「困難な課題を抱える生徒の居場所となれる学校をめざして」

「困難な課題を抱える生徒の居場所となれる学校をめざして」
県立阪神昆陽高等学校
教諭 木 戸 啓 補
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取組の内容・方法
(1)取組の経緯
本校は、多様な生徒の多様な学習ニーズに応じながら、主体的に学ぶことができる
多部制単位制高校として平成 24 年 4 月に開校した。また、同一敷地内に障害のある生
徒の職業教育に重点をおく特別支援学校を併設し、社会におけるノーマライゼーショ
ンの理念を進展するための礎となる学校をめざしている。
入学してくる生徒の大半は何らかの不適応状態にあり、個々に困難な課題を抱えて
いる。本校がこうした生徒の「居場所」となれるよう、学校全体での組織的支援体制
を早急に構築し、極めて多様な生徒の状態を的確に把握し、教職員間で共通理解を図
って対応・支援していく必要があり、
「心のサポート委員会(いじめ対応チーム)
」を
設置し、基本的に毎週 1 回定例で実施してきた。
(2)「心のサポート委員会(いじめ対応チーム)
」
(ア) 組織
【高等学校】
教頭2名、進路保健部(部長含め2名、養護教諭、養護教員)、生徒指導部(部長2
名)
、総務部長、1~3部主任+副主任
【特別支援学校】
コーディネーター2名、養護教諭1名
(イ) 目的
①様々な課題を抱える本校生徒の状況についての情報を共有し、適切な対応及び支
援の方法を協議し、学校全体で支える組織的支援体制を構築する。
②いじめの予防・早期発見に努めると共に適切に対応し、当該生徒への個別支援及
び問題行動のある生徒への指導について関係機関との連携・協力を強化して、問
題解決を図る。
(ウ) 内容
①情報の共有及びその支援・対応についての協議
1部・2部・3部で教育相談や支援が必要な生徒及びいじめについて情報を共有。
その支援・対応の方法,いじめ予防の対策等について協議。
②特別支援コーディネーター、生徒指導部、保健室より生徒の状況・情報の提供。
③教育相談利用について
県の「心のサポートシステム」事業を活用し、2 名の臨床心理士が1~3 部の生徒
の時間帯に合わせて実施したカウンセリング(平成 25 年度は年間 29 回)及び特
別支援学校の校医による「育ちの相談」の利用状況、利用内容等について報告。
(エ) 開催日時
原則、毎週水曜日の5校時(13:10~13:55)を定例とし、必要に応じて臨時に開催。
(3)取組の特色
併設の特別支援学校との交流及び共同学習等も実施している本校では、日頃から両
校教職員間の緊密な連携が欠かせない。その特色を活用し、
「心のサポート委員会」の
メンバーである特別支援学校のコーディネーターが発達障害や自閉症スペクトラムの
本校生徒に積極的に対応・支援することにより、指導成果が上がっている。
(4)平成 25 年度の実施状況等
定例会合計 22 回、臨時で 2 回実施。実人数 92 名、のべ 275 名(別表1)の生徒に
ついて情報を共有し、その対応と支援について協議し、本校教員はじめ特別支援学校
教員及びコーディネーター等が様々な方法で支援し、必要に応じてキャンパスカウン
セラー、こども家庭センター、障害福祉課や生活福祉課等、各関係機関と連携して可
能な限り速やかに支援してきた。
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取組の成果
(1)併設の特別支援学校コーディネーター2 名が高校の教員と連携しやすく、課題のある
生徒に直接、積極的に支援することで課題の早期かつ適切な解決につながった。
(2)部主任・担任を中心に各専門部や他部の教員が連携・協力して登校支援することに
より、不登校傾向による長欠の生徒が毎日、継続して登校できるようになった。
(3)知的障害及び自閉症で問題行動のある男子生徒の保護者が、その問題行動への対処
や支援等について、豊富な経験に基づくカウンセリングを受けることにより、不安
の軽減につながった。
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課題及び今後の取組の方向
(1)不登校・知的障害・自閉症・発達障害・複雑な家庭環境等、様々な課題を抱える生
徒が多数在籍しており、そのすべてに適切な対応や支援及び課題が解決できている
わけではなく、今後も不断の努力が必要である。
(2)1.2 年次生徒しか在籍していない本校において、平成 25 年度の不登校生徒は 52 名に
も及ぶ。その不登校生徒や登校しても授業に参加できず、在籍 2 年を経過してなお、
全く又はほとんど単位修得できないまま中退する者は年間 33 名を数える。
(別表2)
入学前から困難な課題を抱える生徒が自己肯定感及び自尊感情を回復し、社会的規
範意識を向上させながら、主体的に活動できる機会をより一層積極的に提供するこ
とが課題である。
(3)平成 26 年度にいよいよ本格的に卒業生を送り出す本校において、様々な課題を抱
える生徒が主体的に自己の生き方及び卒業後の進路を考えることにより、自ら基本
的生活習慣の確立及び学習意欲の向上をめざすことを目標とした計画的・組織的な
キャリア教育及び進路指導を推進する取組を平成 25 年度中に始めた。
(4)開校後2年間、困難な課題を抱える生徒に対して、本校教員はじめ特別支援学校教
員及びコーディネーター、キャンパスカウンセラー等が様々な方法で支援し、その
対応や結果を含めて記録してきた。今後はその記録を系統的に活用して、より適切
な支援を行う必要がある。そのため、「個別の指導計画」(資料1)及び「個別の教
育支援計画」
(資料2)を作成すべく、平成 25 年度中に「心のサポート委員会(い
じめ対応チーム)
」を中心に策定した。
別表1
別表2
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資料1
資料2