日本基準トピックス

日本基準トピックス
会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における
税効果会計に関する実務指針」等の改正(JICPA)
2016年4月8日
第302号
■主旨

2016年3月25日、日本公認会計士協会(JICPA)は、会計制度委員会報告第10号
「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」を含む6つの実務指針等の
改正を公表しました。

本改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)から2015年12月に公表された「繰延税金資産の
回収可能性に関する適用指針」および2016年3月に公表された「税効果会計に適用
する税率に関する適用指針」に対応するために、実務指針等の関連する規定を改正
したものです。

本改正は、上記の適用指針の適用時期に合わせて適用されます。
・ 原文については、JICPAのウェブサイトをご覧ください。
http://www.hp.jicpa.or.jp/
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1.改正された実務指針等
本改正は、ASBJから2015年12月に公表された企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産
の回収可能性に関する適用指針」(以下、回収可能性適用指針)および2016年3月に公表
された企業会計基準適用指針第27号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」
(以下、税率適用指針)に対応するため、JICPAが公表している実務指針等の関連する規定の
整理、字句の見直し等が行われたものです。
本改正の対象とされた実務指針等は以下のとおりです。
(1) 会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」
(以下、連結税効果実務指針)
(2) 会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」
(以下、個別税効果実務指針)
(3) 会計制度委員会報告第11号「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」
(以下、中間税効果実務指針)
(4) 会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」(以下、金融商品実務
指針)
(5) 税効果会計に関するQ&A(以下、税効果Q&A)
(6) 土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A(以下、土地再評価Q&A)
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2.主な改正内容
実務指針等の主な改正内容(結論の背景等を除く)は、以下のとおりです。
(1) 回収可能性適用指針に関連する修正
主な修正事項
連結税効果実務指針 【参照基準の置換】
 評価差額に係る繰延税金資産の回収可能性(26 項)、連結手続上生じ
た繰延税金資産の回収可能性(41 項)、繰延税金資産から控除した額の
開示(43 項)は個別税効果実務指針の要件に従う規定について、回収可
能性適用指針に従うものとされた。
 未実現利益の消去に係る繰延税金資産の回収可能性について個別税
効果実務指針の判断要件を適用しない規定(16 項)について、回収可能
性適用指針の定めを適用しないものとされた。
個別税効果実務指針 【移管および削除】
 回収可能性の判断要件(収益力に基づく課税所得の十分性、タックス・
プランニングの存在、将来加算一時差異の十分性)の規定(21 項)
 繰延税金資産の計上限度額の規定(22 項)
 繰延税金資産の回収可能性の見直し(23 項)の規定
 繰越外国税額控除の繰延税金資産の計上に関する規定(25 項~27 項)
中間税効果実務指針 【参照基準の置換】
 中間決算における繰延税金資産の計上額につき個別税効果実務指針
の判断要件を考慮する規定(7 項)につき、回収可能性適用指針によるも
のと変更された。
金融商品実務指針 【参照基準の置換】
 有価証券評価差額に係る税効果会計の適用にあたり、「その他有価証
券評価差額及び固定資産の減損損失に係る税効果会計の適用におけ
る監査上の取扱い」を参照している規定(73 項)の記載につき、回収可能
性適用指針を参照するように記載を変更
税効果 Q&A
【移管および削除】
 繰延税金資産の回収可能性の判断要件およびその具体的手順、将来
解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異に係る繰延税金資産
の回収可能性の取扱い、および、役員退職慰労引当金に係る将来減算
一時差異に係る繰延税金資産の取扱い(Q1)
 過年度に減損処理したその他有価証券について、減損処理後に時価が
上昇して評価差益が発生した場合の税効果の取扱い(Q3)
 個別財務諸表上の退職給付引当金および連結財務諸表上の退職給付に
係る負債についての繰延税金資産の回収可能性に関する取扱い(Q15)
【参照基準の置換】
 会計方針の変更に伴う遡及適用や過去の誤謬の修正再表示に関連する
税効果の適用(Q13)において、監査委員会報告第 66 号に基づくとする
規定について、回収可能性適用指針に基づくものと変更された。
土地再評価 Q&A 【参照基準の置換】
 土地再評価差額金に係る繰延税金の計算について個別税効果実務指針
等に準拠する取扱い(Q2)につき、回収可能性適用指針等に準拠する
取扱いに変更された。
適用指針の
主な規定
7 項,9 項
―
6 項,11 項
7項
8項
47 項,48 項
6項
38 項~41 項
6 項,11 項,
35 項,37 項,
44 項,
38 項
43 項~45 項
15 項~31 項
6 項~8 項
(注)回収可能性適用指針の詳細は、以下をご参照ください。
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2016/recoverabili
ty-deferred-tax-assets160105.html
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(2) 税率適用指針 (注)に関連する修正
主な修正事項
適用指針の
主な規定
連結税効果実務指針 【参照基準の置換】
 公布日基準の規定、および、子会社の決算日が連結決算日と異なる場合で
連結決算日または仮決算日に正規の決算に準ずる決算を行う場合に適用
するべき税率の規定(11 項)を変更し、税率適用指針によるものとされた。
個別税効果実務指針 【移管および削除】
 繰延税金資産および繰延税金負債の計算に用いる税率の定め(17 項)
を変更し、税率適用指針によるものとされた。
 回収又は支払が行われると見込まれる期の税率の規定(公布日基準)
(18 項)を削除し、税率適用指針によるものとされた。
 税率が変更された場合の繰延税金資産および繰延税金負債の計上額
の修正の規定(19 項,20 項)について、改正税法の公布日を含む年度
から、税率変更年度に変更された。
中間税効果実務指針 【参照基準の置換等】
 繰延税金資産および繰延税金負債の計算に用いる税率の規定(3 項)を
変更し、税率適用指針によるものとし、税率適用指針の「決算日」を「中間
決算日」に読み替えるものとされた。
 法定実効税率の定義について、個別税効果実務指針を参照する規定
(11 項)の記載つき、税率適用指針を参照する記載に変更された。
9項
3 項,4 項
5 項,6 項
―
―
3項
(注)税率適用指針の詳細は、以下をご参照ください。
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2016/tax-effectaccounting160316.html
3.適用時期
改正対象となった実務指針等は、回収可能性適用指針 (注 2)および税率適用指針 (注 2) の適
用時期に合わせて、以下のように適用されます。
実務指針
適用時期
連結税効果実務指針
回収可能性適用指針を適用する連結会計年度から適用する。
ただし、上記の取扱いにかかわらず、繰延税金資産および繰延
税金負債の計算に用いる税率に関する規定(11 項)については、
税率適用指針を適用する連結会計年度から適用する
個別税効果実務指針
回収可能性適用指針を適用する事業年度から適用する。
ただし、上記の取扱いにかかわらず、繰延税金資産および繰延
税金負債の計算に用いる税率に関する規定(17 項)については、
税率適用指針を適用する事業年度から適用する。
中間税効果実務指針
2016 年 4 月 1 日以後開始する中間連結会計期間および中間
会計期間から適用する。
金融商品実務指針
回収可能性適用指針を適用する事業年度から適用する。
(注1)税効果Q&Aおよび土地再評価Q&Aの適用時期は、各Q&Aにおいて明記されていませんが、
関連する適用指針、実務指針の適用時期に合わせて適用されます。
(注2)回収可能性適用指針は、2016年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されます。なお、
2016年3月31日以後終了する事業年度の年度末から早期適用することが認められています。また、
税率適用指針は、2016年3月31日以後終了する事業年度から適用されます。
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