GWが近づき注目される観光産業 - ちばぎんアセットマネジメント

マーケット展望
2016.4.18
ちばぎんアセットマネジメント 調査部
GWが近づき注目される観光産業
(作成者:奥村義弘)
○GWが近づき注目される観光産業
ゴールデンウィーク(GW)が近づいている。公益財団法人日本生産性本部が発表してい
る「レジャー白書」をみると近年、余暇関連市場では観光・行楽の伸びが拡大しており、国
内航空、鉄道、リゾートクラブなどへの需要が堅調である。今年は消費者心理にやや陰りが
あるものの、身近な人と楽しく過ごしたいという気持ちは強そうだ。例年のように混雑を避
け、「自宅」が一番という方も多いと推察されるが、近場への外出や日帰り旅行のニーズも
強い。4月5日にJTBのゴールデンウィークの旅行動向に関する調査結果が明らかにされて
いる。今回はこれをベースに、旅行需要の傾向をみてみた。
○節約志向はあるが旅行意欲は堅調
JTBの調査では、節約志向はあるが旅行の意欲は堅調である。今年のGW期間<4月25
日-5月5日の11日間(出発日基準)>の総旅行人数は前年比0.3%増の2,395.6万人。日並びが
よく、5月2日と5月6日に休みをとれば土日休みの人は最大10連休。出発のピークは国内旅行
が、4月29日と5月3日、海外旅行は、4月29日、30日と選択肢は多い。ただ、平均費用は国内
が前年比1.7%減の3万5,200円、海外が同1.5%減の25万9,000円。国内景気に多少足踏み感が
あることや、海外は近距離が増えている事、サーチャージ料が値下がりしていることなどが
影響している。
○国内では関東や近畿が人気だが多様化
ただ節約しながらも親しい人と楽しく過ごしたいとする傾向が強い。ホテル、民宿・ペン
ション、実家・知人宅の利用が伸びており、友人との旅行を選択する人が増えている。行き
先では、国内では関東や近畿が人気である。関東では開業15周年のディズニーシー、近畿で
は京都鉄道博物館や開業15周年のユニバーサルスタジオジャパンなどが人気である。また城
もブームで、大河ドラマ真田幸村ゆかりの上田城、大天守の修理が完了した姫路城、天空の
城・竹田城などが人気である。交通手段としては、ガソリン代の値下がりが自動車の利用者
増に一役かっている。3月に開業した北海道新幹線、北陸新幹線の人気も引き続き高い。泊ま
ってみたい宿泊施設が増加したとの声が多い。古民家、女性のカプセルホテル、グランピン
グ(自然の中にありながらホテル並みの豪華なキャンピング)など、宿泊施設・交通手段の
選択肢が豊富になっている。国内旅行者も外国から注目され話題となった観光地に興味を示
している。季節的に花がテーマとなっている所が多いが、関東では、あしかがフラワーパー
ク(足利市)、羊山公園(秩父市)、ひたち海浜公園(ひたちなか市)などである。
○政府は訪日外国人観光客の目標数字を4000万人に引き上げ
また、政府は3月30日、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を開き、訪日外国人
観光客数の目標人数を倍増させ、2020年に4,000万人、2030年に6,000万人とすることを決め
た。首相が掲げる名目国内総生産(GDP)600兆円の達成に向け、観光施策を原動力にした
い考えである。訪日外国人の旅行消費額を現在の3兆5,000億円から2020年に8兆円、2030年に
15兆円を目指している。観光は宿泊施設や交通網などのインフラ整備から各種サービス業ま
で裾野が広く、日本の景気回復へ寄与も期待される。
○恵まれた自然や文化財、食などポテンシャル高い
訪日客拡大に向けた具体策をみると、日本の観光資源にポテンシャルを感じる。まず、日
本には魅力ある公的施設やインフラがあり、その大胆な公開・解放は観光資源の最大限の活
用につながる。京都迎賓館や赤坂迎賓館、日銀本店本館、スーパーカミオカンデ、ダム見学
ツアー等がその例と言えよう。文化財では福島県の大内宿の茅葺き民家の再生や、姫路城天
守の大規模改修のような例が挙げられる。国立公園の「ナショナルパーク」としてのブラン
ド化も、自然保護から観光への活用を考える上で重要である。日本には景観の優れた観光資
産は多く、より魅力的に育てることで観光地の魅力はアップしよう。食の面では「農と食の
景勝地」に注目できよう。政府では「農泊」を推進、対外発信も強化する。2020年までに全
国で50地域を創出する。
○更なるビザ発給条件の緩和などで誘客
政府は新たな目標人数達成に向けた施策として、政府が重視する20カ国・地域のうち現在
もビザが必要な中国、フィリピン、ベトナム、インド、ロシアの5カ国の発給条件緩和を加
速する。大都市では宿泊施設が不足しており、受け入れ準備のため遊休施設へのリノベーシ
ョン投資や、民泊サービスへの対応などが急務となろう。産業界のニーズも踏まえた観光経
営人材の育成・強化なども必要である。観光地再生・活性化ファンドの先行優良事例の全国
展開なども図る。また多様な魅力をわかりやすく対外発信し、海外富裕者層も積極的に取り
込む。GWを控えてレジャーを改めて考える季節となったが、魅力ある観光資源を増やすこ
とは、国内消費者にとっても消費マインドを高めることにつながろう。
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