別紙1 子規記念博物館常設展リニューアル業務委託仕様書 第1章 博物館の概要 1.仕事と役割 松山市立子規記念博物館は、正岡子規の世界をとおして、より多くの人々が松山に親しみ、松 山の伝統文化や文学についての認識と理解を深め、新しい文化の創造に役立てることを目的とし て開設された文学系の博物館である。市民の知的レクリエーションや学校の課外授業、研究者の 研究機関、観光客のビジターセンターとしての機能を備え、昭和 56 年(1981 年)4 月 2 日にオ ープンした。 常設展は、新時代「明治」を生き、 「明治」をつくった若者子規の全体像を、いかに統一的に再 構成し、いかにわかりやすく表現するかという観点から展開している。展示法としては、実物資 料をはじめ、レプリカ、パネル、映像などの資料で子規の生涯が追体験できるように、全体を貫 くストーリーをもったテーマ展示を基本としている。 また、情報センターとしての役割を重視し、子規資料を柱に、文学や郷土にかかわる資料を収 集保管するとともに調査研究を行い、その成果は特別企画展、子規博セミナーなどの講座、季刊 「子規博だより」の発行など博物館活動を通じて提供している。 公園の緑と調和し、明治という時代にふさわしい雰囲気をかもし出すため、建物外観の色彩は 「アイボリー」を基調とし、屋根には銅版を使用している。また意匠的に正面入り口の飾り格子 及び門扉に俳誌「ホトトギス」の表紙デザインを借り、子規文学を象徴している。 2.常設展のテーマ 「人間 正岡子規」をメインテーマに、子規の中に息づく伝統と風土、子規の生きた時代のダイ ナミズム、多様性と統一性としての子規世界を描くべく、三つのサブテーマ、Ⅰ.道後松山の歴 史、Ⅱ.子規とその時代、Ⅲ.子規の目指した世界に大別している。展示資料の保存のため、展 示ケース内は、無紫外線蛍光管を使用し、24 時間恒温恒湿空調を実施している。 1 第2章 事業の概要 1.事業名 子規記念博物館常設展リニューアル業務委託 2.業務の目的 松山市立子規記念博物館(以下「当館」という。 )は、開館(昭和 56 年)以来、30 年以上が経 過し、展示用機器及び設備が旧式化しており、利用者の利便性も損なっていることから入館者数 が伸び悩んでいる。こうしたことから当館でも、展示の中心であり、正岡子規にとっても大きな 転機となる「愚陀佛庵」 「絶筆三句」の展示において、最新の機器や展示方法により、子供から 大人まで、また一般の観光客から俳句愛好家までのニーズに答え、入館者の増加に繋げることを 目的とする。 3.履行場所 松山市立子規記念博物館(松山市道後公園 1-30) 4.履行期間 契約締結日から平成 29 年 3 月 31 日まで (1)作業等は、来館者の利用を妨げぬよう火曜日の休館日及び閉館後に行うことを原則とする。 ①休館日 次の開館時間まで ②閉館後 18:00 以降 ※5 月~9 月は 19:00 以降 (2)作業等においてやむをえず臨時休館等が必要な場合は、あらかじめ松山市に報告し、松山 市の指示に従うこととする。 5.業務の内容 「愚陀佛庵コーナー」 「絶筆三句コーナー」 「結社および俳句等紹介コーナー」をわかりやすく 紹介する機器等の導入や企画を導入することで博物館利用者の利便性と娯楽性を向上させる と伴に安全を確保する。展示室 2 階で明治時代の松山から子規が生まれ、新聞記者として従軍 するまで、歴史的流れに沿って実物資料を中心に紹介している。上記 3 か所は、展示室 3 階に あり、子規の病床から没するまでの最も知られている時期である。こうした時期を実物資料や 映像等で「見る」展示から「見る」だけでなく「触れる」 「体験する」等、2 階とは違った感覚 で正岡子規の世界を表現することで、常設展のテーマを大きく変えることなく変化を加えた内 容が望ましい。また内容については、当館学芸員が監修を行うものとする。 (1)愚陀佛庵コーナー 【展示の概要】 明治 28(1895)年、夏目漱石が教師として松山に赴任した際の下宿「愚陀佛庵」の 1 階部分を復元しており、市内で唯一の復元となっている。日清戦争の従軍から帰国した 子規が、親友の漱石とともに 52 日間を過ごした庵であり、子規と漱石の友情をよく表 し、その後の二人の文学活動に大きな刺激を与えた記念すべき場所である、庵の内部を 観覧者に開放しており、子規や漱石が過ごした場所を体感できるようになっている。 【企画の留意点】 ①映像や機械仕掛けなどを活用し、動きのある展示方法で、子規と漱石等が過ごした時 2 の様子等を紹介し、十分理解できる内容であること。特に活発に開催されていた句会 など「愚陀佛庵」での二人の生活がその後の文学界に与えた影響など効果的な演出が 望ましい。 ②専門的過ぎず、わかりやすい内容であること。 ③利用者が設備内で観覧している時は作動させない等、安全対策を図ること。 ④基本的に、既存の「愚陀佛庵設備」を利用した企画であること。 ⑤ 必 要 な 資 料 や デ ー タ は 、 当 館 の 提 供 で き る 範 囲 とす る が 、 他 施 設 の 資 料 を 用 いる場合は著作権や複製権等の権利関係を明確にし、委託業者において予め適正な処 理を行うこと。 ⑥館の構造を変更するような仕掛けは行わないこと。 ⑦内容の更新等が可能な企画(設備)であること。 (2)絶筆三句コーナー 【展示の概要】 子規が亡くなる前日に書いた糸瓜の俳句「絶筆三句」を展示するコーナーである。展示 ケース内に子規自筆の「絶筆三句」掛け軸(複製)を展示し、ケースの右側には写真家の 立木義浩氏が撮影した東京根岸にある子規庵(復元)の写真を掲出している。死が目前に 迫った子規の筆跡とそれを記した場所を体感できる展示としている。 【企画の留意点】 ①子規庵(東京根岸)での当時の生活の様子が、イメージできる企画であること。 ②子規の最後の場面であり、観覧者に感動をあたえるような企画であること。 ③わかりやすく、観覧者の興味を引くような内容であること。 ④内容の更新等が可能な企画(設備)であること。 ⑤現在展示している子規庵(復元)の写真の加工・改変等を行う場合、予め著作権者の承 諾を得るなど、委託業者において予め権利関係の適正な処理を行うこと。 絶筆三句と根岸 根岸の生活の様子 (3)結社および俳句等紹介コーナー 【展示の概要】 都道府県別押しボタンで全国の結社がわかるパネルと子規の俳句を紹介するコーナー 3 である。俳句を紹介するコーナーでは、開館当初は機器の操作により、松山出身の俳人 の作品をモニターで検索できる設備であったが、老朽化等により撤去され、その後は、 パネルによる俳句紹介の状態である。 【企画の留意点】 ①内容は、結社および俳句等の紹介に限らず、全国各県との子規の繋がり等やまた展示資 料を詳しく検索できる企画など、利用者が興味を引く内容であること。 ②操作等が容易で、わかりやすい内容であること。 ③内容の更新等が可能な企画(設備)であること。 ④必要な資料やデータは、当館の提供できる範囲とするが、他施設の資料を用 いる場合は著作権や複製権等の権利関係を明確にし、委託業者において予め適正な処 理を行うこと。 ⑤ここでは、全国各地の子規ゆかりの人物との関係や子規が行った場所、また子規の俳句 を検索するなど来館者が親近感を感じるような手法が望ましい。 <参考>展示室 3 階 絶筆三句コーナー 愚陀佛庵コーナー 結社紹介コーナー 6.業務の留意点 本業務は、企画提案と実施設計に分け、市の指導・監督のもと市と受託者の協議の上、進 めていくものとする。企画提案の検討にあたっては、大きく基礎建築を変更することなく、 機器を導入するものとし、業務にあたっては実施設計との連動性や整合性についても十分に 配慮して行うものとする。必要に応じて、松山市と協議を行い、調整できるものとする。 (1)企画提案業務 ①企画提案の基本的な考え方(基本理念、基本方針、特長など) 4 ②全体的な構成と配置・動線計画など ③演出、設備計画など ④基本設計図等作成 ⑤製作・施工概算計画、保守点検経費概要計画 ⑥製作・施工の概略工程計画(スケジュール等) ⑦「愚陀佛庵コーナー」 「絶筆三句コーナー」「結社紹介コーナー」等のイメージパーズ図作成 (2)実施設計業務 ※特定された業者が行う業務。 ①展示内容、演出方法・設備計画の確定 ②意匠図(平面図、立面図、断面図)の検討 ③工種別細目検討 ・造作 ・グラフィック ・造形、模型・設備 ・展示装置 ・映像・情報装置 ・映像・情報コンテンツ ・演出照明 ④展示構成リスト作成 ⑤実施設計図等作成 ・意匠図(平面図、立面図、断面図) ・グラフィック図 ・造形、模型、設備図 ・映像・情報装置図 ・映像・情報コンテンツ等シノシプス ・演出照明・電気設備図 ⑥展示・設備等メンテナンス計画 ⑦製作・施工費予算内訳書、保守点検予算内訳書の作成 7.実施方法 (1)受託者は、本業務の実施にあたり、博物館の学芸員、担当職員及び関係者と十分に相互 調整を行いながら遂行すること。 (2)受託者は、本業務の実施にあたり、松山市契約規則及び松山市財務会計規則及び関係す る法令を遵守し、誠実かつ確実に遂行すること。 (3)受託者は、本業務中に知りえた事柄について守秘義務を負うものとする。 (4)受託者は、本業務にあたって総括責任者を配置し、業務にあたること。 (5)受託者は、受託後速やかに本業務実施の工程計画、体制表、実施設計書を作成し、担当 者の承認を得ること。 (6)成果物の著作権及び所有権は、松山市に帰属する。 8.その他条件等 (1)来館者や周囲の美術品に対し、安全性が考慮された展示であること。 (2)子供から大人まで楽しめるような展示内容であること。 5 (3)創作物の色合い等に関しては、現在の常設展示に馴染むものであること。 (4)常設展示室3F該当部分のリニューアルであること(他の映像等のブース、展示ケース 内は対象範囲外) 。 (5)主に夜間(17:00以降)の作業であること。※休館日は昼間作業可能 (6)企画・製作・設営を含む業務受託であること。 (7)展示にかかる材料費については業者負担とする。 (8)展示にかかる成果品の著作権等は松山市に帰属する。 (9)収蔵品の移動・列品については、松山市が原則行う。 (業者との協議・打ち合わせが必要) (10)収蔵品の資料、データについては松山市より提供(可能な範囲で)する。 (11)この仕様書で明示のない事項については、必要に応じて協議すこと。 9.事務局 松山市教育委員会 文化財課子規記念博物館 〒790-0857 愛媛県松山市道後公園1-30 TEL:089-931-5566 FAX:089-934-3416 6 担当 池内・大野
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