伝統と先端 - 静岡県

「伝統と先端」
で富士に向き合う
39
デザインについての考え方
簡潔で品格ある平明な佇まい
●
室内天井から軒につながる
「化粧桔木」
中央に耐震要素(柱・貫)
を集中し、外周部は軸力のみを受ける細柱
とします。 さらに、天井裏が無いことで階高を低く抑え、水平的に
広がる展望と伸びやかで品格あるプロポーションを実現します。
大らかで優美な反りのある屋根
●
雨が多い日本の気候風土で深い軒を実現するために発明された
「化粧桔木」
として
「桔木」、伝統的には黒子であった桔木に注目し
室内外を貫き、外からもその存在が判る天井の主役として計画します。
●
屋根の軽量化、桔木により獲得した伸びやかで深い軒
屋根は富士山に似た緩勾配の寄棟的な意匠とします。 中央に窓を
設けることで、春、秋の中間期には重力式の自然換気を行い、運営
コストを削減します。また非常時には排煙口となります。
●
屋根の主要構成要素として、発泡プラスチック充填の高い剛性を
備えた軽量の屋根パネルと、瓦の 1/10 の重さの金属屋根を採用
することにより、伸びやかに宙に舞う深い軒を実現します
大らかで優美な反りを
持つ屋根
ソーラーパネル検討
+305
▽最高部
10
3.5
自然換気 兼 排気口
発泡プラスチック充填
合成パネル / t=130mm
高精度、軽量化を可能と
する合成パネル
天井仕上材兼用
力垂木 / 150×240mm
化粧桔木 / 60×150mm
3,800
室内外を貫き深い軒を
実現する「化粧桔木」
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富士山
桔木と力垂木をお互いに差し込ませ
直行方向に支点となる桁を入れて
深い軒を支える「支点桁」の構造
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▽軒高
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展望施設
2,700
展望回廊
●
●
600
メンテナンスデッキ
障子、 、床の間などで仕切られ
大規模なレセプションにも対応可能
B
A
3F PLAN 1/300
LOCATION
最小人数で運営が可能な施設
天井内にダクトを設けず、実績ある床下 SA チャンバー方式による
集中空調方式とすることで、コストを抑えつつ美しいプロポーション
を獲得します。
深い庇で
汚れにくい窓
メンテナンス
デッキ
富士山方向
●
富士山眺望軸
富
士山
士山
山眺
眺望軸
無料施設であることを踏まえ、1階に施設入口と人的なサービスが
必要なラウンジ、コンシェルジェ、ゲストルームを集中配置し最小
の人数で運営可能な施設とします。
日本的な室礼で可変性の高いゲストルーム
●
自然通風・排煙
1階ゲストルームは富士山、清水港を一望に収める北西角に設けます。
外部には濡れ縁を設け、室内は内法高さ2.1 mの障子、 、床の間
などで間仕切られた純日本的な空間構成とし、階すべてを使用した
大規模なレセプションなどにも対応できます。
ソーラーパネル
アプローチ
B
前庭
2,100
3,250
ゲストル ーム
2F PLAN 1/300
階高を3.25 mと低く抑え、内法寸法 2.1 m、梁下 2.7 m、天井高 3 m
を基本とした無駄の無い断面構成とします。
軸力のみ受ける細い柱で
水平的に広がる展望を確保
階段室
伊豆半島
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天井裏がない階高の最小化
窓の高さ、軒の深さは
眺望分析により決定
玄関
清水港
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1F PLAN 1/300
- 7°/ 清 水 港
▽2FL
'8
日本平
+ 4°/ 富 士 山 頂
柔らかい材料で下階
への振動を防止
+298.5
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'8
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+301.5
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C
RAシャフト
SA
C
RA
83
SA
EV
富士山方向
+295.3
フレキシブル SAダクト
ダクト150Φ
▽1FL
床下空調
MR
SA
遠景(富士山)
床下空調とし
天井は貼らない
中景(清水港)
近景(前庭)
シンボル施設
機能性、経済性を重視した施設・設備の配置計画についての考え方
富士に対峙する
「方形」の強いかたち
天井裏を設けず、床下SA
チャンバー方式の空調
袴壁
3,250
耐震要素となる
柱と貫による構造
●
展示施設
前庭
重層する風景を望む建築と庭
日本平公園整備の魁となる山頂シンボル施設と展望回廊は、簡潔で
強い造形
「方形」
とします。 施設と回廊をコンパクトに配置することで
経済的に実現できます。
玄関
共生の森
共生
の森
森
県産材の活用についての考え方
後世に受け継がれる日本の木造技術
「通し貫+楔」
「桔木」
「長ほぞ」
「車知」
「込栓」
といった要素技術を
駆使することで、構造性能を担保しながら美しい架構と接合部を
つくり、豊かな木造空間を実現します。
●
▽B1FL
伝統技能を活かす木の架構と、現代技術を適用して合理的工事が
可能な要素とに分け、適材適所を図ることで高性能・高精度の維持
とコスト縮減を両立します。
木造建築に関する経験とネットワークを活かし、地域の生産環境
(木材や技術)を徹底的に把握し設計へのフィードバックと木材
調達準備を促します。
風景の森
風景の
風
風景
景の森
景の
景
の
の森
森
デジタル
放送施設
静岡の材料による
「純木造建築」
●
+292.0
富士山への眺望軸上に思索の庭(石の平庭)を設けることで、近景
(前庭)
、中景(清水港)
、遠景(富士山)が重層する風景が堪能できる
場を創ります。また豊かな自然を保全し環境に配慮した修景とします。
●
●
●
●
軒高を抑えることで、
「裸木造
(一般木造)
」
を可能にし、大断面集成材
ではなく県産の無垢木材を使う設計とします。
展望回廊は木造「懸造り」
を検討します。
歴史の
歴史
歴
史の
ゲートゾ
ゲ
トゾー
ーン
ン
吟望台
吟
望
展望回廊
ユニバーサルデザインへの対応についての考え方
誰もが等しく感動できる
「唯一無二の風景」
●
木のぬくもりを感じる優しい施設
お年寄りや車椅子の方にも等しく感動できる風景が堪能できるよう、
施設に至るスロープを演出します。
●
ぬくもりのある木を中心とした材料の採用や、段差のない設計とする
など、すべての人が安全に施設や回廊を利用できるようにします。
MASTER PLAN 1/1,000
アプローチ
展望施設 / 化粧桔木の優美な軒
展望回廊 / 懸造りの回廊
前庭 / 静謐な石の庭