山梨県燃料電池自動車普及促進計画

山梨県燃料電池自動車普及促進計画
山
梨
県
平成 26 年 7 月
目
次
1 計画策定の趣旨
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2 目指すべき姿
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◆ 燃料電池の実用化の推進と水素エネルギー社会の実現
◆ 燃料電池関連産業の集積・育成
3 目標と目標達成に向けた施策展開
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【目標 1】
普及初期段階における FCV 等導入促進
【目標 2】
水素ステーションの整備促進
【目標 3】
FCV の普及啓発と情報発信
【目標 4】
燃料電池に関する新産業の創出
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計画策定の趣旨
山梨県では、これまで、2009 年に設置した「山梨燃料電池実用化推進会議」を核
としながら、世界最先端と言われる山梨大学の研究成果と人的ネットワークを生かし、
燃料電池の実用化の推進と関連産業の集積・育成に向け、積極的な取組みを進めて
きた。
一方、トヨタ、ホンダを始めとする国内外の大手自動車メーカー等では、2015 年(一
部 2014 年度)に燃料電池自動車(以下、「FCV」という。)を国内投入することを発表
しており、2013 年度からは、石油、ガスなどのエネルギー事業者が、国の支援を受け
水素ステーションの先行整備に取り組んでいるが、FCV の普及初期においては、採算
に必要な FCV の普及や水素ステーション整備コストの低減等を如何に早期に実現す
るかが大きな課題となっている。(図 1)
この計画は、FCV が市場投入される 2015 年から 5 年間に、本県が講じる FCV 普
及方策及びその目標等を示すものである。
本県では、この計画を通じ、地域における水素ステーションの安定的な経営に向け
た支援を行い、水素エネルギー社会の実現を推進するとともに、燃料電池関連産業の
振興に繋げていく考えである。
図 1 燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)より
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目指すべき姿
◆ 燃料電池の実用化の推進と水素エネルギー社会の実現
山梨大学の燃料電池技術が用いられた FCV や燃料電池バス(以下、「FC バス」
という。)などが広く普及し、騒音や排気ガスが抑制されることで、運輸部門の温室効
果ガス排出量を削減し、地球温暖化防止に寄与する社会を目指す。また、FCV や
FC バスが災害時の非常用電源としても活用され、水素ステーションは、地域のエネ
ルギー拠点の一つとして安定的な運営が行われることを目指す。
図 2 燃料電池自動車、燃料電池バス (各社発表資料より)
◆ 燃料電池関連産業の集積・育成
産学官が連携して燃料電池に関連する研究開発や産業が集積・育成され、山梨
大学燃料電池ナノ材料研究センターの研究成果が地域の産業振興に結びつき、新
産業が創出されることを目指す。
図 3 山梨大学 HiPer-FC プロジェクト
図 4 山梨大学燃料電池ナノ材料研究センター
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目標と目標達成に向けた施策展開
■目標 1 :普及初期段階における FCV 等導入の促進
「新たなエネルギー産業研究会/燃料電池分科会」(資源エネルギー庁省
エネルギー・新エネルギー部主催)試算の販売乗数に基づき推計される値
を当面の目標値とし、施策を推進していくとともに、FCV の導入を促進して
いく。
導入目標台数(2015~2025 年) :
FCV
FC バス
800 台
10 台
 普及初期段階における市場の早期立上げを促し、自立的なステーション運営が早
期に可能となることを目指す。
<施策展開>
① 民間部門への率先導入
国のエコカー補助制度と連動して、県民等の FCV 導入を支援する。また、県自
ら、市町村、関係団体、企業等へ FCV の購入を働きかける。
② 地域公共交通機関への率先導入
地域交通事業者が、2016 年以降に市場投入される FC 路線バスを率先導入
できるよう支援を行う。
③ 運輸事業と連携した FCV の導入
タクシー事業者やレンタカー事業者が率先して FCV を導入できるよう、支援を
行う。
④ 公用車への導入
県で公用車として導入するとともに、イベント等での普及啓発に積極的に活用す
る。
⑤ FCV ユーザーへの特典付与
世界文化遺産・富士山への環境負荷低減と保全、及び FCV の普及促進のた
め、FCV 普及初期において、県営富士山有料道路(スバルライン)の通行につ
いての優遇措置を検討する。
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■目標 2 : 水素ステーションの整備促進
水素ステーション設置の誘致活動を展開するとともに、助成制度を創設す
ることで、整備の促進を図る。
図6
水素ステーション(HySUT ホームページより)
<施策展開>
① 誘致活動の推進
交通動態などの地域性を考慮しながら、石油・ガスなどのエネルギー事業者に
対し、本県の立地の優位性をアピールする等の誘致活動を展開する。
② 整備費用に対する助成
FCV 普及初期(特に、先行整備期間(2013~15 年度))において、県内に水素
ステーションを整備しようとする者に対して、その費用の一部を助成することで、
水素ステーション設置事業者の初期費用の負担軽減を図る。
③ その他の支援
既存ガソリンスタンド等との併設を検討する際は、用地情報等の提供を行うとと
もに、周辺住民向けの説明会開催等への協力を行う。
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■目標 3 : FCV の普及啓発と情報発信
「燃料電池自動車の先進県」を目指し、普及促進を図る。
図7
図8
やまなし燃料電池モーターショー
国際水素・燃料電池展(FC EXPO)
<施策展開>
① 県民等が身近に体験できる試乗会・展示会の開催
自動車ディーラー等と連携しながら、一般県民や企業関係者等に対して、燃料
電池や FCV の普及啓発を図るための、モーターショーや見学会・試乗会を開
催する。
② 環境教育、人材育成の実施
県内小中高等学校にて、環境教育の教材として FCV を活用し、水素エネルギ
ー社会実現に向けた啓発活動を行うとともに、FCV の修理技術者の育成や警
察、消防関係者が FCV 車両に関わるレスキュー時の取扱いを学ぶ機会など、
人材育成を図るための講習会等を開催する。
③ 世界に向けた情報発信
燃料電池先進県として、燃料電池の実用化と普及に向けた先行的な取組み
や、山梨大学を中心とする燃料電池技術、FCV の普及状況等に関する情報
を国内外に発信する。
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■目標 4 : 燃料電池に関する新産業の創出
燃料電池関連産業の集積と育成を促し、新産業を創出する。
図 9 燃料電池技術相談会(やまなし燃料電池塾)
図 10 成長分野連携参入支援(燃料電池タスクフォース)
<施策展開>
① セミナー、研究会、マッチング支援
県内の企業の強みである切削、研磨、精密微細加工といった分野での技術力
を生かし、燃料電池製品の周辺部品や、燃料電池の特性を生かした新製品へ
の参入を促進するために、セミナーや研究会、マッチング支援を行う。
② 産学官連携や共同研究の推進
燃料電池や FCV の普及に求められる新技術や新製品の創出を目指し、研究
開発に係る費用の一部を助成するなど負担軽減を図るとともに、産学官連携や
企業間の共同開発等を推進する。
③ 世界に向けた情報発信 (再掲)
燃料電池先進県として、燃料電池の実用化と普及に向けた先行的な取組み
や、山梨大学を中心とする燃料電池技術、FCV の普及状況等に関する情報
を国内外に発信する。
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