27 「在宅医療」 大変です!! 金 子 義 伸 早いもので一昨年に歌川亨一前会長の後を引き に負うところが多かったのです) 継ぎ会長職を拝し1期2年が経過しようとしてい 「地域医療総合確保基金」のもと「在宅医療推 ます。 進センター」を設置し切れ目の無い在宅医療と介 この間に国は挙げて「在宅医療」の推進を掲げ 護サービスの提供の構築やその為の関係者の情報 「地域医療介護」の創生に取り組む方向に舵を取 共有、ICT 化など国の提示する机上の書類と構 りました。「地域医療介護総合確保基金」に伴う 想図は見事に纏められていますが先に挙げた地域 事業、「介護保険支援事業」等、似か寄った構想 の事情からその達成は一朝一夕に出来ることでは を地方に提起しています。 その為に医師会は勿論、 ないと内心思っています。 他の医療関係機関、介護関係機関、行政の現場で 在宅医療の終着駅は「終末期」を経て死に至る は“てんやわんや”で混乱し試行錯誤を重ねてい 人が安らかに死を迎える為の「看取り」の問題で ます。 もあり、我々医療関係者の問題だけではなく寧ろ 当医師会は五泉市と阿賀町の2つの行政地域が 地域住民の問題であることを地域住民に理解して ありそれぞれで地域在宅医療に対応しています。 貰う、その為の機会を度々提供し住民の人達を啓 五泉市では①公的病院が無く後方支援病院となり 蒙していくことが重要と思っています。市民向け 得る基幹病院の医師、看護師不足。②在宅に対応 の講演会や研修会、元気な時から患者さん本人や する看護師不足。③介護を担う若い世代の減少な その家族と ACP(アドバンスケアプラニング) 、 ど……。阿賀町では①在宅医療を担う診療所医師 尊厳死、平穏死などについて充分に話し合って置 の不足。②広域な地区をカバー出来る充分な医療 く事、住民には特に介護職に携わる人に感謝の念 関係者の確保など。又、両地域共に県1、2を争 を促す事、このことは医療人材、資源不足の当地 う高齢化そして老々介護の問題、独居老人の増加 域では医療関係者にこれ以上の負担をかけないこ など色々な課題が山積みです。そんな中で五泉市 とにも地域在宅医療を最低限維持出来ることにも では「五泉市在宅医療・介護ネットワークの会」 つながると確信しています。 を立ち上げ医師会主導のもと多職種、行政と連携 昨年、南部郷総合病院長に就任された梨本篤先 を深め相互理解を得る為に研修会や講演会を企画 生の御尽力により市では胃ガンリスク(ABC) 開始したところです。医療関係者からは医師会の 検診をこの4月から開始。又、同病院の新築移転 先生と充分なコミュニケーションが取れるように の為の協議会も設置されました。 「地域医療」の なったと好評です。一方阿賀町ではこの2月に御 為には大切な後方支援病院と考えています。当医 亡くなりになった阿部昌洋先生の長年にわたる多 師会としても出来る限りの協力を惜しまないつも 大な御尽力により既に「へき地在宅医療」は関係 りですが県、市などの行政、医療関係団体からの 団体、町民も含めモデルケースとしてかなり進ん 協力、支援を心から願うところです。以上、雑駁 でおり問題は阿部先生亡き後これをどのように維 ではありますが思うところを記しました。 持していくかが課題になっています。 (阿部先生 (五泉市東蒲原郡医師会長) 新潟県医師会報 H28.3 № 792
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