Ⅰ.基本方向 1.情勢認識 (1)生産者の高齢化がすすみ、販売農家戸数・農業就業人口が減少し続けているな か、耕種では集落営農・農業生産法人数の増加にともない、販売農家一戸あたり の経営耕地面積は増加しており、大規模化が進行しています。 一方、畜産では全畜種で飼養頭羽数・戸数が減少しており、特に和牛繁殖雌牛・ 乳用牛の生産基盤縮小が加速度的にすすんでいます。 (2)国内消費では、食生活の多様化などの影響で、野菜・肉類は増加傾向にあるも のの主食用米は大きく減少しています。家計消費における支出金額では、外食や 調理食品に対する支出が上昇し、中食・外食比率は増加傾向で推移しています。 また、訪日外客数の急増など新たな需要が出現してきています。 (3)27年 10月に大筋合意されたTPP交渉では、重要5項目の輸入枠拡大や関税 引き下げ等に対し、営農継続への不安が広がっています。 また、米政策では 30年からの直接支払交付金の廃止および生産数量目標の配分 の見直しが予定されており、需要に応じた主食用米の生産や麦・大豆・飼料用米・ 野菜など他品目への積極的な転換が重要になります。 2.事業方針 農業・農協をめぐる情勢が大きく変化していくことをふまえ、今次3か年計画で は、①新たな事業開発等に係る積極的な投資や企業との業務提携、②農業生産法人 など大規模生産者や集落営農組織への対応強化、③リテール事業のさらなる拡充、 ④生産資材等の購買事業の競争力強化などに取り組み、農業者の所得増大や農業生 産の拡大および地域の活性化に寄与する事業を展開します。 (1)重点事業施策 ア.持続可能な農業生産・農業経営づくりへの貢献 (ア)プロダクトアウトからマーケットインへ事業を転換 (イ)生産から販売までのトータルコスト低減 (ウ)農産物生産に係る多様化する農業者ニーズへの柔軟な対応 イ.海外事業の積極展開 ウ.元気な地域社会づくりへの支援 (2)東日本大震災からの復興支援・風評被害の払拭 -1- Ⅱ.事業別具体策 1.営農支援事業 県域組織間・担当部門間での連携強化や一層のTAC活動の浸透・定着化をつう じ、園芸作物の生産振興、県産農畜産物の販売力強化に取り組みます。 (1)県域組織の総合力を結集した県域営農センター設置によるJAの担い手・産地 づくりへの取組支援 (2)TACの活動強化による地域振興およびJA事業拡大への貢献につながる取組 強化 JAにおけるTAC専任部署の設置拡大を推進するとともに、スキルアップ研 修会の開催やTACミーティングへの参加促進をつうじ、JAが担い手を支援す る体制の構築をすすめます。 TAC(タック)は Tea mfo rAg ricu ltu ralCoor di natio n(農業コーディネーター)の略で 「地域農業の担い手に出向くJA担当者」の愛称です。また、T(とことん)A(会って) C(コミュニケーション)という意味もあります。 (3)園芸作物の生産振興、6次産業化促進の取り組み JAとの連携により農業法人など担い手への訪問をおこない、園芸作物の生産 拡大に資する生販マッチング事業の活用提案や、JA・生産者等の商品開発・事 業化に向けた支援、商談会等による新たな販路拡大につながる取り組みをすすめ ます。 (4)営農技術の普及促進支援 水稲直播や灌水システム等の新技術の導入支援と普及につとめます。 (5)県産農畜産物の消費拡大と食農教育の取り組み 県産農畜産物のPRにつながる各種イベントに出展するとともに、JA・県内 小学校等での食農教育の実施を支援します。 2.米穀事業 (1)米の生産・流通の変化に対応した販売力強化 販売先の需要動向をふまえ、生産段階から安定的に消費に結びつけるため、播 種前・収穫前・複数年契約の確保につとめます。 -2- また、秋田米ブランドと商品力アップのため「あきた ecoらいす」の生産・ 販売拡大につとめます。 販売促進活動の展開にあたっては、行政およびJAと連携し、生産者参加型の 店頭販促活動を継続するとともに、「ザ・プレミアムファイブ」等高品質米から、 昨年秋にデビューした「つぶぞろい」 「秋のきらめき」といった新品種まで販売戦 略を明確にし、実需者に支持される秋田米ラインアップの構築に取り組みます。 (2)主食用米の需給改善に資する水田フル活用のための新規需要米等の需要確保 JAと連携し飼料用米の生産拡大を推進するとともに、実需者のニーズにもと づいた新規需要米(米粉用、輸出用)の安定的な供給につなげるため、数量・品 質の確保につとめます。 また、JAと実需者との結びつき強化に向けた加工用米の複数年契約などに取 り組みます。 (3)パールライス事業の強化 大手量販店・業務用需要者への推進強化により精米販売数量を拡大します。 3.園芸畜産事業 (1)最重点品目を中心とした行政およびJAグループと連携した生産・販売拡大 最重点品目(枝豆・長ネギ・アスパラガス)において、生産・販売戦略の検討 を県およびJAグループが一体となった「オール秋田」としてすすめるとともに、 生産振興運動「Let’s Go ! あきた園芸力強化運動」への取り組みをつうじて、生 産拡大対策を推進します。 また、 「園芸メガ団地育成事業」に対応した対象組織への生産・販売面での支援 に引き続き取り組みます。 (2)実需者ニーズにもとづく産地づくりの強化 マーケットインを志向した契約栽培等の取り組みを強化し、消費地の卸売市場 からのニーズや加工業務用野菜の需要に対応した各種品目(長ネギ・キャベツ・ 人参等)の生産振興をすすめます。 (3)低コスト・省力化を取り入れた資材提案 メーカーとの連携により、トロ箱養液栽培システム(「うぃずOne」) ・灌水シ ステムといった低コスト・省力化につながる資材の提案をすすめます。 -3- 4.生産資材事業 (1)トータル生産コストの低減 省力施肥肥料や農薬大型規格剤の普及拡大、土壌診断にもとづく施肥コスト抑 制対策のための低成分肥料の推進、大口利用農家への直行配送などに取り組み、 生産コストの抑制と省力化をすすめます。 (2)農業機械のコスト低減の提案 JAグループ独自型式の取り扱い強化をはかるとともに、中古農機の定期的な 情報提供による広域流通を促進します。 (3)農機部品流通センターの効率的運用 山形県本部と広域運営している農機部品流通センターにおいて、計画発注によ る即納率の向上をはかります。 5.その他の取り組み (1)消費者に対する情報発信と理解促進 県産農畜産物の宣伝・消費拡大をはかるため、各種PRイベントの実施や参画、 スポーツ支援活動などの宣伝活動の展開など、消費者に対する正確な情報の発信 と理解促進をすすめます。また、大都市圏では、消費者に対し安全・安心な県産 農畜産物をアピールするため、生産者参加型の販売促進活動を継続します。 (2)食・農業・環境に係る広報・社会貢献活動の強化と環境保全活動への取り組み 児童向け補助教材の作製や、農業高校生を対象とした研修会の実施などをつう じ、次代を担う世代への本県農業に関する理解浸透をすすめます。 また、地域の生産者と消費者の交流を促進する「農と食」を体験する場を提供 するとともに、 「田んぼの生きもの調査」などにより環境保全の重要性について消 費者の理解促進に取り組みます。 (3)県産農畜産物の輸出促進 県貿易促進協会、行政との連携による輸出先国バイヤー等との商談、海外試食 宣伝会等への参加をつうじ、県産農畜産物の輸出促進に取り組みます。 -4-
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