39 生成文法理論における 現代英語の等位構造について 岩 田 良 治 1節 :序 本論の 目的は,生成文法理論の枠組みで現代英語の等位接続表現が どの ような構造 を持つ と 仮定することが最 も適切であるかについて岩田 ( 1 998a,b)で扱 われなかった点 を考察するこ 岩 ' とであ o等位接続表現 に対 して生成文法理論の中で一般 に仮定 されてきた構造は,統語上, 以下の 2つに分類 される。 (1) 2つの等位項 ( c o I か nc t ) が,構造上 として生成 されるもの 互いの右側 あるいは左側の同位要素 ( s i s t e r ) (2) 2つの等位項が等位接続詞 を主要部 ( he ad)とす る句の指定部 ( s pe c i ie f r )とその主要 c ompl e me nt )として生成 されるもの 部の補部 ( (1)の構造 については岩田 ( 1998a) で詳細 に論 じられてお り,本論では ミニマ リス ト・プ Mi ni mal i s tPr og r am)以前の理論 に基づいて,その概説のみを行 う ( 2. 1 節)。次 に ログラム ( (2)の構造 については, ミニマ リス ト・プログラム とい う枠組みでの考察が岩田 ( 1 998b) ( 2 ) によってなされてお り, したがって本論では ミニマ リス ト・プログラム以前の枠組みでの考察 を行 う ( 2. 2齢 oその結果,等位構造が (1),(2)いずれの ものであって もそれは生成文法 理論で仮定 される構造 として不適切であることを論証する。そ して,3節で,代案 となる等位 構造 として三次元構造 を仮定 し,その構造に基づいて 2節で指摘 された (1), (2) の構造に 対する問題点の解決 を試みる。その結果,生成文法 においては,理論的枠組みが どの ような も のであれ,等位接続表現の構造 としては岩田 ( 1 987;1 998a)で提案 されている三次元構造が必 要であることを論 じる。ただ し, この三次元分析 は十分 に成熟 した ものではな く,い くつかの 不十分で未解決な点 を持 っている。その点 を 4節で紹介す る。 2節 :生成 文法理 論 にお け る等位構造 の研 究 とその問題 点 本節では,生成文法の初期理論か ら現在 の ミニマ リス ト・プログラムが仮定 され る までの 間,一般 に等位接続表現が どのような統語構造 を持つ もの として分析 され,その分析 にどのよ うな問題点があったか,あるいはどの ような問題点があるか を考察する。 2 . 1 2つの等位項が,構造上,互いの右側 あるいは左側の同位要素であるとする分析 生成文法理論 において,等位構文 は,初期理論以降本論の2. 2節の ( ll) の構造が提案 され るまで,2つの等位項が,構造上,お互いの左右の対等の位置 に生成 され,等位接続詞 と同位 要素の関係 にある次の (3) と (4) に示 したいずれかの統語構造 を持つ もの として一般 に分 析 されていた。 40 天 理 大 学 学 報 (3) (4) Ⅹ P / /「 \ \ \ C O N JX P IX P 2 Ⅹ P / / / 千\、 CONJ ⅩP I XP2 生成文法の初期理論 における等位構文の生成 についての研究 には,等位構文 を,( 根底 にあ unde r l y ngs i e nt e nc ec o n j unc t i o n)か ら変形操作によって生成 された ものと考え る)文接続 ( るもの ( e・ g・Gl e i t ma n( 1 9 65) ;St o c kwe l le tal .( 1 973) ;Ta i( 1 969) ) ,( 根底 にある)旬接続 ( un_ de r l y i ngp hr as alc o n j unc t i o n)から変形操作 を受けて導 きだされたもの と仮定するもの ( e・ g. Do ug he r t y( 1 97 0) ) ,またはその事例 に応 じて両者 を併用することによって生成 されたもの と 考えるもの ( e・ g・La ko f and Pe t e r s( 1 9 69) ;Smi t h( 1 969) )の 3タイプの ものがある。そ し て・そのいずれの タイプの仮説において も等位構造 として (3)あるいは (4)の構造が仮定 ko fa n dPe t e r s( 1 969:11 4)によれば名詞句等位接続構造は (5) されている。例えば,La という規則式型によって生成 される。また,sc hane ( 1 966: 5) によると文等位接続構造は (6)の句構造規則によって生成 される○ さらに,すべての言語に共通する等位構造の定義 と して Ro s S( 1 967:89)は (7)を提案 している。 (5)NP- and( NP) n,n之 2 '6)S- #S#((諾 D I#S#, ・ (*は (器 D A / / -7℃\ t T dl A A I #S#の繰 り返 しを表す) (7) その後,一般 に句構造が Ⅹバ-理論 によって規定 されるようになって も,等位構文 に村する 2節の ( l l )の構造が提案 されるまでは, ( (3)あるいは) (4) という 構造 として・本論の2・ c ke ndo f Ⅹ バ ー理論の条件 には適合 しない例外 的 な構 造が一般 に用 い られ たO例 えば Ja ( 1 977:51 )によれば等位構造は (8) という規則 によって生成 される。 (8)Xl- Ⅹ)-( Co n j-Ⅹ. ) I (*は繰 り返 しを表す) 等位構文の生成に関する議論 と研究が (3)あるいは (4)の等位構造に基づいてなされる 1 9 8 6;1 9 9 6)によって整理 され紹介 されているよう 過程で・等位構文に関 して,例 えば荒木 ( 1 ) ( に,多種多様 な言語事実が発掘 された 。等位構造 として (3)あるいは (4)を仮定する研究 は言語事実の発掘 に関 して貢献 したのは事実であるが,この研究には同時に重要な問題点が存 1 987 ;1 9 98a:第 1章など)は,(3)あるいは (4)のような構造 を仮定する 在する。岩田 ( 生成文法理論における現代英語の等位構造について 41 ミニマ リス ト プログラム以前の生成文法 ( ,そこでは Cho ms ky ( 1 981 ) によって提唱 され た統率 ・束縛理論 ( go ve mme nta ndbi ndi ngt he o r y)あるいは原理 ・媒介変数理論 ( pr i nc i - pl e sa n dpa r a me t e r st he o r y)あるいは障壁理論 ( bam ie rt he o t y) )の中で等位構文 に関する事 柄が どの ように扱 われて きたのか,あるいはその中で扱 われるとすれば どの ように扱 われるこ とになるのか とい うことと,それらの扱い方の中で どのような問題点が生 じて きたのか,ある いは生 じることになるのか ということについて詳細 に論 じた。そ して,そこにおいて (3)あ るいは (4)の構造 を仮定することに対 して概略以下のような問題点があ り, したが って等位 構造 として (3)あるいは (4)を仮定することは適切でないことが指摘 された。すなわち, 等位構文が (3)あるいは (4)の ような構造表示 を持つ と仮定す ると, ( Cho ms ky ( 1 9 81 ) で提出 された)普遍文法 ( uni ve r s a lg r a mma r )の規則体系の下位部門 ( す なわち,基底部門 ( の句構造規則),変形部門お よび音声形式部門 ( の短縮規則))お よび原理の下位体系 ( すな わち, β理論,格理論お よび束縛理論)に関 して多 くの例外が生み出されることになる。その 結果,等位構文が (3)あるいは (4)のような構造 を持つ ものだ とする と,等位構文 に関す ( 5 ) るい くつかの種類の言語事実は,普遍文法の規則や原理では説明のつかない例外 となる。 2 . 2 2つの等位項が,等位接続詞 を主要部 とする旬の指定部 とその主要部の捕部の位置 にあ るとする分析 本節では,岩 田 ( 1 998a) では論 じなかった もう-種類の等位構造 について,つ ま り等位構 造は CONJ( =c o n j unc t i o n)を主要部 とする旬 ( =Co n j P)であ り,各等位項はその Co n j Pの指 定部 と CONJの補部の位置に生成 されるとい う分析 について ミニマ リス ト・プログラム以前 の枠組み, ここでは Cho ms ky( 1 981 )の統率 ・束縛理論の普遍文法 に基づいて考察する。 従来の (3)お よび (4) とい う構造に関 しては,例 えば (4)の具体例が下記の (9)で 1 0)に示 した Ka yne( 1 994)の線形対応性の公理 ( Li ne a rCo r ある場合,そ して,その構造に ( m,LCA)とい う PFの原理が適用 された場合,NPl は hp 2N2 1の N2 を非対 r e s po nde nc eA血) は [ N , 1Nl ]のNl を非対称 的 にC統御 す るoす る と,LCAのd( A)は 称的 にC統御 し,NP2 Da v i d,Ma r k>とくMa r k,Da v i d>とな り,Da v i dが Ma r kに先行 し,同時に Ma r kが Da v i d に先行することを意味す ることになるが,このことは先行順序 に関する反対称性 ( a nt i s y mme - く t Ⅳ) の条件 に違反す るので Da vi d と Ma r kの どちらが先行す るのか を決め られな くなるなど の点が (4) ( お よび (3))の構造の不備 として指摘 された。 このような考察 などの結果,等 位構文 に対 して2.1 節 の (3), (4) とは異 なる ( ll ) の ような,それぞれの等位項が等位接 =Co njまたは &o ) とする旬の指定部 とその主要部の補部の位置 にある構造が 続詞 を主要部 ( l ● ) La r s o n( 1 990)や Kayne( 1 99 4)な どによって提案 された。 42 天 理 大 学 学 報 NP (9) P N - CONJ NP N - / /↑1、、 N. I Davi d Mar k ( 1 0) Li nearCo r r es po nde nc eA血) m: d( A)i sal i ne r or a de r ingo fT. ( ll) Col 岬 6i謬 Co / へ Co nj Ⅹ P I n j' X P2 ( ll)の構造 を等位構造 として仮定す ることは,上述の等位項の線形順序 ( l i ne a ro r de r )の 問題 を解消で きるだけで な く・ (3)I (4) の構造 にはない他 の利点がある。つ ま り,等位構 1 節の構造 (3)あるいは (4)の場合 と異 な り,等位構文以外 の句 と同様 に Ⅹ バ ー 文 は,2・ 理論 の条件 ( eU えば, Ⅹ1 - . ・ . X ト 1 . . . ) に抵触す ることな く構造表記 され, この仮説は Ⅹ バ . 1 節 の構 造 ー理論 の条件 が正 しい とすればその一般性 を高め るこ とになる。 したが って,2 (3)お よび (4) に対 して岩田 ( 1 998a:第 1章)で指摘 された例外性 の一部が な くな り, e me r( 1 995)が指摘 した問題点 は ( l l ) それ らの構造 に関 して本論 の注 (5)で紹介 した Zo の構造 には生 じない。 しか しなが ら,等位構造 ( ll) を仮定 して も, ミニマ リス ト プログラム以前 の理論 として Choms ky( 1 981 )の普遍文法 を用 いると,以下の i ト ( ') に示す ように (3) ,(4) を仮定 ( 7 )( す る場合 とほ とん ど同 じ点 に関 して問題が生 じる。 ( i ) 上述の ように等位句構造 と して (3), (4) を仮定す る場合 と違 って ( ll ) を仮定 す る文法 には Ⅹ バー理論 の条件 に関す る問題 は生 じない○ しか し,この句構造 には この句構 造固有の不 自然 さが存在す る。つ ま り,句構造 において,一般 に,指定部は主要部が表す意味 の範囲 を限定す る随意的な要素であ り,補部 は主要部を厳密下位範時化す る義務的な要素であ る。 さらに,指定部 と補部は入れ換 えることがで きないo この ように指定部 と補部 は,当然の ことなが ら・文法上・同一あるいは対等 の関係 にはない0-万,等位構文の等位項 とは,一般 c f .t heLa wo ft heCo o r di nat i o n に・文法上互 いに対等 あるいは平行の関係 にある要素 を言 う ( -Ò nl yl i ke sandl i kesc anc o o r di nat e ' )( Wi l l i a ms1 981 :64 6) ) 。 したが って, ( l l ) o rLi ke s( に見 られるような等位構文の一方の等位項 が指定部で他方の等位項が補部であるとい う分析 は 不 自然であるo さらに・等位接続 された句全体 とその句 の各等位項 は同 じ ( 統語的)分布 ( di s - t r i but i o n) を持 つo Lたが って,等位接続 された句全体 とその句 の各等位 項が 同 じ統 語範噂 ll) にある ように異 なる統語範嘩 であ る と仮定 す る よ り自然 であ であ る と仮定す るほ うが ( る。 ( 8 い。 ( i i )( ll )の構造 を仮定す る文 法で は,次 の よ うな 「 等位接続名 詞句 +関係 詞節」 とい う ) 形式 を持つ事例 に対 して,いか なる適切 な D 構造 も与 えることはで きな 生成文法理論 における現代英語の等位構造 について 43 ( 1 2)t het r ai na ndt hebust hatc o l l i de da tt hec r o s s i ng すなわち,. t he ,の ような決定詞 ( De t e mi ne r )は,それ以 降で述べ られてい る内容 ( つ まり, het r ai nt hatc o l l i de dwi t ht hebusatt hec r o S S i ng'に関 して言 えば,t̀ r ai n'だけで 例 えば t̀ はな く,t̀ r a i nt hatc o l l i de dwi t ht hebusa tt hec r o s s ng'全体) を限定する働 きを している i ( 中島1 9 9 5:1 6)。 さらに,Ja c ke ndo f( 1 977)によれば,制限的関係詞節 は N' '補部 であるo het r a i nt ha tc o l l i de dwi ht t hebusatt hec r o s s i ng'は 【 Ⅳ【 山一t he l l N ・l N ,l Nt r a i n] ] ( 例 えば,t̀ 【 S , t ha tc o l l i de dwi t ht hebusatt hec r o S S i ng川 とい う構 造表示 を持つ ことになるo) したが って,次 の ( 1 3)の方 が ( 1 4) よ り自然 な構1 造 1 2) に対 す る構 造 は, I l だ とす る と,事 例 ( ( 1 5)か ら分かるように,示せ ない ことになる。 八 ' 1 3 ) ^ P , N t hec r o s s l ng ? ( 1 4) / 一/ ( 1 5) \1 - \ ∠ 塁 t h a t c o l i d e d w i t h t h e b u s a t t h e c r o s s i n g t h e t r a i n 書 聖 \C o n 3 ' /へ \ " ' ) D P ( / / D P (= N " ∠ △ t het rai n ) / Cop and =N ∠ ゝ ? t hebus i iZS CP( =S' ) ∠ 二二二 二 二 二 ゝ t hatc ol l i dedatt hec r o s s i ng そ して さらに,次の事例 にあるような等位接続名詞句 に対す る制 限的修飾語句 であ る前置詞 句 も NP( =DP)補部の中にあるとす る と ( 1 2)の場合 と同様 の問題が生 じるo ( 1 6)a. t hema na ndt hewo ma nwi t ht hes ameho me t o wn b.t hemana n dt hewo ma nwi h di t fe r e ntd r e a ms 44 天 理 大 学 学 報 C .t hema n a n dt hewo ma nwi t hac o mmo ns e ns eo fva lue s この ように, ( l l )の構造 を仮定す る文法 は ( 1 2)( や ( 1 6) )の ような等位接続詞 によって c o n j o i ne dhe a d)を持つ事例 に対 していかなる適切な構造 も与 えること 結ばれている主要部 ( がで きず,言語事実 との (自然 な)整合性 をもたな ' J l 1 0 . 以上のほかに, ( l l )の構造 は,Cho ms ky ( 1 981)の普遍文法の原理の下位体系 に関 して 以下の ( i i i ト( Ⅴ) の ような問題点 を生み出す。 ( i i i ) 等位構造が (3)あるいは (4)の ような表示 を持つ もの と仮定する場合 だけでな 17) や ( 1 8) の よ く,等位構造が ( l l )のような表示 を持つ もの と仮定す る場合 も,一般 に ( 1 9) うな例の等位構造は, ( 2 0)の β役割付与への例外 とい うことになる。 さらに,一般 に, ( の ような事例 に見 られる個 々の等位項が同一の意味的な役割つ ま りβ役割 を持つ とい う事実 は,( 21 )の β基準-の例外 とい うことになる。 ( 1 7 )Mar kMc Gwi r ea n dhi sf a mo usbatbr o ket heho mer unr e c o r d. ( 1 8)Ge o r g ea n dh i sf a vo it r epi n ope a r f o r me dbe a ut i ul f l y./ Ge o r g ea n dhi sf a vo it r epi - anopl a ye dni nee nc o r e s . ( 1 9)Ge o r g el v pbo ug htc . A , pl N PSW e at e r S 日 C叫 l N Pt hedo glc. q ・ a ndl N ,t hec a t ] ] ] 1 . ( 2 0) β役割付与 : l a n dl N PS hi r t s1 1 ] ] ./ Ge o r g et v pki c ke dl c . qp ( a) β役割 を付与 される もの ( 名詞や節)が主語以外である場合 :次 の ( i ) ,( i i )の よ うな構造 g o ve n) され r H l ) において, a -語嚢範噂 , γ - 丁 とすると, βは aに統率 ( g r amma t i てお り, aを厳密 に下位範時化 している。この場合 a は,βの文法機能 ( NP,VP] )とaの語嚢項 目エ ン トリーに含 まれている意味情報 に c alf unc t i o nl .e. g.【 e. g.g̀o a1 o f ・ ac t i o n' ,e 上 c . )を付与する。 基づいて, βという範噂 に β役割 ( (i) 【 ,… a… β. .. ] (i i ) 【 , ・・ ・β・‥ a‥ .】 (aとpは γの直接構成素) ( b) β役割 を付与 される ものが S' や NPの主語である場合 :上記 ( i ), ( i i )の構造 にお いて, a-句範噂で γ =S または N"とすると,それぞれ VP と N'によって 0役割 が付与 される。 ( Cho ms ky1981:3638) ( 21 ) β基準 :個 々の項は一個且つ一個のみの β役割 を持 ち,個 々の β役割は一個且つ一個 H ) ) のみの項 に付与 される。( o p. c i t . : 3 6 ) つ まり,等位構造が ( l l )の ような表示 を持つ もの と仮定 して もβ役割付与 ( 2 0b)は ( 1 7) 1 8)の主語である等位構造全体 ( つ まり,( 1 7)の 【 c o q pMar kMc Gwi r eandhi sf amo usba t 】 と( と ( 1 8)の 【coqpGe o r g ea n dhi sf a vo it r epi n 01 a ) に e役割 を付与す るが,個 々の等位項 は γ ( 例 えば S) の直接構成素 で はないので,それ らには β役割 を付与 しない。 しか し ( 17) と ( 1 8) が示 している事実は,等位構造全体が意味的な役割 ( つ まりβ役割) を持っているので 1 7 )の Mar k はな く,その中の個 々の等位項が それぞれ独 立 の意味 的な役割 ( す なわ ち, ( 生成文法理論 における現代英語の等位構造 について 45 e nt ' , hi sf a mo usba tは ì ns t ume r nt ' ,( 1 8)の Ge o r g eは àg e nt ' ,hi sf a vo it r e Mc Gwi r eは àg pi anoは ì ns t r ume nt ' ) を持 っているとい うことである。 したが って,一般 に ( 1 7)や ( 1 8) のような例 の等位構造 は,( 2 0)の β役割付与へ の例外 とい うことになる。次 に ( 1 9)の場合 は,二つの等位項はどちらも t̀ he me 'とい う意味的な役割 を持 っているが, ( 1 7 ) や ( 1 8)の u n 場合 と同様 に, β役割付与 ( 2 0) (この場合 は ( 2 0 a))はこの事実 を説明で きない。そこで, この種 の事実 を説明す るために,( 2 0) によって等位構造全体 ( =Co n j P) に付与 された o役割 がその内部 にある個 々の等位項 に浸透す ると仮定 してみ よすとす ると,例 えば ( 1 9)の場合の 二つの等位項 にもそれぞれ正 しく同一の β役割が付与 される。 しか し, このことは ( 21 )の β 基準の後半の部分 に違反することになる。 以上の ことか ら, ( l l)の ような等位構造 を仮定す る文法で も,等位項の意味的な役割 に関 する言語事実は, β役割付与 とβ基準か ら成 る β理論では予測することので きない例外 として 扱われることになる。 ( i v)格 ( ここでは構造的格)は次 の ( 2 2)の仕組み によって S構造の各 NP に付与 され る。音声形式 を持つ NP に格が付与 されない とその NPは ( 2 3)の格 フィル ター ( Cas e 丘1 - t 。 r )によって不適格 となる。する と,( 2 4) -( 2 6)の事例か ら,一般 に ( l l )の形式の等位構造 ち,普遍文法の原理の一つである格理論では処理す ることので きない例外 となるとい うことが 分かる。 ( 2 2)( a)AGR に統率 されている場合,NP は主格 ( no mi na t i ve )であるo ( b)厳密下位範時化素性- NP を持つ動詞 ( -他動詞) に統率 されている場合, NP は目的格 ( o b j e c t i ve )である。 ( C )p に統率 されている場合,NP は斜格 ( o bl i que )である。 ( d)l N P_ Ⅹ】の環境では,NP は属格 ( ge ni t i ve )である。 ( Cho ms ky1 981:1 7 0) ( 2 3)格 フィル ター : va iabl r e ) αがいかなる格 も持たず,且つ αが音声形式 を持つかあるいは変項 ( であるなら'hpa]である。( Cho ms ky1 981:1 75 ) ( 2 4)[ C . qp l N P IGe o r ge Hc . q ・a n dlNmSyl v i a] ] ] l l+Te ns e, AGR]lv pge tt ok no we ac ho he t r a tt hepar t y】( c tGe o r geandSyl vi ag o tt okno we ac ho t he ratt hepar t y・ ) ( 2 5 )Ge o r g ec o mpa r e dlc . q p l N PTo kyol l c. q ・andl N PNe wYo r k] ] ] ・ ( 2 6)Ibe l i e ve[。叫 PGe o r g et obedi l i g e ntandSyl v i at ob es i nc e r e】 ・ すなわち,Co n j Pは本論の注 ( ll ) に示 した統率の定義 における最大投射ではないoす る と, ( 2 4) では,[ N PGe o r ge】と hpSyl v ia】は AGR に統率 され,( 2 2 a)によ りそれぞれのNPに主 格が付与 されると思われるo( 2 5 )では,b To ky01と [ N PNe wYo r k】は [ vc o mpa r e】に統率 2 2 b) によ りどち らの NP に も目的格が付与 され る と思 われるo( 2 6)の例外 的 されるので ( 格標示構文 ( ECM 構文)では,補文 に Sバー削除 ( Sba rde l e t i o n)が適用 されると,その結 果 【 vbe l i 。 V。】が 【 N PGe o r ge】と hpSyl vi a]を統率するので ( 2 2 b)によ り目的格が両NPに付 与 される と思 われる。 しか し,英語 の格付与 に関 しては「 格 を付与 され る NP はその統率子 ( g o ve mo r ) に隣接 していなければならない」 という隣接条件 ( ac o nd i t i o no fad j ac e nc y)があ 2 4)の hpGe o r g e ]と ( 2 5)の 【 N PNe wYo r k]と ( 2 6)の 【 N PSyl vi a] り,この条件 によって ( 46 天 理 大 学 学 報 には椿が付与 されない。その結果,格 フ ィル ターによって ( 2 4) ,( 2 5) ,( 2 6)は誤 って排 除 さ れて しまう。 ( Ⅴ)等位構造 が ( l l ) に示 した構造 であ る と仮定 して も,束縛理論 に関 して,( 27 )の よ うな種類 の例 に見 られる等位構文 に関す る言語事実 は,例外 的扱 いを受 けることになる。 ( 2 7 ) [C叫 P lNPIGe o r g eHc . q ・a ndlNP2Sylvi a] ] ]s hout e dathi m. つ ま り,( 2 7 ) において代名詞 的要素であ る hi m は,Ge o r geを指示す ることはで きない とい B) ( - 「代名詞的要素 ( pr o no mi na l)は,その統率範境内で う事実 に対 して束縛理論の原理 ( 」( Cho ms ky1 981 :1 88) )は,hi m と Ge o r g eが同一指示的である 自由でなければな らない。 とい う誤 った予測 をす ることになる。 以上の ように, ミニマ リス ト プログラム以前 の生成文法 ( -ここでは Cho ms ky( 1 981 ) の 統 率 ・束縛 理論) において等位 構造 が ( ll)の よ うな構 造 表 示 を持 つ と仮 定 して も,上 記 ( i )と ( i i )で指摘 された問題 だけでな く, (3) あるいは (4)の等位構造 を仮定 した場合 と同様 ,Cho ms ky( 1 981 )で提 出 された普遍文法の原理の下位体系 ( すなわち, β理論 ,格理 論 お よび束縛理論) に関 して多 くの例外 が生 み 出 され る こ とになる。 この結果,等位 構造が ( ll) の ような構造 を持つ ものだ と仮定 して も,等位構造 に関す るい くつかの種類の言語事実 は,普遍文法の規則や原理 では説明のつかない例外 となる。そ して,「 接続 とい う操作が新 し Cho ms ky1 957:35) 」 とす る と,規則や原理 い文 を形成するための最 も生産的な操作の一つ ( に関す る以上の例外性 は非常 に不 自然である。つ ま り,無標 ( ul mar ke d) で一般的に使用 さ れる構文 に関す る言語事実が普遍文法の一般 的な規則や原理では説明で きない とい うことは不 自然である。 3節 :代 案 :三 次元 分 析 ここでは生成文法理論 における等位構文の扱 い に関 して 2節で指摘 された問題点 を解消す る 代案 となる構造 を提案す る。 等位構造の各等位項 は,原則 的 には,統語的,意味的,あ るいは機能的 に平行 した ものでな ければな らない。 したが って,2. 2節の (i)で述べ た ように,等位句構造 において,各等位 項が,構造上,同 じレベルにな く指定部 と補部 とい う異 なる レベ ルにあ る ことは不 自然 であ 2節の等位構造 ( l l )の問題点が生 じる原 因 ( の一部)がある と思 われ る。それ る。 ここに2・ では,等位構造の各等位項が,統語構造上,同 じレベル にあるとす る と,その点 を満 た してい 1 節の等位構造 (3) ,(4)の問題点が生 じる原 因は どこにあるのであろ うか。それ につ る2・ 1 9 98a:1 . 3節)で指摘 している ように,二次元 の統語構造 におけ る等位 項 同 いては,岩 田 ( 士の同位 関係 ( 例 えば,【NP a n d NPI NP21あるいは 【 N PNPla n dNP2] における 2つの等位項 NPl と NP2の関係)は他の要素 同士の同位 関係 ( 例 えば,kpSp e cX' 】における Spe cと Ⅹ・ の関 1な どの付加構造 における Ⅹ Pl と Y Pl の関係) とは異質 なものであ り,後者の 係や 【ⅣⅩ P IY P 1 統語表示 に問題 はないので,前者の等位構造 の表示 に問題があることになる。後者の同位 関係 が二次元の構造 で表示 される とす る と前者の関係 は二次元の構造では表示 されえないことにな る と考 え られる。二次元の構造 に表示 されえない関係 をその ように二次元構造 に表示 して きた ところに問題の原 因があると考 え られる。 生成文法理論 における現代英語の等位構造 について 47 3 . 1 三次元分析の概要 上述の ように,2節で指摘 された問題点の原 因は等位構造 を二次元の構造 と仮定することに 1 987;1 998 ある。ここでは,等位構文 を 2節 で論 じられたような二次元の構造ではな く,岩 田 ( 岩 a) に したがって,三次元の構造 を持つ もの と仮定す こそ してその三次元構造 は,概略,以 詳細 は岩 田 ( 1 987;1 998a)を参月 割6 ' . 下の 2つの条件 に基づいて生成 される ( ( 2 8)三次元構造生成条件 三次元の空間である)その背部 に別の Ⅹ㌢ 弧を持つ ことがで き Ⅹ の最大投射 Ⅹ 「北は ( ,( i )背部の Ⅹm 弧は,Ⅹ=C の場合 Ⅹ=C( o mp) ,I( nf L ) ,N,V,A,P,Adv) 。そ して る( 虹 と対等の位置あ るいはそれ に直接支配 される位置 にあ り,Ⅹ ≠C の は,前部の Ⅹ皿 場合は,前部の Ⅹ m弧と対等の位置 にある。 ( i i )前部の Ⅹ n 虹と対等の位置 にある背部 a Xを直接支配す る節点が存在す る場合 には,その節点 に直接支 の X血 は,前部の Ⅹ配 される。 ( 29)等位構造条件 ( Co o r di nat eSt mc t ur eCondi t i o n) 文法の規則,条件お よび原理 はすべ ての等位項に等 しく適用 される。 ( ] T ) これ らの条件 に したがえば,例 えば概略以下の三次元構造が生成 される。 ( 3 0) ⅩP2 / 尽 S p e cX ' specⅩ /\omp Ⅹ C Co mp この構造 において,Ⅹ P2は ( 28)の条件 に従 って Ⅹ Pl の背部 に生成 された最大投 射範噂 であ る。そ してこのような非直線的な三次元構造は次の直線化規約 に したがって直線的な音声の連 鎖 に解釈 される。 ( 31)直線化規約 ( l i near iz at i o nc o nve nt i o n:以下 LC): 次の構造 において, (a)Ⅹ1 と Ⅹ2の右側 に同一の要素がある場合は,その同一の要素 より先 に Ⅹ1 と Ⅹ逐 解釈 しなければならない。 ( b)すべての Ⅹ1と x2は同 じ順序 に解釈 されなければならない。 (C)Xl と x2 の同 じ平行的な位置 に共通 して含 まれ る ( そ して,且つ,等位項 の最上位 の節点に直接支配 されている)要素の二度 目お よびそれ以降の解釈 に際 しては,そ れ (ら) をゼロと解釈 して もよい。 [ … ( Ⅹ材 は要素の連鎖あるいはその_部である) ( 岩田 1 998a:21 4-21 5) 48 天 理 大 学 学 報 3 . 2 三次元分析による開度点の解決 1 節の分析 に基づいて, 2節で指摘 された問題点の解決 を試みる。 まず,構造 本節では,3. 2 節で指摘 された ( i i )∼ ( Ⅴ) の問題点 に (3),(4) に関する問題点 と構造 ( l l )に関 して2. 1 節で紹介 した三次元分析 による解決案は岩田 ( 1 998a:第 1章)で示 されている。例 対する3. 1 7) ,( 2 4),( 27) には ( 2 8) と ( 2 9)の条件 に したが ってそれぞれ,梶 えば,事例 ( 1 2),( 略,以下の三次元構造が与えられる。 ( 3 2) l D ・ l Dt he日N Pl N ・ l Nt r in] a l c pt hatc o l l i de datt hec r os s i ng] ] ] ] ] l D ・ l Dt he] hpl N ・ l Nbus】 ( 3 3) TMa r kMc Gwi r eAGRbr eaklt heho mer u nr e c o r d1 hi sf amo usbatAGRbr e ak2t heho mer u nr e c o r d] ( 3 4) 「【 Ge o r ge ] AGRg e tt okno weac ho t he ratt hepar t y】 【Syl vi a】 ( 35) 【 Ge o r ge . 】 s ho ut e dathi m. ] 【Syl vi a] ( 32)の構造か ら分かるように,三次元分析は,二次元構造の場合 と違って,2. 2節の (i i ) で紹介 した内容に矛盾 しない構造を示すことができる。次 に,( 1 7 ) に対する三次元 D 構造で IMar kMc Gwi r e]と 【hi sf amo usbat】は二次元構造における場合 と ある ( 33)において, eakl の 【Age ntlと br eak2 の ths t mm。 nt】とい 異な りγの直接構成素であ り,それぞれ br 2 4)の三次元 S構造である ( 3 4)で うe役割がそれぞれの VP によって付与 されるO次 に,( 2 4)の場合 と異 な り,どちらの等位項 も AGR に隣接 しているので,格 は は,二次元 S構造 ( 【 Ge or ge 】と【Syl vi a] の両方に正 しく付与 される。最後 に,( 27) に対する三次元 S構造 ( 35) において,pr o no unである hi m は Ge or geに束縛 されているので ( 2 7)の pr o no unの指示 B) によって正 しく説明 される。 に関する事実は束縛理論の原理 ( 2節の (i)の点については,岩田 ( 1 987;1 998a)で示 されているように,三次元 次 に,2・ 分析 では等位項 は,構造上,例 えば ( 30)の ように,互 い に対等 の関係 にあ り, さらに, (3) , (4) の最上位の ⅩP や ( l l )と本論の注 ( 1 0) の (i)の Co n j P に相当するような 各等位項を支配する範噂は三次元分析では存在 しないので,問題は生 じない。 1 987;1 998a)で提案 されている等位構造 に対する三次元分析が ミニマ リス ト 以上,岩田 ( I l l 】 プログラム以前の枠組みで も必要になるということが論 じられた。 4節 :残 され た間毘 本論および岩田 ( 1 987;1 998a, b)で提案 された三次元分析 は二次元等位構造に基づ く分析の 問題点を解消するが,まだ未熟な分析であ り,この三次元分析 には例 えば以下のような問題が 未解決のまま残 されている。 生成文法理論における現代英語の等位構造 について 49 4 . 1 等位接続詞の生成 三次元分析の もとで ・ a nd' などの等位接続詞が どのように生成 されるかについては,岩田 ( 1 998a: 第 1章の注 ( l l ) )で指摘 されているように,未解決の問題である。これ について Aa nd / o r 伽 tB」の à nd ノ o 〟but 'は A は,本論では以下の ように暫定的に仮定する。 まず,「 と B の関係 を標示する要素であるとい う点 ぞ' ,r A。fB」の òf,と同類の ものであ り, この ・ o r,が例 えば Cho ms ky ( 1 9 8 1 )で仮定 されているように ( D構造 よ りのちの)派生の途 中の 「 A ofB」が名詞句である場合 は随意的に ( c f .原口 ・鷲尾 ( 1 9 8 8:1 1 6) )挿入 され 段階で ( nd' ,ò r 'お よび ℃ut 'も三次元 D 構造 よ りの る ( あるいは音声的に具現化 される) とする と,à ちの派生の途中の段階で随意的 に挿入 されると考えられる。 次 に,等位接続詞の挿入の仕方 については次の仮定 を採用す る。英語 を含 ( めた主要部先頭 j 抑) ( he a di ni t i a l )言語では等位接続詞は第 2の被接続要素 と韻律上の句 を構成する.( c f ・Zo e me r ( 1 995:1 9) ) ( 3 6)a.Ro bi n,andXi m,l i kea ppl e s . * Ro bi na n d,K in,l i kea ppl e s . a' . b.Ro bi ns l e pt ,andKi n we pt . b' . ' Ro bi ns l e pta nd, Kl m we pt . ( c o mmaは句の境界 を示 している。) c f .St e e dma n ( 1 991 ) と zo そ して,韻律上の構造 と句構造は一致すべ きであると仮定すると ( e m。 r( 1 995: 1 9) ), . a nd,などの等位接続詞は,英語の ような主要部先頭言語では三次元構造の 第 2の被接続要素 に付加 されると仮定 される。その結果,例 えば次の三次元構造が得 られる。 i q . 0 C i . ーー ( 37) 最後 に,文法の どの段階で等位接続詞が挿入 されるかについては以下の ように仮定 してお く。つ まり, まず英語の場合,三次元構造 に等位接続詞が挿入 ( -付加) されると例 えば次の 構造が得 られる。 ' 3 8)- ・ p ∴ . n, . ]l m E NP . . そ して, (i)仮 にこの構造が得 られた段 階で β役割が付与 され る とす る と, ( 2 0) によって NP2 に 0役割が付与 されな くなる。 (i i)仮 にこの構造が得 られた段 階で格が付与 され る とす る と,NP, があるため NP2 は等位構造の外部 か ら統率 されず,( 2 2)によって NP2 に格が付 与 i i i )束縛理論の条件が適用 される段階で等位構造が ( 3 8)の構造 を している されな くなる。 ( 3 9)の Ge o r g eは hi ms e l fを C統御 しないので ( 3 9)は誤 って非文法的 とす る と,例 えば ( と判断 されて しまう。 この ような理 由か ら,本論 では,等位接続詞 はこれ らのことに支障のな 50 天 理 大 学 学 報 ( B 】 ) る 。 い段 階 ( 恐 らく P F)で挿入 ・付加 される と考 え ( 3 9)syl ia.andGco v r ge 】t al ke da bo uthe r s e l f l n dhi a ms e l E( ,r e s pe c t i ve l y) . ( he r s e l f≡Syl vi a;hi ms e l f≡Ge o r ge) この ように本論 では,英語の場合,等位接続詞 は P Fレベ ルで三次元構造の第二の被接続要 素 に随意的に付加 される と暫定的 に仮定す るが, これが適切 であるか どうか については今後の 課題 とす る。 4 .2 C統御の適用 束縛理論 に関す る事例 は,( 2 7) と ( 39)の他 に以下の ものがある。 ( 40)a.' Ge o r ge .andSyl vi at al ke dabo uthi ms e l f . . b・"Geo r geandSyl ia v ,t al ke dabouthe r , . C ・'GeorgeandSyl vi a ,t al ke dabo uthe r s e l f ; . ・ d ' Geo r ge la n dSyl vi a ,t lke a dabo utt he m e. Geo r ge . andSyl vi a ,t al ke dabo utt he ms e l ves 叶 . .,. ( 41 )a. "Bo bandhe l c o ns i de rGe o r ge l adi l i ge ntpe r s o n. b・ ' He l andIc o ns i de rGeo r g e l adi l i ge ntpe r s o n. ( 4 2)a・ Geo r ge .c o ns i de r sBo bandhi ms e l fdi l i ge nt . ` ワ Ge o r ge l C O nS i de r sBo bandhi m. di l i ge nt . b・ これ らの事例 の適 格 性 につ い て は 2つ の考 え方 が で きる。 まず 第 1に,C統御 とい う概 念 1 998a: 第 2章,第 7章)で仮定 されている ように,二次元構造 とい う同一平面上 は,岩 田 ( 40)-( 4 2)の事例 の文法性 は ( 40 C )と ( 41 b)以 の節点間 にのみ適用 される とす る。する と ( 40C )では 外 の もの については本論の三次元構造 に基づ く分析 では説明で きない。す なわち,( he r s e l Eが存在する二次元構造 に Sy l ia v ]が存在 しないので,前者 は後者 に C 統御 されず,そ A) によって不適格 であ る と判 断 され,( 41 b)で は Geo r ge .は He .に C統 の結果束縛条件 ( 御 されるので束縛条件 ( C) によって不適格 と判断 され るD しか し,( 40a) において hi ms e l f l は Ge o r ge .に C統御 されるので束縛 条件 ( A) に よって適格 であ る と判 断 され,( 40 b)で は he r ,は Syl ia v Jに C統御 されないので束縛条件 ( B) によって適格である と判断 され,( 40 d) では t hem叫は Ge o r ge .には C 統御 されるが Sy l ia v jには C 統御 されないので束縛条件 ( B) に よって適格 で あ る と予 測 され,( 40 e)で は t he ms e l ve s 叫 は Ge o r ge .には C統御 され るが Syl vi a ,には C 統御 され ないので束縛条件 ( A) によって不適格 である と予測 されて しまう。 さらに,( 41 a)では Ge o r ge .は he . に C統御 されないので束縛条件 ( C) によって誤 って適 42a) においては hi ms e l tは Ge o r ge .に C 統御 され ないので 格である と判断 される。 また,( ( 2 2 ) る 。 A) によ り不適格 であ り,( 42 b) においては hi m.は Geo r ge lに C統御 され ないの 束縛条件 ( で束縛条件 ( B) によ り適格である とい う誤 った予測 をされることにな 第 2の考 え方は,C 統御 の関係 は,第 1の分析 と異 な り,次元が異 な る要素 間で も成立す 40)-( 42)において第 2の被接続 要素 も C統御 の関係 る と仮定す ることである。す る と,上例 ( 40)ae,( 41 )ab,( 42)abの うち,( 40)の a と Cを除 く事例 の適格 に入 るので,上例 ( 生成文法理論 における現代英語の等位構造について 51 性 は本論の三次元分析 と束縛条件 によって説明で きる。そ して ( 4 0)の aと Cが不適切 であ me z ky ( 1 9 9 6:71 -7 3)の 「 a ndによる等位接続名詞句 は配分的 ・個別的読 るのは例 えば Cha み( di s t ibut r e dr e adi ng)ではな く集合的読み ( c o l l e c t i v er e adi ng)であることが好 まれる ( c f ・ ( 40e ) ) 」 とい う語用論的条件で説明で きる。ただ し,C統御 の関係が成立す る統語的環境 をこ の ように考 えた場合 は,岩田 ( 1 99 8a: 第 2章,第 7章)の分析 は以下の ように変更ない し修 no nr e s t ic r t i veadve r bi lc a l aus e )を含 む構文に 正 されることになる。 まず,非制限的副詞節 ( 見 られる束縛関係 に関する ( 4 3)の事例 について,岩田 ( 1 998a: 第 2章)は,非制限的副詞 節は三次元の空間に存在す る要素であ り, したが って,Heと Jo hnが,構造上,同 じ次元 に 存在 しないので,両者の間には C統御の関係 は成立 しない と分析 ・説明 したが,実 は ( 4 3) の三次元構造は概略 ( 4 4)の ように表示 される。 ( 4 3)( -岩 田 ( 1 99 8a:第 2章の ( 4 9 a))He . ' sno tc o i ngt m oc l as s ,be c aus eJo hn. j us tc al l e d ro f m SanDi e go .( He =Jo hn) ( 4 4) CPl Jo hn. T' : 岩田 ( 1 998a:第 2章の ( 49 a) ) ( c f この構造か ら分かるように 統御 の関係 は,h eと●■ Jo hn が同 じ次元 に存在 しないか ら成立 ●●■●●●●■ ●●● ●●■●■● ● ●●,C しないのではな く,C統御の関係 は次元が異 なる要素間に も成立す るが,この事例 では CP2 が TPl に支配 されていないため,heは Jo hn を C統御で きか 、と考 える.次 に,岩 田 ( 1 9 98 a:第 7章)で同格構文 ( 例 えば次の ( 45 ))に対 して提案 された ( 4 6)の三次元構造 について と NP2はここでの第 2の仮定 では互 いに C統御 す ることになるので ,NPl と NP2そ は,NPl れぞれが r表現 とすると同格構文は束縛条件 ( C) によって排除 されて しまう。 : 二 ( 4 6 ( 45 )Mybe s tf ri e nd些竺竺WaShe r el as tni ht g ・( Qui r ke ta l l1 985:1 305) ) NPI NP2 Ⅰ ' / へVP Ⅰ しか し,同格構文 において同格要素 NPl と NP2は ( 統語 的 には 「 動詞 は一方の NP と一致す c r .岩田 ( 1 998a:第 7章) ) 」 など NP. と NP2は独立 した要素であるが, )意味的には同一 る ( 5 2 天 理 大 学 学 報 要素 NPl と NP2 は,例 えば ( 47 )の ように,単一 の指示表現 として再分析 され る と考 え られ る。 覇 i E / 界 、 N P i N P ( 4 7) I P 欝 / ㌔ I VP , が束縛条件 ( C)における r表現 の対象 となる。 そ して NPo 以上 C 統御 の適用 に関す る 2つの仮定の うちいずれが よ り適切であ るか とい うことと, こ の間題 についての他 の仮定の可能性 については今後の研究課題 としたい。 5節 :結 論 本 論 で は以 下 の こ とを示 した。つ ま り,生成 文 法 で は等位 構 文 に対 して以 下 の ( 4 8), ( 49), ( 5 0) に示 した 3種類の構造が仮定 されている。 ( 4 8)a . xp / / -Xプ \ PI CON古 XP 2 ⅩP / -/ 7\ \ 、 / ⅩP. CONJ ( 49) XP2 / / 竺 x pl 芦 、 Co n j XP, , ! C 2 ( 5 0) XP Sp e c A spec Ⅹ Ⅹ Ⅹ' Co mp Co mp (i) ( 48)の 2つの構造 は ミニマ リス ト プログラム以前の枠組み ( =Cho ms ky( 1981)の 統率 ・束縛理論)の規則体系の下位部門お よび原理の下位体系 に関 して不適切である 53 生成文法理論 における現代英語の等位構造 について こ とが岩 田 ( 1998a)で論証 されている。 (i i) ( 49) の構造 は ミニマ リス ト プログラム以前 の枠 組み ( =Choms ky( 1 981)の統率 ・ c f .岩 田 ( 1 998b) ) で も,構造 束縛理論 )で もミニマ リス ト ・プログラムの枠組み ( そ の もの,言語事 実 との整 合性 ,お よび原理 の下位 体 系 (β理 論,格 理論 ,束縛 理 50) が よ り適 した構 造 であ る。す なわ ち,生成文法 の 論) に関 して不適切 であ り, ( 理論 的枠組みが ミニマ リス ト プログラム以前の ものであ ろ うが ミニマ リス ト ・プロ グラムの ものであろ うが ,等位構文 に対す る構造 と しては二次元構 造で は不適切 であ り,三次元構 造が必要 になる。 注 (1) 現代英語の等位接続表現 ( あるいは等位構文)が どのような特徴 を持 っているかについては 荒木 ( 1 9 8 6:ⅤⅠ Ⅰ章)などにまとめられているので,本論では省略する。 (2) ミニマリス ト・プログラムの枠組みで,等位構造 を扱 った研究 として,岩田 ( 1 998b)以外に Z。 e me r( 1 995)と Jo hanne s s e n( 1 996;1 998)がある。まず,Zo e me r( 1 995:5)は ( 英語のよ he adi ni t i al )言語の)等位構文に対する構造 として岩田 ( 1 998b)で論 じられ うな主要部先頭 ( た併合 ( Me r ge) という操作 によって形成 される等位構造 ( -本論の注 と同 じタイプの次の ものを提案 している。 ( 1 0 )の ( i )の構造) ヨ n EC hi & ' o n j u n c tS _ . _ I 1 顎i選 旦C o n j u n c t ^ & o C o I か nct n ad 次 に,J。 hanne s s e n( 1 996‥671 )によれば, ミニマリス ト プログラムの枠組みで,等位構造 は C̀。 。 , di na t e a,とい う一般化変形 ( ge ne r li a z e dt r a ns f o r ma t i o n)によって形成 される。こ n j Pの指定部 と補部の位置-任意の no deを付 けるものである。この操作 によっ の変形は,Co て形成 される構造は,等位接続表現の 2つの等位項が指定部 と補部の位置 に生 じるとい う点 で,結局は,上記の併合によって形成 されるもの と同類である。そ して・併合によって形成 さ れる等位構造に対 して岩田 ( 1 998b)で指摘 されている問題点のほかに,Zo e me rの分析には以 hanne s s e nの分析 には岩田 ( 1 998b)で指摘 されている問題点がある。 下の問題点があ り,Jo Z。 e m。 r( 1 9 9 5)は Co n j P( =Zo e me r( 1 995)の&P)に両方の被接続要素の素性 を引 き上げる n j P ( =&P) に特有の例外的なものであ という仮定 をしているo Lか し,この仮定 自体が Co 39) の Sp e l 1 Out前の派生構 造 であ る (i)の Co nj Plの場 り,仮 に,例 えば本論 の事例 ( 合,両方の被接続要素の素性が引 き上げられたとして も,一方の被接続要素の素性が T の D 素性および格素性 と照合 され削除 されたあ ともう一方の被接続要素の素性が照合 ( お よび削 5 4 天 理 大 学 学 報 除) されえないOそ して,同 じことが例 えば S p e l l l 0u t後の LFインターフェイスでの派生構 造である (i i)の h̀e r s e l fandhi ms e l fの被接続要素の格素性 の照合 について も言 える。 しい 艶盛 C ^ p / へ T ' / ぺ / へv P aA T^ s y l i v v I / へ Co n j Ge o r g e tl and I v ^ A t a l k t l V P P l ∠二二 二、 -\ゝ t t a l k a b o u t h e r s e l f a n d h i m s e l f (i i) C P / へC ' / へ T C P メ / / / S y l I v i a ,C J o n j , ' へ プ \ / へ t .Ⅴ ' へP n a E o n j b o r g e k F O d TT / VV トE i i ! t l a k t l v ^p p ‡ 竪 琴 己 零 t L a ) k a b o u t h e r s e l f a d h i m s e l f kn / へ 了 ℡ / へ nh e ie s e l : F ih r: lf 生成文法理論 にお ける現代 英語 の等位構造 について 55 1 998a, b)は相補の関係 にある。 (3) このように本論 と岩田 ( (4) Cho ms ky( 1 957:3537)で等位構文が論 じられて以来,生成文法 による等位構文の研究の中 で等位構文 に関するさまざまな言語事実が発掘 されて きた。そ して,その言語事実は例 えば, 荒木 ( 1 9 8 6;1 9 9 6) に整理 されているのでここでは紹介 しない。 (5) (3)お よび (4)の等位構造 に関す る問題点 は岩田 ( 1 9 8 7;1 998a) で指摘 された もの以外 に,例 えば zo e r ne r( 1 995: 89)が ,(4) と同 じ (i)の構造 を用いて,以下の (i i )のこと を指摘 している。 ㌦塾 選 Ⅹ Pa n dX P 3 (i i ) Theabo ve( c al li tt he ' lats f t uc r t ur e ' )c o nt r a ve ne sXbart he o r e t i c alr e qui r e me nt s , mo s tno t abl yt ha tagai ns tt e r na r ybr anc hi ng( as s ume ds i nc eKay ne( 1 984) ) .Co ns i de r t o ot het o pmo s tXPs ho wn:i tdo e sno tdo mi nat ead i s t nc i ts pe c i ie f r ,he ado rc o mpl e me ntpo s i t i o n.I nc o nt r as tt oo t he rs i ngl e he ade d( ande ndo c e nt iC r )s y nt ac t i cphr as e s , c o o r di nat edphr as esunde rt hef lats t uc r t ur eappe art oha vemul t i pl ehe ads .Fur t he r mo r e,t hec o n j unc t i o ni t s e l fa ppe ar sa Baf̀ lo at ng's i y nc at e g o r e mi ce l e me ntr at he r t hanadi s t i ng ui s habl euni to ft hegr ammar . Ac c e pt anc eo f( 4)( =(i) )f o r c e st hec o nc l us i o nt hatc o n j unc t i o ns o me ho ws t ands apa rt f ro mo he t rS y nt ac t i cs t uc r t ur e.Jac ke ndo f( 1 977:50)no t e sasmuc h,s a yi ng t ha tc o o r di nat i o npr e s e nt s"【 0 1 neo b vi o use xc e pt i o nt ot het he o r yo rphr as es t r uc t ur e. ' 'Thi sc o nc l us i o nne c e s s a r i l yc o nf わ undst hel e amabi l i t yi s s ue:i tpr e s umest ha t l e a r ne r smus tha veac c e s st obo t ht hes t anda r dXbars t mc t ur easwe l lasadi s t i nc t i ) ) は筆者による。) c o o r di nat i ons t mc t ur e .(8行 目の (- ( (6) Sc hac ht e r( 1 977 )は (3) ,(4) とは異 なる次の 2項枝分かれ構造 を提案 した。 Ⅹ P (i)/ へ ^ C O N JX P L x p and e r ne r( 1 995: 1 0)で指摘 されているように Ⅹ バー理論 に関 して以下 しか し, この構造には Zo の問題点がある。 (i i) Fi r s t ,pr e s e ntXba rt he o r ydo e sno tpr o idef v o raphr as ebr a nc hi ngo ft ot wo do ubl e barl e ve l s :t heunde r l i ne dXPno de ( -( i )の最上位の ⅩP)s ho ul ddo mi na t ean X'no debutdo e sno t .Fur t he r mo r e,t hec o n J nc u t i o nagai nho l dsnos pe c i als t a t usi n t heg r a mmar :i tappe ar saSade f e c t i vee l e me nt . … Fi nal l y,i nEng li s h,aheadi ni t i al 56 天 理 大 学 学 報 l ang uage,t heSc hac ht e r s t uc r t ur es ho wst he丘na l XPashe adinal f . ( ( )内は筆 者 による。) さらに,Munn( 1 992)は,等位構文 に対 して,&P( =Munnの BP( Bo o l e n Phr a a s e) )が左 側の被接続要素に付加 された次の従位構造 を割 り当てている。 ⅩP /\& X P P /\yp O & ) ( i i i l t man( 1 992: 47)は以下の点 を指摘 している。 この構造にも問題があ り,例 えば Mo ( i v)Munn' spr o po s l,ho a we ve r ,i spr o bl e ma t i ci ns e ve r lr a e s pe c t s .Fi r s t ,i ti sno tc apa bl e t opr e di c tanumbe ro fpr o pe r t i e so fc o o r di na t i o n,f o ri ns t a nc et heLa wo ft heCo o r di nat i o no fLi ke sa n dpar al l e l i s m phe no me naho l di nga 血o ngC O n J unC t S .Fur t he mo r r e, i ti su nc l e a rho wt heDPdo i nat m e dbyBPno des ho ul de nt ers y nt ac t i cr e l a t i o nst o e l e me nt so ut s i det hec o o r di nat eDPi nt heS t anda r dwa y.Fo ri ns t nc a e ,i ti squi t eunC l e arho wt hi sNPs ho ul dbego ve me dbyave r bo ut s i det heDPi no r de rt obeas s i g ne dCas e.( c f .( V) )(( )内は筆者 による。 ) V 'A D F lB グ\ 、 D P 2 h e ' ∠ ゝ J o h n ' s d o g (ibid∴46) (7) (3),(4) を仮定する文法で生 じる問題 については岩田 ( 1 998a)を参照。 (8) 本論の事例の容認可能性 については天理大学の M. W,シュタール先生に御教示いただいた。 ここに記 して感謝 したい。 (9) さらに,( 1 2)の D 構造 として次の (i) と (i i )の ような ものを仮定す ることも不 自然 で Co n j P / 一 1\ D P ( = N "/〈//〈 \ \ t het r int a hatc o l l i de d ) - att hec r 0 8 S l ng -: 一 ad n DP( =N" ' ) 電 !i i i冨 欝 二 tebust h hatc o l l i de d att hec r o s s l ng 生成文法理論 にお ける現代英語の等位構造 につ いて / ご 輿 DP( -N' " ) (i i) 、 二 二 二 二 二 二 e t r a i n t h a t c o l l h t h e b u s h e c r o s s i n g ∠ t h wi t a tt ゝ i ded 57 ㌔, プゝ ( = N , , ) T n j ∠二二 c a nd ∠ ゝ t hebust hatc o l l i de d wi t ht het r ai n att hec r o s s i ng なぜ なら,( i )は動詞 c o l l i deの語嚢特性か ら容認 されない不適格 な構造である。 また・( i i ) 1 2 )を生成するには,この構造 を仮定 しなければ不必要 な複雑 な操作が必要 にな の構造か ら ( り.文法 をいたず らに複雑な ものにするか らであるo ( 1 0) 岩田 ( 1 998 b)で論 じられているように, ミニマ リス、 ト プログラムにおける等位構造が次の (i)の形式の ものだとすると,その構造 は岩田 ( 1 998 b)で指摘 されている完全解釈 ( Ful ll n- ・ 2 節で論 じた ( l l )の構造 と同様の t e r pr e t a t i o n) の諸原理 に関する不備だけでな く,本論の2 問題点 を生み出す。つ ま り,まず, (i) の等位構造 は等位接続詞 を主要部 と し,各等位項 を ・ 2 節の ( l l )の構造 と同 じであるので,2 ・ 2 節の それぞれ指定部 と補部 とす る とい う点では2 , 等位接続名詞句 十関係詞節」 とい う形 (i)で指摘 された問題 を持つ ことになるo さらに 「 式 をもつ事例 ( あるいは,等位接続詞によって結ばれている主要部 を持つ事例)の適切 な構造 を示す ことはで きない という ( l l )の構造 に関 して指摘 された問題点が (i)の構造 に関 して も生 じる。 (i) 8( =Co n j P) ^y ♂ ( =C. n j ・ , l p / S " ] /ヽ C。 l P/ Sr F ] a l P/ SN] ( l l ) Cho ms ky( 1 9 81 )の統率 ・束縛理論の普遍文法における統率 とい う概念の定義は・岩田 ( 1 9 9 8 a) における場合 と同様 ,次の ものを採用する。 [ , ...β… a . . ・/ 7- ]において, (i) a:ⅩO DP=語嚢範噂 ( N,V,A,P)と AGR】 (i i) 少は最大投射 ( NP,VP,AP,PP,S' )で・ 少が βを支配するときは 少は aを支配 し・ ( i i i ) aが βを C 統御するなら, aは βを統率するo ( Cho ms ky1 981 :1 65) ( 1 2) 0基準 として生成文法では ( 21) 以外 の もの も提案 されているが・本論では一 一般 的な ( 21) を採用するC ( 1 3) 岩田 ( 1998a: 第 1章注 (7))で述べたように・動詞に対 して同 じ文法関係 を持 っているそ nds( 1 985‥63)で示唆 され れぞれの等位項 には同一の 0役割が付与 されるということは,Emo ていることである。 58 天 理 大 学 学 報 ( 1 4) 等位構造 にお け る β役割 の浸透が素性 の浸透- の例外 になる とい うこ とにつ いて は岩 田 ( 1 9 9 8a:第 1章注 (8)) を参照。 ( 1 5 ) 等位構造 と して2・1 節の (3) と (4) という二次元構造および2 . 2節の ( l l ) と岩田 ( 1 998 b )で示 された ミニマ リス ト・プログラムにおける等位構造 (-本論の注 ( 1 0)の ( i )) という l l i ams ( 1 977; 1 97 8) による a。 r 。 s s _ t he _ 二次元構造 と異 なる非線状的な形式の構造 には Wi o dal l( 1 983;1 984)などによる三次元形式の構造がある。後者の三次元 bo ar d形式の構造 と Go o dal l( 1 983; 1 984) の仮定する等位構造 とその問題点については岩田 形式の構造の うち Go ( 1 998a:第 1章の注 ( 21 ))で詳細 に論 じたo ここでは前者の Wi l l i ams( 1 977;1 97 8)の ac r o s s l l i ams t he bo ar d形 式 の等 位 構 造 とその問題 点 につ い てその概 略 のみ を示 して お く。Wi ( 1 977; 1 97 8)の分析 において等位表現は非線状的な構造,例 えば次の ような構造 を持つ。 (1) 【Ⅹ lα] 。 and】 。 【 [Y lα] 。 この構造が適切な ものであるか どうかについて,まず β理論 との関係 か ら見てみる。例 えば 本論の ( 1 7)の事例 は (i)に したがえば次の構造 を持つ。 (i i) hpMar kMc Gw ir e] 【 NP and】br o ket heho mer unr e c o r d. l NPhi sf amousbat] この構造 において,【 N PMa r kMc Gwi r e】と 【 N Phi sf amousba t]は Sの直接構成素ではないの で2・ 2 節 における二次元構造の場合 と同 じように,この 2つの NP には β役割が付与 されず, この事例の適格性 を 0理論では説明することはで きないo Lたがって,この種の事例 は 0理論 への例外 となる。 次 に,格理論 との関係 については,本論 の ( 2 4)の事例 に対す る次 の構造 を用 いて見てみ る。 ( i i i ) 【 N PGeo r ge] 【 NP and川 +Te ns e ,AGRH, pg e tt okno we ac ho t he ratt hepa r t y1 【 NPSy l vi a] この構造 において・AGR に統率 されていない【 N PGe o r ge】と【 N PSyl vi a】 には格 は付与 されず, したがってこの種の事例 は格理論への例外 となる。 最後 に,束縛理論 との関係 について見てみるO 例 えば本論の ( 2 7)の事例 に対する ac , o s s t he bo a r d形式の構造は次の もの となる。 ( i v) [ N PGe o r ge】 【 NP and]s ho山e da thi m.( Geo r ge≠hi m) l N PSyl ia] v 59 生成文法理論 にお ける現代英語の等位構造 につ いて この構造 において,hi m はその統率範噂内で自由であるので,上記の事実 は説明 されえず,こ の構造 を仮定 して も上例のような等位構造は束縛理論への例外 となる。 ( 1 6) 3. 1 節の条件群 に基づ く三次元構造は等位構文の本論では扱 わなかった現象お よび等位構文以 外 の構文 ( 例えば,文副詞,非制限的副詞節,論評節,あるいは非制限的関係節 を含む構文, ある種の比較構文,ある種の不連続要素など)にも一般化 される。( c f .岩田1 998a:第 i部) ( 1 7) 旬標識 ( phr as emar ke r )についての従来の標準的な仮説には,句標識のプリミティブな形式 的関係 として支配関係 ( do mi na nc e)と先行関係 ( pr e c e de nc e )の 2つがあったが,その 2つだ par al l e l i s m) が必要であるとい うのが けでは不十分で,それ ら 2つの関係 に加えて平行関係 ( 三次元分析の基本的な考 え方である。 ( 1 8) ミニマ リス ト プログラム という枠組みで も等位構造 に対する三次元分析が必要 になること 1 998b)を参照。 については岩田 ( ( 1 9) 等位接続詞の機能について Zo e me r( 1 995:1 5)は次の ように述べている。 (i) …:i t( =ac o n j unc t i o n( 等位接続詞))d o e sno tde no t eat hi ngo re ve ntbutr a t he re s ( )内は筆者 による。 ) t a bl i s he sac o o r di nat i ngr e l at i o ns hi pamo ngs ti t sc o n j unc t s .( ( 20) 一方 , E ]本 譜 の ような主 要部 末尾 ( headina f l)言語 で は接 続詞 が第 1の被接続 要素 と 韻律 上 の句 を構 成す る。 (i)a. [ Hanakot o ,Nao ko】 waka wai i . a' .♯[ Hanaka,t oNao koトwakawai i . b. A m e gaf ur us hi ,kal e gaf uku. m eA gaf ur u,s hikal e gaf uku.( Zo e r ne r 1 995:20) b' .' ( c o mmaは句の境界 を示 している。) ( 21) Go o dal l( 1 987:3234)で も等位接続詞は PF レベルで現れると述べ られている。 この PF レ e r ne r( 1 995: 1 . 4節)で述べ られているよう ベルでの挿入 とい う等位接続詞の特異性 は,Zo e xi c ale l e me ntともまた f unc t i o nale l e me ntとも異 なる特徴 を持つ要素で に,等位接続詞が l あるということか らも暗示 される。 ( 2 2)本論の三次元等位構造 に対 して本論 の (3)あるいは (4) ,( l l ),本論の注 ( 1 0)の ( i )と い う二次元の等位構造は ( 40 a -e) ,( 41 ab),( 4 2a b)の適格性 に関 して以下 ( i )に示 した予 測 をする。 ( ただ し,束縛条件 として ( i i ) に示 した ものを用いる。 また,一般的 な 「 指定郡 ・ 主要部一致」 は仮定するが,本論の注 (2)で紹介 した Zo e r ne r( 1 995) による &Pへの素性 の引 き上げは仮定 しない。 ) ( 3) あるいは( 4) . 叶 注( l O ) の(i) ( 40 a) 不適格 適格 適格 ( 4 0 b) 適格 適格 適格 ( 40 C ) ( 40 d) 不適格 適格 不適格 適格 不適格 適格 ( 4 0 e) 不適格 不適格 不適格 ( 41 a) 適格 ・ 適格 適格 ( 41 b) 適格 適格 適格 適格 不適格 適格 不適格 適格 不適格 ( 4 2a) ( 4 2 b) . 60 天 理 大 学 学 報 ( i i )( a)Ananapho rmus tbeboundwi t hi nal o c a ldo ma i n. ( b)Apr o nou n c anno tbebo n dwi u t hi n al o c aldo mai n. ( Fr e i di n1 997:1 33) ( C )Anre xpr e s s i o nc a nno tbebound. 参 考 文 献 荒木一雄 ( 編)( 1 9 8 6)F 英語正誤辞典』.研究社. .( 1 9 9 6)F 現代英語正誤辞典」 .研究社. Cha me t z ky,R.A.( 1 996)AThe o T ツO fPhr as eMar k e r sandt heEx t e nde dBas e ・St at eUni ve r s i t yo f Ne wYo r kPr e s s . Cho ms ky,N.( 1 957)Synt ac t i cSt r uc t ur e .TheHaug ue:Mo ut o n. .( 1 981 )Le c t ur e so nGou e r nT ne ntandBi ndi n g. Do r dr e c ht :Fo isPubl r i c a t i o ns . Do ug he r t y,R.C.( 1 970)" AGr amma ro fCo o r di nat eCo n j o i ne dSt uc r t l ユ r e S :I , ' ' Lg46,85 098・ Emo nds , J.E.( 1 985) A Uni βe dThe o T TO fSynt ac t i cCat e go r i e s ・Do r dr e c ht :Fo isPubl r i c at i o ns ・ 1 997)" Bi ndi ngThe o r yo nMi ni ma li s tA ss umpt i o ns , "Pr o c e e di n gso ft heFo ur t hSe oul Fr e i di n,R.( ngui s t i cSoc i et yo fKor e a,1331 1 42. l nt e r nat i onalConf e r e nc e sonLi ngui s t i c s .TheLi "Lg41,2601 293. 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