なぜ財務省は社会保障制度に口を出すのか? 医療費負担は「公費4割弱、保険料5割、患者1割強」 号の「医療行政最前線」でお伝えしたとおり、財 患者が1割強」と覚えると良いでしょう。 務省は近年、社会保障制度、とりわけ医療・介護 つまり、国が医療費のおよそ4分の1(25.8%)を 制度改革に「口を挟んで」きます。医療・介護制度を 負担しているのです。現在の医療制度下では「医療費 所管しているのは厚生労働省ですから、 「なぜだ」と思 が増えれば、その増加額の4分の1に相当する分だけ われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、こ 国の負担が増加する」 。そして、国の支出を所管するの れは医療費や介護費を「誰が、どの程度負担している は財務省ですから、財務省が「国の負担がこれ以上増 のか」を見ることで答えが出ます。 えるのは困る。医療費の伸びを抑制せよ」と声高に訴 我が国の医療費は、厚労省が毎年発表する「国民医 えているわけです。 療費」から明らかになります。医療費の確定には時間 なお、財務省の究極の目的は「国の負担を減らす、 がかかるので、現在、最新のデータは2012年度のもの 増やさない」点にあります。したがって、以前は「医 です。このデータを参照すると39兆2,117億円となっ 療費に占める国の負担に上限(キャップ)をかぶせよ」 ています。負担者別に見ると、▽国が10兆1,138億円、 との主張が強かったのですが、近年は「保険給付の対 ▽地方自治体が5兆321億円、▽事業主(会社)が7兆 象範囲を絞るべきである」という内容にややシフトし 9,427億円、▽被保険者(国民)が11兆1,776億円、▽ てきています。 患者が4兆6,619億円──という状況です。 「公費(国 経済の大きな好転が望みにくい現状では、財務省の と地方)が4割弱、 保険料(事業主と被保険者)が5割、 「介入」は今後もつづくと考えられます。 医 療 マ ネ ジ メント の ヒント 地域連携における対外的な取り組み手法について──その2 6 回は、対外的な地域連携を進めるにあたり、施 せん。また、単に回数を増やしても効果は見込めず、お 設によって自院に対して求めるものが異なる点 会いいただく中で相手の求めているものが何か、病院 に配慮すべきだということをお伝えしました。今回は、 に対する期待は何かをお聞きし、それに少しずつでも 信頼関係を構築していくためのコミュニケーションの お応えすることが必要になります。相手に「この人に 質と量を高める考え方について述べます。 言っても何も変わらない」と思われると逆効果にもな もっとも多く見られる紹介元の不安は、紹介すると りかねません。相手から聞き出した情報や要望に対し、 患者さんや利用者さんがとられてしまうという漠然と 確実に何かしらの改善を実施して相手の信頼を増すこ したものです。この不安を拭い去ってもらい、そのう とが重要です。この「改善点」を聞き出すことがコミ えで紹介元診療所や施設個々の要望を自分たちの要望 ュニケーション量を増やす中でのいちばんのポイント といかにマッチングさせていくかが地域連携責任者及 となります。 び担当者に求められます。その第一歩として連携先を サービス業では当たり前の考え方ですが、まだまだ 詳しく知ることが大切ですが、そのためにはコミュニ 医療機関ではこうした発想を持てる職員は多くありま ケーションの質が肝要になります。ただし、初めての せん。ぜひ、この考え方を地域連携責任者や担当者に 訪問で本音を話してくれる院長や担当者は珍しく、心 持っていただき、地域連携を積極的に進めてもらえれ を開いていただくには会う回数を重ねなければなりま ばと思います。
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