アジアインフラ投資銀行

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アジア
2016年4月20日
忘れてはいけない、アジアインフラ投資銀行
中国の習近平主席が設立を提唱したAIIB。設立準備わずか2年ほどで発足し、2016年にはインフラ投資への融資が
行われる見込みです。想定される融資の内容を見ると、アジアへのインフラ投資には潜在的な需要が見られます。
アジアインフラ投資銀行(AIIB):最初の融資
先として中央アジアで道路建設を検討か
英紙フィナンシャル・タイムズの2016年4月20日の報道による
と、中国主導で2016年1月に開業したアジアインフラ投資銀
行(AIIB)が最初の融資先として、中央アジアでの道路建設
3案件を検討している模様です。正式決定は6月頃が見込ま
れています。報道によると3案件ともアジア開発銀行(ADB)
など他の国際金融機関との協調融資になる見通しです。
どこに注目すべきか:
AIIB、創設国、協調融資、ガバナンス
中国の習近平主席が2013年に設立を提唱したAIIBは設立
準備わずか2年ほどで発足し、2016年にインフラ投資への融
資が行われる見込みです。想定される融資の内容を見ると、
アジアへのインフラ投資には潜在的な需要が見られます。
日本が参加を表明していないこともあり、日本での関心が高
いとはいえないAIIBですが、その歩みを振り返ると、国際開
発金融機関として着実に準備を進めてきています(図表1参
照)。2014年10月、設立覚書に調印したのは主にアジアの
国々でしたが、2015年3月に英国など欧州の主要な国が参
加を表明したことで、「国際」色が強まりました。2015年末に
は57ヵ国で発足にこぎつけています。
次にAIIBの構成を出資金(資本)構成で見ると、中国を筆頭
としたアジア(50%以上)にロシアなど旧ソ連等とサウジアラビ
アなど中東が域内メンバー(37ヵ国、75%)を構成しています。
一方で英国など欧州やブラジルなどが域外メンバー(25%)を
構成しています。AIIBの(授権)資本は1,000億ドルですが、
第1回の払込資本は200億ドルで設定(残りは各年追加支
払)されており、2016年に想定される融資額(12億ドルから
20億ドル程度を予想)の原資は満たされると思われます。
報道を元に融資の内容を見るとアジア開発銀行(ADB)など
と組んでのパキスタンの高速道路の延伸工事や、世界銀行
などと連携してカザフスタンでの環状道路の建設、タジキス
タンの案件ではADBや欧州復興開発銀行(EBRD)と共同で
ピクテ投信投資顧問株式会社
の融資が見込まれています。中国政府が提唱する「一帯一
路」(シルクロード開発)を意識した内容ですが、AIIBは運営に
あたり一帯一路の表現は避け、中国主導色を抑えるよう努め
ています。また、注目なのは、当初の案件ではAIIB単独融資
でなく世界銀行など他の国際開発金融機関と資金調達協定
を結び共同融資とすることで高水準のガバナンス(統治)、公
正な運営を前面に出し実績を積み重ねる戦略と見られます。
ただし、台湾が中国色を懸念して加盟を見送るなど、AIIBの運
営には国際金融機関として改善すべき課題も見られます。
それでもAIIBが目指すアジアのインフラ投資等は魅力的であ
り、中国の取り組みに関心を払う必要があると見ています。
図表1:アジアインフラ投資銀行関連の主なイベント
年月
13年10月
14年10月
14年11月
15年3月
15年6月
15年12月
16年1月
16年4月
ア ジ ア インフ ラ 投資銀行関連の主なイベント
習近平国家主席、インドネシアでAIIB設立を提唱
AIIBの設立覚書(MOU)に21ヵ国が調印
22ヵ国で第1回主席交渉代表会議
英国に続き独、仏、伊がAIIBに参加表明
習近平参加のもとAIIB設立協定調印式(50ヵ国)
AIIB設立協定発効、アジアインフラ投資銀行発足
AIIB開業式典や初回理事会開催
世界銀行とAIIB、初の共同資金調達協定に合意
出所:各種報道等のデータを参照しピクテ投信投資顧問作成
図表2:アジアインフラ投資銀行創設国の資本構成
域外
その他
25%
4.4%
(欧州,
欧州
その他)
20.3%
中東
10.2%
旧ソ連等
7.9%
出資金合計
※アジアの中では中国の29.8%、
域内
旧ソ連ではロシアが6.5%
75%
欧州ではドイツが4.5%で最大
(アジア、 ※その他は中南米とアフリカ
旧ソ連等、 ※未配分持分があるため合計
中東)
は100%にならない
アジア
55.3%
※創設メンバーは57ヵ国
アジア
旧ソ連・中央アジア
中東
欧州
その他
1,000億ドル
出所:中国財政部のデータ等を使用しピクテ投信投資顧問作成
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