News Release - ジョーンズ ラング ラサール

News Release
日本語版ツイッター@JLLNews_JP
2016 年 4 月 14 日
報道各位
JLL
(ジョーンズ ラング ラサール株式会社)
JLL、関西の物流不動産賃貸市場を分析
2020 年までに賃料上昇率は 6.2%、市場は堅調に推移
インターネット通販による新規需要が推進
総合不動産サービス大手の JLL(本社:東京都千代田区、代表取締役社長: 河西利信)は、関西の物
流不動産賃貸市場を分析したレポート「関西※1 の物流不動産賃貸市場」を発刊いたしました。
本レポートでは、関西の物流不動産の賃貸市場の現状、2020 年までの新規供給や賃料の動き、見
通しをまとめています。レポートのハイライトは以下の通りです。

関西の物流不動産市場は、新規供給が少なくタイトな需給状況が続いており、市場形成の面で
立ち遅れていた。2010 年から現在までの 6 年間の半分は大型先進物流施設※2 の供給がなく、
また、2014 年、2015 年と複数の大型物件の開業が続いたものの、竣工後すぐに満室となるケー
スも多く、現状の空室率は 2%強と非常に低水準に留まっている。(図表 1)
2016 年 –2018 年までの 3 年間は、国内外のディベロッパーや投資家の参入や、大型の開発プ
ロジェクトが相次ぎ、年平均で過去に比べ 4 倍近い高水準の供給が予想されている。この大量
供給により、市場形成が進んでいくとみている。

関西の先進大型物流施設のテナント構成をみると、2004 年 ‐2015 年の竣工施設では、3PL が床
面積合計の 60%を占めている一方、インターネット通販の比率は僅か 5%に留まっている。また、
3PL の荷主企業をみても、消費財メーカー、小売り関係と続き、インターネット通販が少ないのが
特徴となっている。(図表 2)
首都圏の先進大型物流施設はインターネット通販の比率が 17%と存在感を示しており、関西市
場の 5%とは対照的となっている。事業会社の首都圏での大型物流拠点の整備が先行し、関西
での拠点整備の優先順位が低かったことが要因と考えられる。今後は、関西の本格的な物流拠
点の整備が期待されインターネット通販業界が需要のけん引役となると予測している。また、同
業界に限らずひっ迫した需給を背景に潜在化していた需要が顕在化することも十分ありうるとみ
ており、需要面のプラス要素となる。(図表 3)
2016 年 – 2020 年に新規供給される関西の先進大型物流施設のテナント構成は、インターネット
通販が 48%と半分近くに達し、3PL は 38%と予測される。その他のセクターの成長余地は相対的
に低く、新規需要も限られると考えられ、14%に留まると予測している。需要の大きな構造変換が
起こる可能性が高く、2020 年時点でのインターネット通販が占める比率は 26%と、現在の 5 倍強
に達すると予想している。(図表 2、4)

物流不動産に対する新規需要は、日本のインターネット通販売上の拡大により、2020 年までの
6 年間に総面積は 200 万坪、年間平均は 33 万坪と予測※3 している。総務省の家計消費状況調
査をベースとすると、関西の比率は 15%となり、2020 年までのインターネット通販売上拡大分に
よる関西の物流不動産の新規需要は、年 5 万坪と想定している。

新規供給は、2016 年 ‐ 2020 年までの 5 年間で合計 72 万坪、年平均で 14.5 万坪と予想してい
る(2004 年から 2015 年までの年平均供給量比 3 倍という高い水準)。インターネット通販売上
拡大と 3PL の新規需要、これら以外の統合や移転需要も考慮すると、この 5 年間での新規供給
に対して、ほぼ十分な需要が期待できる。
ただし、2016 年‐2018 年の 3 年間の供給は、年平均で約 19 万坪、特に 2017 年は 23 万坪を超
える大量供給の見込みまれており、2017 年後半から 2018 年は、複数の大型物件の供給により
需要が追い付かなくなる可能性が高く、全体の空室率は 10%台後半に上昇すると予測している。
その後 2018 年年末をピークとして、空室率は低下に向かい、その数年内には一桁台になると
みている。(図表 5)

2016 年から 2018 年に予想される高水準の供給を契機に、関西の物流不動産賃貸市場の基盤
は堅固となっていくと予想。2020 年時点の関西の大型先進物流施設の合計床面積は 130 万坪
に達し、首都圏の同床面積比で 40%を超える水準となり、テナント構成もインターネット通販が
存在感を増し、先進型施設の需給がマッチしていく。

2016 年以降 2020 年までの 5 年間の賃料上昇率は、合計 6.2%と予想。2016 年 ‐ 2018 年の供給
急増期を背景に、2017 年後半から 2018 年は空室率が 10%台後半まで上昇することから賃料は
踊り場となるものの、その後は上昇基調に戻るとみている。2020 年の月額賃料は、坪当たり
4,000 円弱と予測。また首都圏の同賃料と比べてもその差は 20%弱となり、オフィスなど他のカテ
ゴリーと比べてもギャップは非常に小さくなるとみている。
JLL インダストリアル&リテール スペシャリスト 二瓶博和は次のように述べています。
「今後 3 年間の関西における大型先進物流施設の供給は、歴史的な高水準となります。この大量供
給により一時的な影響はあるものの市場形成が急ピッチで進み、賃料も含め堅調な市場が続くと予
想しています。また、首都圏に追う形で、関西でも成長が続くインターネット通販が存在感を増してい
き、需要面で強いドライバーになるとみています。今後の関西物流市場は、懸念される市況の長期
的な低迷入りの可能性が低いことに加え、大型先進物流施設の市場規模は急拡大し、2020 年には
消費市場の規模は首都圏と肩を並べる存在となることから、投資も含め、同市場の魅力は大きく増
すとみています」
※1 2 府 4 県(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県)
※2 JLL の大型先進物流施設の定義:延床面積 50,000 ㎡以上で竣工が 2000 年以降の賃貸物流施設
※3 2015 年 6 月 JLL 発刊の「クリック革命」で予測
図表 1:関西の大型先進物流施設の新規供給量
図表 2:関西の大型先進物流施設のテナント構成(2004 年‐2015 年の新規供給分)
図表 3:大型先進物流施設のテナント構成(関西と首都圏)
図表 4:関西の大型先進物流施設のテナント構成予想 (2016 年‐2020 年の新規供給分)
図表 5:関西の大型先進物流施設の新規供給量
リリース内容に関する問い合わせ先:
広報担当(エイレックス)吉岡・山本 電話:03-3560-1289
JLL について
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、包括的な不動産サービスをグロー
バルに提供する総合不動産サービス会社です。世界 80 ヵ国、従業員約 60,000 名、230 超拠点で展開し、年間の手数料収
入は約 52 億米ドル、総売上高は 60 億米ドルに上ります。2015 度は、プロパティマネジメント及び企業向けファシリティマネ
ジメントにおいて、約 3 億 7,200 万㎡(約 1 億 1,253 万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、1,380 億米ドルの取引を完了し
ました。JLL グループで不動産投資・運用を担当するラサール インベストメント マネジメントは、総額 564 億米ドルの資産を
運用しています。JLL は、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。
JLL のアジア太平洋地域での活動は 50 年以上にわたり、現在 16 ヵ国、83 事業所で 32,000 名超のスタッフを擁しています。
JLL は、2015 年インターナショナル・プロパティ・アワードにて、「最優秀不動産コンサルタント賞」、「アジア・パシフィック最優
秀不動産コンサルタント賞」を受賞しました。2015 年ユーロマネー・リアル・エステート・アワードにおいて、最優秀リアル・エ
ステート・アバイザーに選出されました。詳細な情報はホームページをご覧下さい。www.joneslanglasalle.co.j