Page 1 Page 2 AVEWS LETTER _2000 2 No 24 千221

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Title
Author(s)
Citation
01 'You've come a long way' −橋本萬太郎さんのこと
−
国広, 哲弥; Kunihiro, Tetsuya
NEWS LETTER, 24: 01-01
Date
2000-02
Type
Research Paper
Rights
publisher
KANAGAWA University Repository
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- 橋本寓太郎 さんのこと 国
今か ら十数年前 、まだ東大 に在職 していた頃の
話 で あ る あ る時 旧知 の ア メ リカの言 語 学 者
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eさんが何 かの用事 で 日本 にや っ
て きた。かつて神 田外語大の学長であった井上和
子先生 と私 に会いたい とい うことで、私の研 究室
に三人が集 まった。その時 にフィルモアさんが盛
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んに話 して くれたことは、 r̀
パス言語学的な分析 のこと、亡 くなる直前の橋本
寓太郎 さん を見舞 った時 の話 であった。 `
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の話 はその時はよ く分か らなかったが、のちに論
文の形で発表 され、その論文 は神大の大学 院で読
んだ。その研究成果 は、私が編集 に参加 したある
英和辞典の中に しっか りと取 り入れてある
フィルモアさんの来訪の少 し前 に橋本寓太郎 さ
んは胃が んのために五十台 とい う若 さで亡 くなっ
ていた。寓太郎 さん と私 は共通の師である服部四
郎先生 を通 じて若い頃か ら知 り合いであったが、
同世代の言語学者の中で寓太郎 さんは私の もっと
も尊敬す る人である。碩学で独創 的、私 など足元
に も及ばない と言 うもお こが ましいほ どである。
この国際的な大言語学者 を余 りにも早 く失 って し
まったことは、 日本の、否世界の言語学界 の一大
痛恨事であると言わねばな らない。最近、寓太郎
さんの論文集が出版 されることを知 り、 さもあ り
なん と喜 んでいる
さて、フィルモアさんと寓太郎 さんはオハ イオ州
立大学時代以来の親友 であ った。寓太郎 さんが余
命幾 ば くも無い と聞いて フィルモアさんはアメリ
カか ら見舞いに駆けつけた。その時嵩太郎 さんは、
広
哲
弥
れか らは私の無知 をさらけ出す話 になるのである
が、 これ を聞いた時 、「遠 い ところをはるばる よ
く来て くれたブ
コ」 という文字通 りの意味にとって、
それ以上の ことは考 えなかった。 しか し今 に して
思 うと、ひ ょっ とす る と二人の親友 はこの言葉 に
何かほかのニュア ンス を込めていたのではないか
とい う疑問が生 じるのである。それ とい うの も、
ある日 『
小学館 ランダムハ ウス英和大辞典第二版』
y'の項 を見ていた ら、イディオム として
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いて、これは 「
君 は大物 になった」 とい う意味で
あ り、 ア メ リカの タバ コ Vi
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msの標語
であると説明 してあったのである。 フィルモアさ
んが私たちの前で何度 も感慨深 げにこの言葉 を繰
り返 していた時、寓太郎 さんはこの裏の意味 を込
めていたのだ とい うことを匂 わせていたのではな
いだろうか と思 うわけである。私たち もその事 に
気付 いて、何 らかの反応 を示すべ きではなかった
だろうか と、 自分の無知 を恥 じている。今度 フィ
ルモアさんに会 った ら尋ねてみたい と思っている。
橋本寓太郎 さんの独創的な碩学ぶ りは、その著
書 『
言語類型地理論』(
弘文堂)と 『
現代博言学 一
言語研究の最前線 - 』 (
大修館書店 ) を読 めば分
る。私 は年来、一度読 んだ本 は再読 しない人間な
のであるが、 この 『
現代博言学』 だけは例外で、
いつ も暇があった ら再読 したい と狙 っている。そ
こに見 られる考察の しかた、博読 に基づ く思い も
かけない情報の提供 な どの研究態度 ・方法が魅力
的である。寓太郎 さんは、若い頃、魯迅の ような
口ひげを生や していたが、これ も魅力的であった。
口ひげの似合 う日本人 とい うのは非常に少ないが、
寓太郎 さんは例外 的な存在であった。
。
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と言 った と、フィルモアさんは繰 り返 し語 った。
私 も井上先生 もただ黙 して聞 くのみであった。 こ
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