次世代エネルギー技術実証事業成果報告(補正予算に係るもの) 【平成26年度】 補助事業者名 :株式会社 東芝 補助事業の名称 :平成 26 年度次世代エネルギー技術実証事業費補助金(補正予算に係るもの) C-1.ネガワット取引に係るエネルギーマネジメントシステム構築と実証 東京電力管内 運転予備力調達型DRを実現するアグリゲータシステムの構築と実証 実証事業の目的・目標 運転予備力調達型DRを実現するアグリゲータシステムを構築する。また、需要家の電力データを採 取する電力計測器を導入し、各拠点に設置する。 本実証で採用されるDRメニューにおいて発動するDRに対し、需要家のDR調整量の評価を行う。 目標とする需要調整量に対し、実際にどの程度の需要調整が行われるかを検証し、DRの特性を評価す る。また、需要家を束ねることによるアグリゲーション効果を検証する。 実証事業の概要 電力会社・アグリゲータ間、アグリゲータ・需要家間で運転予備力調達型デマンドレスポンスの契約 内容に合意した上で、その合意内容に従ったデマンドレスポンスの発行を行う。この時、デマンドレス ポンスによる需要家のDRポテンシャル評価およびアグリゲーション効果を検証する。 本事業では、アグリゲータシステムをデータセンターに構築し、当社事業所よりシステムの運用を行 う。一般電気事業者からのDR発動を早稲田大学 新宿EMS実証センターのDRASサーバーを介し て、アグリゲータシステムで受信する。この際、DRASサーバーとアグリゲータシステムはOpen ADR2.0bプロトコルでDR発動シグナルの授受を行う。受信したDR発動をもとに需要家にDR 要請を行う。DR要請は電話、メール、DR信号によって行う。DR結果やベースライン計算用の電力 データは需要家の拠点に設置した電力計測器よりオンラインで収集を行う。 実証スケジュール 以下のスケジュールに従ってデマンドレスポンスの実証を行った。 項目 平成27年 4~6月 平成27年 7~9月 平成27年 10~12月 平成28年 1~3月 システム開発 機器設置 遅れて実証に参加する需要家向け 実証運用 データ分析 実証事業全体の成果 本事業では、電力会社・アグリゲータ間およびアグリゲータと需要家間において反応時間、持続時間、 DR容量の合意・契約を行い、2015 年 8 月から 2016 年 1 月にかけて、早稲田大学新宿 EMS 実証セン ターからDR発動を実施した。電力会社からアグリゲータへは合計 60 回のDR発動が実施された。合 計 60 回のDR発動において、アグリゲータから需要家へDR発動は合計 193 回となった。総契約削減 量 235,422(kWh)に対して、284,606(kWh)の削減量を達成した。 ■需要家のポテンシャル評価 需要家へのDR発動は 193 回実施することができ、以下の結果が得られた。 DR対応内容が発電機、発電機以外(空調/証明、生産ライン調整、換気ファン調整)の2つに 分類して結果分析した所、発電機により削減を実施する方が、発電機以外の対応内容と比べ、予 定通りの運転を行うことができるため、安定した電力削減ができていることが分かった。 契約削減量の小さい需要家は、ベースライン誤差の影響により削減効果が消されてしまっている 可能性があり、安定した電力削減ができていない。 本実証では、アグリゲータと需要家間のDRメニューはひとつであったため、今回のDRメニューに 合わない需要家も存在した。そのため、アグリゲータが需要家の特性に合わせたDRメニューで契約を 行うことで、需要家の成功率/達成率があがる可能性があると考えている。 ■アグリゲーション効果の検証(アグリゲータとしての評価) 本実証が需要家のポテンシャル評価に重きが置かれていたため、需要家の契約量の分布に偏りがあっ た場合でも、全ての需要家に発動できるように多めのアグリゲータDR契約容量を設定し、全ての需要 家へDR発動を実施した。その結果、アグリゲータとしての成功率は低くなってしまった。 アグリゲータとしての評価については、需要家のポテンシャル評価の影響を受けやすいことが分かっ た。需要家のポテンシャル評価とは、独立して検証を行うことで、真のアグリゲータの削減能力が検証 できる可能性があることが分かった。
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