最新Cortex-M7ボードで作る タッチパネル式音声スペアナ

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高性能リアルタイム処理マイコンを
お手軽環境 mbed で試す
最新 Cortex-M7 ボードで作る
タッチパネル式音声スペアナ
三上 直樹
音声の周波数スペクトラムをリアルタイムにカラー LCDに表示
音声入力用アンプ付きマイク
(AE-MICAMP,秋月電子通商)
ブレッドボード
+5Vを給電
写真 1 音声信号入力の周波数特性をリアルタイムに表示するスペクトラム・アナライザ
電源は PC の USB コネクタではなく,他の外部電源に接続している.そのため,このボードでは CN-12 を使って +5V を給電している.その際には,ボー
ド裏の JP1 の,ジャンパ・ピンでショートしている箇所を,5V link と 5V から usb_hs と 5V に変更する
記事でやること
Discovery マ イ コ ン・ ボ ー ド STM32F746G-DISCO
(ST マイクロエレクトロニクス,以下 ST 社と省略)
には,最新の ARM コア「Cortex-M7」を持つマイコン
STM32F746NG が搭載されています.
今回は,音声入力信号の波形やそのスペクトルを
LCD 表示器にリアルタイムで表示できるスペクトラ
ム・アナライザを mbed で開発してみました.写真 1
に,マイクから拾った音声信号を使って,このリアル
タイム音声スペアナを動かしているようすを示しま
す.
このボードで,何と言っても目立つのは LCD 表示器
です.480 × 272 ピクセルで,サイズは 4.3 インチです.
この表示器には,マルチタッチ対応のタッチ・パネル
も付いています.
2016 年 4 月号
STM32F746G-DISCO をなぜ使ったのかというと,
第 1 の 理 由 は, 搭 載 さ れ て い る マ イ コ ン
STM32F746NG の処理性能が高いことです.今回作っ
たスペアナでは,まだ 8 割以上の余力があります.そ
のため,スペアナで扱う周波数範囲をもっと高い周波
数へ拡張することや,ほかの信号処理と組み合わせる
といった拡張も可能になります.
第 2 の理由は,搭載されているマイコンにはグラ
フィックス表示対応 LCD コントローラが内蔵されて
おり,搭載されている LCD 表示器と効率の良いデー
タ転送が可能なことです.そのため,LCD とのイン
ターフェースにマイコンの能力を大きく割かれること
はありません.
第 3 の理由は,mbed に対応しているため,プログ
ラムの開発を非常に手軽にできることです.
結局,スマホ程度のサイズのハードウェアで手軽に
リアルタイム ・ スペアナを実現でき,さらに余力が十
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