瑞浪市健康づくり計画 みずなみ健康21(第2次) 計画書

瑞浪市健康づくり計画
みずなみ健康21(第2次)
平成 28 年度~平成 32 年度
平成 28 年3月
瑞 浪 市
はじめに
瑞浪市は、健康づくり計画「みずなみ健康21」を平成 18
年度に策定し、この計画に沿い平成 27 年度までの 10 年間、
市民の皆様、関係機関、関係団体等の皆様のご協力により市
民の健康づくり対策を推進してきました。
これまでの計画は、主として生活習慣改善による健康増進
と疾病予防である「一次予防」に重点を置き、健康寿命の延
伸を目指し対策を進めてきました。
しかし、高齢化の進展や社会環境の変化により、虚血性心
疾患や脳血管疾患、糖尿病などの生活習慣病が医療費や介護保険への負担が大きな社
会問題となっており、これまでの取り組みを見直すことが必要となってきました。
そこで、今回、国が示す「健康日本21(第2次)
」の基本的方向性を基に、市の健
康課題を踏まえて目標項目を掲げ、乳幼児から高齢者までの全ての市民を対象とした
「みずなみ健康21(第2次)
」を策定しました。この計画は、生活習慣病予防に重点
を置きながら、
症状進展などの重症化予防を重視し取り組むことを主軸としています。
取り組みにつきましては、市民一人ひとりが健康への意識を持ち、生活習慣への理
解と関心を深め、自らの健康を自覚して、主体的な健康づくり活動を実践しくことが
基本となっています。また、その取り組み(実践)を支援するために関係機関、関係
団体、行政等が連携を図り、地域社会や職域における役割も位置付けた内容となって
おります。
市民の皆様の健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指して、計画を推進してまいり
ますのでご理解とご協力をお願い申し上げます。
平成 28 年3月
瑞浪市長
水野 光二
目
序章
第1章
第2章
第3章
第4章
次
計画の策定にあたって
1
計画策定の趣旨 ...........................................1
2
計画の方向 ...............................................2
3
計画の性格 ...............................................3
4
計画の期間 ...............................................4
5
計画の対象 ...............................................4
健康を取り巻く状況と課題
1
人口 .....................................................5
2
死因・疾病から見る健康状況 ...............................8
3
医療保険制度等からみた瑞浪市の健康概況 .................. 13
4
医療機関の充足 .......................................... 16
計画の基本的な考え方
1
全体目標 ................................................ 17
2
計画の基本的な方向 ...................................... 17
3
目標設定 ................................................ 17
課題別の実態と対策
1
生活習慣病の発症予防と重症化予防 ........................ 21
2
生活習慣及び社会環境の改善 .............................. 48
3
個人の取り組みでは解決できない地域社会の健康づくり ...... 65
計画の推進と進行管理
1
健康増進に向けた取り組みの推進 .......................... 69
2
計画の進捗管理 .......................................... 71
1
瑞浪市健康づくり計画策定会議設置要綱 .................... 73
2
計画策定経過・策定委員名簿 .............................. 75
3
用語解説(50 音順) ..................................... 77
資料編
序章
計画の策定にあたって
序章
序章
1
計画の策定にあたって
計画の策定にあたって
計画策定の趣旨
平成 12 年度より展開されてきた国民健康づくり運動「健康日本21」は、壮年期死亡の
減少、健康寿命の延伸、生活の質の向上を目的として、健康を増進し生活習慣病の発症を
予防する「一次予防」を重視した取り組みが推進されてきました。
平成 25 年度から平成 34 年度までの「二十一世紀における第二次国民健康づくり運動『健
康日本21(第2次)
』」
(以下「国民運動」という。
)では、21 世紀の日本を『急速な人口
の高齢化や生活習慣の変化により、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病等の生活習慣病の
医療費は約3割となる中で、高齢化の進展によりますます病気や介護の負担は上昇し、こ
れまでのような社会成長が望めないとするなら、疾病による負担が極めて大きな社会問題
となる』と捉え、引き続き、生活習慣病の一次予防に重点を置きながら、合併症発症予防
や症状進展などの重症化予防を重視し、取り組みを推進するために下記の5つの基本方針
が示されました。
<基本的な5つの方向性「健康日本21(第2次)」>
①健康寿命の延伸と健康格差の縮小
②生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
③社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
④健康を支え、守るための社会環境の整備
⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の
健康に関する生活習慣及び社会環境の改善
また、これらの基本的な方向を達成するため、53 項目について現状の数値とおおむね 10
年間の目標値を掲げ、目標の達成に向けた取り組みがさらに強化されるよう、その結果を
大臣告示として示されています。
瑞浪市では、平成 17 年3月に「健康日本21」の取り組みを法的に位置づけた健康増進
法に基づき、瑞浪市の特徴や市民の健康状態をもとに、健康づくり計画「みずなみ健康21」
を策定し、取り組みを進めてきました。
今回「国民運動」の基本的な方向性等を瑞浪市として考え、これまでの取り組みの評価、
新たな健康課題などを踏まえ、瑞浪市として取り組む目標項目を掲げ「みずなみ健康21
(第2次)
」を策定、推進していきます。
1
2
計画の方向
〇これまでの取り組みを評価し、健康課題等を踏まえた上で、課題解決に向けた取り組み
ができるような計画とします。
〇科学的根拠に基づいた実行可能性のあるものを設定し、自ら進行管理できるものを目標
として設定します。
〇今回の目標項目に関連する法律及び各種計画との十分な整合性を図るものとします。
〇本計画は、事業の効率的な実施を図る観点から、医療保険者として策定する高齢者の医
療の確保に関する法律による特定健診等実施計画と一体的に推進していきます。
※特定健診等実施計画…高齢者の医療の確保に関する法律第 19 条により医療保険者が策定する計画。
基本的考え方として糖尿病等の生活習慣病対策を進め、重症化や合併症の発症を抑えることとし
ている。メタボリックシンドロームに着目し、生活習慣を改善するための特定保健指導を的確に
実施すること等が明記されている。
特定健診・特定保健指導と健康日本21(第二次)
-特定健診・保健指導のメリットを生かし、健康日本21(第二次)を着実に推進-
2
標準的な健診・保健指導
プログラム(改訂版)
図1 改変
序章
3
計画の策定にあたって
計画の性格
この計画は、第6次瑞浪市総合計画を上位計画として、健康増進法(平成 14 年法律第
104 号)第8条第2項に規定する「市町村健康増進計画」として位置づけ、市民の健康増
進を図るための基本的事項を示し、推進に必要な方策を明らかにするものです。
この計画の策定にあたっては、国の「国民の健康の増進の総合的な推進をはかるための
基本的な方針」
(平成 24 年厚生労働省告示第 430 号)を参考にし、推進にあたっては、市
民の健康の実現に関わる様々な分野別計画とも連携を図りながら、市民の健康づくりを推
進します。
■関連する計画
国
岐阜県
瑞浪市
健康増進法
第2次ヘルスプランぎふ21
(平成 25 年度~平成 29 年度)
みずなみ健康21(第2次)(案)
高齢者の医療の
確保に関する法律
第2期岐阜県医療費適正化計画
(平成 25 年度~平成 29 年度)
瑞浪市第2期特定健診等実施計画
(平成 25 年度~平成 29 年度)
がん対策基本法
第2次岐阜県がん対策推進計画
(平成 25 年度~平成 29 年度)
みずなみ健康21(第2次)(案)
介護保険法
第6期岐阜県高齢者安心計画
(平成 27 年度~平成 29 年度)
第6期瑞浪市老人保健福祉計画・
瑞浪市介護保険事業計画
(平成 27 年度~平成 29 年度)
歯科口腔保健の
推進に関する法律
第2期岐阜県歯・口腔の健康づくり計画
(平成 25 年度~平成 29 年度)
みずなみ健康21(第2次)(案)
母子保健法
第3次岐阜県少子化対策基本計画
(平成 27 年度~平成 31 年度)
第4次瑞浪市母子保健計画
食育基本法
第2次岐阜県食育推進基本計画
(平成 24 年度~平成 28 年度)
みずなみ健康21(第2次)(案)
3
4
計画の期間
本計画は、平成 28 年度から平成 32 年度までの5年間を計画期間とします。
現在、第2期特定健診等実施計画が推進されているところですが、この計画は特定健康
診査を受診することにより糖尿病等の生活習慣病の発症や重症化を予防、医療費削減等を
ねらいとした計画であり、内容的に本計画との重なりが多くあります。よって本計画と特
定健診等実施計画とは一体的に推進していきます。
特定健診等実施計画は平成 30 年度から第3期を迎えることから、この時期に中間見直し
を行います。
中間評価
H25
H26
H27
H28
みずなみ健康21
H29
H30
H31
H32
H33
H34
H32
H33
H34
みずなみ健康21(第 2 次)
一体的に推進
H25
H26
H27
H28
H29
H30
第2期 特定健診等実施計画
5
H31
第3期 特定健診等実施計画 (予定)
計画の対象
乳幼児から高齢者までを対象とし、健康課題に応じて目標を設定し、課題解決のための
取り組みを進めていきます。
4
第1章
健康を取り巻く状況と課題
第1章 健康を取り巻く状況と課題
第1章
1
健康を取り巻く状況と課題
人口
瑞浪市の人口は、平成 27 年(推計値)で 38,729 人となっています。
年齢別人口を平成 17 年と平成 27 年で比較すると、平成 17 年の年少人口(0~14 歳)が
5,960 人から平成 27 年の 4,706 人と 1,254 人減少し、生産年齢人口(15~64 歳)において
も、26,426 人から 22,465 人と 3,961 人減少すると推計されています。
一方、65 歳以上の高齢者は 9,657 人から 11,558 人と 1,901 人増加し、高齢化率も 23.0%
から 29.8%へと上昇すると推計されています。今後も人口は減少し、高齢化率は上昇して
いくと予想されます。
【人口の推移と推計】
(人)
(%)
40
80,000
実績値
70,000
推計値
32.1
33.4
35
29.8
30
60,000
26.0
50,000
23.0
40,000
42,043
5,960
0~14歳
25
40,385
5,319
38,729
37,046
4,706
4,118
35,223
65歳以上
高齢化率
3,637
15
30,000
20,000
20
15~64歳
26,426
24,564
22,465
21,034
19,819
9,657
10,502
11,558
11,894
11,766
平成17年
平成22年
平成27年
平成32年
平成37年
10
5
10,000
0
0
資料:1995~2010 年までの統計上(国勢調査)の実績値と 2015~2025 年までの国立社会保障・人口問題研究所の
「日本の地域別将来推計人口(平成 25 年3月推計)」の推計値を合わせたもの
※第 6 次 瑞浪市総合計画の人口グラフとは異なる
※実績値人口は年齢不詳数も含む
※推計値は端数の処理の関係上合計と一致しない場合がある
5
(1)高齢化の状況
今後もこのような傾向は続き、将来人口推計では、平成 37 年の人口は 35,223 人に減
少し、高齢化率は国、県のペースを上回り、33.4%に達することが予想されています。
【国、県と瑞浪市の高齢化率の推移】
単位:%
平成 17 年
平成 22 年
平成 27 年
平成 32 年
平成 37 年
国
20.1
23.0
26.8
29.1
30.3
岐阜県
21.0
24.1
28.0
30.2
31.3
瑞浪市
23.0
26.0
29.8
32.1
33.4
資料:1995~2010 年までの統計上(国勢調査)の実績値と 2015~2025 年までの国立社会保障・人口問題研究所の
「日本の地域別将来推計人口(平成 25 年3月推計)」の推計値を合わせたもの
※第 6 次 瑞浪市総合計画の人口グラフとは異なる
平成 22 年の人口と平成 37 年の推計人口で人口ピラミッドの比較をしました。
【人口ピラミッド】
平成22年 〈40,387人〉
平成37年 〈35,223人〉
619
973
65 歳以上
2,129
2,455
45~49歳
2,485
40~44歳
2,368
2,101
2,466
2,158
30~34歳
1,912
25~29歳
1,901
1,601
1,691
10~14歳
2,015
1,000
0
(人) 0
0~14 歳
1,174
0~4歳
1,560
2,000
1,396
5~9歳
1,744
56.3%
1,663
15~19歳
2,602
15~64 歳
1,850
20~24歳
1,766
3,000
2,325
35~39歳
2,644
13.2%
2,252
50~54歳
2,370
33.4%
2,325
55~59歳
2,671
4,000
2,530
60~64歳
0~14 歳
65 歳以上
1,869
65~69歳
2,583
3,102
5,000
1,429
70~74歳
2,363
60.8%
85~89歳
75~79歳
2,168
15~64 歳
1,484
80~84歳
1,796
26.0%
90歳以上
10.3%
1,067
1,000
2,000
3,000
4,000
資料:1995~2010 年までの統計上(国勢調査)の実績値と 2015~2025 年までの国立社会保障・人口問題研究所の
「日本の地域別将来推計人口(平成 25 年3月推計)」の推計値を合わせたもの
※第 6 次 瑞浪市総合計画の人口グラフとは異なる
※実績値人口は年齢不詳数も含む
※推計値は端数の処理の関係上合計と一致しない場合がある
6
5,000
第1章 健康を取り巻く状況と課題
平成 22 年の人口ピラミッドでピークとなっているのは、60~64 歳のいわゆる「団魂
の世代」と呼ばれる世代です。そのピークは、15 年後の平成 37 年にはそのまま 75~79
歳に移動します。その前後の年代も多いことから、高齢者の割合が増加することがよく
わかります。
こうしたことから、高齢者医療費の急増が予想され、それに伴い介護、医療費等の社
会保障費の急増という、いわゆる 2025 年問題が心配されています。
(2)出生の状況
千人当たりの出生率は、平成 23 年までは国・県に比べ低くなっていましたが、平成
24 年から上昇し、平成 25 年には国・県より高くなっています。
【出生率の推移(人口千人当たり出生率)】
10.0
9.5
8.8
9.0
8.6
8.7
8.5
8.7
8.3
8.5
8.0
7.5
8.5
8.6
8.4
7.7
8.5
7.7
8.2
8.5
7.5
7.3
8.2
8.3
7.6
7.7
8.1
7.9
7.6
7.7
7.4
7.0
7.3
7.2
7.2
7.0
7.0
6.5
平成18年
平成19年
8.3
8.1
平成20年
全国
平成21年
岐阜県
平成22年
管内
平成23年
平成24年
平成25年
瑞浪市
資料:東濃西部の公衆衛生(各年)
7
2
死因・疾病から見る健康状況
(1)死因の状況
瑞浪市の平成 25 年の死因の割合をみると、
「がん」の割合が 29.5%と最も高く、次い
で「心疾患」が 15.8%、「脳血管疾患」が 10.0%の順となっています。
【瑞浪市の主な死因の割合】
腎不全
1.6%
自殺
1.9%
不慮の事故
3.0%
肝疾患
0.9%
糖尿病
結核
0.5%
0.5%
肺炎
5.8%
がん
29.5%
老衰
7.2%
脳血管疾患
10.0%
心疾患
15.8%
資料:東濃西部の公衆衛生(平成 25 年)
8
第1章 健康を取り巻く状況と課題
①3大死因の状況
がん、心疾患、脳血管疾患のいわゆる3大疾病の死亡率について、近年の推移をみ
ると、いずれも国、県に対して高い傾向であることがわかります。
【がんの死亡率(人口 10 万人当たり死亡率)】
350.0
300.0
261.0
250.0
322.9
325.1
298.0
298.4
266.9
278.1
272.3 273.8
266.1
256.4
243.8
279.7
275.1
267.4
273.5
266.6
286.6
284.1
283.2
272.7
299.0
286.0 290.3
200.0
150.0
100.0
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
国
平成22年
岐阜県
平成23年
平成24年
平成25年
瑞浪市
資料:東濃西部の公衆衛生(各年)
【心疾患の死亡率(人口 10 万人当たり死亡率)】
350.0
300.0
250.0
204.5
200.0
155.9
150.0
100.0
148.2
137.2
平成18年
155.3
150.8
144.4
111.2
145.6
143.7
146.6
139.2
平成19年
178.3
158.9
平成20年
国
平成21年
187.6
173.8
177.7
180.2
149.8
154.5
157.9
172.9
156.5
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
162.8
岐阜県
瑞浪市
資料:東濃西部の公衆衛生(各年)
9
【脳血管疾患の死亡率(人口 10 万人当たり死亡率)】
160.0
146.6
138.6
140.0
125.8
126.2
123.7
120.0
118.9
120.0
109.3
102.4
101.4
101.7
100.8
100.9
102.3
98.3
100.0
99.7
95.9
100.0
98.2
97.2
97.7
98.2
96.5
94.1
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
80.0
平成18年
平成19年
平成20年
国
岐阜県
瑞浪市
資料:東濃西部の公衆衛生(各年)
高齢化による死亡率上昇といった影響が考えられるので、年齢条件を一定にした年
齢調整死亡率※で比較すると、がんは国よりも低く、脳血管疾患、心疾患は管内(多治
見市・瑞浪市・土岐市の平均)
・岐阜県よりも高くなっています。
※年齢調整死亡率…死亡数を人口で除した通常の死亡率を比較すると、
高齢者の多い地域では高くなり、
若年者の多い地域では低くなる傾向がある。こうした年齢構成の異なる地域間で死亡状況の比較がで
きるように年齢構成を調整しそろえた死亡率が年齢調整死亡率である。この年齢調整死亡率を用いる
ことによって、年齢構成の異なる集団について、年齢構成の相違を気にすることなく、より正確に地
域比較や年次比較ができる。
【3大死因における年齢調整死亡率】
〈がん 年齢調整死亡率(75 歳未満)(人口 10 万人当たり死亡率)〉
平成 23 年
総数
男性
平成 24 年
女性
総数
男性
平成 25 年
女性
総数
男性
女性
瑞浪市
77.8
95.2
61.5
71.5
83.0
62.8
78.7
98.0
60.6
岐阜県
78.5
98.8
59.8
77.1
95.2
60.7
76.3
95.0
59.2
国
83.1
107.1
61.2
81.3
104.6
60.1
80.1
102.4
59.6
資料:<全国数値>国立がん研究センター対策情報センター
人口動態調査(人口 10 万対)(各年)
〈心疾患 年齢調整死亡率(人口 10 万人当たり死亡率)〉
平成 23 年
総数
男性
平成 24 年
女性
総数
男性
平成 25 年
女性
総数
男性
女性
瑞浪市
59.0
80.2
40.9
62.6
76.9
49.1
60.1
67.5
52.0
管内
50.2
62.1
39.6
61.4
77.5
49.0
53.5
73.2
37.7
岐阜県
59.3
77.5
43.4
59.6
77.4
44.4
56.0
73.1
40.7
資料:東濃保健所資料(平成 26 年)
10
第1章 健康を取り巻く状況と課題
〈脳血管疾患 年齢調整死亡率(人口 10 万人当たり死亡率)〉
平成 23 年
総数
男性
平成 24 年
女性
総数
男性
平成 25 年
女性
総数
男性
女性
瑞浪市
43.5
56.4
34.3
36.5
45.8
28.7
22.2
35.6
12.6
管内
32.0
44.1
22.8
30.8
41.6
22.1
27.5
34.7
21.4
岐阜県
34.6
44.2
26.9
32.2
41.9
24.3
30.8
39.2
23.9
資料:東濃保健所資料(平成 26 年)
②働き盛りにおける死亡の状況
働き盛りの年代において、がんで 20 人、心疾患で 11 人が死亡しています。
【主要死因の年齢階級別死亡数】
10 歳未満
がん
20 歳代
1
30 歳代
40 歳代
1
1
50~64 歳
65~74 歳
75~84 歳
85 歳以上
18
27
52
27
4
8
31
8
20
29
10
15
5
5
4
27
脳血管疾患
心疾患
1
1
9
肺炎
不慮の事故
1
2
老衰
自殺
1
2
肝疾患
腎不全
2
3
3
1
2
2
糖尿病
2
結核
1
3
1
資料:東濃西部の公衆衛生(平成 25 年)
11
(2)平均寿命の推移
平均寿命は、市、国、県ともに伸びています。男性は国、県と同等となっています。
女性は国、県に比べ1歳程度高くなっています。
【男女別平均寿命】
0
25
50
75
100
78.9
79.7
男性
瑞浪市
86.8
87.7
女性
79.0
79.9
男性
岐阜県
85.6
86.3
女性
78.8
79.6
男性
国
85.8
86.4
女性
平成17年
平成22年
資料:厚生労働省 市区町村別生命表(平成 22 年)
(3)健康寿命の状況
男性の健康寿命は、県、国とほぼ同年齢ですが、女性は県や国と比べ、若干高くなっ
ています。平均寿命と健康寿命の差は、男性が 14.2 年、女性が 20.4 年となっています。
今後、平均寿命の延伸に伴い、この差が拡大すれば、医療費や介護給付費の多くを消費
する期間が増大することになるため、健康づくりの取り組みにより健康寿命を延伸させ
ることは、個人の生活の質の低下を防ぐとともに社会保障負担の軽減に繋がります。
【健康寿命※】
男性
女性
瑞浪市
65.5
67.3
岐阜県
65.5
67.0
国
65.2
66.8
※健康寿命とは:
健康上の問題で日常生活
が制限されることなく生活で
きる期間のこと
資料:国保データベース(KDB)システム※
※上記システムは平成 22 年市町村生命表を用いて要介護認定者数(要支援も含む)を影響させた算出方法。
国が健康日本21で示す数値とは異なる。
【平均寿命と健康寿命の差】
(年)
60
男性
65
70
75
80
85
79.7
65.5
平均寿命
平均寿命
平均寿命
14.2年
女性
87.7
67.3
20.4年
12
健康寿命
健康寿命
第1章 健康を取り巻く状況と課題
3
医療保険制度等からみた瑞浪市の健康概況
(1)国民健康保険
国民健康保険被保険者数は、平成 22 年以降減少傾向です。一方、医療機関等の受診に
伴う保険給付費は、平成 25 年以降やや増加傾向です。
【国民健康保険の加入者と保険給付費の状況】
(億円)
(人)
20,000
35.0
26.6
15,000
24.9
24.4
26.7
25.8
30.0
25.0
20.0
10,000
5,000
929
972
957
855
681
9,123
8,753
8,592
8,483
8,326
15.0
10.0
5.0
0.0
0
平成22年
平成23年
平成24年
一般
退職
平成25年
平成26年
保険給付費
資料:市決算実績報告書(各年)
(2)後期高齢者医療保険
後期高齢者被保険者数及び後期高齢者医療広域連合納付金は、平成 22 年以降増加傾向
です。
【後期高齢者医療保険の加入者と後期高齢者医療広域連合納付金の状況】
(億円)
(人)
10,000
5.0
3.7
3.8
4.0
4.2
4.1
4.0
3.0
5,000
2.0
5,500
5,717
5,794
5,845
5,803
1.0
0
0.0
平成22年
平成23年
被保険者数
平成24年
平成25年
平成26年
後期高齢者医療広域連合納付金
資料:市決算実績報告書(各年)
13
(3)介護保険
介護保険における要介護及び要支援に認定された人数、介護の公的負担である介護給
付費とともに右肩上がりに伸びています。
【介護保険の要介護・要支援認定者数と介護給付費の状況】
(人)
(億円)
3,000
24.4
30
26.6
25.7
27.9
22.5
20.9
2,000
19.1
20
1,000
10
1,668
1,357
1,384
1,435
1,494
1,557
1,631
認定率
13.1%
認定率
13.2%
認定率
13.5%
認定率
14.2%
認定率
14.6%
認定率
14.9%
認定率
14.9%
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
0
0
要介護(要支援)認定者数
介護給付費
資料:介護保険事業状況報告月報(暫定版)(各年 10 月末日現在)
市決算実績報告書(保険給付費)(各年)
14
第1章 健康を取り巻く状況と課題
(4)疾病の状況~国民健康保険の医療費分析から~
1 件当たりの入院医療費について県内順位をみると、糖尿病と脳血管疾患がともに 10
位となっており、県内でも上位に位置しています。
1 件当たりの外来医療費の県内順位は、脂質異常症が6位、高血圧が 11 位と県内上位
に位置しています。
【国民健康保険加入者の受診状況 1件当たりの費用額】
入院
県内順位
外来
県内順位
高血圧症
571,001 円
37 位
30,715 円
11 位
糖尿病
597,516 円
10 位
34,034 円
31 位
脂質異常症
539,472 円
31 位
29,165 円
6位
脳血管疾患
718,177 円
10 位
36,009 円
31 位
腎不全
772,759 円
25 位
203,819 円
16 位
心疾患
618,194 円
35 位
45,572 円
14 位
※県内順位…県内 42 市町村のうち、費用額の降順
※○印…11 位より上位の箇所
資料:国保データベース(KDB)システム(平成 26 年度)
国民健康保険における生活習慣病受療状況をみると、医療費割合の県内順位では脂質
異常症が4位、高血圧症が7位と上位に位置しており、人数割合では脂質異常症が6位、
人工透析が7位、生活習慣病自体が9位となっています。
医療費割合の県平均と比較すると、県内順位が高い疾病はいずれも県平均よりも高く
なっています。
【国民健康保険における生活習慣病の受療状況】
医療費割合(%)
瑞浪市
県内順位
人数割合(%)
県
瑞浪市
県内順位
県
生活習慣病
56.5
28 位
56.5
47.7
9位
43.6
高血圧症
37.7
7位
34.4
32.7
12 位
29.5
脂質異常症
25.6
4位
22.5
28.5
6位
26.5
糖尿病
21.3
39 位
25.0
15.3
38 位
17.7
高尿酸血症
8.2
11 位
7.2
6.9
10 位
6.2
脳血管疾患
8.8
34 位
10.6
6.4
15 位
6.2
虚血性心疾患
12.6
29 位
13.9
7.3
24 位
7.5
人工透析
8.9
12 位
7.3
0.5
7位
0.4
※県内順位…県内 42 市町村のうち、割合の降順
※○印…10 位より上位の箇所
資料:国保データバンクシステム(平成 25 年)
15
4
医療機関の充足
医療機関の充足状況を岐阜県と比較すると、10 万人当たりの病床数・看護師数は岐阜県
を大きく上回っています。
病床種類別の
病床数
一般診療所
人口 10 万人あたり病床数
瑞浪市
瑞浪市
49.52
73.43
612
1,515.34
962.29
一般病床
270
668.53
612.37
精神病床
308
762.62
193.68
療養病床
34
84.19
150.23
0
0.00
6.01
病院病床
(全区分計)
結核・
感染症病床
職種別の
人員数
医師
(常勤換算人数)
看護師
(常勤換算人数)
職員数
瑞浪市
人口 10 万人あたり人員数
瑞浪市
瑞浪市
岐阜県
20
病床
病
床
分
類
病床数
岐阜県
53.10
131.48
123.42
308.50
763.86
560.50
岐阜県
49.52
73.43
1515.34
962.29
668.53
612.37
762.62
193.68
84.19
150.23
0.00
6.01
瑞浪市
岐阜県
131.48
123.42
763.86
560.50
資料:日本医師会 地域医療情報システム(平成 27 年)
16
第2章
計画の基本的な考え方
第2章 計画の基本的な考え方
第2章
1
計画の基本的な考え方
全体目標
健康日本21(第2次)の基本的方向性をもとに健康寿命の延伸と健康格差の縮小を全
体目標とします。
2
計画の基本的な方向
瑞浪市では以下の3つを基本的な方向とします。
(1)生活習慣病の発症予防と重症化予防
主要死亡原因であるがん、循環器疾患、糖尿病に対処するため、食生活の改善や運
動習慣の定着等による一次予防対策を推進するとともに、合併症の発症や症状の進展
等の重症化予防に重点を置いた対策を推進します。
(2)生活習慣及び社会環境の改善
身体活動・運動、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康及びこころの健康に関する生活習慣
の改善に取り組みます。
乳幼児期から高齢期までの対象ごとの特性等把握した上で、地域や職域等を通じて
市民全体へのアプローチを行います。
(3)個人の取り組みでは解決できない地域社会の健康づくり
市民一人ひとりの健康は地域、職場等の影響を受けることから、個人の取り組みだ
けではなく、地域社会としての取り組みも進めていきます。
3
目標設定
本計画は、分野毎に目標項目と目標値を掲載することで現状と比較し、計画の達成度
を評価していきます。
17
18
個人の取り組みでは解決でき
ない地域社会の健康づくり
生活習慣・社会環境の改善
生活習慣病発症予防・
重症化予防
ねらい
こころの健康
歯・ 口腔の健康
喫煙
飲酒
身体活動・ 運動
栄養・ 食生活
糖尿病
循環器疾患
がん
分野
ライフステージ
みずなみ健康21(第2次)の目標項目
18歳
□がん検診の受診率の向上
(子宮頸がん)
30歳
労働安全衛生法
50歳
65歳
介護保険法
高齢者の健康
□年間新規透析患者数の減少
□治療を継続している人(前年度と当該年度共に服薬ありと回答した人)の割合の増加
□血糖コントロール不良の人(HbA1c8.4%以上)の割合の減少
□糖尿病が強く疑われる人(HbA1c6.5%以上)の割合の抑制(未治療者)
□特定健康診査受診率・特定保健指導終了率の向上
□メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少
□脂質異常症の人(LDL160㎎/dl以上の人)の割合の減少
□高血圧の人(血圧値140/90mmHg以上)の割合の減少
□がん検診受診率の向上(乳がん)
□がん検診受診率の向上(胃がん・大腸がん・肺がん)
40歳
□自殺死亡率の減少(人口10万人当たり)
□40歳における進行した歯周炎を有する人
(4㎜以上の歯周ポケット)の割合の減少
〇地域:健康づくりを目的とした活動に取り組んでいる市民の割合の増加
〇関係機関・関係団体・関係部署:健康づくりに関係する事業の積極的な実施
□地区公民館・集会場の分煙の徹底
□成人喫煙率の減少
○歯の喪失防止
○口腔機能(咀嚼、嚥下)の維持・向上
□生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人(1日当たりの純アルコール量 男性40g以上、女性20g以上摂取)の割合の減少
□30~64歳の運動習慣がある人(1日30分以上、週2回以上、1年以上継続) の割合の増加
□40~60歳代女性の肥満者の割合の減少
□30~60歳代男性の肥満者の割合の減少
□妊婦(非妊娠時)のやせの人(BMI18.5未満)の割合の減少
20歳
成人の健康
健康増進法
高齢者の医療の確保に関する法律
生涯における各段階(あらゆる世代)
〇職域:健康づくりに関する活動に取り組み、自発的に情報発信を行う事業所の増加 □幼児期(3歳児)のう歯のない児の
割合の増加、学童期(12歳児)の1人
平均う歯数の減少
□小学5年生の肥満傾向児の割合の減少
胎児 0歳
母子保健法 学校保健安全法
次世代の健康
75歳
□数値目標とする項目 □脳血管疾患・虚血性心
疾患の年齢調整死亡
率の減少
□75歳未満のがん年齢
調整死亡率の減少
死亡
第2章 計画の基本的な考え方
【目標設定一覧】
分野
項目
現状値
①75 歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少
(10 万人当たり)
目標値(平成 32 年)
出典
78.7
平成 25 年
73.9
①
胃がん検診
23.2%
平成 26 年
40.0%
③
肺がん検診
20.7%
平成 26 年
40.0%
③
大腸がん検診
31.9%
平成 26 年
40.0%
③
子宮頸がん検診
19.6%
平成 26 年
50.0%
③
乳がん検診
33.3%
平成 26 年
50.0%
③
脳血管疾患
22.2
平成 25 年
減少
②
虚血性心疾患
60.1
平成 25 年
減少
②
32.7%
平成 25 年
減少
④
平成 25 年
減少
④
平成 25 年
平成 20 年と比べ
25%減少
④
②がん検診受診率の向上
がん
①脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の
減少(10 万人当たり)
循環器疾患
生活習慣病の発症予防と重症化予防
②高血圧の人(140/90 mmHg 以上)の割合の減少
③脂質異常症の人(LDL160 ㎎/dl 以上)の割合の減少
④メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少
男性 13.0%
女性 17.9%
該当者 14.1%
予備群 10.4%
⑤特定健康診査受診率・特定保健指導終了率の向上
糖尿病
特定健康診査受診率
33.6%
平成 25 年
60.0%
④
特定保健指導終了率
19.7%
平成 25 年
60.0%
④
4.3%
平成 25 年
減少
④
0.8%
平成 25 年
減少
④
79.7%
平成 25 年
増加
④
9人
平成 25 年
減少
④
男子 1.11%
女子 1.18%
平成 25 年
0.0%
⑤
20.7%
平成 26 年
減少
⑥
男性 25.6%
女性 16.1%
平成 26 年
減少
④⑦
30 歳代
15.2%
平成 25 年
20.0%
⑦
40~64 歳
32.2%
平成 25 年
37.0%
④
男性 13.7%
女性 5.8%
平成 25 年
減少
④
①成人喫煙率の減少
38.5%
平成 26 年
30.0%
④
②地区公民館・集会所の分煙の徹底
44.7%
平成 25 年
100.0%
⑥
3歳児 91.6%
12 歳児 0.4 本
平成 25 年
16.7%
平成 26 年
減少
⑧
20.3
平成 25 年
減少
⑨
①糖尿病が強く疑われる人(HbA1c6.5%以上)の割合
の抑制(未治療者)
②血糖コントロール不良の人(HbA1c8.4%以上)の割合
の減少
③治療を継続している人(前年度と当該年度共に服薬
ありと回答した人)の割合の増加
④年間新規透析患者数(国民健康保険加入者)の
減少
栄養・
食生活
①小学5年生の肥満傾向児の割合の減少
飲酒
喫煙
①生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人(1
日当たりの純アルコール量 男性 40g以上、女性 20
g以上摂取している人)の割合の減少
歯・
口腔
の健康
生活習慣及び社会環境の改善
身体活動・
運動
②妊婦(非妊娠時)のやせの人(BMI18.5 未満)の
割合の減少
③30~60 歳代男性の肥満者、40~60 歳代女性の
肥満者の割合の減少
①運動習慣がある人(1日 30 分以上、週2回以上、1年
以上継続)の割合の増加
こころの
健康
①幼児期(3歳児)のう歯のない児の割合の増加、学童
期(12 歳児)の1人平均う歯数の減少
②40 歳における進行した歯周炎を有する人(4㎜以上
の歯周ポケット)の割合の減少
①自殺死亡率の減少(人口 10 万人当たり)
3歳児
12 歳児
増加
0.3 本
⑤⑥
出典①人口動態調査 ②東濃保健所資料 ③市がん検診 ④市特定健康診査関連 ⑤みずなみの子ども ⑥市健康づくり課実績
⑦市 30 歳代健診 ⑧市節目集団歯周病検診 ⑨東濃西部の公衆衛生
・がん検診の受診率(単年度)の算定にあたっては、40 歳から 69 歳まで(子宮頸がんは 20 歳から 60 歳まで)を対象とする
・国の目標値を達成しているなどの項目は、増加・減少と表現
19
第3章
課題別の実態と対策
第3章 課題別の実態と対策
第3章
1
課題別の実態と対策
生活習慣病の発症予防と重症化予防
食生活や運動など生活習慣の変化により、がんや心臓病、糖尿病などの生活習慣病が増
加しています。生活習慣病が重症化すれば、いずれ「寝たきり」や「認知症」などの要介
護状態となり、健康寿命の延伸や生活の質を損なうことにつながります。そのため生活習
慣病の発症を予防するとともに、重症化予防の取り組みを重点的に進めていきます。
(1)がん
■はじめに
がんは、
長年日本人の死因の上位を占めており、
3人に1人ががんで亡くなっています。
こうした状況を受けて、国はがん対策基本法施行(平成 19 年4月)や、がん対策推進
基本計画策定(平成 19 年6月)といった対策を進めてきました。平成 24 年度には第2
期計画が策定され、そこでは国、地方公共団体、がん患者を含めた国民、医療従事者等
が一体となってがん対策に取り組むことが求められています。
がんは、喫煙、過剰飲酒、身体活動の低下、肥満、やせ、野菜・果物不足、塩分・塩
蔵食品の過剰摂取、がんに関連する細菌・ウイルス感染などが原因で引き起こされます。
したがって、がんを効果的に予防・治療するためにはがんに関する正しい知識の普及・
啓発や食生活・運動・喫煙などの生活習慣の改善による予防対策を行い、合わせてがん
検診受診率を向上させて早期発見・早期治療することが重要です。
■基本的な考え方
①発症予防
がんになるリスクを高める要因としては、がんに関連するウイルス(B型肝炎ウイ
ルスHBV)、C型肝炎ウイルスHCV、ヒトパピローマウイルスHPV、成人T細
胞白血病ウイルス(HTLV-1)や細菌(ヘリコバクター・ピロリ菌HP)への感
染、及び喫煙(受動喫煙を含む)、過剰飲酒、身体活動の低下、肥満・やせ、野菜・
果物不足、塩分、塩蔵食品の過剰摂取など生活習慣に関連するものがあります。がん
のリスクを高める生活習慣は、循環器疾患や糖尿病の危険因子と同様であるため、循
環器疾患や糖尿病への取り組みとしての生活習慣の改善が、結果的にはがんの発症予
防に繋がってくると考えられます。
②重症化予防
生涯を通じて考えた場合、2人に1人は一生のうちになんらかのがんに罹患すると
いわれています。進行がんの罹患率を減少させ、がんによる死亡を防ぐために最も重
要なのは、がんの早期発見です。早期発見に至る方法としては、自覚症状がなくても
定期的に検診を受診することです。このため、有効性が確立しているがん検診の受診
率を向上させるための施策が重要となってきます。
21
22
成人T細胞
白血病
肝臓
○
△
乳
前立腺
◎
△
大腸
子宮頸部
◎
◎
タバコ
30%
肺
胃
部位
△
○
○
高脂肪
○
塩分
食事 30%
△
○
運動
5%
生活習慣
○
○
○
○
○
飲酒
3%
(閉経後
の肥満)
○
○
○
肥満
○
○
△
家族歴
発症予防
○
ホルモン
カビ
糖尿病罹患者
加齢
高身長
良性乳腺疾患の既往
マンモ高密度所見
環境汚染
他
△可能性あり
Ⅰ-a
Ⅰ-a
Ⅰ-b
(胸部X線検査と高
危険群に対する喉
痰細胞診の併用)
Ⅰ-b
評価判定
Ⅲ
肝炎ウィルスキャリ
Ⅰ-b
ア検査
PSA測定
視触診とマンモグラ Ⅰ-a(50歳以上)
フィの併用
Ⅰ-b(40歳代)
子宮頸部
擦過細胞診
便潜血検査
胸部X線検査
喉痰細胞診
胃X線検査
がん検診
重症化予防(早期発見)
評価判定 Ⅰ-a:検診による死亡率減少効果があるとする、十分な根拠がある
Ⅰ-b:検診による死亡率減少効果があるとする、相応の根拠がある
Ⅲ:検診による死亡率減少効果を判定する適切な根拠となる研究や
報告が、現時点で見られないもの
◎
HTLV-1
◎
HBV
HCV
◎
HPV
△
結核
◎
Hp
感染
その他
がんの発症予防・重症化予防
◎確実 ○ほぼ確実 △可能性あり 空欄 根拠不十分
【参考】国立がん研究センター 科学的根拠に基づくがん検診推進のページ 予防と検診
『がんはどこまで治せるのか』『がんの正体』『がんの教科書』
そ
の
他
科
学
的
根
拠
の
あ
る
が
ん
検
診
参考資料
第3章 課題別の実態と対策
■現状と目標
①75 歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少
高齢になるとがんになる確率が高くなっていくため、今後はがんの死亡率は上昇し
ていくと考えられます。そこで 75 歳以上の死亡を除き、高齢化の影響を除いた死亡
率(年齢調整死亡率)で壮年期の死亡や動向を評価していきます。
市の 75 歳未満の年齢調整死亡率をみると、全国と比べ若干低い数値です(表31-1)。日本人のがんの原因に生活習慣病等がありますが、その原因項目をみると、
喫煙をはじめとして要因をもっている割合が女性と比べ圧倒的に男性に多いといわれ
ています。市においても喫煙者は男性に多くなっており、生活習慣の改善が重要とな
ってきます。部位別にみた死亡数は表3-1-2のとおりです。
また、その地域が全国並みの死亡状況かどうかをみた指標SMR(標準化死亡比)
(表3-1-3)をみると、男性の大腸がんの死亡が全国レベルより高く位置していま
す。
このような指標を参考にしながら検診体制を検討し、実施していく必要があります。
表3-1-1 がん 年齢調整死亡率(75 歳未満)
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
総数
男性
女性
総数
男性
女性
総数
男性
女性
瑞浪市
77.8
95.2
61.5
71.5
83.0
62.8
78.7
98.0
60.6
岐阜県
78.5
98.8
59.8
77.1
95.2
60.7
76.3
95.0
59.2
国
83.1
107.1
61.2
81.3
104.6
60.1
80.1
102.4
59.6
資料:全国数値 国立がん研究センター対策情報センター
人口動態調査(人口 10 万対)(各年)
表3-1-2 75 歳未満の死亡数(部位別)
食道
胃
肺
単位:人
大腸
乳
子宮
平成 22 年度
0
9
6
9
2
2
平成 23 年度
4
6
2
3
2
2
平成 24 年度
0
6
2
5
2
0
平成 25 年度
2
6
12
4
2
2
計
6
27
22
21
8
6
資料:東濃西部の公衆衛生(平成 26 年)
表3-1-3 平成 20 年~24 年までのSMR(標準化死亡比)
胃がん
男性
105.4
肺がん
女性
99.4
男性
大腸がん
女性
62.7
81.0
男性
116.8
女性
84.7
子宮頸がん
乳がん
女性
女性
86.2
107.7
※SMR(標準化死亡比):全国の死亡率を標準(100)として指標としたもの
資料:人口動態 東濃保健所資料(平成 26 年)
目標項目 ①75 歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少(10 万人当たり)
現状値
平成 25 年 78.7
目標値
73.9
出典
東濃保健所資料
23
②がん検診受診率の向上
40~69 歳の各がん検診(子宮頸がん検診は 20~69 歳)の受診率は 20.0~30.0%程
度であり(表3-1-4)、がん対策推進基本計画の目標値には達していません。今後
も受診率向上を図っていきます。
もし精密検査となった場合は、受診の重要性を説明しながら確実に受診につなげて
いきます。
表3-1-4 40~69 歳 各がん検診の受診率
胃がん
肺がん
大腸がん 子宮頸がん
平成 26 年
がん検診受診率
23.2
20.7
31.9
単位:%
乳がん
19.6
33.3
資料:市がん検診(平成 26 年)
目標項目 ②がん検診受診率の向上
現状値
目標値
胃がん検診
肺がん検診
大腸がん検診 子宮頸がん検診 乳がん検診
23.2%
20.7%
31.9%
19.6%
33.3%
40.0%
40.0%
40.0%
50.0%
50.0%
出典
市がん検診
■対策
①発症予防の施策<健康づくり課>
・肝炎ウイルス検査の実施(妊娠期、成人)
・ピロリ菌検査(30 歳代)の実施
・HTLV-1抗体検査費用の助成(妊娠期)
・がんのリスクを高める生活習慣(喫煙、食生活、飲酒習慣等)改善の啓発
②重症化予防の施策<健康づくり課>
・自覚症状がなくても定期的ながん検診を受診すること、自覚症状がある場合には
すぐに受診することを啓発
・有効ながん検診の実施(22 ページ参考資料参照)
・受診しやすい検診体制の検討・推進
・精密検査対象者に対する受診勧奨の徹底
参考
検診名
対象者
胃がん検診
肺がん検診
成人
大腸がん検診
各がん検診の精密検査受診率
単位:%
事業評価指標
平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年
県がん対策推進目標値
81.7
85.2
91.4
91.4
84.8
94.7
72.3
76.0
84.7
子宮頸がん検診
妊娠期、成人
40.0
73.3
85.7
乳がん検診
成人
90.1
91.6
91.5
24
90.0 以上
第3章 課題別の実態と対策
(2)循環器疾患(脳血管疾患・心疾患)
■はじめに
脳血管疾患と心疾患などの循環器疾患は、がんと並んで主要死因の大きな一角を占め
ています。循環器疾患が死亡原因の多くを占めていることは問題ですが、発症した場合
次のような課題を抱えています。例えば脳卒中になり後遺症が残った場合、それまで身
の回りのことができていたのにできなくなるなど、生活の質の低下に繋がります。また、
医療費や介護給付費が増大し、個人的にも社会的にも大きな影響を及ぼします。このよ
うなことから、予防していく疾患として重要視して取り組みを進めていきます。
※循環器疾患
血液を全身に循環させる臓器である心臓や血管などが正常に働かなくなる疾病のこと。
※脳血管疾患
脳の血管が詰まって破れるなどして、脳細胞に血液が供給されないことが原因で生じる疾病。主な種類
としては脳梗塞・脳出血・くも膜下出血がある。
※心疾患
狭心症や心筋梗塞など心臓に起こる病気の総称をいうが、その大部分は「虚血性心疾患」が占めている。
虚血性心疾患とは、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が、動脈硬化や血栓などで心臓の血管が狭くなり、
心筋が酸素不足・栄養不足に陥るものをいう。
■基本的な考え方
①発症予防
循環器疾患の予防には、危険因子の管理と関連する生活習慣の改善が重要となりま
す。循環器疾患の危険因子と関連する生活習慣には、栄養、運動、喫煙、飲酒があり
ますが、特定健康診査等の健康診査の受診がきっかけとなり、市民一人ひとりがこれ
らの生活改善に向けた取り組みを考える入口に繋がっていくと考えます。そのため、
特定健康診査はじめ職場の健診等、健康診査の受診率の維持・向上が重要となってき
ます。
②重症化予防
循環器疾患の重症化予防は、高血圧症及び脂質異常症の治療率を上げていくことが
必要となります。このまま放置するとどうなるのか等、自分自身のからだの状態を正
しく理解し、生活改善や適切な治療ができるよう支援していくことが重要です。
25
■現状と目標
①脳血管疾患、虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少
脳血管疾患の年齢調整死亡率は、男女ともに平成 23 年度以降減少傾向にあります
が(表3-1-5)、心疾患の年齢調整死亡率をみると、男性は減少傾向ですが、女性
は若干増加傾向となっています(表3-1-6)
。男女合わせた数では、平成 24 年以降
は県の数値より高くなってきています。この原因については、今後動向を見据えた上
で分析していく必要があります。
表3-1-5 脳血管疾患 年齢調整死亡率
平成 23 年
人口 10 万対
平成 24 年
総数
男性
女性
瑞浪市
43.5
56.4
34.3
岐阜県
34.6
44.2
26.9
総数
平成 25 年
男性
女性
総数
男性
女性
36.5
45.8
28.7
22.2
35.6
12.6
32.2
41.9
24.3
30.8
39.2
23.9
資料:東濃保健所資料(平成 26 年)
参考
脳血管疾患死亡数
40 歳代
50 歳代
単位:人
60 歳代
70 歳代
80 歳以上
平成 21 年
1
1
9
10
31
平成 22 年
0
1
2
15
30
平成 23 年
0
2
5
14
27
平成 24 年
2
2
1
6
38
平成 25 年
0
0
0
8
35
計
3
6
17
53
161
資料:東濃西部の公衆衛生(各年)
表3-1-6 心疾患 年齢調整死亡率
平成 23 年
人口 10 万対
平成 24 年
総数
男性
女性
瑞浪市
59.0
80.2
40.9
岐阜県
59.3
77.5
43.4
総数
平成 25 年
男性
女性
総数
男性
女性
62.6
76.9
49.1
60.1
67.5
52.0
59.6
77.4
44.4
56.0
73.1
40.7
資料:東濃保健所資料(平成 26 年)
参考
心疾患死亡数
40 歳代
50 歳代
単位:人
60 歳代
70 歳代
80 歳以上
平成 21 年
0
0
4
16
40
平成 22 年
1
3
7
14
47
平成 23 年
1
2
9
9
54
平成 24 年
1
2
5
23
50
平成 25 年
2
3
8
13
42
計
5
10
33
75
233
資料:東濃西部の公衆衛生(各年)
26
第3章 課題別の実態と対策
一方、要介護認定の状況を調べてみると(表3-1-7)、2号認定者(40~64 歳)
のうち8割が血管の疾患で認定を受けていました。このうち以前より国民健康保険加
入者であった 15 人をみたところ、2人しか健診を受診していませんでした。
残りの 13 人は、脳血管疾患等の重大な病気になる前に、健診を受診していれば予
防できた可能性があったのではと考えられます。それは、脳血管疾患や心疾患等は高
血圧、脂質異常、糖尿病等の基礎疾患が危険因子となるため、健診等で危険因子を見
つけた段階で、必要な治療や生活習慣の改善をしていれば発症予防に繋がってくるか
らです。
これらのことから今後、死亡状況だけでなく、発症前の背景等についても分析して
いくことが重要となります。
40~64 歳で介護認定を受けた方の受診状況(レセプト)を調べ
何の疾患で介護保険を受けているのかをみました。
表3-1-7
26 人の分析結果(平成 27 年 3月分)※重複あり
循環器疾患
脳卒中
基礎疾患
17
糖尿病
7
腎不全
5
高血圧
13
虚血性心疾患
4
脂質異常症
10
血管疾患で受診されていた人(実数)
21 人 (80.8%)
資料:市特定健康診査関連(平成 26 年)
目標項目 ①脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少(10 万人当たり)
現状値
目標値
出典
脳血管疾患の年齢調整死亡率
心疾患の年齢調整死亡率
平成 25 年 22.2
平成 25 年 60.1
減少
減少
東濃保健所資料
27
②高血圧の人の割合の減少
高血圧は、脳血管疾患や虚血性心疾患、慢性腎臓病等のあらゆる循環器疾患の危険
因子であり、他の危険因子と比べ循環器疾患の発症や死亡への影響は大きいといわれ
ています。
市の特定健康診査結果をみると、Ⅰ度高血圧(収縮期血圧 140~159 mmHg または拡
張期血圧 90~99 mmHg)であった人の割合が県内でワースト2位でした。この数値は
他の危険因子の重なりを確認した上で、生活習慣の改善が必要であるといわれていま
す。また、
Ⅱ度高血圧以上(収縮期血圧 160~179 mmHg または拡張期血圧 100~109 mmHg)
の数値を示す人も多い状況でした(表3-1-8)
。
これらのことから広く市民に血圧に関する理解を深められるよう、あらゆる機会を
とらえて啓発していきます。また、市では、特定健康診査の結果から、高血圧治療ガ
イドラインに基づき肥満の有無に関わらず訪問指導を実施しており、今後も生活改善
につながるよう支援していきます(表3-1-9)
。
表3-1-8 特定健康診査結果 血圧の状況(平成 25 年)
受診者数
(人)
Ⅱ度高血圧以上
該当者
(人)
Ⅰ度高血圧
該当率
(%)
該当者
(人)
該当率
(%)
男性
928
77
8.3(5)
257
27.7(2)
女性
1,226
55
4.5(13)
316
25.8(2)
計
2,154
132
6.1
(県内 8 位)
573
26.6
(県内 2 位)
資料:市特定健康診査(平成 25 年)
表3-1-9 特定保健指導対象者以外の保健指導の取り組み〈血圧〉
平成 25 年
訪問対象者
平成 26 年
平成 27 年
3疾患未治療者でⅡ度・Ⅲ度高血圧者
血圧の未治療者でⅡ度・Ⅲ度
※1 か月間の生活改善要者
高血圧者
※3疾患…高血圧症、糖尿病、脂質異常症のこと
参考
資料:高血圧治療ガイドライン 2014
血圧値の基準
単位:mmHg
高血圧
正常
正常高値
Ⅰ度
Ⅱ度
Ⅲ度
収縮期
~129
130~139
140~159
160~179
180~
拡張期
~84
85~89
90~99
100~109
110~
目標項目 ②高血圧の人(140/90 mmHg 以上)の割合の減少
現状値
平成 25 年 32.7%
目標値
減少
出典
市特定健康診査
28
第3章 課題別の実態と対策
③脂質異常症の人の割合の減少
脂質異常症は、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の危険因子であり、特に総コ
レステロール及びLDLコレステロールの数値は重要な指標といわれています。
また、
心疾患の発症や死亡リスクが明らかに上昇するのはLDL160 mg/dl 以上といわれて
います。
市におけるLDLコレステロール 160mg/dl 以上の該当者についてみると、男性よ
り女性が多いことがわかります(表3-1-10)。個別で関わる訪問等によりその背景
について分析していく必要があります。
市では、特定健康診査を受診された結果、直ちに受診して治療の必要がある数値で
あるLDL180 mg/dl 以上の人に対して訪問指導を実施していますが(表3-1-11)
、
上記のことを踏まえると訪問対象者とする基準を含めて保健指導の進め方を再検討し
ていく必要があります。
表3-1-10 LDL160 ㎎/dl以上該当者
男性
受診者数
(人)
該当者
(人)
女性
該当率
(%)
受診者数
(人)
該当者
(人)
該当率
(%)
平成 22 年
843
101
12.0
1,218
226
18.6
平成 23 年
842
121
14.4
1,176
213
18.1
平成 24 年
839
112
13.3
1,180
246
20.8
平成 25 年
928
121
13.0
1,226
219
17.9
(参考)
国の目標値
(H34)
(%)
男性 6.2
女性 8.8
資料:市特定健康診査(各年)
表3-1-11 特定保健指導対象者以外の保健指導の取り組み〈LDL〉
平成 25 年
平成 26 年
平成 27 年
訪問対象者
3疾患未治療者で LDL 180 ㎎/dl以上の人
※家族性
脂質異常症未治療者で
LDL180 ㎎/dl以上の人
※家族性
※LDL 180 ㎎/dl 以上の場合は、生活習慣だけでは改善の可能性が低く、動脈硬化の危険性が高い
ので早期受診を勧奨する。
資料:動脈硬化性疾患ガイドライン 2012
目標項目 ③脂質異常症の人(LDL コレステロール 160mg/dl 以上)の割
合の減少
現状値
平成 25 年 男性 13.0% 女性 17.9%
目標値
減少
出典
市特定健康診査
29
④メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少
メタボリックシンドロームと循環器疾患の関連は証明されており、平成 20 年度か
らスタートした生活習慣病予防のための特定健康診査では、その減少が目的のひとつ
とされています。市のメタボリックシンドローム該当者は、全体としては平成 20 年
度以降減少傾向にありますが(図3-1-1)
、男性の 40 歳代、50 歳代については該
当者が増加している状況です(図3-1-2)
。
広く市民に対して、メタボリックシンドロームの危険性とともに生活習慣の改善の
必要性を啓発していきます。
(%)
図3-1-1 メタボリックシンドローム該当者・予備群の状況
20.0
17.6
15.8
15.6
15.7
15.5
16.3
15.0
15.3
14.7
15.1
15.1
14.9
14.1
10.6
10.0
9.9
9.5
10.0
10.5
9.7
9.7
10.4
9.8
9.5
9.8
8.2
5.0
平成20年
平成21年
瑞浪市 該当者
平成22年
平成23年
岐阜県 該当者
平成24年
瑞浪市 予備群
平成25年
岐阜県 予備群
資料:市特定健康診査(各年)
(%)
図3-1-2 メタボリックシンドローム該当者・予備群
40.0
《男性》
《女性》
30.0
20.0
10.0
0.0
40歳代
50歳代
60歳代
70~74歳
40歳代
50歳代
60歳代
70~74歳
平成24年 該当者
18.2
14.5
25.0
23.6
2.6
8.0
8.9
11.5
平成25年 該当者
11.1
19.5
24.9
24.7
0.0
4.3
7.4
9.4
平成26年 該当者
22.2
24.1
25.8
23.6
1.4
4.3
7.2
11.4
平成24年 予備群
16.7
15.7
15.4
17.7
1.3
3.6
5.3
6.3
平成25年 予備群
15.9
14.9
16.7
16.0
1.1
10.1
5.2
7.0
平成26年 予備群
14.3
14.9
17.8
12.7
1.4
6.5
4.5
6.4
資料:市特定健康診査(各年)
目標項目 ④メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少
現状値
平成 25 年 該当者 14.1% 予備群 10.4%
目標値
平成 20 年と比べ 25%減少
出典
市特定健康診査
30
第3章 課題別の実態と対策
⑤特定健康診査受診率・特定保健指導終了率の向上
特定健康診査とは、内臓脂肪の蓄積等に着目した生活習慣病を予防するための健康
診査のことをいいます。また、特定健診の結果により必要がある人に対して生活改善
に重点を置いた保健指導を特定保健指導といいます。いずれも医療保険者に実施が義
務付けられています。
市の状況をみると、受診率、保健指導終了率ともに県全体の数値より低くなってい
ます(表3-1-12)
。
そこで、未受診者の状況について調べてみたところ、40~64 歳までの 34.1%の人
が健診も医療機関受診もされていないことがわかりました(図3-1-3)。この中に
は生活習慣改善が必要な方がどの程度みえるのか気になります。
健診結果は、自身のからだの実態をイメージすることができ、生活習慣の改善へと繋
がっていきますので、生活習慣病予防のスタートとして、まず健診を受診することが重
要であることを啓発しながら、特定健康診査受診率向上対策に取り組んでいきます。
表3-1-12 特定健康診査・特定保健指導
瑞浪市
対象者数(人)
健診受診者数
(人)
6,557
6,657
6,589
6,373
6,447
6,411
2,144
2,207
2,061
2,018
2,019
2,154
平成 20 年
平成 21 年
平成 22 年
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
岐阜県
健診受診率
(%)
保健指導
終了率(%)
32.7
33.2
31.3
31.7
31.3
33.6
健診受診率
(%)
61.8
50.5
49.0
41.9
38.0
19.7
県保健指導
終了率(%)
43.2
42.7
41.9
42.5
42.9
42.7
29.5
33.1
34.1
37.1
34.8
36.3
資料:特定健診等データ管理システム(各年)
図3-1-3 平成 25 年度 特定健康診査受診結果
健診受診者
27.4
40~64 歳
治療なし
9.0
健診未受診者
72.6
治療中
18.4
治療中(健診未受診)
38.5
健診・治療なし,
34.1
健診受診者
784 人
0%
25%
50%
75%
100%
(27.4%)
治療なし
治療中
258 人
526 人
治療中(健診未受診)
健診・治療なし
1,099 人
975 人
1,625 人
人
健診受診者
37.5
65~74 歳
健診受診者
1,369 人
(37.5%)
治療なし
6.7
健診未受診者
62.5
治療中
30.8
0%
治療中(健診未受診)
49.0
25%
50%
治療なし
治療中
246 人
1,123 人
75%
31
100%
治療中(健診未受診)
健診・治療なし
1,788 人
494 人
2,911 人
※特定健診受診者数は法定報告と一致しない
健診・治療なし
13.5
目標項目 ⑤特定健康診査受診率・特定保健指導終了率の向上
平成 25 年
特定健康診査受診率 33.6%
特定健康診査受診率 60.0%
市特定健康診査
現状値
目標値
出典
平成 25 年
特定保健指導終了率 19.7%
特定保健指導終了率 60.0%
平成 24 年~26 年 治療者と未治療者の比較
(各年度の市特定健康診査の結果からの分析)
参考
上段 平成 24 年
中段 平成 25 年
下段 平成 26 年
HbA1c
治療中(糖尿病)の状況
HbA1cの数値(%)
数値
6.0(5人)
7.1(7人)
6.6(7人)
10.8(9人)
13.1(13人)
14.2(15人)
20
10
0
7.0~7.9
(6.6~7.5)
1.5(29人)
0.8(16人)
1.0(20人)
8.0~
(7.6~)
0.5(10人)
0.5(10人)
0.3(7人)
(%)
0
32
受診勧奨レベル
2.8(56人)
2.6(55人)
2.9(60人)
6.5~6.9
(6.1~6.5)
24.1(20人)
19.2(19人)
18.9(20人)
30
13.3(262人)
11.1(232人)
11.4(234人)
6.0~6.4
(5.6~6.0)
25.3(21人)
24.2(24人)
29.2(31人)
40
41.3(816人)
36.5(763人)
37.0(762人)
5.6~5.9
(5.2~5.5)
22.9(19人)
22.2(22人)
22.6(24人)
50
40.7(804人)
48.5(1,014人)
47.5(978人)
~5.5
(~5.1)
10.8(9人)
14.1(14人)
8.5(9人)
60
治療なしの者の状況
10
20
30
40
50
60
第3章 課題別の実態と対策
血圧
治療中(高血圧)の状況
血圧区分
24.8(174人)
23.8(173人)
21.0(155人)
40
30
20
10
3.9(53人)
3.9(57人)
4.1(58人)
Ⅱ度
2.7(19人)
1.0(7人)
1.2(9人)
1.1(15人)
0.5(8人)
1.1(15人)
Ⅲ度
0
受診勧奨レベル
18.3(249人)
21.0(308人)
19.5(278人)
Ⅰ度
6.6(46人)
8.4(61人)
6.6(49人)
50
20.2(276人)
22.2(325人)
23.2(332人)
正常高値
38.1(267人)
37.4(272人)
41.9(310人)
60
56.5(770人)
52.3(766人)
52.2(745人)
正常血圧
27.8(195人)
29.5(215人)
29.2(216人)
70
治療なし者の状況
(%)
0
10
20
30
40
50
60
70
LDLコレステロール
LDLコレステロール
数値(mg/dl)
治療中(脂質異常症)の状況
治療なし者の状況
52.5(203人)
52.2(216人)
33.2(203人)
36.2(216人)
31.7(238人)
119 以下
55.2(238人)
19.6(76人)
25.8(107人)
23.9(103人)
15.2(59人)
13.8(57人)
13.0(56人)
7.5(29人)
4.8(20人)
4.4(19人)
60
50
40
30
20
10
19.6(76人)
25.8(107人)
23.9(103人)
140~159
20.0(336人)
21.0(373人)
23.5(409人)
7.0(117人)
7.9(140人)
8.1(140人)
180 以上
0
(%)
0
33
受診勧奨レベル
11.4(192人)
9.3(165人)
10.5(182人)
160~179
5.2(20人)
3.4(14人)
3.5(15人)
70
120~139
10
20
30
40
50
60
70
■対策
①健康診査及び特定健康診査受診率向上対策
・未受診者の状況を把握・分析し、受診しやすい健診体制を検討<保険年金課・健康
づくり課>
・区長会、職域関係者等へ健診の重要性や健康の実態を伝える機会を増やす<保険年
金課・健康づくり課>
・出前講座の機会の増加<健康づくり課>
・健康情報発信チラシの工夫と有効活用<健康づくり課>
②保健指導の対象を明確にするための取り組み
・健診(30~39 歳)の実施<健康づくり課>
・国民健康保険特定健康診査の実施<保険年金課>
③循環器疾患の発症及び重症化予防のための施策
・健診結果に基づいた保健指導の実施(特定保健指導対象者だけでなく、それ以外に
重症化の恐れがある人(高血圧、脂質異常、糖尿病、慢性腎臓病)を対象に訪問実施
<健康づくり課>
・重症化予防対象者の管理台帳を作成し、個別に継続訪問を実施し重症化を予防
<健康づくり課>
・保健師及び管理栄養士の担当地区制により個別対応を強化<健康づくり課>
・医療機関との連携を図り、適切な医療に繋げる<健康づくり課・医師会>
・介護予防という視点から生活習慣病予防・重症化予防の重要性を啓発<地域包括支援
センター>
・メタボリックシンドローム該当者・予備群に対する運動教室を実施し、メタボリッ
クシンドローム解消をめざす<健康づくり課>
・受診者に対し健診結果(データ)の見方が理解できるよう支援<健康づくり課>
・広報等を活用し、高血圧や脂質異常、メタボリックシンドロームに関する知識の普
及・啓発<健康づくり課>
(3)糖尿病
■はじめに
糖尿病は発症すると心血管疾患のリスクを高め、循環器疾患を発症しやすくなります。
神経障害、網膜症、腎症といった合併症を併発するなどによって、生活の質や医療費に
多大な影響を及ぼします。また、糖尿病は新規透析導入の最大の原因疾患といわれてお
り、今後高齢化がすすみ、それに付随して糖尿病患者が増加することが予想されること
から、予防や治療継続の重要性は高まっています。
■基本的な考え方
①発症予防
糖尿病の発症の危険因子は、加齢、家族歴、肥満、運動不足等で、これ以外にも高
血圧や脂質異常も独立した危険因子であるとされています。循環器疾患同様、危険因
子の管理が重要となります。
34
第3章 課題別の実態と対策
②重症化予防
糖尿病における重症化予防は、健康診査によって、糖尿病が強く疑われる人(Hb
A1c6.5%以上)、あるいは糖尿病の可能性が否定できない人(HbA1c 6.0%~
6.4%)を見逃すことなく、早期に生活改善、治療へと繋げることです。そのために
はまず健診受診者を増やしていくことが必要です。同時に糖尿病の未治療や治療を中
断することが糖尿病の合併症の増加に繋がることが明確にされているため、良好な血
糖コントロール状態を維持し、糖尿病による合併症の発症を抑制するために治療を継
続することが重要です。
■現状と目標
①糖尿病が強く疑われる人の割合の抑制
糖尿病が強く疑われる人(HbA1c 6.5%以上)が適切な治療を受けていれば、将
来的に合併症を予防することに繋がります。
市の特定健康診査の結果をみると(図3-1-4)
、平成 24 年に上昇しているのを除け
ば、大きな変化はありません。糖尿病のコントロール不良者とされるHbA1c 7.4%
~8.3%に位置する割合の人について平成 24 年度と平成 26 年度を比較してみると(図3
-1-5)
、減少していました。
HbA1c 7.0%以上の人に対しては、以前より訪問対象者として保健指導を実施し
てきており、少なからず成果として捉えており、今後も訪問指導を強化していきます(表
3-1-13)
。
表3-1-13 特定保健指導対象者以外への保健指導の取り組み〈血糖〉
平成 25 年
平成 26 年
平成 27 年
訪問対象者
①糖尿病未治療者のうち
HbA1c6.5%以上の人
②糖尿病治療者のうち
HbA1c7.0%以上の人
①3疾患未治療者で HbA1c6.5%以上の人
②糖尿病で治療者のうち HbA1c7.0%以上の人
※3疾患とは、高血圧症、脂質異常症、糖尿病のこと。
※HbA1c7.0%は、糖尿病のコントロール不十分者(診療ガイドによる)と言われている。
資料:糖尿病診療ガイドライン 2010
(%) 図3-1-4 糖尿病が強く疑われる人(HbA1c 6.5%以上)の割合(未治療者)
10.0
8.0
6.0
5.8(125人)
4.9(108人)
4.3(93人)
4.3(97人)
4.0
2.0
0.0
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
資料:市特定健康診査(各年)
35
(%)
図3-1-5 特定健診におけるHbA1c 数値分布
60.0
平成24年
平成26年
50.0
40.2
40.0
39.6
30.0
21.7
18.9
18.4
20.0
19.5
9.4
10.0
13.8
10.4
8.0
0.0
指
標
~6.1
優
6.2~6.8
良
6.9~7.3
不十分
7.4~8.3
不良
8.4~
不可
資料:市特定健康診査(平成 24 年・26 年)
※指標は、糖尿病診療ガイドライン 2010 血糖コントロール指標による
目標項目 ①糖尿病が強く疑われる人(HbA1c6.5%以上)の割合の抑制(未治療者)
現状値
平成 25 年 4.3%
目標値
減少
出典
市特定健康診査
②血糖コントロール不良の人(HbA1c 8.4%以上)の割合の減少
「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2010」では、血糖コントロール評価指
標としてHbA1c 8.4%以上が「血糖コントロール不可」とされています。HbA1
c の値が 8.4%を超えるようになると、血管内膜が傷付くことにより、網膜症をはじめ、
心筋梗塞、脳梗塞、腎障害などの合併症の危険が更に高まるといわれています。市にお
けるHbA1c8.4%以上の人の割合は(図3-1-6)のとおりです。この数値の人に対
しては治療の有無に関わらず訪問をしており、未治療者の数は減少してきていますが、
実際には数名存在します。また、治療中であっても血糖数値がコントロールできていな
い人もおり、
主治医と連携しながら保健指導を実施していくことが重要となってきます。
(%)
図3-1-6 血糖コントロール不良者(HbA1c8.4以上)の人の割合
1.5
1.0
0.9(20人)
0.7(15人)
0.6(13人)
0.8(19人)
0.5
<健診受診者中の割合>
0.0
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
資料:市特定健康診査資料(各年)
36
第3章 課題別の実態と対策
目標項目 ②血糖コントロール不良の人(HbA1c8.4%以上)の割合の減少
現状値
平成 25 年 0.8%
目標値
減少
出典
市特定健康診査
③治療を継続している人の割合の増加
糖尿病による合併症を予防するために糖尿病治療の中断者を減少させることは非常に
重要です。平成 25 年度市の特定健康診査結果において「糖尿病治療中である」人が翌年
も治療継続された割合は8割でした。
残り2割の方の状況を分析していく必要があります。
今後も糖尿病でありながら未治療である方や中断している人の減少に向けて、受診勧
奨していきます。
平成 25 年 糖尿病治療者 69 人→うち、平成 26 年も糖尿病治療中 55 人(79.7%)
目標項目
③治療継続している人(前年度と当該年度共に服薬ありと回答した人)の
割合の増加
現状値
平成 25 年 79.7%
目標値
増加
出典
市特定健康診査
④年間新規透析患者数(国民健康保険加入者)の減少
糖尿病は、新規透析導入の最大の原因疾患であるといわれています。
瑞浪市国民健康保険加入者のうちで新規人工透析患者数の状況をみると、平成 23 年以
降若干減少しています(図3-1-7)
。原因をみると糖尿病以外とするものの割合が多く
なっていますが今後の動向を注視していく必要があります。また、人工透析は、一人当
たり医療費が年間約 500 万円かかるだけでなく長期化することから、新規導入をひとり
でも増やさないことが重症化予防だけでなく医療費軽減のためにも重要です。
糖尿病以外の生活習慣病から人工透析に至ることもあるため、どのような病気等の背
景を抱えて透析に至っているのかを分析しながら、予防の取り組みをしていく必要があ
ります。
市では人工透析の予防のために下記のとおり訪問を実施しています
(表3-1-14)
。
今後も継続し、人工透析に至らないよう支援していきます。
37
表3-1-14 特定保健指導対象者以外の取り組み(慢性腎臓病<CKD>対策)
平成 25 年
訪問対象者
平成 26 年
平成 27 年
①尿蛋白(++)以上
②尿蛋白(+)及び尿潜血(+)
③eGFR45 未満(40-69 歳)
※CKD …慢性腎臓病のことで、新たな国民病といわれる。
生活習慣病やメタボリックシンドロームとの関連も深く、進行すると脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクが
高くなることが分かっています。慢性腎臓病(CKD)が進行して腎不全になると、最終的には透析が必要と
なる。
※eGFR…推算糸球体濾過量のこと。
腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪い
といわれる。
【慢性腎臓病(CKD)の定義】
(1)検尿(蛋白尿・血尿)異常 (2)腎機能(GFR)が 60ml/min/1.73m2 未満
(1)または(2)のどちらかが3カ月以上持続すること。
資料:2012 CKD 診療ガイドライン
(人)
図3-1-7 国民健康保険加入者の新規透析患者数
20
腎炎ほか
15
13
11
10
糖尿病性
12
3
5
4
6
2
5
6
10
9
9
1
4
8
8
平成23年
平成24年
5
4
0
平成20年
平成21年
平成22年
平成25年
資料:市特定健康診査関連(各年)
人工透析の状況
参考
(国保加入者)
年度
単位:人
平成 19 年 平成 20 年 平成 21 年 平成 22 年 平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年
男性
16
24
27
26
28
21
29
30
女性
5
7
8
16
18
15
13
10
計
21
31
35
42
45
38
42
40
資料:市特定健康診査関連(各年)
目標項目 ④年間新規透析患者数(国民健康保険加入者)の減少
現状値
平成 25 年 9人
目標値
減少
出典
市特定健康診査
38
第3章 課題別の実態と対策
■対策
①糖尿病の発症予防及び重症化予防
・各保健事業において、予防のための規則正しい生活、食事のとり方、運動等の情報
を提供<健康づくり課・地域包括支援センター>
・特定健康診査結果に基づき、血糖値から健康状態が確認でき、自己管理ができるよ
う訪問、結果説明会等による特定保健指導及びHbA1cの数値に基づいた保健指
導の実施<健康づくり課>
・糖尿病治療の中断者への訪問指導実施<健康づくり課>
・医療機関との連携を図ることで適切な医療につなげる<健康づくり課・医師会>
(4)栄養・食生活
■はじめに
栄養・食生活は、人が生きていくうえで必要不可欠なものであり、健康で豊かな生活
を送るためには、非常に重要な分野です。生活習慣病予防という観点からも重要な領域
です。
■基本的な考え方
食は生命を維持し、子どもたちが健やかに成長し、人々が心豊かに健康的な生活を送
るためにとても重要であり、また多くの生活習慣病予防の観点からも重要です。
瑞浪市においては、米文化、保存食文化等の昔ながらの食文化に加え、レストランや
ファストフード店の増加、モーニングの定着等、外食産業の活発化、早朝からの電車通
勤のためか朝食欠食率が高いこと等、個々により食生活は大きく違ってきています。
今後、増え続ける生活習慣病の発症予防・重症化予防のためには、ライフステージを
通して、栄養素(食品)と自分自身の体をきちんと診ることができ、自分自身にあった
適切な栄養素(食品)の摂取が実践できる人を育てることが重要です。
■現状と目標
適正体重を維持している人の増加(肥満、やせの減少)
体重は、ライフステージを通して、日本人の主要な生活習慣病や健康状態との関連が
強くなっています。
個人が適切な食事(量や栄養素)をとっているかを評価できる指標は、体格や血液検
査等の健診データであるため、栄養分野では体格=適正体重を中心とした目標を設定し
ます。
39
①小学5年生の肥満傾向児の割合の減少
人数は年度内に2~4人ととても少なく(図3-1-8)
、県や国と比べてもとても少
ない状況です。しかし、子どもの肥満は、将来の肥満、生活習慣病へと結びつきやす
いという報告もあり、個別にかかわっていくことが必要となってきます。
図3-1-8 小学5年生 肥満傾向の児童の推移
(%)
3.0
2.06
肥満傾向児 男
肥満傾向児 女
2.0
1.18
1.07
0.98
1.0
0.60
0.00
0.0
1.11
0.00
平成21年
0.00
0.00
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
資料:みずなみの子ども(各年)
目標項目 ①小学5年生の肥満傾向児の割合の減少
現状値
平成 25 年 男子 1.11%、女子 1.18%
目標値
0.0%
出典
みずなみの子ども(小学5年生 肥満傾向)
②妊婦(非妊時)のやせの人の割合の減少
年度で違うものの、妊婦の2割以上の人がやせという現状です(図3-1-9)
。
妊娠前からやせている場合、低出生体重児が生まれる要因の一つと考えられており、
妊娠前からの適正体重の維持、さらに妊娠中の適正な体重管理が大切です。
図3-1-9 妊婦(非妊娠時BMI18.5未満)の推移
(%)
25.0
23.7
22.5
22.4
20.7
20.0
18.5
15.0
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
資料:市健康づくり課実績
40
第3章 課題別の実態と対策
目標項目 ②妊婦(非妊娠時)のやせの人(BMI18.5 未満)の割合の減少
現状値
平成 26 年 20.7%
目標値
減少
市健康づくり課実績マタニティーアンケート集計
(20 代と限らず妊婦全員)
出典
③30~60 歳代男性の肥満者、40~60 歳代女性の肥満者の割合の推移
男性の肥満者の割合は、年々増加しています。年代別にみると、特に 40 歳代、50
歳代で増加しています(図3-1-10)。女性の肥満者の割合は、1割~2割ほどで推
移しており、ほぼ横ばいです。
生活習慣病との関連が高いこともあり、肥満者の割合を減少させることが大切です。
(%)
図3-1-10 30~60歳代男性、40~60歳代女性のBMI 25.0以上の人の推移
35.0
29.2
30.0
30~60歳代男性
40~60歳代女性
25.6
24.6
25.0
20.0
16.9
16.1
15.0
15.0
平成24年
平成25年
平成26年
資料:市 30 歳代健診
市特定健康診査(各年)
図3-1-11 30 歳代健診 特定健診受診者のBMI25.0 以上の人の割合
(%)
(%)
50.0
50.0
〈男性〉
〈女性〉
40.0
40.0
30.0
30.0
20.0
20.0
10.0
10.0
0.0
平成
20年
平成
21年
平成
22年
平成
23年
30歳代
0.0
平成
24年
平成
25年
平成
26年
25.6
16.0
21.4
30歳代
平成
20年
平成
21年
平成
22年
平成
23年
平成
24年
平成
25年
平成
26年
21.4
6.8
11.2
40歳代
29.8
24.3
27.0
33.3
31.9
33.3
42.4
40歳代
19.1
9.8
9.0
19.0
9.7
11.5
14.3
50歳代
33.0
28.4
31.1
27.5
26.2
33.7
38.6
50歳代
13.3
19.4
12.4
12.3
14.8
18.6
16.5
60歳代
21.9
23.3
19.6
20.0
22.6
24.4
26.4
60歳代
19.1
16.3
16.9
17.5
15.8
17.3
16.2
資料:市健康づくり課実績
41
目標項目 ③30~60 歳代男性の肥満者、40~60 歳代女性の肥満者の割合の減少
現状値
平成 26 年 男性 29.2%、 女性 16.1%
目標値
減少
出典
市 30 歳代健診及び市特定健康診査結果 年度末年齢とBMIにて集計
■対策
・肥満傾向児及び血液検査結果にて正常範囲でなかった児童に対する個別指導の実施<学校・給
食センター>
・学校・幼児園での、食育推進の強化<各学校・各幼児園・給食センター・子育て支援室>
・健康で安全な出産ができるからだ作りの重要性を理解し、必要な栄養をバランスよく摂取
することができるよう支援する<健康づくり課>
・やせの妊婦に対し、妊娠中の体重増加等、個別指導の実施<健康づくり課>
・市特定健康診査等にて、個々に合わせた生活習慣病発症予防及び重症化予防の取り組み
<健康づくり課>
42
第3章 課題別の実態と対策
食べ方
●郷土料理に米を使用したものが多い。
・箱寿司、味ごはん、五平餅など。
・人が集まる時に、箱寿司や五平餅を作ってふるまう。
●農家も多く、保存食を作る(漬物、しそジュース、梅ジュースなど)。
●みそ汁、漬物を頻回に食べる。
●イベント時に豚汁を作ってふるまう。
●みそ、塩などを利用した塩辛いものを好む。
塩分や糖分など、
しっかりした味を
好む
●カレーライスにソースをかける。
しょうゆ・
みそ・食塩・
砂糖・ソース
●酢の物(酢を使用したもの)をよく食べる(体にいいと感じる)
。
●野菜を家で作っているはずなのに、野菜摂取量が少ない。
●サラダには、ドレッシングをたっぷりかける人もいる。
●じゃこや干物、練り製品、佃煮などを好む人も多い。
●ハムなどの加工食品を多くとる。
●主菜=おかず、副菜はおかずにならないと、主菜を重ねてとる、ごはんとみそ汁
と漬物というような偏りがみられる。
●納豆に砂糖を入れて食べる人がいる。
●農作業の合間の間食の習慣か、菓子、漬物をお茶とともにとることも。
また、果物も多くとる。
●朝食の欠食が多い(特に 20 歳代男性が 45.8%と高い)。
●若い世代の食事の影響…めん類(パスタ)や韓国料理など。
43
風習
歴史
●地区行事・まつりなどを行って
いる地区が多い
●中山道の宿場町
●中山道、下街道、東山道の
主要街道が通っていた
●まちづくり事業の活発化
●木曽義仲の子孫 22 代目の
木曽玄蕃義徳の墓がある
(上野町)
地勢・風土
●陶器の街である
医療
●農耕地は、年々減少している。
米、いも、野菜や果物などを
作っている。特に、マコモダ
ケを市の特産品にと力を入れ
ている
●総合病院:3
●医院・クリニック:26
●歯科医院:20
●鶏(鶏卵含む)・豚・牛(牛乳
含む)の畜産
●農産物直売所の新設(H24.6)
職場
●市内で勤務する人が多いが、
名古屋に近いこともあり、
電車通勤の人もある
交通
●市バス、私鉄バスが運行して
いる地域もあるが、本数が
少なく車の利用が多い
食環境
子どもたち
●コンビニエンスストアの増加
●レストラン等の増加
●塾に行っている子も多く、
夕食の時間が遅く、短時間
で食べられる食事(偏りが
ある)になる
●ファストフード店の増加
●モーニングの定着
44
第3章 課題別の実態と対策
からだの実態
死亡状況
県や国と比べ脳血管疾患が占める割合が高く、主に脳梗塞によるものである
が、脳出血も徐々に増えている。
医療(レセプト)の状況
高血圧、脳血管疾患、肝機能障害、人工透析について、市町村平均より高く
なっている。
介護保険要介護認定者の状況
認定者数は年々増加している。特に要介護3以上の認定者の増加が目立つ。
認知症、脳血管疾患による要介護認定が多く、特に介護度が上がるほど、脳血
管疾患の占める割合が高い。また、
2号被保険者の主要因は脳血管疾患である。
健診結果の状況
LDLコレステロールについて、男性はほとんどの年代で、女性は 50 歳代
から2人に1人が基準値を超えている。HbA1cについて、男性で 65 歳以
上、女性で 55 歳以上の6割近くが基準値を超えている。また、血圧も高く、
特にⅡ~Ⅲ度高血圧の人が多い。
小中学生の血液検査結果の状況
総コレステロールが高い(220 以上)人が 44 名(5.5%)。
(内訳:小学生 29 名 6.6%、中学生 15 名 4.1%)
45
健康づくり課・子育て支援室・
給食センターの栄養士連絡会にて作成
胎児期
食は「癒し」と「生きる力」
発育・発達過程に
乳児期(0歳)
幼児期(1~5歳)
「楽しい」がキーワード
偏食も強くなる時期です。楽しくおいしく乗り越
「食べる」「寝る」「愛される」この3つ
えよう。
の柱が満たされなければ、人に優し おかゆとおかずは別々に。
たくさんの栄養が必要です。間食=補食(食
くすることはできません。
だしや野菜スープの風味を活かして、素材の味を体 事でとれないものを補う)をうまく活用!
おなかの赤ちゃんと一緒においしく 験しましょう。
1~2歳:1日2回
食事をとることで、優しさをうみだし
3~5歳:1日1回
ます。
時間を決めて食べよう!
バランスの良い食事で、赤ちゃんの
からだづくりをしていきます。
食事のポイント
離乳食は、栄養補給とともに将来の食生活の土台
づくりとなります。
和食のすすめ:和食の味は小さいころから慣れ親しまないと、覚えることができません
成長が目覚ましい時期 カル
男
2015年版
食事摂取基準
エネルギー必要量
女
550~700
初期 +50 中期 +250
後期 +450
950~1300
500~650
900~1250
7か月
たんぱく質・脂肪の消化酵素が多くなります。
消化酵素の分泌に合わせて、食品の種類と量を増
やしていきます。
食品を食べることで消化酵素の分泌がよくなります。
消化機能
2歳
糖質の消化酵素はまだ大人の70%
3歳
脂肪とたんぱく質の消化酵素が大人なみに
4歳
糖質の消化酵素が大人なみに
ママの体の変化
脂肪細胞
つわり
4週頃から始まります。これは、
胎児の大切な脳や神経を作る
時期であり、有害な物質が入ら
ないように防いでいるためおこ
ります。
酸素を運ぶ
赤血球数
胎盤
15週に完成。母から胎児へ栄
養が送られ始めます。
胎盤は、胎児の肺・肝臓・腎臓
の役割があります。
胃の容量
体
を
作
る
鉄分の
推奨量
(
行
動
を
支
心
配
す
る
脳
味 覚
5つの基本味
(甘味・塩味、酸味、
苦味、うま味)
)
次
を
の
作
世
る
代
生活リズム
貧血
胎児に鉄が送られ、母が蓄え
ていた鉄が減り、鉄欠乏状態と
なります。できるだけ鉄を蓄え
ておくことが大切です。
アルコール
お母さんから赤ちゃんに栄養が
いくようになると影響があります。
脳障害を及ぼすこともあるので
注意します。
新生児:30~50㏄
2か月児:120㏄
4~12か月児:200㏄
1~5歳:200~650㏄
6か月
母体からもらい貯金していた鉄分がなくなります。
男性 5.0
男性 5.5
女性 4.5
女性 5.0
野菜(苦味)は学習しないと嫌いになる味です。
酸味(酢の物)も学習で覚えます。
自我の芽生えと共に、偏食は一時強くなるものの、離乳食の時に食べた味は、また食べられ
るようになるため、離乳食で学習をさせることが大切です。
食習慣の確立・食生活の基礎ができます
親の生活・食生活に左右されやすい
生殖器
喫煙
ニコチンが酸素を送る邪魔をす
るので要注意!赤ちゃんの体
を作るには、酸素が必要です。
脂肪細胞から生理を起こさせる女性ホルモンが出ます
瑞浪市の現状
妊婦学級・両親学級
4か月児健診・離乳食教室
各幼児健診・3歳児親子食育教室
各幼児園等での食育
瑞浪市での取り組み
家庭で安心と安らぎの中で飲んでいる(食べている)心地よさを味わいます
給食を通じ、食事の基本の形や
46
第3章 課題別の実態と対策
応じて育てたい“食べる力”
学童期(6~12歳)
思春期(13~19歳)
味付けはまだ薄味!
まだまだ未熟なからだです。素材の味を大切
に、薄味に心がけましょう。
さまざまな食材や料理形態にふれて大きく成
長!
青年期(20~34歳)
思春期やせに注意!
将来の不妊などに影響があります。
アルコールの飲み方に注意!
生活も、食生活も不規則になり
がちで、体に負担がかかります。
主食:主菜:副菜=3:1:2が基準
主食、主菜、副菜をそろえて食
体が作られる時期
べましょう。
今しっかり代謝できる体を作らないと、将来太 朝食をしっかりととりましょう。
りやすくなる危険も!
壮年期(35~64歳)
高齢期(65歳以上)
少しずつ青年期の不規則な生
活、食事で体に脂肪がついてく
る時期。
子どもたちの食事をバランスよく
するためには、親がそのお手本
となることが大切です。
好きな食べ物ばかりに偏ってい
ませんか?
塩辛いものを好んで食べていま
せんか?
バランスよく、適量を食べること
が大切です。
食の自立→食の自律へ
ん
ルシウム・鉄・食物繊維が不足しやすくなっています
1550~2250
2600~2850
2650
2650~2450
2200
1450~2100
2400~2300
1950
1950
1750
消化吸収能力、代謝が高まり、エネルギー代 12~14歳ごろまでに28本の永久歯に生えかわ
り、そしゃく力が上昇します。
謝は亢進(食食旺盛化)
消化機能は大人と比べまだ未熟で、胃の容量
は小さい。
そしゃく回数が減少しやすい。
6~12歳:650~1200㏄
大人:1200~1600㏄
8歳
16歳
脂肪細胞の数が決まります。
20歳から体重は増えていません
か?脂肪の体積が増え、脂肪細
胞が悪さをします!
学童期肥満は成人肥満につながる可能性が
高い(脂肪細胞の数が増えます)。
鉄分は学童期に不足しやすい栄養素
1日の必要量を満たしている子は、男子で20
~30%、女子で5~10%
10歳
味覚の完成
男性 10.0
男性 11.5
男性 7.0
男性 7.5
男性 7.0
女性 10.0
女性 14.0
女性 10.5
女性 10.5
女性 6.0
※甘味、塩味、うま味は体にとって必要なものであるため、本能的に好み、 酸味、苦みは、腐敗物や毒など、体にとって有害なものとして認識され、本能
的に嫌う味 です。 しかし、味の経験を積むことによって、苦味や酸味もおいしく感じるようになります。味覚を広げるために、いろいろな食べ物や味に
10歳までに触れることが大切です。
塾通いなどにより、ファストフードやコンビニ、 生活リズムが不規則になりがち
に!
外食などの利用が増えます。
家での食事が減少します。
8歳
性ホルモンが出はじめます。
間食の時間はありませんか?大
人には必要ありません。楽しみ
の時間をどう過ごしたらよいで
しょうか?
18~19歳
子宮の機能・大きさが完成します。
平成26年度小学5年生の血液検査結果より、 平成26年度中学2年生の血液検査結果より、 朝食欠食者が20歳代男性で2 64歳未満の介護保険2号認定
すでに総コレステロール値が高い人が1割を 総コレステロール値が高い人が約5%います。 人に1人、30歳代男性で3人に1 者が0.26%(34名)あります。
人となっています。
超えています。
毎日排便習慣がない児童・生徒が年齢が大きくなるほど多くなり、中学生では半数以上となってい
ます。
「いただきます」のあいさつをする児童・生徒、家族一緒に食べる児童・生徒は、年齢が上がるほど
少なくなっています。
介護給付費は年々増えていま
す。
瑞浪市では、心臓病、脳血管疾患が原因でなくなる方が多くあり、その原因として、腎機能の低下(慢性
腎不全)、高血圧、脂質異常症等の病気があります。健診をきちんと受け、その結果をみることにより、自
分の体のチェックをしてください。生活習慣病は生活習慣が原因です。生活改善に取り組みましょう。
みずなみ健康21中間報告より
平成25年介護保険事業のまとめより
各小中学校での食育
生活習慣病の予防の観点からの食育
やマナーを身につける。自分の食事の適量をきちんと知る。バランスよく選んで食べます
47
平成25年介護保険事業のまとめより
2
生活習慣及び社会環境の改善
生活習慣病の発症を予防し、健康寿命を延伸するためには、健康の増進の基となる身体
活動・運動、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康、こころの健康づくりが重要です。そのため、
乳幼児期から高齢期までのライフステージや性差などに着目し、それぞれのニーズや健康
課題等の把握を行います。
また、社会環境が個々人の健康に影響を及ぼすことから、家庭や地域、職場等を通じて
市民に対する健康増進への働きかけを進めます。
(1)身体活動・運動
■はじめに
「身体活動」とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する全ての動
きを、
「運動」とは、身体活動のうち、スポーツやフィットネスなどの健康、体力の維持・
増進を目的として計画的・意図的に行われるものを指しています。
身体活動・運動の量が多い人は、量が少ない人と比較して循環器疾患やがんなどの発
症リスクが少ないことが実証されています。
WHO(世界保健機構)は、高血圧(13%)、喫煙(9%)
、高血糖(6%)に次いで、
身体不活動(6%)を全世界の死亡に対する危険因子の第4位と認識しています。
日本でも身体活動・運動不足は、喫煙に次いで非感染性疾患による死亡の3番目の危
険因子であることが示唆されています。また、身体活動・運動は非感染性疾患の発症予
防だけでなく、高齢者の認知機能や運動機能の低下など社会生活機能の低下と関係する
ことも明らかになっています。
※非感染症疾患…WHO定義では不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの原因が共通
しており、生活習慣の改善により、予防可能な疾患をいう。
■基本的な考え方
健康増進や体力向上のために身体活動量を増やし、運動を実施することは、個人の抱
える多様かつ個別の健康課題の改善に繋がります。生活習慣病予防とともに高齢期にお
いては、ロコモティブシンドロームによって、日常生活の営みが困らないようにするた
めに身体活動・運動が重要となってきます。
■現状と目標
①運動習慣がある人の割合の増加
市の日頃心がけて運動している人の割合をみると、男女とも 60~70 歳代以上の高齢者
では 60%以上を占めており良い傾向といえます(図3-2-1)
。一方、平成 26 年度の要
介護認定者の原因疾患をみると、75 歳以上では関節疾患と転倒・骨折で全体の 27.9%(3
割弱)を占めています(図3-2-2)。高齢期になってから運動をスタートすることは様々
なリスクを伴うため、生活習慣病予防のためにも高齢期に突入する前に運動の習慣づけ
ができていることが望ましい姿です。しかし、市の特定健康診査の結果をみると、受診
者の3割程度しか運動習慣がなく(図3-2-3)また、市の 30 歳代健診受診者において
は1~2割程度であり(図3-2-4)若い世代から運動不足の課題が生じています。年
代やライフスタイルの多様化に合わせた運動の機会の提供や環境整備が必要だと思われ
ます。
48
第3章 課題別の実態と対策
図3-2-1 日頃心がけて運動するようにしていますか
(%)
100.0
〈男性〉
〈女性〉
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
20歳代
n=41
30歳代
n=52
40歳代
n=35
50歳代
n=69
60歳代 70歳以上 20歳代
n=111 n=102
n=79
30歳代
n=87
40歳代
n=59
50歳代
n=76
60歳代 70歳以上
n=89
n=125
はい
39.0
30.8
31.4
42.0
62.2
70.6
22.8
34.5
27.1
44.7
60.7
76.0
いいえ
61.0
69.2
68.6
58.0
37.8
29.4
77.2
65.5
72.9
55.3
39.3
20.8
資料:アンケート調査(平成 26 年)
図3-2-2
認知症
65~74 歳
n=51
高齢による衰弱
17.6
75 歳以上
n=337
2.0 3.9 3.9
28.8
0%
平成26年度 前期・後期高齢者別
新規要介護認定者原因疾患
関節疾患
転倒・骨折
21.6
脳血管疾患
9.8
19.0
その他
5.6
12.8
41.2
15.7
25%
がん
12.2
50%
5.9
75%
100%
資料:高齢福祉課(平成 26 年)
(%)
40.0
図3-2-3 40~64歳 運動習慣がある人(1日30分以上、週2回以上、
1年以上継続)の割合の推移
34.9
35.0
31.5
33.3
32.6
31.9
32.2
30.0
30.0
25.0
平成
20年
平成
21年
平成
22年
平成
23年
平成
24年
平成
25年
平成
26年
資料:市特定健康診査(各年)
49
図3-2-4 30歳代 運動習慣の割合の推移
(%)
30.0
25.0
(1日30分以上、週2回以上、1年以上継続)
23.0
20.0
15.2
15.4
15.0
10.0
平成25年
平成26年
平成27年
資料:30 歳代健診問診票(各年)
目標項目 ①運動習慣がある人(1日 30 分以上、週2回以上、1年以上継続)の割合
の増加
現状値
平成 26 年 30 歳代 15.2% 40~64 歳 32.2%
目標値
30 歳代 20% 40~64 歳 37%
出典
市特定健康診査質問票
■対策
①身体活動及び運動習慣の向上の推進
・メタボリックシンドローム対策教室の開催<健康づくり課>
・運動機能向上のための教室の開催<地域包括支援センター>
・市民体育館ジムトレーニング利用の積極的活用の勧め<スポーツ文化課>
・年代に合わせた運動機会の提供<スポーツ文化課・関係団体>
・運動習慣を支援するイベントの企画・開催<自治会・まちづくり関係者>
②身体活動量の増加や運動習慣の必要性について、知識の普及・啓発の推進
・健康状態に応じた適切な運動に関する情報提供<スポーツ文化課・健康づくり課・
地域包括支援センター>
・乳幼児健診等における親と子の運動の必要性を周知<健康づくり課>
50
第3章 課題別の実態と対策
(2)飲酒
■はじめに
過度の飲酒は肝機能障害やアルコール依存症などを発症させることがあるだけでなく、
がん、高血圧、脂質異常症等の生活習慣病のリスクを高めるとされています。生活習慣
病のリスクを高める飲酒量は、1日の平均純アルコール摂取量が男性で 40g以上、女性
で 20g以上とされ、
「健康日本21」では、
「1日平均 60gを超える飲酒者」を多量飲酒
者と定義づけています。
また、未成年者の飲酒の問題や、妊娠中の胎児への影響等、他の食品とは違う特性を
もっています。
そのため、適度な飲酒についてだけでなく、健康被害についても様々な機会をとらえ
て知識の普及・啓発をしていく必要があります。
■基本的な考え方
飲酒については、アルコールと健康の問題について適切な判断ができるよう、未成年
者の発達や健康への影響、胎児や母乳を授乳中の乳児への影響を含めた健康との関連や
「リスクの少ない飲酒」など、正確な知識を普及する必要があります。
■現状と目標
①生活習慣病のリスクを高める飲酒をする人の割合の減少
妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール症候群や発育障害を引き起こします。妊娠届時の
状況から、飲酒している妊婦はほとんどいませんが、飲酒している妊婦に対しては飲酒
をなくすよう個別指導で対応しています。
未成年の飲酒については今後も学校教育の一環として、アルコールによる影響等の教
育を広く実施していくことが望ましいと考えます。
市の特定健康診査により、1日の飲酒量をみると、1合未満の飲酒量は県と比べ多い
ですが、1合以上の飲酒量に差はありません(図3-2-5)。
生活習慣病のリスクを高める純アルコール量は、男性 40g(日本酒2合程度)以上、女
性 20g(日本酒1合程度)以上といわれています。市の平成 25 年度特定健康診査受診者
のうち、それに当てはまるのは、男性 13.7%、女性 5.8%でした(表3-2-1)
。30g以
上摂取する割合をみると、男性では加齢とともに増えており、50 歳代から急増し、50~60
歳代では6割を超えています。
女性はどの年代も2割程度にとどまっています
(図3-2-6)
。
図3-2-5
(%)
100.0
80.0
72.8
60.0
64.7
特定健康診査受診者の1日の飲酒量
40.0
24.8
20.0
19.2
8.5
6.9
2.0
1合未満
1~2合
2~3合
1.1
3合以上
瑞浪市
72.8
19.2
6.9
1.1
岐阜県
64.7
24.8
8.5
2.0
0.0
資料:市特定健康診査(平成 25 年)
51
図3-2-6 1日当たりの純アルコール摂取量
(%)
100.0
〈男性〉
〈女性〉
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
20歳代
n=23
30歳代
n=36
40歳代
n=22
50歳代
n=49
8.7
0.0
4.5
0.0
10~20g未満
4.3
16.7
9.1
10.2
11.8
23.3
17.4
21.6
23.3
23.3
33.3
38.1
20~30g未満
43.5
52.8
36.4
20.4
22.4
17.8
15.2
32.4
26.7
30.2
25.0
33.3
30g以上
26.1
25.0
36.4
63.3
63.5
53.4
26.1
24.3
16.7
23.3
25.0
4.8
10g未満
60歳代 70歳以上 20歳代
n=85
n=73
n=46
1.2
0.0
30歳代
n=37
40歳代
n=30
50歳代
n=43
2.7
0.0
2.3
2.2
60歳代 70歳以上
n=24
n=21
4.2
14.3
資料:アンケート調査(平成 26 年)
※無回答あり
表3-2-1 特定健康診査質問票による結果
男性(2合以上飲酒する割合)
13.7%
女性(1合以上飲酒する割合)
5.8%
※男性女性毎の受診者数に占める割合
資料:特定健康診査(平成 25 年)
次に、男性2合以上、女性1合以上飲酒する人の健診データを調べたところ、肥満、
γ-GTP、血糖(HbA1c)
、尿酸、血圧の数値がそうでない人と比べ高く、飲酒は、
肝臓だけでなく、他の検査項目の数値にも影響が出ていることがわかりました。健診結
果と飲酒の関連を本人が理解した上で、生活改善につなげるよう支援していくことが重
要です(表3-2-2)。
表3-2-2 飲酒量別の健診結果
単位:人/%
摂取エネルギーの過剰
該当者数
腹囲
BMI
γ―GTP
HbA1c
尿酸
収縮期血圧
拡張期血圧
男 85 ㎝以上
女 90 ㎝以上
25 以上
50 以上
5.6 以上
7.0 以上
130 以上
85 以上
男性
1合未満
425
44.9
23.8
3.1
9.9
20.5
57.4
22.6
1~2合未満
253
44.3
20.6
4.0
7.9
23.7
64.4
29.2
2~3合未満
109
48.6
21.1
4.6
11.9
30.3
69.7
34.9
3合以上
18
66.7
44.4
11.1
5.6
33.3
61.1
22.2
女性
計
805
45.7
22.9
3.7
9.4
23.1
61.4
26.3
1合未満
778
17.2
14.7
5.7
5.3
1.7
53.6
13.0
1~2合未満
63
11.1
12.7
7.9
6.3
6.3
57.1
20.6
2~3合未満
7
0.0
0.0
28.6
0.0
0.0
57.1
28.6
3合以上
1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
849
16.6
14.4
6.0
5.3
2.0
53.8
13.7
計
資料:市特定健康診査(平成 25 年)
52
第3章 課題別の実態と対策
目標項目 ①生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人(1日当たりの純アルコール量
男性 40g以上、女性で 20g以上摂取)の割合の減少
現状値
平成 25 年 男性 13.7% 女性 5.8%
目標値
男性女性ともに減少
出典
市特定健康診査質問票
■対策
①飲酒のリスクに関する教育・啓発の推進
・各保健事業における教育や啓発の推進<健康づくり課>
・未成年の飲酒防止への理解と教育の徹底(学校の場における酒害に関する教育)
<学校・関係機関・薬剤師会>
②飲酒による生活習慣病予防の推進
・市特定健康診査等の結果に基づき、飲酒と生活習慣病予防を関連させ適度な飲酒に
向けた個別指導を実施<健康づくり課>
(3)喫煙
■はじめに
喫煙は、がん・心臓病・脳血管疾患・循環器疾患、糖尿病、周産期の異常(早産、低
出生体重児、死産、乳幼児死亡)等の発症要因となり、歯周疾患や低出生体重児などの
危険因子になっています。また、喫煙は、本人だけでなく、その周囲の人にも受動喫煙
という形で健康への影響を及ぼし、虚血性心疾患、肺がん、乳幼児の喘息や呼吸器感染
症、乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)等の原因となる
ことは、国内外の多数の科学的知見により因果関係が確立しています。
喫煙は、受動喫煙などの短期間の少量被爆によっても健康被害が生じます。禁煙する
ことによる健康改善効果についても明らかになってきています。
■基本的な考え方
喫煙対策は、
「喫煙率の低下」と「受動喫煙者への暴露状況の改善」が重要です。喫煙
と受動喫煙は、いずれも多くの疾患の確立した原因であり、その対策によりがん、循環
器疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、糖尿病等の予防において、大きな効果が期待で
きます。そのため、喫煙と健康について正確な知識を普及する必要があります。
■現状と目標
①成人喫煙率の減少
市の特定健康診査受診者のうち喫煙者の実態をみると、県・国と比べ高くはありま
せんが、減少しているとはいえません(図3-2-7)
。
成人喫煙率の低下は、喫煙による健康被害を確実に減少させるための最善の解決策
であり重要な指標としていきます。
53
図3-2-7 特定健診受診者のうち喫煙者の状況
(%)
50.0
瑞浪市
45.0
岐阜県
42.5
38.5 38.0
37.8
36.4 37.4
40.0
国
42.2
35.0
41.8
30.6
30.0
25.0
20.0
平成24年
平成25年
平成26年
資料:市特定健康診査(平成24年~平成26年)
図3-2-8 たばこを吸っていますか
(%)
〈女性〉
〈男性〉
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
男性
20歳代
n=41
男性
30歳代
n=52
男性
40歳代
n=35
男性
50歳代
n=69
吸っている
29.3
34.6
40.0
42.0
26.1
9.8
吸っていたが
やめた
12.2
28.8
20.0
23.2
36.0
37.3
男性
男性
女性
60歳代 70歳以上 20歳代
n=111
n=102
n=79
女性
30歳代
n=87
女性
40歳代
n=59
女性
50歳代
n=76
10.1
10.3
5.1
10.5
6.7
1.6
2.5
16.1
6.8
9.2
4.5
3.2
女性
女性
60歳代 70歳以上
n=89
n=125
資料:アンケート調査(平成 26 年)
※無回答別
男性の 20~50 歳代をみると、年齢の上昇とともに喫煙率は若干上昇しています。また、
「吸っていたがやめた」という人も 30 歳代以降増えています(図3-2-8)
。
吸っている人のうち、6割はやめたいという思いがあり、意志がある人に対しては
禁煙サポートを進めていく必要があります。
表3-2-3
たばこをやめたい人の割合
はい
63.3%
いいえ
36.0%
資料:アンケート調査(平成 26 年)
54
第3章 課題別の実態と対策
子どもをもつ家庭の状況をみると、就学を境に家族内の喫煙者が増えています。ま
た、小中学生がいる家庭の状況みると、学年がすすむにつれて分煙されていない家庭
の割合が増えています。子どもをたばこの煙から守る取り組みが最優先です(図32-9・3-2-10)
。
図3-2-9 家の中でたばこを吸う人がいる
100.0
(%)
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
小学校
低学年
n=235
小学校
高学年
n=252
中学生
n=162
はい
25.5
27.0
54.9
いいえ
74.5
73.0
45.1
資料:小中学生アンケート調査(平成 26 年)
図3-2-10 家族に喫煙する人の有無
(%)
100.0
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
妊婦
n=308
4か月
n=310
1歳
6か月
n=293
3歳
n=276
小学校
低学年
n=283
小学校
高学年
n=297
中学生
n=344
家族に喫煙する
人がいない
57.8
50.3
53.2
57.2
47.7
43.4
47.7
家族に喫煙する
人がいる
42.2
49.7
46.8
42.8
52.3
56.6
52.3
資料:健康づくり課実績(平成 26 年)
アンケート調査(平成 26 年)
目標項目 ①成人喫煙率の減少
現状値
平成 26 年 38.5%
目標値
30.0%
出典
市特定健康診査結果
55
②地区公民館・集会所の分煙の徹底
健康増進法第 25 条では、学校、集会場、官公庁施設他において受動喫煙を防止する
ために必要な措置を講ずるように努めなければならないとあります。しかし、市内の
公民館、集会場の調査では、分煙の配慮がされていない施設が5割もあり、地域毎に
分煙や禁煙の意識を高め、取り組みをしていくことが早急に必要です(表3-2-4)。
表3-2-4 市内公共の場(地区公民館・集会所)の喫煙状況
分煙なし
建物外
一部可
全面禁煙
瑞浪
地区
年
喫煙状況
土岐
地区
明世
地区
陶
地区
釜戸
地区
大湫
地区
日吉
地区
単位:%
稲津
地区
合計
平成 22 年
76.9
61.9
50.0
66.7
64.7
66.7
81.3
35.0
62.8
平成 25 年
71.0
42.1
75.0
50.0
56.3
33.3
61.5
40.9
55.3
平成 22 年
19.2
33.3
50.0
33.3
23.5
33.3
18.8
40.0
29.8
平成 25 年
25.8
42.1
25.0
33.3
37.5
66.7
38.5
27.3
33.3
平成 22 年
0.0
4.8
0.0
0.0
11.8
0.0
0.0
25.0
6.6
平成 25 年
3.2
15.8
0.0
16.7
6.3
0.0
0.0
31.8
11.4
※建物外一部可(例:室内は禁煙、外は可)
全面禁煙(室内、室外とも禁煙)
資料:市健康づくり課実績
目標項目 ②地区公民館・集会所の分煙の徹底
現状値
平成 25 年 44.7%
目標値
100.0%
出典
市公民館等の喫煙状況調査
■対策
①たばこの害に関する教育・啓発の推進
・幼児園、全学校におけるたばこの害、受動喫煙対策の教育・啓発<幼児園・学校・
薬剤師会>
・各保健事業の場での禁煙の助言や受動喫煙の害に関する情報提供<健康づくり課>
②禁煙支援の推進
・市特定健康診査結果等により、禁煙希望者への個別支援<健康づくり課>
・健康づくり課が実施する禁煙サポートについて周知を推進<健康づくり課>
③公共施設の敷地内禁煙を推進
・地域ぐるみで禁煙や受動喫煙防止を推進<自治会・まちづくり関係者>
・公共施設の敷地内禁煙の徹底<自治会・まちづくり関係者・市民協働課>
・分煙・禁煙の重要性の啓発<健康づくり課・関係機関・関係部署>
・小中学生対象の禁煙ポスターを募集。啓発用ポスターの掲示により分煙・禁煙の意
識付け<地域医療協議会>
56
第3章 課題別の実態と対策
(4)歯・口腔の健康
■はじめに
歯・口腔の健康は、おいしく食べる、会話を楽しむなど体の健康だけでなく、社会的、
精神的な健康にも深く関係しています。
歯の喪失による様々な機能の低下は、生活の質に大きく影響します。
高齢化がますます進む中で、生涯を通じて歯科疾患を予防し、歯の喪失を抑制するこ
とは高齢期でも口腔機能維持に繋がります。
しょく
歯の喪失の主要な原因疾患は、う蝕 (むし歯)と歯周病で、歯・口腔の健康のために
しょく
は、う蝕 と歯周病の予防は必須です。
しょく
また、幼児期や学童期のう蝕 予防や、近年のいくつかの疫学研究において、糖尿病や
循環器疾患との関連性が報告されており、成人における歯周病予防の推進が重要となっ
てきます。
■基本的な考え方
①発症予防
しょく
歯科疾患の予防は、
「う蝕 予防」及び「歯周病予防」が大切になります。これらの
予防を通じて、生涯にわたって歯・口腔の健康を保つためには、個人個人で自身の歯・
口腔の状況を適切に把握することが重要です。
②重症化予防
歯・口腔における重症化予防は、
「歯の喪失防止」と「口腔の機能(咀嚼・嚥下)
維持・向上」になります。歯の喪失は、健全な摂食や構音などの生活機能に影響を与
えますが、
喪失を予防するためには、
より早い年代から対策を始める必要があります。
■現状と目標
①幼児期のう歯のない児の割合の増加・学童期の一人平均う歯数の減少
しょく
乳幼児期は、生涯にわたる歯科保健活動の基盤が形成される時期であり、乳歯のう蝕
しょく
と永久歯のう蝕 には強い関連が認められます。乳幼児期は、歯みがきや食習慣などの
基本的習慣を身につける時期として非常に重要であり、生涯を通じた歯の健康づくり
に対する波及効果も高いといえます。そのため、3歳児におけるう歯のない児の割合
しょく
を増加させていくことを目標として、
乳歯う蝕 の予防を徹底していく必要があります。
3歳児のう歯のない児の割合をみると、国、県と比べてかなり数値は良好ですが、
更に増加させていくことが重要です(図3-2-11)
。
57
図3-2-11 平成25年 3歳児 う歯のない児の割合
(%)
100.0
92.2
90.5
90.0
85.8
86.5
80.9
82.1
平成24年
平成25年
84.3
79.5
80.0
91.6
70.0
平成23年
瑞浪市
岐阜県
国
資料:市健康づくり課実績
永久歯は5歳前後から生え始めますが、第2大臼歯がほぼ生えそろう時期は 12 歳
頃です。永久歯が生えてから比較的短期間で急激にう蝕が増加してくるといわれてお
り、12 歳児におけるう歯数を減少させていく必要があります。市の平成 25 年、12 歳
児の1人平均う歯数は 0.4 本であり(表3-2-5)
、平成 25 年の学校保健統計調査の
0.9 本、及び国の第2次健康日本21の目標値(平成 34 年)の1歯以下を大きく下
回っています。
表3-2-5 12 歳児のう歯平均数(中学1年生対象)
平成 21 年
平成 22 年
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
瑞浪市
0.2 本
0.7 本
0.7 本
0.5 本
0.4 本
国
1.2 本
1.1 本
1.0 本
1.0 本
0.9 本
資料:みずなみの子ども 学校保健統計(各年)
目標項目 ①幼児期(3歳児)のう歯のない児の割合の増加、
学童期(12 歳児)の1人平均う歯数の減少
現状値
平成 25 年 3歳児(91.6%) 12 歳児(0.4 本)
目標値
3歳児(増加) 12 歳児(0.3 本)
出典
みずなみの子ども・市3歳児健診
58
第3章 課題別の実態と対策
②40 歳における進行した歯周炎を有する人の割合の減少
歯周病は、日本人の歯の喪失をもたらす主要な原因疾患です。歯周病のうち、歯肉
のみ炎症が生じたものが歯肉炎、歯槽骨等の他の歯周組織にまで炎症が波及したもの
を歯周炎といいます。これらが大きなふたつの疾患となっています。また、近年、歯
周病と糖尿病や循環器疾患との関連性について指摘されていることなどから、歯周病
予防は成人期以降の健康課題のひとつです。歯周炎の発生時期は 35 歳以降であるこ
とが多いですが、自覚症状が現れにくいため歯科受診率は低くなります。歯周病は自
覚症状が現れてから治療を開始すると、通院期間が長くなり、咀嚼機能や見た目が完
全に回復することは難しいことから歯周病対策を継続して実施していく必要がありま
す。以上のことから「40 歳で歯周炎を有する人の減少」を評価指標にします。
瑞浪市では、健康増進法に基づく歯周疾患検診を実施しており、進行した歯周炎を
有する人の割合は、40 歳で 16.7%であり(図3-2-12)
、国の目標値(平成 34 年)
25.0%を既に下回っています。また、近年は減少傾向にありますので、さらに減少で
きるよう対策を進めていきます。
図3-2-12 40歳 進行した歯周炎を有する人の割合
(CPIコード3・4(中度・重度))
(%)
50.0
40.0
32.0
32.3
30.0
21.9
18.8
20.0
16.7
10.0
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
資料:市節目歯周病検診(各年)
目標項目 ②40 歳における進行した歯周炎を有する人
(4㎜以上の歯周ポケット)の割合の減少
現状値
平成 26 年 16.7%
目標値
減少
出典
市節目歯周病検診
歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの間が、プラークの細菌により炎症
を起こし深くなった溝のこと
4~5㎜ 初期の歯周病(CPIコード※3)
6㎜以上 重度の歯周病(CPIコード※4)
※CPIコード=歯周病指数をいい、歯周病に関する指標のひとつ
59
■対策
①ライフステージに応じた歯科保健対策の推進
・健康教育の実施(妊娠期、乳児期、幼児期、学童期)<健康づくり課・幼児園・学
校・歯科医師会>
・各保健事業における相談の実施<健康づくり課>
・介護予防事業における口腔機能の維持・向上に関する教育の実施<地域包括支援セ
ンター・歯科医師会>
・8020(ハチマルニイマル)運動の推進<歯科医師会>
・さわやか口腔健診(75 歳以上対象の歯科健診)の実施<保険年金課・歯科医師会>
②専門家による定期管理と支援の推進
・妊婦歯科検診(妊婦学級)の実施<健康づくり課・歯科医師会>
・歯周疾患検診の実施<健康づくり課・歯科医師会>
・かかりつけ歯科医による定期管理の推進<歯科医師会>
・口腔保健協議会との協働による事業の推進<各種歯科事業・講演会等・瑞浪口腔
保健協議会>
③瑞浪市民の歯と口腔の健康づくり推進条例に基づく推進
・市民一人ひとりが自主的に歯と口腔の健康づくりに取り組む
・行政、学校、事業所、関係機関等がそれぞれの役割において歯の健康保持に努める
<瑞浪市民の歯と口腔の健康づくり推進条例>
歯と口腔の健康づくりは、
『美味しく食べる』ということだけでなく、脳血
管疾患や心臓病、糖尿病などの生活習慣病の発症予防と悪化防止に深く関わっ
ていることがわかってきており、生涯にわたり健康で過ごすことができるため
に重要な役割を果たしています。
そうした状況のなか、瑞浪市では平成 26 年 12 月に『瑞浪市民の歯と口腔の
健康づくり推進条例』を制定しました。
この条例は、市民一人ひとりが自主的に歯と口腔の健康づくりに取り組みな
がら、市民、行政、事業所、関係機関等がそれぞれの役割を果たして、瑞浪市
民の健康長寿を目指していくものとして位置づけています。
歯と口腔を健康に保つためには、日々の口腔ケアと定期的な歯科健診を受け
ることが大切です。
市では、妊娠期から乳幼児期、高齢期まで、全ての年代で歯と口腔の健康づ
くりに関心を持っていただきながら、一生自分の歯でおいしく食べられるよう
8020(ハチマルニイマル)運動(80 歳になっても自分の歯を 20 本以上保
つ)を推進していきます。
資料:瑞浪市ホームページ
60
第3章 課題別の実態と対策
(5)こころの健康
■はじめに
社会生活を営むために身体の健康とともに重要なものがこころの健康です。
現代社会はストレス過多の社会といわれています。そのため、こころの健康は失われ
がちであり、主体的にその健康維持に努める必要があるといえます。こころの疾病とし
て代表的なうつ病は多くの人がかかる可能性をもつ精神疾患であり、自殺の背景にうつ
病が多く存在しているといわれています。また、近年、社会問題となっている引きこも
りや虐待、いじめもストレスに起因しています。
こうしたこころの疾病を防ぎ、こころの健康を保つためには、適度な運動やバランス
のとれた栄養・食生活が有効です。また、それだけでなく社会全体で支える体制づくりも
重要であり、こころの病気への対応を多くの人が理解し、取り組むことが不可欠です。
■基本的な考え方
自殺は個人の意思や選択の結果と思われがちですが、実際には失業、倒産、多重債務、
長時間労働等の社会的要因を含む様々な要因が絡んでいます。現代社会はストレス過多
の社会であり、少子高齢化、価値観の多様化が進む中で誰もがこころの健康を損なう可
能があります。そのため一人ひとりがこころの健康問題の重要性を認識するとともに、
自らこころの不調に気づき、適切に対処できるようにすることが大切です。また、
「自殺
は、その多くが防ぐことができる社会的問題」であると、WHO(世界保健機関)がい
っているように、自殺は社会の努力で避けることができる死であるという共通認識をも
つことが重要です。
■現状と目標
①自殺死亡率の減少
市の自殺者の状況をみると、多くは男性であり、50~60 歳代の年代が多くなっていま
す(表3-2-6)
。平成 25 年人口動態調査によると、全国では 15~39 歳の死因の1位は
自殺であり、若い年代の死亡は、切実な問題としてとらえる必要があります。
表3-2-6 年代別死亡数(市)
単位:人
20 歳代
30 歳代
40 歳代
50 歳代
60 歳代
70 歳代
80 歳代
以上
平成 21 年度
1
1
3
0
2
2
2
平成 22 年度
1
0
0
2
1
1
1
6
平成 23 年度
2
3
0
5
2
0
1
13
平成 24 年度
0
2
1
0
2
3
0
8
平成 25 年度
1
0
2
1
1
1
2
8
計
11
平成 21~25 年の累計
男性
5
5
5
7
7
3
3
35
女性
0
1
1
1
1
4
3
11
7
6
46
合計
5
6
6
8
8
平均
1.0
1.2
1.2
1.6
1.6
61
1.4
1.2
9.2
資料:東濃西部の公衆衛生(各年)
図3-2-13 自殺死亡者数の推移
(人)
20
男性
15
5
13
13
10
10
女性
11
11
3
1
8
3
4
10
9
3
4
6
7
2
8
7
0
10
3
8
5
4
3
8
0
平成
17年
平成
18年
平成
19年
平成
20年
平成
21年
平成
22年
平成
23年
平成
24年
平成
25年
資料:東濃西部の公衆衛生(各年)
過去5年間の平均をみると、
1年間で 9.2 人が自殺で亡くなっています(表3-2-6)
。
人口 10 万対の死亡率でみると、年によりバラつきがありますが、平成 21 年~25 年の平
均は 22.9 となっており、管内では最も高く、県平均よりも高い状況です。この状況をふ
まえ、自殺死亡率減少のための支援をしていく必要があります(図3-2-14)
。
(人口10万対比)
図3-2-14 自殺死亡率
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
平成
19年
平成
20年
平成
21年
平成
22年
平成
23年
平成
24年
平成
25年
21~25
年平均
瑞浪市
26.4
16.9
26.7
14.9
32.5
20.2
20.3
22.9
多治見市
16.6
21.8
14.9
24.0
18.7
21.5
20.7
20.0
土岐市
29.3
21.3
14.8
23.2
24.9
18.4
20.3
20.3
管内
22.0
20.7
17.1
22.0
23.1
20.4
20.5
20.6
岐阜県
21.2
22.2
22.7
20.5
22.2
20.6
18.8
21.0
資料:東濃西部の公衆衛生(各年)
目標項目 ①自殺死亡率の減少(人口 10 万人当たり)
現状値
平成 25 年 20.3
目標値
減少
出典
東濃西部の公衆衛生
62
第3章 課題別の実態と対策
平成 26 年内閣府・警視庁のデータによると自殺の原因・動機として健康問題
(50.6%)、
経済・生活問題(16.2%)
、家庭問題(14.3%)
、勤務問題(8.7%)となっています。こ
れを、年代別で原因・動機を調べてみると、40~60 歳代は経済・生活問題関係が多く、
健康問題は年代が大きくなるにつれて増えています。家庭、職場、地域と様々な場面で
の支援が必要であることがわかります(表3-2-7)
。
表3-2-7 年齢階級別、原因・動機別自殺割合(市)
家庭問題
経済・
生活問題
健康問題
単位:%
勤務問題
30 歳代
14.8
40.9
14.5
16.5
40 歳代
14.5
43.7
19.5
16.5
50 歳代
14.2
44.8
25.0
14.5
60 歳代
12.8
53.1
19.4
3.8
70 歳代
15.6
69.4
8.3
0.9
資料:内閣府資料(平成 26 年)
※遺書等の自殺を裏付ける資料により、明らかに推定できる原因・動機を自殺者1人につき3つまで
計上したもの。
平成 26 年度のうつ病のレセプトをみると 40 歳代、50 歳代の千人当たりのレセプト件
数が県、国と比べて高くなっています。自殺とうつ病等には深い関係がありますので、
適切に受診されているということが重要です(図3-2-15)。
図3-2-15 疾病別医療費分析(細小分類うつ病)
被保険者千人当たりレセプト件数(外来)
40.0
34.2
35.0
29.7
30.0
25.1
28.5
24.6
25.0
20.0
21.9
24.6
17.5
21.8
23.7
21.5
16.8
17.6
15.0
17.3
15.1
13.4
13.3
12.1
11.4
11.4
65~69歳
15~39歳
40~44歳
45~49歳
50~54歳
55~59歳
13.1
60~64歳
瑞浪市
15.1
34.2
29.7
28.5
21.8
13.1
11.4
岐阜県
16.8
24.6
24.6
21.9
17.6
13.3
11.4
国
17.5
25.1
23.7
21.5
17.3
13.4
12.1
10.0
資料:国保データベース(KDB)システム(平成 26 年)
63
■対策
①こころの健康に関する知識の普及・啓発
・睡眠、休養、ストレス解消等、こころの健康維持・増進に関する知識普及・啓発
<健康づくり課・職域関係・学校・関係機関>
・労働者のこころの健康づくり(メンタルヘルス対策)の推進<職域関係>
・自身で心の状態を利用できるシステムの利用の周知<健康づくり課>
②自殺防止に向けた相談・支援
・心の不調や自殺のサインに気付いたら専門家へ相談を促す<職域関係者・学校・地
域他>
・精神科医師による専門的相談窓口(こころの相談)の周知<健康づくり課>
・必要に応じて適切な医療につなげる<健康づくり課>
・悩んでいる人に気づき、声をかけ、必要な支援につなげる役割を担うこころのサポ
ーター(ゲートキーパー等)の養成<健康づくり課・職域関係者>
・ストレスチェックの実施<職域関係>
・多重債務・法律・生活の相談、学校・家庭・友だちの悩み相談など、内容に応じた
相談窓口の周知<生活安全課・学校・学校教育課>
<ストレスチェック制度>
平成 26 年6月 25 日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律によ
り、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。
今回新たに導入されるストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレス
の状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況
について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとと
もに、検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価
し、職場環境の改善につなげることで、ストレスの要因そのものも低減させる
ものであり、さらにその中で、メンタルヘルス不調のリスクの高い者を早期に
発見し、 医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調
を未然に防止する取組です。
資料:厚生労働省ホームページ
64
第3章 課題別の実態と対策
3
個人の取り組みでは解決できない地域社会の健康づくり
~市民一人ひとりに対して効果的な支援のために~
健康づくりは、市民一人ひとりが自主的に取り組むことが基本ですが、個人の健康は、
家庭、学校、地域、職場等の社会環境の影響を受けることから、これらが個人の健康づく
りを支え、守るための取り組みを進めていくことが重要となってきます。
(1)関係機関・庁内関係部署の取り組み
医師会や歯科医師会、薬剤師会等においては市民の健康づくり、生活習慣病予防や重症化
予防等のため、専門的立場から市民の健康づくりを様々な機会を捉えて支援していく役割と
なります。
医師会においては、特定健康診査受診者のうち特定保健指導が必要と判定された方や判
定されなくても、保健指導が必要とされた方については、保健指導担当部署等と連携を図
る等、個別への指導を徹底し生活習慣病及び重症化予防の取り組みを進めていきます。
歯科医師会においては、予防的意識を重要視し、更なる市民の口腔の健康づくりを目指
し、学校、行政等と連携を図り、推進をしていきます。
薬剤師会においては、子どもの時期に健康意識を持たせることが重要であると捉え、市
内小中学校へ飲酒の適正化(未成年者の飲酒防止・成人後の飲酒のあり方)、薬物乱用防止、
喫煙防止のための健康教育を実施しており、今後も効果的な方法のため、学校関係者等と
連携を図りながら、更に拡大、強化に努めていきます。
庁内関係部署においては、関係するライフステージ年代に応じて、健康づくりに関する
取り組みを積極的に進めていきます。
庁内関係部署それぞれが目的や課題等の共通認識をもち、役割を明確にした上で連携を
図り、共に事業展開していくことが効果的であるため、そのような体制をとりながら、取
り組みを実施していきます。
現在、次ページの取り組み例のように栄養・食生活の分野においては、庁内関係部署間
で連携を深めつつあります。
当計画のねらいである生活習慣病予防の取り組みは、子どもの頃から健康への意識づけ
が大切です。自身で考え、判断ができるよう子どもの頃からの健康教育が重要となります。
このようなことから、今後は、栄養・食生活の分野に限らず、他の分野においても幼児
園、学校関係者等との連絡会議を開催し、連携を図りながら、健康に関する教育の機会を
設けていきます。
具体的な取り組み内容については、関係する部署等が課題を共通認識した上で進めてい
くことが重要であるため、連絡会議等の中で検討していきます。
65
<関係機関(地域医療協議会)の取り組み例>
瑞浪市地域医療協議会(医師、歯科医師、薬剤師が構成委員)では、市内
公民館等の喫煙状況の実態から、公共施設におけるたばこによる害を無くし
ていこうという取り組みを平成 26 年度からスタートしました。
市内小中学校の協力を得て、小中学生を対象に受動喫煙防止や禁煙に関す
るテーマに沿ったポスター作品を募集し、応募作品の一部を啓発用ポスター
にしています。そのポスターを市内の公民館、集会所他に掲示することで、
広く市民の方々に目にしていただき受動喫煙防止や禁煙を呼びかける取り組
みをしています。
<庁内関係部署連携(栄養・食生活分野)の取り組み例>
瑞浪市には、栄養に関する専門職として管理栄養士等が健康づくり課、子
育て支援室、給食センターに配置されています。庁内関係部署としてこの三
課の管理栄養士等が定期的に連絡会議を実施しています。各部署が対象とす
る年代は異なっていますが、ライフステージ全体の中の健康課題を共有する
ことができました。今後は、各部署における役割を明確にしながら、事業の
効率化を目指していきます。
「発育・発達過程に応じて育てたい“食べる力”」
(P46、47 掲載)のシー
トは連絡会議メンバーで作成しました。このシートは随時、改変しながら、
各部署における事業等で活用しています。
(2)関係団体の取り組み
食生活改善推進協議会、スポーツ推進委員会、体育協会等健康づくりに関係する団体、関
係者は、
市民に対して取り組みやすい具体的な方法を提供できるよう活動展開していきます。
また、各団体の活動を多くの市民に参加していただけるよう様々な機会を捉え、事業への
参加を周知啓発していきます。
<瑞浪市食生活改善推進協議会の取り組み例>
瑞浪市の健康課題について学ぶ機会を設けています。
市内各地域の問題、ニーズを基に生活習慣病予防教室(高血圧、脂質異常
症、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)を実施し、学習した各疾病の
メカニズムをわかりやすい言葉で知人、友人に広めていくこと、また、得意
とする具体的な料理例、献立を配付するなどしてより、実施しやすい方法を
伝達することを心がけています。
66
第3章 課題別の実態と対策
(3)地域・職域の取り組み
現在、自治会、まちづくり推進協議会では、地域の特徴を活かしたウォーキング大会や
健康講演会等の健康に関連するイベントを企画・開催しています。
今後もこのように、自治会、まちづくり推進協議会等の地域活動の中で健康づくりを意
識した取り組みの機会が増えていき、より多くの市民がこのようなイベントに参加するこ
とで、健康への生活習慣改善に繋がる機会となるよう検討していきます。
家庭や地域では、自分の健康は自分で守る、管理するという意識を大切に、地域活動等
に積極的に参加し健康への意識向上が図れるようにしていきます。
職域関係では、従業員に対して積極的に各種健診(検診)の受診勧奨をし、健診結果に
より治療が必要な方に対しては適切に受診を促す等、健康管理への配慮をしていきます。
市内で実施している健康づくり事業を従業員に周知し、積極的に活用するよう呼びかけ
ていきます。また、健康づくりに関する活動の機会の提供や情報発信についても随時、実
施していきます。
前述(1)~(3)の機関、団体及び行政が連携を図りつつ、健康づくり活動を進めて
いきます。市民一人ひとりにとって効果的な支援ができるよう、必要に応じて連携会議等
を開催していきます。
<取り組みの方向>
〇関係機関
関係団体
市民の取り組みを支援し、健康づくりに関係する事業の積極的実施
庁内関係部署
〇地
域・・・・健康づくりを目的とした活動を実施している市民の割合の増加
〇職
域・・・・健康づくりに関する活動に取り組み、積極的に健康情報発信を行
う事業所の増加
67
第4章
計画の推進と進行管理
第4章 計画の推進と進行管理
第4章
1
計画の推進と進行管理
健康増進に向けた取り組みの推進
(1)活動の展開の視点
健康増進法の第2条において各個人が生活習慣への関心と理解を深め、自らの健康
状態を自覚して、生涯にわたって健康増進に努めなければならないことを国民の「責
務」として、第8条には自治体はその取り組みを支援するものとして計画化への努力
を義務づけています。
市民一人ひとりにとって、健康増進を図ることは重要な課題です。市においても、
瑞浪市6次総合計画内で高齢化率の上昇に伴う医療費や介護給付費の増大について重
要な課題として捉えており、「みんなで支え合い健やかに暮らせるまち」の方針の中
で生活習慣病予防や健康増進に努め推進していくことを位置づけています。
そこで、
「みずなみ健康21(第2次)
」の推進においては、市民の健康に関する各
種指標を活用し取り組みを推進していきます。
取り組みを進めていく基本は、個人のからだ(健診結果)をよく見ていくことです。
一人ひとりのからだは、今まで生きてきた歴史や社会背景、本人の価値観によって
作り上げられてきているため、それぞれのからだの問題解決は画一的なものではあり
ません。一人ひとりの生活の状態や能力、ライフステージに応じた主体的な取り組み
を重視して、健康増進を図ることが基本になります。
市としては、その活動を支えながら、個人の理解や考え方が深まり、生活習慣を改
善する能力が身に付くために、科学的根拠に基づいた支援を積極的に進めます。
同時に、個人の生活習慣や価値観の形成の背景となる、共に生活を営む家族や、地
域の特徴など、共通性の実態把握にも努めながら、地域の健康課題に対し、市民が共
同して取り組みを考えあうことによって、個々の気づきが深まり、健康実現に向かう
地域づくりができる、地域活動をめざします。
これらの活動が、この計画の基本的な方向に沿った展開となると考えます。
(2)関係機関等との連携
ライステージに応じた健康増進の取り組みを進めるにあたっては、事業の効率的な
実施を図る観点から、健康増進法第6条で規定された健康増進実施者との連携が必要
です。
健康増進事業実施者は、法律により実施者が異なるため、表4-1-1のとおりま
とめました。
健康増進事業実施にあたっては、その実施主体の関係部署が複数にわたっているた
め、連携しながら効果的、効率的な方法を検討していきます。
また、市民の生涯を通した健康の実現を目指し、市民一人ひとりの主体的な健康づ
くり活動を支援していくために、医師会や歯科医師会、薬剤師会などに加え、健康づ
くり推進協議会の構成団体等とも十分に連携を図りながら、関係機関、関係団体、行
政等が協働して進めていきます。
69
70
職員の健康診断
妊産婦の保健指導
国及び地方公共団体
実施者等
健診等健康
増進関連 ・学校、保育所等における食育の推進
項目
・地域における食生活の改善のための取り組みの推進
・家庭における食育の推進
食育基本法
未熟児の訪問指導
就学時の健康診断
児童生徒等の健康診断
健康診査
保健指導
保健指導
栄養の摂取に関する援助
健康相談
学校
市町村
知識の普及
学校保健安全法
法律等
生活習慣病の発生の
状況の把握
国及び地方公共団体
実施者等
健診等健康
増進関連
項目
健康増進法
20歳 健康教育等
面接指導等
保健指導等
健康診断
安全衛生教育
事業者
労働安全衛生法
50歳 60歳 70歳
特定保健指導
特定健康診査
各医療保険者・市町村
(国保法他医療保険各法、後期
高齢者医療制度)
高齢者の医療の確保に
関する法律
介護保険法
介護予防事業
地域支援事業
市町村
介護保険法
高齢者の医療の確保に関する法律
労働安全衛生法、各種医療保険関連法等
30歳 40歳
(定義)第6条 この法律において「健康増進実施者」とは、次に掲げる者をいう
学校保健安全法
幼児園児 小学生 中学生 高校生
母子保健法
1歳6ヵ月 3歳
母子保健法
法律等
健康増進法
(第6条)
健康増進事業実
施者が実施する
際の各法律
妊娠中(胎児)
ライフステージに応じた健康の推進を図るための法律
表 4-1-1
第4章 計画の推進と進行管理
2
計画の進捗管理
本計画を実効性のあるものとするためには、計画の進捗管理を的確に行いつつ、関連す
る取り組みを進めていくことが重要です。そのため、定期的な評価を行い、課題の共有や
各分野での取り組みなどの追加、見直し等を行います。
評価は、本計画で設定した評価指標(数値目標)に沿って、健診や医療関係の統計デー
タ等を客観的に整理していきます。あわせて、地域における健康づくり活動の問題・課題
などの把握に努めます。
また、計画の進捗管理は、毎年実施します。目標値の進捗状況を自己評価し、その評価
結果については瑞浪市健康づくり推進協議会において報告を行います。評価結果から計画
目標達成に向けて改善点など検討しながら進めていきます。
対策の実践
目標値進捗状
況チェック
行動計画
・健診結果、医療関係データ等
・地域の健康課題の把握
瑞浪市健康づ
くり推進協議
会にて報告
改善点の検討、
見直し
71
資料編
資料編
資料編
1
瑞浪市健康づくり計画策定会議設置要綱
平成16年11月25日告示第134号
改正
平成26年1月20日告示第8号
(設置)
第1条 瑞浪市民の健康づくりを推進するため、瑞浪市健康づくり計画策定会議(以下
「会議」という。)を設置する。
(所掌事項)
第2条 会議は次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 瑞浪市健康づくり計画(健康増進法第8条第2項に規定する市町村健康増進計
画)の策定に関すること。
(2) その他市長が必要と認める事項
(組織)
第3条 策定会議は、委員20名以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者の中から市長が委嘱する。
(1) 保健・医療・教育及び福祉関係団体の代表者
(2) 公共的団体の代表者
(3) 学識経験者
(4) 市民
(5) その他市長が必要と認めた者
(任期)
第4条 委員の任期は、瑞浪市健康づくり計画の策定をもって終了とする。
2 委員が欠けた場合の補欠の任期は前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第5条 策定会議に会長及び副会長各1名を置く。
2 会長及び副会長は、委員のうちから互選する。
3 会長は会務を統括し、会議を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(会議等)
第6条 会議は、必要に応じて会長が招集する。ただし、委員委嘱後の最初の会議は市
長が招集する。
2 会議の議長は、会長がこれにあたる。
3 会議は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
4 会長は、必要に応じて委員以外の者を出席させ、その意見を聞くことができる。
(ワーキンググループ)
第7条 会議の所掌事項をより具体的に調査、検討するため、会議のもとにワーキング
グループを置き、市長が任命するスタッフで組織する。
2 ワーキンググループは、次の事項を調査、検討する。
(1) 会議に付議する事項に関する企画、調査、検討
(2) 会議から指示された事項の調査及び検討
73
(3) その他、会議を補助するために必要な事項
(庶務)
第8条 会議及びワーキンググループの庶務は、健康づくり課において行う。
(委任)
第9条 この要綱に定めるもののほか、会議の運営に関し必要な事項は、会長が別に定
める。
附 則
この要綱は、告示の日から施行する。
附 則(平成26年1月20日告示第8号)
この告示は、平成26年4月1日から施行する。
74
資料編
2
計画策定経過・策定委員名簿
(1)計画策定経過
会議等
日 程
内
容
第1回策定会議
平成 27 年8月3日
みずなみ健康21について
・みずなみ健康21のアンケート結果と数値
目標評価
・みずなみ健康21(第2次)の骨子及び
スケジュール
第1回
ワーキング会議
平成 27 年8月 31 日
みずなみ健康21の振り返りと評価について
ワーキング委員
より意見聴収
平成 27 年9月 11 日
みずなみ健康21に対する意見等
第2回
ワーキング会議
平成 27 年 10 月 14 日
みずなみ健康21(第2次)の課題別実態
と対策
第2回策定会議
平成 27 年 11 月5日
みずなみ健康21(第2次)素案について
ワーキング委員
より意見聴収
平成 27 年 12 月7日
みずなみ健康21(第2次)素案に対する
意見聴収
第3回策定会議
平成 27 年 12 月 24 日
みずなみ健康21(第2次)素案について
・第2回策定会議での指摘事項について
パブリックコメント
平成 28 年2月1日~
提出意見0件
2月 26 日
第4回策定会議
平成 28 年3月3日
みずなみ健康21(第2次)案について
・第3回策定会議以降の修正事項について
・概要版について
・パブリックコメント結果報告
75
(2)第 2 次瑞浪市健康づくり計画策定委員名簿
(敬称略)
氏名
勝股 眞人
所属
役職名等
土岐医師会瑞浪市代表
土岐医師会理事
加藤 正
瑞浪歯科医師会代表
瑞浪歯科医師会会長
山田 秀樹
瑞浪市薬剤師会代表
瑞浪市薬剤師会会長
木戸内 清
東濃保健所代表
東濃保健所長
山田 幸男
連合自治会代表
自治会 明世地区 区長会長
商工会議所代表
副会長
瑞浪商工会議所専務理事
平成 28 年
1~3月
橋本 孝晴
村上 賀子
食生活推進協議会代表
食生活改善推進協議会会長
梶田 静子
スポーツ推進委員代表
スポーツ推進委員
鈴木 敏史
校長会代表
瑞浪市立陶小学校長
松下 次用
市民代表
登録公募委員
市民代表
一般公募委員
真智子
会長
平成 27 年
12 月まで
伊藤 光昭
長江
備考
76
資料編
3
用語解説(50 音順)
※ただし英字については、日本語読みした場合の音を優先
用語・意味
LDLコレステロール
肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担っており、増えすぎると動脈硬化を起こして
心筋梗塞や脳梗塞を発症させる悪玉コレステロール。
SMR(標準化死亡比)
各地域の年齢階級別人口と全国の年齢階級別死亡率により算出された各地域の期待死亡数に対する
その地域の実際の死亡数の比をいい、年齢構成の違いの影響を除いて死亡率を全国と比較したもの。
ゲートキーパー
ゲートキーパー(Gatekeeper)とは、悩んでいる人に気 付き、声をかけ、話を聞いて、必要な支
援につなげ、見守る人のこと。
健康格差
地域や社会経済状況の違いによる集団間における健康状態の差。
健康寿命
健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと。
受動喫煙
「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること。
C型肝炎ウイルスHCV
急性肝炎の原因となるウイルス。成人では急性肝炎になっても症状が軽かったり、まったく症状が
出ない場合(不顕性感染)が多い。そのため無自覚なことが多い。
生活の質
生活の質(健康関連 QOL:qualityoflife)とは、「疾患や治療が、患者の主観的健康感(メンタル
へルス、活力、痛み、など)や、毎日行っている仕事、家事、社会活動にどのようなインパクトを与
えているか、これを定量化したもの」。(福原俊一.臨床のための QOL 評価と疫学.日本腰痛会誌
2002;8(1):31-7)。
成人T細胞白血病ウイルスHTLV-1
ヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell Leukemia Virus Type 1)の略です。このウイルスは、
血液中の白血球の 1 つである T リンパ球に感染して白血病を起こすウイルスとして発見された。
胎児性アルコール症候群
妊娠中の母親が飲酒すること、胎児・乳児に対して低体重・顔面を中心とする奇形・脳障害などを
引き起こす症候群。ADHDや成人後の依存症リスクなどの原因ともなっている。
適度な飲酒
厚生労働省は「健康日本21」の中で、「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節
度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで 20g程度である。」と定義している。
※純アルコール 20gとは、以下の例のうち、どれか1種類を飲酒した場合に相当する。
例:ビール中ビン1本、日本酒1合、酎ハイ(7%)350ml缶、ウイスキーダブル1杯
乳幼児突然死症候群(SIDS:sudden infant death syndrome)
それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく眠っている間に突然死亡してしまう病気。
77
8020(ハチマルニイマル)運動
80 歳になっても 20 本以上自分の歯を保とうという運動。
BMI
ボディ・マス・インデックス (Body Mass Index) の略。「体重 (kg) ÷身長 (m) ÷身長 (m)」で
算出される。肥満度を測るための指標。
B型肝炎ウイルスHBV
HBV は、肝炎の原因となるウイルス。HBV それ自体は肝炎を引き起こすことはないが、これに免疫
機能が働いた際に肝細胞ごとウイルスを攻撃するため、同時に肝細胞が破壊され、肝炎となる。HBV
は、比較的感染力の強いウイルスで、血液や体液を介して感染するが、日常生活の場では HBV に感染
する危険性はまれである。
ヒトパピローマウイルスHPV
子宮頸がんの原因となるウイルス。子宮頸がん予防ワクチンの接種によって防ぐことが可能。
HbA1c
ヘモグロビンにグルコース(血糖)が非酵素的に結合した糖化蛋白質。糖尿病の過去1~3か月の
コントロール状態の評価を行う上での重要な指標。
ヘリコバクター・ピロリ菌 HP
胃潰瘍や胃がん、十二指腸潰瘍などの原因となる細菌。主として幼少期に感染し胃の中に棲みつい
て胃炎を起こす。ピロリ菌に感染しているかどうかは、ピロリ菌抗体価を測定することでわかる。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease )
有毒な粒子やガスの吸入(主な原因は喫煙であり、他に粉塵や化学物質などがある)による進行性
の疾患であり、運動時の呼吸困難や慢性の咳・痰等を伴う。
メタボリックシンドローム
内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか 2 つ以上をあわせもった状態
のこと。
レセプト
医療機関から保険者に請求する診療報酬明細書をいう。
ロコモティブシンドローム
運動器の障害(変形性関節症、脊椎症、骨粗鬆症、骨折など)により要介護になるリスクの高い状
態のこと。
78
瑞浪市健康づくり計画
みずなみ健康21(第2次)
発行日:平成28年3月
発行者:瑞浪市
住
健康づくり課
所:〒509-6195
岐阜県瑞浪市上平町1丁目1番地
(0572)68-9785
TEL: