第3号 繊維業界の経済動向

第3号
平成 28 年 3 月 31 日
繊維業界の
繊維業界の経済動向
① 繊維業界の動向
期間:平成 28 年 1 月〜3月
作成:多可町商工会
● 生産(参照:『経済産業省生産動態統計 平成 28 年 2 月分速報』経済産業省)
品目
区分
H28 年 1 月(t)
H28 年 2 月(t)
前月比
9,841
10,262
4.3
生産
綿織物
毛織物
合成繊維
(短繊維)
染⾊整理
(綿・合成・ニット)
出荷
12,909
13,721
生産
2,227
2,271
在庫
出荷
在庫
29,039
1,180
1,293
22,843
▲ 4.0
1,332
12.9
▲ 19.6
6,604
3.0
11,809
11,702
在庫
16,333
11,890
生産
7,288
133,960
2.0
738
生産
出荷
10.1
144,732
5.3
▲ 8.9
8.0
74,805
75,888
1.4
在庫
● 1 月から 2 月にかけて、生産・出荷ともに増加傾向にあり、在庫も減少傾向にある。
春夏もの以降の受注の他、海外からの回帰傾向によるものと考えられる。ただし、綿織
物・合成繊維(短繊維)は、前年同月比では減少している。
● 投資(参照:『繊維機械統計』一般社団法人日本繊維機械協会)
この統計は、全国の機械製造業者 15 社が受注・販売した「繊維機械」(織機や準備工程の
機械など。編み機も含む。)の統計(平成 28 年 1 月分)である。
⾦額(百万円)
前月比(%)
前年同⽉⽐(%)
受注計
16,929
155.4
154.4
うち内需
480
98.2
66.9
販売計
10,705
101.0
88.2
織機輸入額
291
396.3
215.3
● 繊維機械が海外へ輸出されている様子が分かる。国内での繊維機械への投資は減少して
いるように見えるが、織機の輸入は増加傾向にある。
② 播州織の経済動向
● 最新の播州織⽣産量(平成 27 年 10 ⽉〜12 月の⽣産量)
◎ 当期(H27.10〜12 月)の播州織⽣産量 総 量 9,534 千㎡ 月平均
対前期(7~9 月)比
6.5%
対前年同期(H26.7~9 月)比
▲9.3%
3,178 千㎡
● 最新の播州織⽣産量(平成27年 4 ⽉〜6 月の⽣産量)
※ 当期生産数量のうち、内需の占める割合は 80.9%で、対前期比は 0.8%
対前年同期比は▲13.8%となっている。
③ 他の繊維産地の経済動向 (参照:全国中小企業団体中央会)
全国中小企業団体中央会の情報連絡員からの報告要旨のうち≪繊維・繊維製品≫部門の情
報をピックアップして、各地の状況及び繊維業界全体の状況を分析しています。
● 12 月
<東京都 ニット製品> 円安で原材料価格が高騰する一方、コスト上昇分の転嫁が進ま
ず、収益状況は改善されずに経営の足かせとなっている。また繊維産業の国内回帰の
流れは着実に進んでいるが、需要増加にどこまで対応できるかが課題。
<大阪府 被服> 円安、海外の人件費高による経費負担増加が激しい。中国からアセア
ンへ一部生産拠点も移りつつあるが、インドネシア、ベトナム等も中国と同じく年率
2桁%の人件費の高騰が続いており、コスト上昇は恒常的になりつつある。
● 1月
<岐阜県 メリヤス> 企業の国内回帰の動きが確実に現実化する中、「今こそメイドイ
ンジャパンブランドを売るチャンス」と同業者のやる気が少しずつ表われてきた。緻
密な日本の開発力、技術力、そして高付加価値のモノ作りに邁進すれば難局を打ち破
れるはずである。
<山形県 ⼥性服> 服地は受注が減少し、業務を中止する事業者も出ている。輸出物
はパリ同時テロの影響や欧州の不景気もあり苦戦。採算は悪くなる一方である。
● 2月
<岡山県 アパレル> 春夏物は例年より早めに納期設定がされており、キャパが不足
して外注が多くなり、利益率も減少。カジュアル関連は気温低下で多少動きが見られ
たが、時すでに遅しの感が否めない。
<愛媛県 縫製> 衣料品は低価品と高価品に二極化しており、各商品の受注を考慮し
ながら人件費アップ・従業員確保にも努力しなければならないが、加工賃が上がらな
いため収益状況は厳しい。
<秋田県 繊維>
国内生産回帰の動きにより受注機会は増加しているが、納期の集中・前倒し等による
生産能力超過により、上手く需要を取り込めない。また気温変動が大きいことで商品
も売れず、期中の追加発注等は減少傾向にある。
● 総括
今冬の暖冬が業界全体に大打撃を与えており、輸出においても、中国の景気後退やパリ
でのテロの影響により、苦戦を強いられている。暖冬で作り控えや在庫増加が発生した
一方で、今季は春夏物の納期が早まっていることから、生産計画が立てづらく、人件費
や外注費など想定外の経費がかさんで、利益確保が困難な傾向も見られる。
明るい兆しとしては、引き続き中国生産から国内回帰への流れが強まっており、衣料品
の価格が高低二極化する中で、各産地で高付加価値の「メイドインジャパン」ブランド
構築に向けた動きが見られる。