ひ ろ ば 第 37 回都民公開講座 『心血管病治療の最前線』開催 医学研究科循環器内科学教授 代田 浩之 医学研究科心臓血管外科学教授 天野 篤 2 月 20 日(土)、第 37 回都民公開講座『心血管病治療の最前線』 (企画・司会:代田、天野)が 文京区シビックセンター小ホールで開催され、254 名の聴講者にお集まり頂きました。会に 先立ち、代田が最近の心血管病増加の傾向とその治療や予防の重要性、そして画像診断や 治療法の飛躍的な進歩の状況を紹介しました。 循環器内科学講座の藤本進一郎准教授は、『ここまで見える! 動脈硬化』というテーマで 講演しました。動脈硬化によって心筋梗塞や狭心症が発症するため、冠動脈病変の正確な画像 診断が重要であること、冠動脈 CT 検査の進歩により冠動脈の石灰化や動脈硬化を簡便にかつ 正確に診断可能となったこと、さらに CT の被ばく量低減の工夫についても紹介しました。 循環器内科学講座の岡崎真也准教授は、『ここまで治る! 心臓病のカテーテル治療』という テーマで講演し、日進月歩のカテーテル治療の現状や内科・外科・小児科・麻酔科も含めた ハートチームによる連携の重要性を強調し、最新の末梢血管治療デバイス、経皮的心房中隔欠損 閉鎖術、経皮的大動脈弁置換術について説明しました。 休憩の後、天野が大動脈解離や大動脈瘤の具体的な症例を紹介し、その治療の重要性を説明 しました。 心臓血管外科学講座横山泰孝助教は、 『ほっとかないで! 拍動するお腹のコブ』というテーマで 講演し、腹部大動脈瘤の簡便な見つけ方、その治療法として人工血管置換術、より侵襲の少ない 腹部ステントグラフト内挿術の進歩についてお話ししました。 心臓血管外科学講座土肥静之准教授は、『切らないで治す! 胸部大動脈瘤』というテーマで 講演しました。胸部大動脈瘤に対する従来の開胸手術の限界、新たな治療法である胸部ステント グラフト内挿術の低侵襲性や最新の治療法について紹介しました。 最後に、循環器内科学講座の島田和典先任准教授は『これなら出来る! 動脈硬化予防のコツ』と いうタイトルで、食事、運動・身体活動、禁煙、飲酒についてのポイントを説明し、予防する 積極性な意識が重要であることを強調しました。 また講演後には、ご参加の皆様から多くのご質問を頂き、時折ユーモアを交えた演者の回答も 含め活発な質疑応答が行われました。最後まで熱心にご参加戴きました皆様、都民公開講座の準備、 進行をして頂きました順天堂大学のスタッフの皆様に御礼申し上げます。 (左から)司会の代田教授、天野教授 Ju n te n d o 島田先生、土肥先生、横山先生、岡崎先生、藤本先生 52 No.2 8 5 ひろば 平成 27 年度ベストプロフェッサー賞・ベストチューター賞 3/18(金) 、グランドプリンスホテル新高輪において開催された、卒業式後の各学部謝恩会に おいて、ベストプロフェッサー賞・ベストチューター賞の表彰式が執り行われました。 ■順天堂大学医師会・医学部ベストプロフェッサー賞・ベストチューター賞(佐藤・小川賞) 上記の各賞は医学部における学生教育に貢献した教員を順天堂大学医師会と順天堂大学医学部の 共催で表彰する制度であり、候補者は医学部 4 ~ 6 年学生のアンケート等を参考にして選出 されております。 ベストチューター賞は、平成 13 年度より 執り行われ 15 回目となりました。今回は、 内科系として精神医学大沼 徹先任准教授、 外科系として下部消化管外科学冨木裕一 先 任 准 教 授、 そ の 他 と し て 泌 尿 器 科 学 和久本芳彰准教授が、また、ベストプロ フェッサー賞は今回で 3 回目になりますが、 左から竹田先生、学生、小川理事長、学生、鈴木先生、大沼先生、木南学長、学生、冨木先生、和久本先生 産婦人科学 竹田 省教授、呼吸器外科学 鈴木健司教授の 2 名が、選考委員会を経て医学部 教授会にて受賞者として決定されました。 当日、医学部卒業生が見守る中、長岡 功教授(医師会理事)の司会進行で表彰式が始まり、 新井 一医学部長から表彰状および副賞が受賞者一人ひとりに手渡され、卒業生及び出席者より 大きな声援と拍手がおくられ大変盛り上がる表彰式になりました。 (順天堂大学医師会事務局 医療サービス支援センター地域医療連携室内 主任 福田 純一) ■スポーツ健康科学部ベストチューター賞・ベストプロフェッサー賞(小川・田村賞) 小川・田村賞は体育学部と医学部の解剖学における 懸け橋として活躍された故 田村 端先生のご遺族から 大学に寄付された基金に、小川理事長(当時:学長)が 同様に、私財を投じて設立された基金です。4 年生の 投票により「分かり易い授業」 「魅力ある授業」を行った 教員が選出されています。 今年度はベストチューターの講義系として水野基樹先任 准教授、実技系として原田睦巳先任准教授、ベストプロ 左から水野先生、原田先生、長門先生、加納学部長 フェッサーとして長登 健教授が選出され、卒業記念パーティーにて表彰されました。 (さくらキャンパス 久保 昌也) Ju n te n d o 53 No.2 8 5 ひろば ■医療看護学部ベストプロフェッサー賞・ベストチューター賞 医療看護学部のベストプロフェッサー並びにベスト チューターに選出された先生に「宮崎・小川賞」が授与 されました。この賞の基金は医療短期大学初代学長、 故 宮崎寛明先生のご遺族から寄贈された基金に、医療看護 学部開設時の小川理事長(当時:学長)が私財を投じて 設立されました。 ベストプロフェッサー賞の植木教授 平成 27 年度の選考にあたっては 4 年生へのアンケート 調査を実施し、その結果を木南学長に推薦し、学長から 小川理事長に答申し決定されました。今年度のベストプロ フェッサーは学部長の植木 純教授、ベストチューターは 成人看護学の樋野恵子助教が受賞されました。樋野先生は 国際交流委員で学生の海外研修の支援を担当しています。 (浦安キャンパス 大江 進) ベストチューター賞の樋野先生 ■保健看護学部ベストプロフェッサー賞・ベストチューター賞 保健看護学部のベストプロフェッサー賞、ベストチューター賞は、医療看護学部と同じく、 「宮崎・小川賞」として故宮崎先生のご遺族から寄贈された基金に、小川理事長が私財を投じて 設立した基金で運用されています。 4 年生が、4 年間に受けた授業、実習指導を通して、 「解かり易い授業・実習指導」「魅力ある 授業・実習指導」等その教授方法を工夫され、特に魅力を 感じた印象に残る教員を投票し、その結果を参考に選出 されます。 平成 27 年度卒業の第 3 回生による投票の結果、ベスト プロフェッサー賞は、成人看護学近藤ふさえ教授、ベスト チューター賞は成人看護学 飯塚麻紀講師が受賞しました。 (三島キャンパス 藤本 幸雄) 左から飯塚先生、小川理事長、近藤教授、岡田学部長 昭和 58 年体育学部卒 木村 浩哉 啓心寮発、医・体・看のつながり (青森県立黒石高等学校勤務) 習志野の啓心寮に入寮して数日経ったある夜、2 段ベッドの上から医学部のY君が青森県 出身の作家三浦哲朗の芥川賞受賞作『忍ぶ川』のことで話しかけてきた。読書好きの彼は 渡辺淳一の医学小説が好きで、影響を受けた私はかなり医学小説を読むことになった。そして 寝る前の 2 段ベッドの上下の語らいから仲良くなった。 Ju n te n d o 54 No.2 8 5 ひろば 大学を卒業して幾星霜。数年前にこの『順天堂だより』誌で彼が順大の小児外科教授になった ことを知った。英国にも留学して勉強したという。思い切って小児外科宛に年賀状を出して みたら、 「懐かしいなあ」という返事がきた。 普通話はここで終わるのだが、その後、私は 5 年一貫教育の専攻科看護科のある現任校に 転勤になり、ある日校長から「専攻科 1 年生対象の研修旅行先に都内の看護学部のある大学病院を 入れたいが、 (本校卒業生が系列病院に就職している)順天堂大に当たってみてくれないか」と 言われた。 当てはY君しかない。しかし、教授として忙しい日々を送っているだろうし、田舎の高校の 看護科の生徒の見学の対応なんて無理だろうと思いながら、彼宛に手紙を書いた。するとすぐ 彼から OK の電話がきた。それどころか看護総務課の方からも電話があり「歓迎してお迎えし ます」というありがたいお言葉までいただいた。 2 週間ほどして、偶然見た NHK「プロフェッショナル-仕事の流儀-」 。なんと彼、山髙篤行 教授が『1万人の命を救った小児外科医』として登場していた。見終わってメールすると、 「俺まだ放送見てないんだけど…」と暢気な返答であった。 そして 2015 年の 9 月、私は生徒を引率し自分の卒業式以来の本郷・お茶の水キャンパスを 訪れた。建物は近代化高層化され、センチュリータワーには圧倒された。階段式の会議室で 順大看護の『仁』に基づく教育方針を聞き、その後都心を見下ろす屋上のヘリポートへ。 過日の震災後本校生徒の中では災害看護への興味が高まっており、貴重な体験であった。 他にも ICU を始めとする最新の設備とそこで勤務する看護師さんからやりがいのある仕事に ついての生の声を聞くことができた。 山髙教授は研修時に学会で不在であったが、夜待ち合わせて 30 余年ぶりに夕食を共にし、 2 人で啓心寮の同部屋の人たちに次々電話をかけ、懐かしい話に花を咲かせることができた。 今回の研修受け入れに際しては、照沼看護部長、井田事務部長、西村看護総務課長、藤田 看護師長をはじめ、お世話になった方々にこの場を借りて改めてお礼申し上げます。順大の 絆の強さを改めて感じました。 なお、2016 年の啓友会卒後研修会千葉大会(10 月、成田市)において、小川理事長の 講話の後に山髙教授が講演をすることになっており、今から楽しみである。 階段式の会議室で話を伺う学生たち Ju n te n d o 順天堂医院の前で記念撮影 55 No.2 8 5 ひろば 昭和 60 年医学部卒 山髙 篤行 私の運命を変えた啓心寮 (順天堂大学医学部小児外科学) 木村君(青森県)とは、啓心寮の勉強部屋で対角線上に座っていた。木村君が窓側で、私は扉側。 部屋長の三芝先輩(群馬県)の机は木村君の対面であった。私の横に上杉君(新潟県) 、対面に 駒澤君(広島県) 、駒澤君の隣が服部君(愛知県)だった。医学部は私と服部君だった。皆、 仲が良かった。 啓心寮では、至近距離でそれぞれの人生と生き方がぶつかり合い、交錯していた。 木村君は、陸上部に所属、毎朝 5 時半に起きて、ほぼ毎日走っていた。これは、東京のど真ん中で、 中学・高校・浪人とチャランポランに過ごし、気づいたらいつの間にか濁った人生になって しまっていた私にはとても衝撃的であった。木村君の生き方が眩しく、綺麗で輝いて見えた。 彼は、将来、大変な教育者になると直感した。 私は、啓心寮でラグビーという人生で初めて燃えられるものに出会った。医学部のラグビー 部ではあったが当時の練習は過酷なものだった。しかし、この規則正しく厳しい練習により、 私の濁った人生が少しずつ澄んでいくのが嬉しく、練習は苦しくても有難かった。綺麗な人生を 取り戻したかった。 去年の 9 月、木村君に会う機会がやってきた。青森県立黒石高等学校の教頭になられていた 木村君が専攻科看護科の 1 年生の研修旅行先に順天堂医院を選んでくれたからだ。しかし、 木村君との再会は、私にとっては偶然ではなかった、必然であった。お互い社会人になり、 別々の道を歩み出してからも、私はいつの日か木村君とはまた会う日が来るのではないかと 思っていた、それも確信に近く!再会時、32 年もの時の隔たりは一切感じられなかった。 啓心寮にいた木村君が待ち合わせの牛タン屋“太助”にいた。彼と長い時間語り合った。彼の 人生は依然綺麗で輝いていて、羨ましかった。来たる 2 月 13 日に東京にて三芝先輩と部屋員との 「四寮五室部屋会」を 2 人で企画した。楽しみだ。 私の人生を今でも支えてくれている啓心寮、そして三芝功一先輩、木村浩哉君、上杉一浩君、 駒澤雅敏君、服部達哉君、感謝しています。 追記 : 2 月 13 日、三芝先輩、木村君、上杉君、服部君と再会した(写真参照)。皆、全く 変わっていなかった。仕事で出席が叶わなかった駒澤君とは、会の途中、皆と電話で話をし た。そこには、啓心寮時代、私の後ろの机に座っていて、いつも元気に皆に話しかけて い た、 当時と変わらぬ駒澤君がいた。駒澤君の元気な声を聞けて皆嬉しかった。32 年ぶり の再会にもかかわらず、会った瞬間から、雰囲気は啓心寮の部屋にいる時と全く同じ。当 時 の 懐 か し い 話 し は 勿 論 の こ と、 近 況 報 告、 今 後 の ことなど話しは弾み、あっという間に 4 時間が経ち、 1 次会は終了した。上杉君が「山髙、スポーツから何度失 敗してもくじけないことを学んだよ」と言った。感動。 2 次会が終了したのは午前 3 時近かった。 本当に楽しかった。 皆様、大変楽しい一時を有難うございました。次回は、 三芝先輩の地元、群馬で集合となった。皆で伊香保温泉に 行く予定で日程も既に決めてある。楽しみだ。 Ju n te n d o 56 (中央)三芝、 (後列左から)山髙、木村、上杉、服部(敬称略) No.2 8 5 ひろば トビタテ ! 留学JAPAN日本代表プログラムに選ばれました ! 文部科学省の海外留学プログラム「官民協働 海 外 留 学 支 援 制 度 ~ ト ビ タ テ! 留 学JAPAN 日 本 代 表 プ ロ グ ラ ム 」 の 地 域 人 材 コ ー ス に、 本学国際教養学部 1 年の鈴木 葵さんが選ばれ ました。今回、福島浜通り地域の再生、地域 活性化を牽引する若手リーダー候補を募集した 同地域人材コース。 鈴木さんをはじめ、選抜された 13 人は奨学金 2/26 第 1 回事前オリエンテーションの様子 等の支援を受けて世界各地に留学し、現地の教育機関や企業で原発の廃炉、再生可能エネルギーの ほか、福祉医療、ものづくりなどをテーマに学ぶことになっています。 鈴木 葵さんのコメント 私は故郷である福島県いわき市を活性化するため、フラガールで有名な地元の観光産業 “フラ”を基礎とした体操で、老若男女が楽しく体力づくりを行う「寝たきりゼロの いわき市を作る " The Hula changes Iwaki "」を企画しました。 いわき市は医療・福祉費の負担が増加していますが、今後は若者の学費負担・魅力ある 企業誘致など地域活性化に費用をあてることが必要です。私はハワイに留学し語学とフラを 習い、福祉施設での海外インターンシップを実施します。そこでフラの導入の仕方や、 幼児・高齢者のフラとの触れ合いを学びたいと思います。医療費削減につながるような、 市民が学校や職場で簡単にできる“フラ体操”を発案し、広めていきたいと思っています。 お知らせ ●医学部同窓生の方の送付先住所変更等に つきましては右記に記載の文書・広報課まで ご連絡ください。 ●啓友会・看護学部同窓会の同窓生の方は 各同窓会事務局あてにご連絡ください。 ●在学生保護者の皆様には保護者会会員宛て としてお送りしております。複数冊届いて お困りの場合は右記の文書・広報課まで ご連絡ください。 Ju n te n d o 学校法人順天堂 広報誌 「順天堂だより」285 号(2016.3) ●発 行 学校法人順天堂 http://www.juntendo.ac.jp ●編 集 総務局総務部文書・広報課 〒113-8421 東京都文京区本郷 2-1-1 TEL:03-5802-1006(直通)FAX:03-3814-9100 E-mail:[email protected] ●発 行 日 平成 28 年 4 月 11 日発行 ●印刷・製本 ダイト印刷株式会社 ●発 行 部 数 8,400 部 57 No.2 8 5
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