究者に加わり、撮影方法や画像解 析の理論的な検討から、現場計測時における安全管理・関係各位の了解までの研究体制を確立して いる。 ①国・地方公共団体が管理する港湾施設の桟橋において、定期的な点検が困難な床版下面に対し、 ダイビング等の特殊な訓練を経ていない行政の技術者によっても点検を行うことが可能となる。 ②記録された画像は、後日の形状復元も可能である。観測日時との関連付けにより、劣化進行予測 の基礎資料となる。 研究内容の ③画像データに基づく定量的な劣化進行の把握は、今後、橋梁等でも急速に普及すると思われ、港湾 波及効果 構造物を対象とした技術の確立と普及は、港湾分野の企業等の技術力向上・維持への貢献度が高 い。 ④定量的な残存耐力評価は、既存の施設の維持管理計画・更新計画・改良設計において重要なデー タとなる。 前年度の助 成実績との なし 関係
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