(1面・2面)「地球を読む」

THE YOⅣIIURI SHIMBUN
2016年 (平 成 28年 )
ュッセ ル 同 時 テ ロま で 、 オ
ラ ンド 仏 大 統 領 は じ め 欧 州
の 指 導 者 は 事 あ る 0と に、
﹁我 々は 戦 争 状 態 に あ る ﹂
と 表 明 し てき た 。
し か し 、 通 常 の国 家 間 に
は 核 や 最 新 兵 器 によ る 抑 止
力 が 効 い ても 、 核 物 質 テ ロ
テ ロ 抑 ェLiカ
﹁カ メ レ オ ン の よ う に 動
か ぎ す ﹁イ ス ラ ム 国 ﹂ と 現 するクルド労団者党 ︵
PK 族 、 あ る い は 欧 州 に 保 護 を
代 国 家 の 間 で 生 じ た ポ ス ト K︶につながるクルド人で 求 め る 難 民 が 、 自 ら を ﹁欧
モ ダ ン 型 ﹁戦 争 ﹂ の 終 結 に ある。しかし、パリとプリ 州 人 テ ロリ ス ト ﹂ の 犠 牲 者
即 効 薬 は な い p残 念 な が ら 、 ュッセルのテロ犯は、父祖 だ と 主 張 し た と し て も 、 誰
絶 対 的 な ﹁テ ロ抑 止 力 ﹂ は が北アフリカや中東に由来 が 反 駁 で き る だ ろ う か 。
不 在 な の であ る 。
するムスリムだ ったとして も っとも、これからは、
今 、 日 本 と 世 界 に 必 要 な も、彼らは欧州で生まれ育 欧州に逃れた難民からもテ
の は 、 シ リ ア 内 戦 で 生 じ た った ﹁
欧州人テロリスト﹂ ロ参加者が出るだろう。
﹁
イ
なのだ。しかも、 ﹁
は、
その争やを難
イスラ スラム国﹂
ム国 ﹂外 国 人 戦 闘 員 の 3 分
い と い う こと だ 。 同 信 者 を
無 差 別 に殺 し 権 力 を 求 め る
あまり、普遍的な啓示宗教
のイ スラ ムを 過 激 派 イ デオ
ロギ ー と 暴 力 礼 賛 の 水 牢 ま
で 貶 め た 責 任 は大 き い 。
欧 州 の テ ロ実 行 犯 に は 、
イ ス ラ ム 道 徳 に反 す る 飲 酒
癖 や 遊 興 癖 を 持 つ徒 も 含 ま
れ てい た 。 反 社 会 的 無 法 者
が 、 と も か く イ ス ラ ムと 銘
打 った テ ロリ ス ト に 変 容 す
る回路は、相対的貧因や社
シ リ ア と イ ラ ク で、 パ リ や
ブ リ ュッセ ル の 被 害 者 数 よ
﹁欧 州 人 テ ロリ ス ト ﹂ は 、
出 生 地 や 国 籍 に関 係 な く 共
略 を 増 進 し て いる か ら だ 。
は 、 欧州 は じ め 民 主 主 義 社
ズ ム ヘと 変 容 さ せ た 遠 因
ない。
民 に 身 を や つさ せ 、 欧 州 に 会 的 差 別 だ け で は 説 明 で き
よ る テ ロ﹂ が 結 び 付 い て 、
の 1 を 占 め る と も 言 わ れ る 中 東 の ﹁戦 争 ﹂を 輸 出 す る 戦
ト で頻 発 す る テ ロの 下 手 人
り は る か に 多 い 人 々を テ ロ 通 の 特 徴 が あ る 。 そ れ は 彼
も し ろ 、 彼 ら の内 面 を 一
は 、 ﹁イ ス ラ ム 国 ﹂ に 影 響
と ﹁戦 争 ﹂で 殺 害 し て い る 。
弟F
惚 辱 弥 翼 鞄経
い る 。 ∧ 2 面 に 続 く ∨
会 の 自 由 そ の も の に潜 ん で
彼 ら に は 、 欧 州 や 中 東 の 種 の ニヒ リ ズ ム か ら テ ロリ
さ れ た ア ラ ブ 人 や ト ル コ人
シ リ ア 人 や イ ラク 人 の遺
確 か に 、 ト ル コ や エジ プ
であ り 、 ト ル コ政 権 と 敵 対
状 を 認 識 す る こと だ 。
グ ロー バ ル な 危 機 が 進 む 現
﹁
欧
自
型
由
が生んだ危機
州
﹂
の 防 止 や 、 前 近 代 の 論 理 を 中 東 複 合 危 機 に ﹁欧 州 人 に
明治大学特任教授
け 。 前 を 見 よ 、 そ し て後 ろ
にも目をこらせ﹂。このマ
ダガスカルのD謝ほど、テ
ロ防 止 の 心 構 え を 教 え てく
れる警句はな い。
4 月 1 日 に 終 わ った 核 安
全 サ ミ ット で オ バ マ米 大 統
領 は 、 過 激 派 組 織 ﹁イ ス ラ
ム 国 ﹂ の 核 テ ロを 許 さ ぬ 決
意 を 高 言 し た 。ま た 、 2 0
1 5年 1 月 の パ リ の週 刊 紙
﹁シ ャル リ ー ・エブ ド ﹂ 襲
撃 事 件 か ら 今 年 3 月 のプ リ
山内 昌之
日
日曜
4月 10日
2
地
球
む
1面 の続 き
ギ ー で露 塁 し た よ う に 、 テ
第 一は 、 フ ラ ン ス や ベ ル
解 し ても 、 日 本 や 米 国 のよ
し か し、 脅 威 や 危 院 を 理
。
山内昌之氏 1947年、 を 絶 つ こ と は で き な い 。 テ 敵 ︶ で あ る 点 だ 古 代 ロ ー
ロ情 報 が 国 際 的 に 共 有 さ れ
あろう 。
マ の 思 想 家 キ ケ ロが 海 賊 を
口や ﹁瑚 争 ﹂ の 被 害 者 は ム
法 の 保 護 外 に置 い た こ の 言
札幌 生まれ。 ハーバ ード大 客
員研 究員、 東大中東 地域 研究
うな 民 主 主義 国 家 では 、 電
私 は 政 府 の中 東 文 化 ミ ッ 葉 は 、 や が て奴 隷 所 有 者 や
スリ ム 自 身 な の だ 。
てい な い 欠 陥 を 是 正 し て、
セ ンタ ー長を歴 任。新 著 に﹁中
東複合 危機 か ら第 二次世 界大
﹁
防
型
予
﹂へあらゆる手段
初 か ら 、 欧 州 の自 由 論 と 文
は 、テ ロ抑 止 力 に な ら な い 。 テ ロ撲 滅 への 長 期 の 理 想 を
止 す る ま で に発 展 し た 麒 州
の 民 主 主 義 は 、実 は 同 時 に 、 化 相 対 主 義 に 乗 じ て テ ロを
、
留 意 す べき は 、 ﹁イ ス ラ 語 る こ と で は な く 短 中 期
。
。ゲ ネ リ ス ﹂ ︵人 類 共 通 の を 講 じ る こ と で あ る
中 東 と 欧 州 の複 合危 機 か
せ る 必 要 性 を 日本 でも広 く
の テ ロ抑 止 力 構 築 を 両 立 さ
2 日のジ ャパン ・二
英 文は 1
ューズ に掲載す る 予定 です
。
と 秩 序 を 守 る た め に 、 テ ロ 議 論 す べき 時 が 来 て い る
予 防 型 に切 り 換 え る こと で
い う ﹁ホ ス テ ィ ス 。フ マ ニ 力 の 構 築 に あ ら ゆ る 手 だ て 対 策 を 事 故 対 処 型 か ら 発 生
ム 国 ﹂ や ﹁欧 州 人 テ ロリ ス 的 に 、 テ ロと ﹁戦 争 ﹂ と の
生 み 出 す ﹁悪 ﹂ に 向 か い 合
ト ﹂ の 特 性 が 、 ロー マ法 で 複 合 化 を 阻 上 し 、 テ ロ抑 止
無 防 備 の ま ま に テ ロの 浸 透
っ いた と 言 え よ う 。
て
で は 、 テ ロ抑 止 に 向 け 、
を許す危険を生み出 したの
と い う 一般 的 レ ベ ル で テ ロ
。
文 化 相 対 主 義 が 、 ア ッラ ど う す れ ば よ い の か 対 話
であ る 。
ー の 唯 一性 を 強 調 す る 信 仰
ら 日 本 が 学 ぶ 教 訓 はい 自 由
0
虐
殺
者 ﹂を 国 境 を や す や す と 越 え る テ 話 通 信 傍 受 や 通 話 デ ー タ 収
の
﹁
大
量
紀
世
シ ョン団 長 と し て 3 回 、 各 2
戦 へ﹂ ︵
P HP新書 ︶。
。
国 を 歴 訪 し 、 日 本 ア ラ ブ 対 指 す よ う に な った こ れ は ロリ ス ト の 移 動 を 入 国 以 前 集 の 合 法 化 に つい て 市 民 の
。
理 解 を 得 る の は 難 し い 。そ
に 寛 大 な 事 実 に 伺 の 問 題 も 話 フ ォ ー ラ ム 委 員 と し て も 民 族 や 宗 教 信 仰 の 差 異 に か に阻 止 す る こ と だ
、
、
、
、
一た び 大 テ ロが 起
。
、
第 二 は 、 ﹁イ ス ラ ム 国 ﹂ の 反 面 、
プ ラ ト ンか ら J ・S ミ ミ あ る は ず は な い し か し 東 京 カ イ ロ リ ャ ド ア かわりなく ムスリムを含
、
、
レ ク サ ン ド リ ア を 舞 台 に イ めた全人類に偲をなす者た の テ ロを 非 国 家 組 織 と 国 こ る と 社 会 全 体 の 恐 怖 感 が
ル 、 ア イ ザ イ ア ・バ ー リ ン そ れ は 一方 で 自 ら を 唯 一
。
家 と の 非 対 称 な ハイ プ リ ッ 募 る あ ま り 、 難 民 や 在 留 外
に 至 る ま で、 自 由 と 権 利 、 の 真 理 の 表 現 者 だ と 若 者 に ス ラ ム 世 界 と の 交 流 に 従 事 ちの定義にふさわしい イ
瑠訛
。
、
ド 型 の ﹁戦 争 ﹂ と し て 把 握 国 人 を 排 斥 す る デ マゴ ー グ
、
﹂
の
者
平
和
義 務 と 責 任 の 相 補 性 を 緻 密 思 い 込 ま せ イ ス ラ ム の 至 し た 相 手 は 我 々と 同 じ スラムにも﹁
し た 上 で 、 市 民 社 会 に ﹁戦 に 支 持 が 集 ま る 可 能 性 も 憂
に組 み 立 て、 政 治 に も 援 用
線 ﹂ を 広 げ る 非 情 な テ ロを 慮 さ れ る 。
し てき た 自 由 論 は 、 植 民 地
中 東欧州複 合危機がグ ロ
予防する厳 しさを国民 に認
主 義 の騨 し き 遺 産 と 伝 統 を
ー バ ルな脅 威 に拡大 す れ
識 し ても ら う こと だ 。
ひ た す ら 批 判 し た ポ スト コ
第 二 は 、 本 質 的 に 個 人 の ば 、 フ ァシ ズ ム や ス タ ー リ
︵ム フ ス ィ ド ︶ と い う 言 葉
ロ ニア ル 理 論 や 多 文 化 主 義 上 性 と 強 引 に 重 ね る ﹁イ ス く 理 性 や 知 性 を 重 ん じ る 平
、
生 存 や 自 由 な 社 会 を 維 持 す ン型 共 産 主 義 な ど 全 体 主 義
が
る。
あ
﹁
テ
ロ
リ
ラ ム 国 ﹂ の よ う な 過 激 な 政 和 主 義 者 であ り
に浸 潤 さ れ て き た 。
。
、
5 月 に 伊 勢 志 摩 サ ミ ッ る た め に 日 本 の市 民 も 公 勢 力 が 出 現 し か ね な い 二
だ が 、そ の 流 れ を 受 け て 治 潮 流 を 許 容 す る 遠 因 にも スト と の対 話 ﹂ が 可 能 な は
。
。
ト 、 2 0 2 0 年 の 東 京 五 輪 共 施 設 や ホ テ ル で 金 属 探 知 つの 大 戦 と 冷 戦 を 乗 り 切 っ
文 化 や 思 想 の 多 元 性 や 複 数 つな が った 文 化 や 宗 教 の ず も な い 対 話 や 貧 困 対 策
ッ
物
検
査 の 徹 底 化 に 協 た 歴 史 の 教 訓 と 先 人 の犠 牲
性 を 尊 重 し 、 国 境 管 理 を 廃 多 元 性 を 認 め る ﹁善 ﹂ は 当 を 強 化 す れ ば テ ロが 消 滅 す ・パ ラ リ ン ピ ク を 控 え る 機 や 荷
、
、
自 由 を 耐 え 忍 ぶ 塔 を 否 定 し な い た め にも 民
す
る
不
力
る と い う 空 想 的 平 和 主 義 で 日 本 に と って 重 要 な の は
主 主 義 の堅 持 と 発 生 予 防 型
要 性 であ る 。
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