特集解説 かかりつけ薬剤師創設 副作用の相談も気軽に

ここだけは押さえたい
かかりつけ薬剤師創設
副作用の相談も気軽に
2016
診療報酬改定
図 1 かかりつけ薬剤師の評価
現行
薬剤服用歴管理指導料
41 点/ 34 点
改定後
➡
かかりつけ薬剤師が行う服薬指導
以下の項目が
包括されるイメージ
( 新 )かかりつけ薬剤師指導料 70 点
薬剤服用
歴管理指導料
( 新 )かかりつけ薬剤師包括管理料 270 点
ココがポイント
調剤料
かかりつけ薬剤師以外の薬剤師が行う服薬指導
薬剤服用歴管理指導料 50 点/ 38 点
調剤基本料
患者は病院ごとに薬局に行くのでなく
1カ所の薬局でかかりつけ薬剤師を利用できる
図 2 かかりつけ薬剤師とは? 指導料の主な算定要件
新しい仕組みを導入
① 患者が選択した薬剤師が患者の同意を得
た上で、 次の来局以降に算定
① 薬を一元管理
② 多剤・重複、残薬を減らす
③ かかりつけ医とも連携
② 同意については、患者の署名付きの同意書
を作成、その旨を薬剤服用歴に記載
③ 患者 1 人に対して、1 人の薬剤師のみ
④ 薬手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務
先の保険薬局の名称及び連絡先を記載
病院で治療を受けたら、近くの薬局へ行って薬をもらう
― 当たり前のことと思っていますが、薬はどこの薬局でも
いいということ、知っていました?
病院では処方箋をもらうだけ。薬は薬局で買う。これを
医薬分業といいます。
薬局が「 かかりつけ」となり薬を一元管理する、という全く
⑤ 担当患者に対して以下の業務を実施 ア 薬剤服用歴管理指導
イ 受診している全ての保険医療機関、服用薬等
の情報を把握
ウ 担当患者から24時間相談に応じる体制をとる
エ 調剤後も患者の服薬状況、指導等の内容を処
方医に情報提供し、 必要に応じて処方提案
オ 必要に応じて患者の家を訪問して服用薬の整
理等を実施
新しい仕組みが打ち出されました。
かかりつけ医といえば何となくイメージがわきますが、かか
りつけ薬剤師っていったいどんなものでしょうか。厚生労働
省の資料から読み説いてみましょう( 図 1 ~ 2 )。
患者からの24 時間相談に応じたり、必要に応じて患者
点→38点 )。
“ 安くてお得 ”感で、手帳の普及を図りました。
の家を訪問して薬を整理することもしてくれます。処方され
実は、患者が手帳をあまり持ってこないため、「 手帳がな
しかし、自分の病気に合った医療機関を見つけるまであ
患者は基本的に一人の薬剤師を選び、かかりつけ薬剤
た薬だけでなく、市販されている一般用医薬品や健康食
いと、どんな薬を飲んでいるか分からない」と、医療現場
ちこちの病院にかかる昨今、病院ごとに薬局で薬をもらう
師になることについて同意書を交わします。かかりつけ薬
品についても把握するようにと求められており、病気を持っ
から批判があったためです。
と、薬がたまります。あなたの家にも、袋に入ったまま飲ん
局でなくかかりつけ薬剤師なのは、かかりつけ医も、病院
ている人や、日常的に薬を飲んでいて飲み合わせが心配
でない薬がありませんか。もったいない!その薬には、私達
や診療所でなく医師との関係なので同じです。健康と薬の
な人は、上手に利用するとメリットがありそうです。
の保険料や税金も入っているのです。
ことは何でも相談できる、長年つきあえば経緯も分かる、安
医療費がうなぎ上りとなり国の財政が厳しい中、今回の
報酬改定ではこうした薬のムダに、初めてメスが入ることに
心感や信頼関係がメリットといえます。
すべての薬剤師がかかりつけ薬剤師になれるのでなく、
ちなみに、かかりつけ薬剤師として契約を交わした場合
の指導料は1 回あたり70 点( 700 円 )
( 図 2 )。通常の服
かかりつけ薬剤師が管理する場合は700 円で、変わりま
せん。手帳はいらないのでは?いえいえ、常に薬を飲んで
いる人は、どこかで倒れたり、災害時のときなど、手帳を
携帯していた方が安心です。
薬管理指導は50点( 500円 )なので、3割負担f
sと60円高
血圧を下げる薬、血液をサラサラにする薬、コレステロー
なりました。キーワードは、① 一元管理と② 多剤・重複の
3 年以上のキャリアや一定の勤務時間働いている人が研
くなります。かかりつけ薬剤師が増えるかどうかは、この60
ルを下げる薬、胃薬、おしっこを出やすくする薬、痛みどめ、
削減です。
修を受け、認定された人がなれる仕組みになっています。
円を負担してかかりつけ薬剤師を選ぶメリットがあるかどう
睡眠薬 etc、高齢者がたくさんの薬を飲んでいることはケア
かが、分かれ目といえそうです。
マネジャーなら誰も知っていますが、何種類もたくさん薬を
あちこちの医療機関、あちこちの薬局で薬をもらっても、
基本はどこの医療機関にかかって処方箋をもらっても、
一つにまとめれば重複や飲み合わせをチェックできるはず。
かかりつけ薬剤師が処方し、一元的に管理するものです
そういう発想は前にもありました。15年前に導入された「お
が、旅行先等で病気になることもあるので、他の薬局で薬
薬手帳 」です。しかし、今回はもっと踏み込んで、1カ所の
を処方してもらってはいけないということではありません。
10
月刊ケアマネジメント 2016.4
飲んでいる状態を「ポリファーマシー」といいます。特に6
4月から、お薬手帳を持っていくと、服薬指導料が 2 回目
種類以上の薬を飲んでいる人に、図5にあるような有害現
から120円安くなります( 図2の薬剤服用歴管理指導料50
象が多く発生していることも分かっています。今回の改定
月刊ケアマネジメント 2016.4
11