営農計画策定支援システム「新Z−BFM」

グリーンレポートNo.562(2016年4月号)
インフォメーション
営農計画策定支援システム「新Z−BFM」
∼画面構成や操作性を改良∼
近年、農業を取り巻く環境は、担い手の減少・高齢化
そこで、
「新Z−BFM」はトップページで全体の流れ
や1戸当たりの耕地面積の拡大など、急速に変化してい
を把握できるように配置した(図−1)
。従来どおり、臨
る。こうした状況のもと農業経営者は、限られた条件の
時雇用や労働時間の細かな設定も「詳細」ボタンから編
なかで「作付品目・面積の決定」
「新たな農業機械の購入」
集できる。また、選択した経営指標について、収量・単
「労働力の確保」などを判断していかなければならない。
価などはトップページで編集できるようにしたので、経
そこで、農研機構 中央農業総合研究センターと全農
営に効果のある項目を確認しやすい。
では、農業経営をシミュレーションできる、営農計画策
作業ピーク時期を確認できる機能を追加
定支援システム「Z−BFM」を共同で作成した。平成
22年度から、JAグループ職員や県職員などを対象に
「新Z−BFM」はこれまでと同様、経営指標の作成が
「Z−BFM」 の操 作・ 活 用 法 の講 習 会 を開 催 し、 のべ
重要となる。従来の「Z−BFM」を利用していれば、保
300名以上に参加していただいた。今回、より多くの方
存ファイルを読み込むことができる。手元に経営指標が
にシステムを使っていただけるよう、
「新Z−BFM」とし
ない場合は、主要な品目であれば、自県の農業研究機関
て画面構成や操作性を改良したので紹介する。
が調査していることも多いので、問い合わせてみるとよ
い。また、インターネット上に公開されている経営指標
トップページで全体の流れを把握できる
もあるので、その情報をもとに自県の作型(播種、収穫、
「Z−BFM」はMicrosoft社のWindows Excelで活用
資材など)に編集することで十分に対応できる。
できるシステムで、
「作付面積」
「雇用人数」を入力し、
労働時間については、改良後も旬ごとの合計時間を記
事前に準備しておいた「経営指標(各品目の収量、単価、 入する形式をとっているが、追加の機能として旬ごとの
生産費、旬ごとの労働時間/10aなど)
」を選択するこ
作業区分別時間の内訳を入力することができるようにな
とで、経営全体をシミュレーションできる。また、限ら
った。これにより、各品目の「播種」や「収穫」などの
れた条件のなかで、農業所得が最も多くなる作付けの組
作業ピーク時期を確認することができる。
み合わせを算出することも、システムの特徴である。一
担い手とのコミュニケーションツールに
方で、操作に慣れない段階では、経営概況や営農条件な
どの入力に戸惑いを感じるというユーザーも多かった。
「新Z−BFM」は法人や集落営農などの農業経営全体
を把握できる。また、新しい技術や資材の紹介だけでは
なく、導入する技術の省力化による効果や、品目の作付
面積の違いによる所得の増減がシミュレーションできる。
本システムを活用している事例はまだ少ないが、営農相
談や提案の場面で活用することで担い手とのコミュニケ
ーションづくりのきっかけとしていただきたい。そのな
かで、困っていることや今後の方向性などを話すことが、
次の新しい提案に結びつくことにつながる。
「新Z−BFM」は全農の営農情報提供サイト「アピネ
ス/アグリインフォ」からダウンロードできる予定であ
る。今後、講習会も開催し、
「新Z−BFM」を多くの人
に使っていただき、農業経営に関心を持つきっかけとな
るよう利用促進を図っていく。
【全農 営農販売企画部 アグリ情報室】
図−1 「新Z−BFM」のトップページ
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