作曲家としてのマリー・シェーファー

マリー・シェーファー
• 作曲家
• 音楽教育者
• サウンドスケープ研究
1933年カナダ生まれ
作曲家としてのマリー・シェーファー
マリー・シェーファーの音楽観並びにサウン
ドスケープの思想には,ジョン・ケージの音
楽観が強く反映されている
ケージの音楽観
音楽とは音である。コンサートの中と外とを
問わず,われわれを取り巻く音である。
「楽音」対「騒音」の2項対立の解消
ケージの音楽は,楽音として洗練されてきた
伝統的な楽器の音のみでなく,
我々の周囲にある日常生活の音,自然の音な
ど,あらゆる種類の音を素材にする。
あらゆる音が音楽になる。
→サウンドスケープの思想
(ケージに至る)現代音楽の流れ
• ルッソロ 騒音楽器 素材の拡大
• サティ 家具の音楽 環境音楽
• シェッフェル ミュージックコンクレート
音楽的な枠組みの解消
• ケージ 偶然性の音楽 作品としての枠組
みの解消 環境の音を素材に
• シェーファー サウンドスケープ
環境の音の美的価値
ルッソロ 騒音楽器
伝統的な楽器だけにとらわれず,日常的な
音を音楽に取り入れた,素材の拡大が試
みられている。
しかし,音楽としての枠組みは,従来通り。
未来派(イタリア)運動の一環
ケージの音楽観
音楽とは音である。コンサートの中と外とを
問わず,われわれを取り巻く音である。
「楽音」対「騒音」の2項対立の解消
ケージの音楽は,楽音として洗練されてきた
伝統的な楽器の音のみでなく,
我々の周囲にある日常生活の音,自然の音な
ど,あらゆる種類の音を素材にする。
あらゆる音が音楽になる。
→サウンドスケープの思想
エリック・サティ Eric Alfred Leslie
Satie, 1866年5月17日 - 1925年7月1日)
家具の音楽、環境音楽
環境的な音楽の捉え方が
試みられていた。
同一音形を繰り返す手法
代表作:オジーヴ,ジム
ノペディ,グノシエンヌ,
あなたが欲しい,ヴェク
サシオン,家具の音楽
シェッフェル ミュージックコンクレート
様々な音を録音し,これを組み合わせて一
つの作品とする。
あらゆる音が音楽の素材になっている。
音楽的な枠組みはとっぱらわれているが,
作品としての枠は残っている。
Pierre
Schaffer
ミュージック・コ
ンクレートの創
始者
パリのフランス
放送局の録音
技師
ジョン・ケージ
音楽とは音である。コンサートの中と外と
を問わず,われわれを取り巻く音である。
「楽音」対「騒音」の2項対立の解消
あらゆる音が音楽となる。
伝統的な楽器の音のみでなく,我々の周囲
にある日常生活の音,自然の音といった,
あらゆる種類の音に作曲家たちを直面させ
る。
「四分三十三秒」
ケージの音楽観の象徴
ピアニストが現れて,ピアノの前に,「四分三
十三秒」座って,そして,ピアノをひくことなし
に引っ込む。
この作品は,いろんな人に,いろんな形で取り
上げられているが,現代音楽の一つの流れのなか
で,ケージの成しえたことをあらわすという意味
で,シンボリックな作品である。
作曲家によって構成されない現実の音響的出
来事を聴く(=音楽)
→伝統的な意味で「音楽的」かどうかという
ことに拘らず,あらゆる音響を素材にするこ
とを可能に(音楽史上,画期的)
「偶然性」(ケージの音楽の特徴)の導入
→音響と音響を関係づけない
音楽家は,初めて,環境音と直接向かい合う
ジョン・ケージは,従来のクラシックの
音楽家がいだいてきた,「楽音」対「騒
音」の二項対立の図式をうち破った。
「四分三十三秒」は,それを象徴する作
品:すべての環境音が聴取の対象。
マリー・シェーファーのサウンドスケー
プの思想もまた,すべての環境音を聴取
の対象として位置づける。
「楽音」対「騒音」の二項対立の解消は,
サウンドスケープの思想の根幹でもある。
•音楽に環境の音を取り入れる
(ケージの音楽観)
•環境の音を美的な態度で聴く
(サウンドスケープ)
•20世紀の音楽の展開をたどっていくと,そこ
から一歩進めば,「サウンドスケープ」の思
想が生まれる状況
•サウンドスケープの思想は,20世紀の音楽の
流れとして必然的展開であり,その帰結
R. Murray Schafer
Music for Wildness Lake
湖の畔で演奏されるトロンボーンの合奏曲
dusk(夕暮れ) +dawn(夜明け)
空間,時間が規定されている
=音楽を森羅万象の活動と関連させる
シェーファー
「星の王女」
湖上と周りの森を舞台
に,湖の周りに楽器を
配置して展開
音楽を,森羅万象の営
みのなかに,音楽をと
き放つ試み
湖上のオペラに耳を傾
けることによって,と
ぎすまされた感覚で耳
が自然界へ導かれる
• シェーファーの創作活動は,音環境を
聴取の対象として設定することによっ
て,現代人の耳を音環境全体へ開くた
めの戦略
• それは,作曲活動であり,教育活動で
あり,さらに,サウンドスケープデザ
インの実践活動でもある。