10 トキワ荘通り マンガでつながるトキ(時)とワ(輪・和)プロジェクト

10
企画提案者 : 立教大学観光学部
豊島区トキワ荘通り協働プロジェクト協議会
事業実施者 : 日本電気(株)
トキワ荘通り マンガでつながるトキ(時)とワ(輪・和)プロジェクト
現状・課題
自 治 体 : 豊島区
対象地域 : 豊島区南長崎地区
成 果
豊島区には、手塚治虫や藤子不二雄等、著名なマンガ家たちが若手時代に居住し、共に制作に打ち込
んだトキワ荘が存在していた。
トキワ荘が取り壊されてから 30 年が経過し、その存在を知る世代も 50 代から 60 代が中心となり、若
い世代からの認知度は低い。また、昨年(平成 25 年)トキワ荘周辺の散策拠点とし設けられた豊島区トキ
ワ荘通りお休み処や当時のマンガ家たちにゆかりある商店街が存在しているものの、面的な地域活性化に
はつながっていない。このままだとトキワ荘の記憶は風化し、来訪者が更に減少していく懸念がある。
そこで、マンガ家やイラストレータに憧れる小学生・中学生に向けて、楽しみながらマンガ・イラスト制
作を体験し学べるイベントを実施する。
マンガ教室
こども
11
n=25
単位:人
2
■ 1. 満足
■ 2. ほぼ満足
保護者
10
2
■ 3. どちらともいえない
■ 4. やや不満
総合
21
0
5
2
10
15
■ 5. 不満
2
20
25
30
アプリを使った回遊イベント
こども
実施内容
12
n=25
単位:人
1
■ 1. 満足
■ 2. ほぼ満足
保護者
小中学生の親子向けに、マンガ制作体験教室と地域回遊を組み
わせたイベントを実施。
また、イベントの動機づけとなるマンガコンテストの実施や、自
由にマンガが描けるスポットの設置により、イベント時以外での継
続性を狙った事業を合わせて実施した。
また、イベント広報に関しては、紙媒体・HPの他、立教大学
観光学部 観光グループとの連携により、地域コラムを作成し、
Facebook による拡散を図った。
5
7
■ 3. どちらともいえない
マンガ制作体験教室+回遊イベントの参加者
アンケートの結果から、満足度が高い結果が
得られた。マンガ制作体験教室と回遊を組み
合わせたイベントは、トキワ荘ファン、マンガフ
ァンの底辺を広げる入門活動として、有効であ
ることを実証できた。
アンケートコメントからは、
「普段会えないマ
ンガ家に直接指導してもらえて嬉しかった」
「昭
和の街並みが新鮮だった」などの意見が複数寄
せられ、
「普段とは異なる場所で特別な体験がで
きたこと」が最大の価値となることを確認できた。
■ 4. やや不満
総合
0
5
■ 5. 不満
8
17
10
15
20
25
30
トキワ荘通りの散策
こども
8
3
n=25
単位:人
2
■ 1. 満足
■ 2. ほぼ満足
保護者
7
5
■ 3. どちらともいえない
また、アプリを利用した回遊についても特に子
どもから高い評価を得られた。街の中から「トキ
ワ荘ゆかりの地看板」や「マンガマーク」を探し
出し、アプリで撮った写真から昔のトキワ荘通り
の様子や、自分が描いたマンガが見れることに
喜んでおり、楽しみながら回遊を行っていた。
■ 4. やや不満
❶マンガ制作体験教室+回遊イベント
◆マンガ制作体験教室
「最近笑ったこと」をテーマに 4コママンガを制作した。
マンガの表現方法を学ぶためのマンガ教室に加え、「職能体
験の場」として実施した。
講師は、
トキワ荘にゆかりのあるマンガ家を中心とすることで、
地域が永続的に実施しやすい環境の醸成を目的とした。
◆アプリを使った地域回遊
小中学生がターゲットであることから、楽しみながらトキワ荘
通りの地域文化史に触れてもらうことを目指し、ゲーム型要
素を取り込んだスマートフォンのアプリを開発。
トキワ荘通り周辺地域に点在する「トキワ荘ゆかりの地看板
(豊島区設置)」や、街中に点在配置したマンガマークを、
AR(※)技術を使ったアプリで読み取ると、当時のトキワ荘
周辺の様子や、マンガ教室で自分たちが描いた絵が展開される。
親子で宝探し気分で楽しみながら街めぐりができる演出を図
った。また、マンガ教室の職能体験を盛り上げるため、商店
街店舗の協力を得て、マンガ教室参加特典としてクーポン発
券機能も付与した。
❷街中マンガ制作(4 コママンガ黒板)
誰でも自由にマンガが描ける「4コママンガ黒板」を豊島区トキ
ワ荘通りお休み処、他 1 か所に設置し、街中に自由にマンガを
描ける場所を作り、「マンガのある街」という雰囲気作りを、地
域と来訪者ができるように促した。
❸トキワ荘通りマンガコンテスト
マンガ制作体験教室と連携し、
「最近笑ったこと」をテーマに4
コママンガのコンテストを実施した。
マンガ制作体験教室の参加者(親子)の作品の応募の他、一
般に告知し応募募集をおこなった。
審査・講評にあたっては、トキワ荘ゆかりの先生方にご協力い
ただいた。
※AR: Augmented Reality の略称で「拡張現実」
。人が知覚する現実環境をコンピュータにより拡張する技術。
42
15
総合
0
トキワ荘ゆかりの地看板と表示内容
5
8
10
15
■ 5. 不満
2
20
25
30
今回のイベントで、直ぐには人の誘致に繋が
らないが、昭和が色濃く残る地域で親子体験
型のマンガ教室を実施することはファン層の拡
大に非常に有効であることを確認できた。
アプリを使った回遊イベントの様子
北沢バンビ先生から指導を受ける参加者
参加者の質問に丁寧に対応中の姫野裕忠先生
課 題
マンガ制作体験教室で描い
たマンガがアプリの中に表示
される
❶マンガ制作体験教室を地元に拡散
豊島区からの参加者がゼロであった。地元小学校との連携など、地域へのイベント認知が必要。
❷マンガコンテストの実施タイミング
マンガ教室2回のみでは応募数が少なかった。
マンガ教室を複数回実施した上での開催が必要と思われる。
❸若者世代(中学生∼20歳代)のファン層の拡大
Facebook やアプリ利用者分析により中学生∼20歳台が圧倒的に少ないことが判明。この層が増える
ことで、池袋(乙女ロード等)との地域連携の可能性が見えてくる。まずはマンガ教室を継続し小学生の
ファンを確実に増やす。
今後の展開
4コママンガ黒板
ちらし兼マンガコンテスト応募用紙
・トキワ荘関連施設・商店街、地域に居住するマンガ家を活用し地域が一体となることで継続的なイベン
トを目指す。さらに地域ぐるみでマンガ家やマンガ愛好者を応援し、関連するお店を誘致し、マンガ・ア
ニメを愛するものが集う場を目指す。
・若いファン層を拡大し、マンガを愛するトキワ荘文化の再来と地域活性化に向け、まずはマンガ制作体
験教室を継続実施。
43