岩沼市水道事業アセットマネジメント策定業務報告書 概要版 1. 業務の目的 4. 更新需要見通し 本業務の目的は、岩沼市(以下、本市)が保有する水道施設及び設備について、中長期的な更新需要の見 整理した水道施設現況をもとに更新需要見通しを検討。更新需要の算出条件は以下の通り。 通しを明らかにし、将来の財政収支の見通しを明らかにすること。 法定耐用年数及び更新基準年数で試算 2. 調査方針 更新基準年数は厚労省統計データを利用(法定耐用年数の 1∼2 倍程度となる) 計画期間は、施設の耐用年数や更新財源としての企業債の償還期間を考慮し、40 年間とする。 更新需要算出に際し、基礎情報として固定資産台帳及びマッピングデータを用いる。 更新需要算出結果は以下の通り。 財政収支見通しは、現行料金据置と料金改定等により確保する場合について検討する 3. 水道施設概況 基礎資料をもとに水道施設の現況を整理した結果は以下の通り。 構造物及び設備(図 1) 資産取得額 管路(図 2) 耐用年数を超過している資産 法定耐用年数(図 5) 更新基準年数(図 6) 耐用年数超過資産 38.8 億円 18.2 億円 40 年間の更新費用総額 230.9 億円 154.1 億円 ⇒更新基準年数では法定耐用年数で更新する場合に比べて更新需要が大きく減少。 19.5 億円 40 年間総額で 76.8 億円の削減となる。 186.2 億円(延長:293.1 ㎞) 構造物及び設備(図 3) 47.3 % 管路(図 4) 15.7 % (百万円) 4,000 3,500 3,000 (百万円) 4,000 更新需要(法定耐用年数) 管路 38.8億円 2,500 (百万円) 350 延長(km) 25 資産取得額(構造物及び設備) 1969年度 1989年度 300 布設年度別延長(口径別) 1980年度 計装 250 φ75 図 1.資産取得額(構造物及び設備) 100% 100% 90% 90% 80% 80% 70% 30% 70% 管 路 60% 延 50% 長 40% ㎞ 30% 20% 20% 10% 10% 2026年 2031年 2036年 2041年 2046年 2051年 2056年 経年化資産 年度 ◆管路更新延長(法定耐用年数)(図 7) 管 路 延 長 ㎞ 2016年 2021年 2026年 2031年 西暦年度 健全資産 建築 0 図 6.更新需要(更新基準年数で更新) 2036年 2041年 2046年 2051年 ◆管路更新延長(更新基準年数) (図 8) ・10 年間(H28∼37):11.3 ㎞/年 ・10 年間(H28∼37) :6.5 ㎞/年 ・20 年間(H28∼47):9.5 ㎞/年 ・20 年間(H28∼47) :6.3 ㎞/年 ・40 年間(H28∼67):7.3 ㎞/年 ・40 年間(H28∼67) :5.7 ㎞/年 更新対象管路延長(法定耐用年数) 90 80 70 0% 2021年 500 図 5.更新需要(法定耐用年数で更新) 健全度レベル(管路) 0% 土木 1,000 年度 図 2.年度別管路布設延長 健全度レ ベル(構造物及び設備) 2016年 0 φ50以下 年度 40% 建築 φ100 0 50% 電気 φ125 年度 百 万 円 機械 18.2億円 2,000 1,500 500 φ150 建築 60% 計装 φ200 5 資 産 額 機械 2,500 土木 φ250 土木 0 3,000 φ300 10 50 管路 3,500 計装 電気 1,000 φ350 機械 100 1,500 φ400 15 150 φ700 φ450 電気 200 2,000 φ500 1969年度 20 φ800 更新需要(更新基準) 更新対象管路延長(更新基準) 90 80 70 60 60 50 40 30 20 10 0 管 50 路 40 延 長 30 20 ㎞ 10 0 2056年 西暦年度 老朽化資産 図 3.健全度レベル:構造物及び設備 (更新しなかった場合) 健全管路 経年化管路 老朽化管路 図 4.健全度レベル:管路 (更新しなかった場合) 送水管 配水本管 配水支管 図 7.管路更新延長(法定耐用年数) 送水管 配水本管 配水支管 図 8.管路更新延長(更新基準) ※青:耐用年数以内、黄:耐用年数×(1∼1.5) 、赤:耐用年数×1.5 以上 1 岩沼市水道事業アセットマネジメント策定業務報告書 概要版 5. 財政収支見通し ◆資本的収支・資金残高・企業債残高 3,000 60% 企 2,500 業 2,000 債 残 1,500 高 1,000 百 万 500 円 50% 起 債 40% 比 30% 率 20% % 10% (年度) 0% H26 H28 H30 H32 H34 H36 H38 H40 H42 H44 H46 H48 H50 H52 H54 H56 H58 H60 H62 H64 H66 H65 H62 H59 H56 H53 H50 起債比率(右目盛) 70% 建設改良費 ( ) H47 3,500 ) H44 0% ( 4,000 資 金 3,000 残 高 2,000 百 万 1,000 円 0 H41 10% H26 H28 H30 H32 H34 H36 H38 H40 H42 H44 H46 H48 H50 H52 H54 H56 H58 H60 H62 H64 H66 H65 H62 H59 H56 H53 H50 H47 H44 H41 H38 H35 40年後以降の 大型更新需要の原資 収 800 入 ・ 600 支 出 400 百 万 200 円 20% % 企業債残高(左目盛) ) 財政収支の見通しでは、以下 2 パターンを検討する。 料金改定に より財源を確 保し、企業債 残高は減少 する 資金残高(右目盛) 5,000 ( 図 10.水需要予測 支出(左目盛) ) 図 9.更新需要平準化 収入(左目盛) 1,000 50% 起 債 40% 比 30% 率 (年度) ( 年度 年度 財源確保ケース 0 料金改定に より給水収 益の約半年 分の資金残 高5億円を確 保。 60% (年度) H38 100 -2,000 H32 有収水量( /日) 200 百 万 -1,500 円 -1,000 3,000 企 2,500 業 2,000 債 残 1,500 高 1,000 百 万 500 円 ) 300 資 金 残 高 ) 400 -500 ) 500 50,000 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 H35 水需要予測 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 管路 H29 計装 H32 機械 給水人口(人) 電気 0 起債比率(右目盛) 70% 建設改良費 ( ) 土木 500 3,500 ( 600 建築 収 2,500 入 2,000 ・ 支 1,500 出 1,000 百 万 500 円 企業債残高(左目盛) 資金残高(右目盛) 1,000 H52∼資金残高マイナス ( 更新需要(平準化ケース) (百万円) 資金不足を 企業債で賄う ため企業債 残高は現在 の水準と同 等で推移し、 将来に渡っ て財政負担 となる。 支出(左目盛) ( 料金据置ケース 水収益算出は水需要予測結果を用いる(図 10 参照)。 収入(左目盛) 3,000 H26 費を固定し、各年度の事業費を平準化することを前提に財政収支見通しを検討する(図 9 参照)。また、給 2040年度 (H52年度) から資金残 高マイナス。 H29 事業費に大きく差があり資金残高が大きく増減し資金残高確保が難しい。そのため、検討対象期間の総事業 H26 更新需要に基づいて財政収支見通しを検討する。尚、4 で算出された更新需要を利用した場合、各年度の (年度) 図 12.資本的収支・資金残高・企業債残高 現行の料金水準を据え置いた場合の財政収支見通し(料金据置ケース) 料金改定による財源確保を実施した場合の財政収支見通し(財源確保ケース) 6. 課題 管路更新計画を策定する際は、財源だけでなく管路更新に係る職員数、工事会社数等の環境を考慮に入れ ◆収益的収支 収入(左目盛) 500 H43∼純損失 0 損 益 ( -500 百 -1,000 万 円 -1,500 ( ) 料金据置ケース 事業費負担及び給水収益の減少に より、当年度純損益は平成43年度か らマイナス 2,000 収1,800 入1,600 ・ 1,400 支1,200 出1,000 800 百 600 万 400 円 200 る必要がある。近年の更新延長実績及び担当職員数を以下に示す。 損益(右目盛) 支出(左目盛) ) -2,000 担当職員数:3 人(工務係) 1960∼1990 年代の建設時期には 6 人いた担当者が、現在は半数の 3 人に減少しているため、更新需要で 算出した 5.7∼6.5 ㎞/年の管路更新目標を達成することが難しい。現行の組織体制及び実績値(管路更新延 H26 H28 H30 H32 H34 H36 H38 H40 H42 H44 H46 H48 H50 H52 H54 H56 H58 H60 H62 H64 H66 することとなり、漏水事故の増加に伴う断水等の危険が増加する可能性が大きくなる。 H43:10%値上げ H55:10%値上げ500 0 -500 損 益 ( 2,000 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 百 600 万 400 円 200 収 入 ・ 支 出 ( 百 -1,000 万 円 -1,500 ) 表 1. 管路の健全度レベル比較:2056 年度(平成 68 年度)時点 ) 指標 更新需要 現行体制 健全管路 77.1 53.3 % 経年化管路 18.9 30.8 % 老朽化管路 4.0 15.9 % H65 H62 H59 H56 H53 H50 H47 H44 H41 H38 H35 H32 H29 -2,000 H26 財源確保ケース 平成43年度に純損失が発生するた め10.0増の料金改定。 平成55年度に再び純損失が発生す るため10%増の料金改定 ・ 更新需要で更新した場合と比較して、2056 年度(平成 68 年度)の健全管路が 77.1 %から 53.3 %に減少 損益(右目盛) 支出(左目盛) 2009∼2013 年度(平成 21∼25 年度)実績:4.0 ㎞/年 長 4.0 ㎞/年)で管路更新を実施した場合の管路健全度レベルを表 1 に示す。現行体制での管路更新では、 (年度) 収入(左目盛) ・ (年度) 図 11. 収益的収支 2
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