DEIM Forum 2016 P-1 UAV による撮影画像の 5D World Map へのマッピングによる 時空間・環境データベースの構築 古瀬達哉† 佐々木史織‡ 清木康† †慶應義塾大学総合政策学部〒252-0882 神奈川県藤沢市遠藤 5322 ‡慶應義塾大学政策・メディア研究科〒252-0882 神奈川県藤沢市遠藤 5322 E-mail: †‡{s13789tf,sashiori,kiyoki}@sfc.keio.ac.jp あらまし 本稿では、小型無人飛行機の操縦技術と撮影技術を応用し、5D World Map での画像マッピングによ って地表の検知をミクロに行うことで環境調査における新たな時空間・環境データベースの構築と学術連携を行う 専門ナレッジ共有システムの開発において述べる。主たる調査対象として湿地帯や森林地域における UAV 撮影を行 う。UAV には rgb カメラ及びマルチスペクトルカメラを搭載し、近赤外線画像を用いて NDVI(Normalized Difference Vegetation Index) 等の計算を行う。特に地表の植物の状態をモニタリングをするとともに、地表の物質微細な変 化を事前に取得を行い、重大な変化が起こる前に環境中の変化分析を行う。 キーワード UAV,小型無人飛行機,時空間,マルチスペクトルカメラ,マルチメディア 1. は じ め に 昨今 の経済発展 は産業革命 より 爆発的 に進行 し、環境 は世界 の経済発展 による 負担 を蓄積 させてきた 。環境 であり 、現代 においても 商品作物 の栽培 によって 森林 が犠牲 になっているという 現状 が存 在 す る 。 そ こ で 、本 研 究 に お い て は 上 記 の 課 題 を 解 決 す る 破壊 は、近年 になって 如実 に確認 されるようになっ 手 段 と し て 植 物 を 判 別 す る 手 段 と し て rgb カ メ ラ 及 た。今日 の環境破壊 の分野 は多岐 に渡るが 、その 中で びマルチスペクトルカメラにて近赤外線画像を取 も 、 地 球 温 暖 化 は 世 界 の 異常気象 と共にマスメディ 得 し 、画 像 解 析 を 行 い 時 空 間 環 境 と し て の 5D World アを介して世界中に認知されることとなった。 Map[1]を 使 用 し た シ ス テ ム の 構 築 を 提 案 す る 。 環境破壊 によってもたらされた 地球温暖化 の影響 は、世界各地 で様々な形として 確認 されるようにな 2. 時 空 間・環 境 デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム 構 築 の 手 り、北極圏 の海氷 のみならず 、シベリアの 永久凍土 は 法 徐々には 融解 し土中 に含まれていたメタンガスが 大 気 2.1 シ ス テ ム の 基 本 構 造 中 に 放 出 さ れ 地 球 温 暖 化 を 加 速させている 。また 、 海水温 の上昇 により 局地的 な砂漠化 が進 行 す る と と もに、各地の雨量変化を招いている。このように 本 シ ス テ ム は 、無 人 小 型 飛 行 機 (以 下 UAV)を 使 用 することによってこれまで航空写真や衛星画像では撮 影することのできなかった地域を撮影することが可能 と な っ た 。UAV に よ っ て 撮 影 す る 画 像 、画 像 解 析 を 行 様々な環境問題 が温暖化 によって 引き起こされている っ た 結 果 に よ る 現 時 点 で の 環 境 変 化 分 析 そ し て 、 5D が、その 中でも 特に森林減少 は顕著 であり 、本 研 究 は World Map へ 画 像 マ ッ ピ ン グ を 行 う こ と に よ る 時 空 間 森林の植生に着目して行う。 データベースの形成を行う 3 つのサブシステムによっ 世 界 の 森 林 面 積 は 約 40.3 億 ヘ ク タ ー ル 存 在 し て お り 、そ の 全 陸 地 面 積 は 約 31%を 占 め て い る 。さ ら に 、そ の 森 林 は 毎 年 520 万ヘクタールの 勢いで 減少 を続けており 、また 、これを 阻止 する 有効 な解決策 が 確 立 し て い な い 。森 林 の 減 少 は CO2 の 吸 収 率 を 減 少 さ せ る こ と は 良 く 知られているが 、森林 の減少 は特 にインドネシア 等の赤道 に沿った 熱帯雨林地域 に顕著 て 構 築 さ れ て い る 。 (図 1) 3. 実 現 方 法 3.1 画 像 の 補 正 UAV を 使 用 す る に 当 た り 、静 止 画 を 取 得 す る 都 合 上安定した飛行を実現することが求められるため、 GPS と 超 音 波 で 安 定 飛 行 を 実 現 可 能 な dji 社 の inspire1[2]を 機 材 と し て 使 用 す る 。 ま た 、 UAV で の 撮 影においては広角レンズを搭載するアクションカメラ を活用することから、画像に歪みが生じてしまう。そ のため、画像解析を行う前に画像の補正を行う。画像 を 補 正 及 び 解 析 す る 手 段 と し て MATLAB_R2014b[3]を 使用する。 3.1 NDVI の 活 用 NDVI と は 、Normalized Difference Vegetation Index の略称であり、植生の分布状況や活性度を示す正規化 植生指標であり、衛生画像解析で植生を把握するため に 用 い ら れ る 指 標 で あ る 。[4]本 シ ス テ ム で は こ の 指 標 を用いて地表の環境中の変化分析を行っている 。 図 1 システム基本構造 NDVI=(NIR-RED)/(NIR+RED) 2.2 本 シ ス テ ム の 特 徴 本 シ ス テ ム は 環 境 分 析 ツ ー ル と し て の UAV を 活 用し、様々な角度と範囲を任意にデータ取得すること が可能であり、対象地域、対象物体に応じた最適なマ 4. 実 験 結 果 と そ の 検 証 4.1 実 験 概 要 実験にはデータを取得する機材設定から行われ ルチメディアデータベースの構築を行うことができる。 る が 、シ ス テ ム の 目 標 で あ る と こ ろ の 5D World Map で また、時空間上にマッピングすることで多角的な知見 の画像マッピングによって地表の 検知をミクロに行う から状況判断が可能となる。 ことで環境調査における新たな時空間・環境データベ ースの構築と学術連携を行う専門ナレッジ共有システ 2.2.1 リ ア ル タ イ ム で の マ ッ ピ ン グ 反 映 UAV に よ っ て 撮 影 さ れ た 画 像 を リ ア ル タ イ ム に ムの開発に重点を置くために、獲得した画像データの 補正から述べていくこととする。 マッピングできることで、撮影者がどの地域いても情 報共有が可能なシステムが構築可能である。これによ 4.2 画 像 の 補 正 って新たなオープンワールドでの閉世界を構築しナレ まず、元の画像と修正データの比較から行っていき ッ ジ 共 有 を 行 う 共 有 シ ス テ ム が 構 築 さ れ る 。 (図 2) たい。 図 3 RGB 補 正 前 画 像 図 4 NIR 補 正 前 画 像 これら 2 つの画像を見ると広角レンズカメラ特有の 図 2 リアルタイムでのマッピング 歪みが画像 4 端に向かうほど大きくなっていることが 確認できる。 こ れ ら の 画 像 を MATLAB を 用 い て レ ン ズ 補 正 し た も の が 以 下 の 図 5,6 で あ る 。な お 、NDVI と し て の 正 規化を行うために補正画像はグレースケールとして出 力している。 図 7, RGB 画 像 特 徴 点 の 抽 出 図 5, RGB 補 正 後 画 像 図 6, NIR 補 正 後 画 像 図 8, NIR 画 像 特 徴 点 の 抽 出 補正後の画像は画像の 4 端の歪の大きい部分をカッ このように特徴点を抽出し、それをマッチングさ トし、中心に近い部分のレンズ補正が行われているこ せることにより、画像の重ねあわせ精度を向上させる とがわかる。外側に位置する建物や空き地が直線的に こ と が で き る 。 そ の こ と に よ り 、 NDVI 画 像 の 生 成 が 補正されており、その補正具合を確認することができ 可能となる。 た。なお、レンズ補正はパラメータの定義によって行 われており、レンズによってパラメータを変える必要 がある。 4.4 NDVI 画 像 の 生 成 図 7 及 び 図 8 を 用 い て NDVI を 生 成 し た 結 果 が 図 9 である。 4.3 画 像 の 特 徴 点 の 抽 出 正規化を行うに当たり、2 枚の画像を合成するこ とが求められる。そのため、実験では 2 台のカメラを 用 い て そ れ ぞ れ の 歪 み 補 正 を 行 う 必 要 が 生 じ た 。NDVI の画像を生成するにあたり、2 枚の画像の特徴点を抽 出し、それに基いて画像の合成を行っていく。画像の 特 徴 点 を 抽 出 し た 結 果 が 以 下 の 図 7, 8 で あ る 。 図 9, NDVI 画 像 の 生 成 5. 考 察 ・ お わ り に 本実験の結果から、植生分布としての特徴を生成し 実験を行うことができた。 本 稿 で は 、時 空 間・環 境 デ ー タ ベ ー ス の 構 築 を 行 い 、 システムを構築するとともに、実験を行ってきた。 今後の展望として、さらなる精度の追求と多角的な 実験を行っていく環境が今後の課題であり必要である と思われる。 謝辞 本研究に取り組むにあたり、所属研究会の慶應義塾 大学清木康先生、佐々木先生から多くの助言を頂きま した。 また、研究会の学生の皆様からも切磋琢磨しながら、 新しい見識、評価を頂きました。 清木先生、佐々木先生を筆頭に、本研究に関わって 頂いた皆様に深く感謝いたします。 また、ドローン飛行場所を提供してくださった施設、 機関にもこの場を借りて御礼もうしあげます。 参 考 文 献 [1] 清 木 康 ,感 性 や 意 味 を 計 量 す る デ ー タ ベ ー ス シ ス テム : 人間と情報システムの記憶系について, Keio SFC journal 13(2), 19-26, 2013. [2] DJI inspire1 http://www.dji.com/jp/product/inspire-1/ [3] MathWorks, MATLAB http://jp.mathworks.com/videos/release -2014b-highli ghts-95173.html?refresh=true/ [4] 野 口 泉 , 気 温 に よ る 森 林 地 域 の NDVI 推 定 モ デ ル の 開 発 ,北 海 道 環 境 科 学 研 究 セ ン タ ー 所 報 第 32 号 , pp.43-56, 2006
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