回路の応答

回路の応答
1
目的
電気抵抗 R,インダクタンス L,静電容量 C などで構成される回路の,過渡応答特性と周波
数応答特性を測定し,R,L,C の値とそれらの測定結果の間の関係を考察する.
2
2.1
解説
過渡応答と定常応答
回路に流れている電流の一定であった振幅 (最大値) の値が,何かの原因によって時間の経過
と共に変化し,やがてまたある一定の振幅の値を取るようになることがある (図 1 参照).この
ような場合,電流の振幅が一定であるとき,回路は “定常状態” にあるといい,電流の振幅が時
間の経過と共に変わっていくとき,回路は “過渡状態” にあるという.
図 1:
回路が過渡状態にあるとき,電流の振幅が時間の経過と共に変化していく様子を電流の “過
渡応答” といい,回路が定常状態に達して,電流の振幅が一定値に達したときの様子を,電流の
“定常応答” という.また,電流が変化すれば,その電流が流れている回路路素子 (R,L,C な
ど) の電圧降下も変化するから,回路の特性を電圧降下の応答という形で示すこともできる.電
流や電圧降下の応答を調べるには,それらを規定している関係を知ることが基本となる.個々
の回路素子に電圧源 e(t) を接続したときに流れる電流 i(t) と,それによる電圧降下 v(t) の関係
を表 1 に示す.
過渡応答は,電流の振幅や電圧降下の振幅の時間の経過に伴う変動であり,時間応答と呼ば
れることもある.R と C ,または R と L で構成されるもっとも基本的な回路について,外部か
ら電圧:e(t) = E が加えられたときに流れる電流 i(t) の過渡応答,およびその電流 i(t) によっ
て生じる電圧降下 v(t) の過渡応答を表す式を表 2 に示す.ただし,どの式も,t = 0 のときに
i(0) = 0,v(0) = 0 と仮定した場合の式である.
回路素子
R
L
C
表 1:
外部から加えられた電圧
e(t) によって流れる電流
1
i(t) = e(t)
R
1Z
i(t) =
e(t)dt
L
de(t)
i(t) = C
dt
回路を流れる電流 i(t)
によって生ずる電圧降下
v(t) = Ri(t)
di(t)
v(t) = L
dt
1 Z
v(t) =
i(t)dt
C
表 2:
i
Eh
1 − e−(R/L)t
Rh
i
v(t) = E 1 − e−(R/L)t
i(t) =
i
Eh
1 − e−(1/CR)t
R
v(t) = Ee−(1/CR)t
i(t) =
i
Eh
1 − e−(R/L)t
R
v(t) = Ee−(R/L)t
i(t) =
i
Eh
1 − e−(1/CR)t
Rh
i
v(t) = E 1 − e−(1/CR)t
i(t) =
2.2
時定数
表 2 に示した R と L,または R と C で構成される基本的な回路で,電流または電圧降下の
過渡応答を規定しているのは,“時定数” と呼ばれる時間の次元をもつ量である.表 2 の i(t) や
v(t) の式に,e−kt という形で表される項が含まれているが,この項の中の k は回路によってただ
一通りに決まる定数である.このことから,電流や電圧降下の過渡応答を規定する量としてこ
の値を利用するのである.ただし,k そのものとしてではなく,kt = 1 を満たす時刻:t = 1/k
と置き換えて使用する.通常,1/k = τ と表わし,この τ を “時定数” と呼んでいる.表 2 の R
と L の回路の時定数は τ = L/R であり,R と C の回路の時定数は τ = CR である.
T = τ = 1/k であるとき,e−kt = e−1 = 1/e ' 1/2.71828 ' 0.368 となるが,これは,表 2 に
示したような回路の過渡応答を考えるときの基本的な数値である.
ここで,時定数の持つ意味を,y(t) = Y e−(t/τ ) という関数を例にとって考えてみよう.t < 0
では,y(t) = y0 であるとし,t = 0 で過渡状態に入り,その後,時間が充分に経過して過渡状
態が終わって定常状態に達したとき,y(t) = Ys になったとする.この間の y(t) の時間的経過の
一部を,τ = 1,2,4,8 の四つの場合について示したものが図 2 である.これを見ると,時定数
が大きいほど,過渡状態が長く続いていることがわかる.実用上は,過渡状態に入ってから時
定数の 5 倍,すなわち 5τ だけの時間が経過すれば次の定常状態に到達すると考えてよい.図 2
で過渡状態に入った点からの変化量が,全変化量:|Ys − Y0 | の 63.2 %に達したときの経過時間
を読み取れば,その値が時定数になっていることがわかる.
図 2:
2.3
R—L—C 直列回路の過渡応答
表 2 に出てくる R と C だけの回路に,さらに L を付け加えた図 3 の回路の過渡応答は,R と
L,または R と C だけで構成される回路の過渡応答に比べて様相が異なっている.
表 2 に出てくる回路の電流または電圧降下の過渡応答では,それらの振幅が単調に増大また
は減少し,やがて定常状態に達する.これに対して図 3 の回路の電流または電圧降下の過渡応
答では,それらの振幅が表 2 の回路と同様に単調に増大または減少しながら定常状態に達する
こともあるが,R,L,C の値によっては振動しながら増大または減少した後定常状態に達する
という場合が起こる.R—L—C 直列回路に,外部から電圧:e(t) = E が加えられたときに流れる
電流 i(t) の過渡応答,およびその電流 i(t) によって生じる C の電圧降下 v(t) の過渡応答を表わ
す式を表 3 に示す.ただし,どの式も,t = 0 のときに i(0) = 0,v(0) = 0 と仮定した場合の式
である.
図 3 の回路の,電流または電圧降下の過渡応答を規定しているのは,i(t) や v(t) の式に含ま
√
れている定数 “α = R/2L” と “ωn = 1/ LC” である.このうち,ωn は “固有振動数”,または
“固有周波数” と呼ばれ,時間の逆の次元を持つ量である.一方 α は,“α = ζωn ” と表わすこと
ができる.この “ζ” は無次元の非負の実数で,“減衰係数” と呼ばれている.電流や電圧降下の
過渡応答が振動するかしないかは,α と ωn の大小関係で決まるが,α > ωn ,αq= ωn ,α < ωn
と,ζ > 1,ζ = 1,0 ≤ ζ < 1 は等価な関係である.図 3 の回路では ζ = (R/2) C/L である.
図 3:
表 3:
R
1
α = 2L
, ωn = √LC
とすると,
α > ωn (非振動) の場合
q
E
1
i(t) = · q
e−αt sinh α2 − ωn2 · t
L
α2 − ωn2
v(t) =


q
E 1 − e−αt sinh  α2

q
α2 − ωn2
− ωn2 · t + tanh−1
α = ωn (臨界) の場合
E
i(t) = · e−αt
Lh
i
v(t) = E 1 − (1 + αte−αt )
α < ωn (振動) の場合
q
1
E
i(t) = · q
e−αt sin α2 − ωn2 · t
L
α2 − ωn2

q
v(t) = E 1 − e−αt sin  α2 − ωn2 · t + tan−1
q
α
α2 − ωn2
α




2.4
過渡応答特性の測定
回路の過渡応答特性を調べるための最も基本的な方法は,次の二つである.
1. 図 4(a) のスイッチを,ある時刻に図 4(b) のように切り替え,回路に一定の大きさの電圧
e(t) を加えてその時に流れる電流 i(t) の変化を調べる.
2. 図 4(b) のスイッチを,ある時刻に図 4(a) のように切り替えて,回路に加えられていた電
圧を取り去り,その時に流れていた電流 i(t) の変化を調べる.
図 4 の外部電源 e(t) としては,直流電源を用いるのが普通であるが,図 4 のスイッチと電源
e(t) の代りに信号発生器を接続し,最大値 E ,最小値 0 の方形波信号を加えて電流あるいは電
圧降下の応答を測定することも行われる.この場合には,上の (1) と (2) の測定を両方とも実行
したことになる.
(a)
(b)
図 4:
2.5
周波数応答
R,L,C で構成されている回路に,周波数と振幅が一定の正弦波交流電圧を加えると,定常
状態ではその回路に同じ周波数の正弦波交流電流が流れ,回路素子には同じ周波数の正弦波交
流の電圧降下が生じる.回路に L または C が含まれている場合には,加えられた電圧と流れる
電流の間に (従って電圧降下との間にも) 位相差が生じる.そしてこの位相差と電流 (または回
路素子の電圧降下) の振幅は,加えられた正弦波交流電圧の周波数の影響を受ける.外部から
加える正弦波交流電圧の周波数の変化に対する,電流 (または電圧降下) の振幅と位相差の変化
の様子を回路の “周波数応答” という.周波数応答は,正弦波交流回路の電流または電圧降下の
定常応答に対する周波数の影響を示す特性であるということができる.
一方,R,L,C で構成されている回路の電流または電圧降下の振幅は,加えられた正弦波交
流電圧の振幅の大きさに比例して変わる.そこで交流回路の周波数応答を考えるときに,外部
から加える電圧の振幅の変化による影響を周波数応答から除くために,回路の電流または電圧
降下の振幅の値を外部から加える電圧の振幅の値で割って,正規化して考えるのが普通である.
表 2 に載っているものと同じ回路に対して,交流電圧 E(jω) が加えられたときに,回路素子の
電圧降下 V (jω) の周波数応答を表わす関係式 (正規化振幅:|V (jω)/E(jω)| と位相差:φv (ω)) を
表 4 に示す.なお,周波数応答を取り扱う際,正規化振幅のことを単に振幅ということが多い
ので,以後このように呼ぶことにする.
表 4:
¯
¯
¯ V (jω) ¯
¯
¯
¯
¯
¯ E(jω) ¯
=q
1
1 + (ωL/R)2
µ
¶
ωL
φv (ω) = − tan−1
R
¯
¯
¯ V (jω) ¯
¯
¯
¯
¯
¯ E(jω) ¯
=q
ωCR
1 + (ωCR)2
µ
¶
1
−1
φv (ω) = tan
ωCR
¯
¯
¯ V (jω) ¯
¯
¯
¯
¯
¯ E(jω) ¯
ω(L/R)
=q
1Ã
+ (ωL/R)!2
1
φv (ω) = tan−1
ω(L/R)
¯
¯
¯ V (jω) ¯
¯
¯
¯
¯
¯ E(jω) ¯
1
=q
1 + (ωCR)2
φv (ω) = − tan−1 (ωCR)
2.6
折点周波数
表 4 に示すような,R と L または R と C をそれぞれ一個だけ含む回路の振幅に対する周波数
q
応答の関係式:|V (jω)/E(jω)| の分母に注目すると,どれも, 1 + (ωτ )2 (τ は時定数) という
項で表わされている.この関係式に,1 À ωτ (分母 ' 1) という条件を適用すると,この場合は
ω → 0 とした時の振幅特性の漸近線が与えられる.また,1 ¿ ωτ (分母 ' ωτ ) という条件を適
用すると,この場合は ω → ∞ とした時の振幅特性の漸近線が与えられる.一般に,これらの
回路の振幅に対する周波数特性は,この二本の漸近線で近似することができる.二本の漸近線
の交点を “折点” といい,この折点は ωτ = 1 のところに生じる.このときの ω(= 1/τ ) を “折点
周波数” という.
2.7
周波数応答の測定
振幅の測定 e(t) として正弦波交流電圧を加え,その振幅 (peak—peak 値) を常に一定に保ちなが
ら周波数を変え,そのつど v(t) の振幅 (peak—peak 値) を測定する.
位相の測定 2 現象オシロスコープのチャネル 1(ch.1) で e(t) を,チャネル 2(ch.2) で v(t) を観測
したとき,図 5 のようになったとする.このとき,波 A と波 B の間の位相差を φ で表わ
せば次の関係が成り立つ.
S:T = φ:360°
(1)
これより φ は次式で求められる.
S
× 360°
(2)
T
図 5 の例では,波 A より波 B が遅れているので,波 A に対する波 B の位相差は,負の符
号をつけて “−φ” と表わす.
φ=
図 5:
2.8
周波数応答のグラフによる表わし方
簡単な回路では,表 4 に示したように周波数応答を数式で表現することが可能である.しか
し,一般の複雑な回路では,周波数応答を数式で表現することが簡単でなく,場合によっては
数式で表わせないこともある.そのような場合にも,回路の周波数応答を測定し,それをグラ
フで表現することができる.一般に,振幅や周波数の表示範囲は非常に広いので,それらの対
数をとって表わす.
通常,振幅特性は,片対数方眼紙の対数目盛り側に周波数をとり,均等目盛り側には次式で
計算した振幅 Av (ω) を記入する.
Av (ω) =
¯
¯
¯ V (j ω) ¯
¯
¯
¯ (単位は dB)
20 log10 ¯¯
E(j ω) ¯
(3)
また,位相特性は,振幅特性と同じく片対数方眼紙の対数目盛り側に周波数をとり,均等目
盛り側に (2) 式で計算した位相差 φv (ω) を記入する.ただし,ここでいう位相差とは,e(t) を基
準としたときの i(t) や v(t) の位相進み角または位相遅れ角のことである.周波数の測定点は,
対数目盛り上でほぼ等間隔となるように,(1.0, 1.5, 2.0, 3.0, 5.0, 7.0) × 10n を基本とし,必要に
応じてその間の周波数も選ぶようにする.
実験
3
• この実験を通して,電源 e(t) としては発振器 (オシレ-タ) を使用し,電圧および位相差
の測定には,2 現象オシロスコ-プを使用する.
• 2 現象オッシロスコ-プの ch.1 と ch.2 を同時に使用するときは,それぞれの接続コード
の共通端子側 (黒色のクリップがついている方) を必ず同じ電位の点に接続する.
• 電圧はすべて peak—peak 値で測定する.
3.1
実験 1 CR 微分回路の電流の過渡応答
• 実験
1. C: 1 nF,R: 40 kΩ として図 6 の回路を構成し,端子 1—1 ′に発振器を接続する.つ
いで,2 現象オッシロスコ-プの ch.1 を端子 1—1 ′に,ch.2 を端子 2—2 ′に接続する.
2. e(t) として振幅一定 (たとえば,2 Vpp ),周波数 100 Hz の方形波電圧を加え,その
ときの e(t) の波形を観測記録する.同時に v(t) の波形を観測し,その値を R で割っ
て i(t) の過渡応答波形として記録する.
3. 方形波電圧の振幅を上と同じ値とし,周波数を 500 Hz,2 kHz,5 kHz,20 kHz に
変えたそれぞれの場合について i(t) の過渡応答波形を記録する.
[注]: この後の実験も,上のような方法で行われるので,以後,発振器や 2 現象オシロス
コ-プの接続についての指示は省略する.
• 報告および考察事項
1. 周波数 2 kHz の方形波電圧を加えたときの i(t) の過渡応答波形から,この回路の時
定数を求め,C と R の値から算出した時定数とどの程度合っているかを調べる.
2. 図 6 の回路が CR 微分回路と呼ばれる理由と,実際に微分回路として動作するため
の条件を考える.
図 6:
3.2
実験 2 CR 微分回路の周波数応答
• 実験
1. 周波数応答と,その測定方法やグラフによる表わし方についての解説を読む.
2. 図 6 の回路を構成し,C: 1 nF,R:40 kΩ とする.
3. e(t) として正弦波交流電圧を加え,その振幅を一定 (たとえば,2 Vpp ) に保ちながら
周波数を 100 Hz から 100 kHz ぐらいまで変え,そのつど v(t) の値と,e(t) に対する
v(t) の位相を測定する.
• 報告および考察事項
1. 振幅特性と位相特性の測定結果を図示し,それに対する漸近線も図示して折点周波
数を求め,測定結果が周波数応答についての理論とどの程度合っているかを調べる.
3.3
実験 3 CR 積分回路の電圧降下の過渡応答
• 実験
1. 図 7 の回路を構成し,C: 1 nF,R: 40 kΩ とする.
2. e(t) として振幅一定 (たとえば,2 Vpp ),周波数 500 Hz の方形波電圧を加え,その
ときの e(t) と v(t) の過渡応答波形を観測記録する.
3. 方形波電圧の振幅を上と同じ値とし,周波数を 2 kHz,5 kHz,10 kHz,50 kHz に
変えたそれぞれの場合について v(t) の過渡応答波形を記録する.
• 報告および考察事項
1. 周波数 2 kHz の方形波電圧を加えたときの v(t) の過渡応答波形から,この回路の時
定数を求め,C と R の値から算出した時定数とどの程度合っているかを調べる.
2. 図 7 の回路が CR 積分回路と呼ばれる理由と,実際に積分回路として動作するため
の条件を考える.
3. 周波数を変えて測定した v(t) の過渡応答波形がそれぞれ異なる理由を考える.
図 7:
3.4
実験 4 CR 積分回路の周波数応答
• 実験
1. 周波数応答と,その測定法やグラフによる表わし方についての解説を読む.
2. 図 7 の回路を構成し,C: 1 nF,R: 40 kΩ とする.
3. e(t) として正弦波交流電圧を加え,その振幅を一定 (たとえば,2 Vpp ) に保ちながら
周波数を 100 Hz から 100 kHz ぐらいまで変え,そのつど v(t) の値と,e(t) に対する
v(t) の位相を測定する.
• 報告および考察事項
1. 振幅特性と位相特性の測定結果を図示し,それに対する漸近線も図示して折点周波
数を求め,測定結果が周波数応答についての理論とどの程度合っているかを調べる.
3.5
実験 5 位相進み・遅れ回路の電圧降下の過渡応答
• 実験
1. 図 8 の回路で,C1 : 0 nF,R1 : 40 k Ω,C2 : 1 nF,R2 : 40 kΩ とする.
2. e(t) として振幅 2 Vpp ,周波数 5 kHz の方形波電圧を加え,そのときの e(t) と v(t) の
過渡応答波形を観測記録する.
3. 図 8 の回路で,C1 : 1 nF,R1 : 40 kΩ,C2 : 1 nF,R2 : 10 kΩ とする.
4. e(t) として振幅 2 Vpp ,周波数 5 kHz の方形波電圧を加え,そのときの v(t) の過渡応
答波形を観測記録する.
5. 図 8 の回路で,C1 : 1 nF,R1 : 10 kΩ,C2 : 1 nF,R2 : 40 kΩ とする.
6. e(t) として振幅 2 Vpp ,周波数 5 kHz の方形波電圧を加え,そのときの v(t) の過渡応
答波形を観測記録する.
• 報告および考察事項
1. 図 8 の回路は,R1 と R2 で構成されている回路,C1 と R2 で構成されている回路,R1
と C2 で構成されている回路などの組み合わせであると考え,この実験で観測した三
つの過渡応答波形の違いを説明する.
図 8:
3.6
実験 6 位相進み・遅れ回路の電圧降下の過渡応答と周波数応答の関係
• 実験
1. 図 8 の回路で,C1 : 1 nF,R1 : 10 kΩ,C2 : 1 nF,R2 : 10 kΩ とする.
2. e(t) として振幅 2 Vpp で,周波数 500 Hz,5 kHz,50 kHz の方形波を加え,それぞ
れの周波数のときの v(t) の過渡応答波形を観測記録する.
3. e(t) として正弦波交流電圧を加え,その振幅を一定 (たとえば 2 Vpp ) に保ちながら
周波数を 100 Hz,1 kHz,10 kHz および 100 kHz と変え,そのつどの v(t) の値と,
e(t) に対する v(t) の位相を測定する.
• 報告および考察事項
1. 実験 1 から実験 6 までを通じ,v(t) の過渡応答波形と,周波数応答との関連につい
て考える.
3.7
実験 7 R—L—C 回路の電圧降下の過渡応答
• 実験
1. 図 9 の回路で,R: 10 kΩ,L: 8 mH,C: 1 nF とする.
2. e(t) として振幅一定 (たとえば,2 Vpp ),周波数 5 kHz の方形波を加え,そのときの
e(t) の波形と v(t) の波形を観測記録する.
3. 方形波の振幅と周波数を同じ値とし,R の値を 5.0 kΩ,2.5 kΩ,1.2 kΩ,0.6 kΩ に
変えたそれぞれの場合について,v(t) の過渡応答波形を記録する.
• 報告および考察事項
1. 電圧降下の過渡応答波形と R の値との関連について考える.
図 9:
4
参考文献
1. 回路の応答,電気通信学会編,コロナ社,1 章,2 章,4 章
2. 制御工学で使用した教科書