子育てコーチング

日本コーチ協会山陰チャプター社会貢献活動
子育てパパ・ママ対象の子育てコーチング
2015年7月12日(日) 13:30 ~ 15:30
NPO法人日本コーチ協会山陰チャプター 代表
あだち人材育成研究所 代表 足立博俊
国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ
コーチA クラスコーチ、研修トレーナー
子育てパパ・ママ対象の子育てコーチング
目的
(1)お母さんとか保育士さん等子育てにかかわる方がコーチングコミュニケーション
を身につけることにより、子供の成長と自律性をサポートできるようになる。
(2)かかわるお母さんとか保育士さんが子供といい関係を築き、楽しんで子育てが
できるようになる。
構 成
1. アイスブレイク
2.コーチングの概要
3.子育てにおけるコーチングの有効性
4.子育てコーチングとは?
5.ディスカッション:
(1)どんな子供に育てたいか? (2)どんなお母さんになりたいか?
6.子育ての悩みとお母さんの対応例
7.子育てコーチングの基本
8.子育てコーチングの対応編
9.子育てコーチングの決めワザ
10.ケーススタディー(時間次第)
11.振り返り
[子育てコーチング]の具体例
(8)子育ての対応編
①リフレイン ②Iメッセージ
③受け止める
(9)子育ての決めワザ
①承認 ②傾聴 ③リフレイン ④Iメッセージ
⑤リフレーミング ⑥視点を変える ⑦WHATとHOWによる質問
⑧信じる
(10)子育てコーチングのケーススタディ(時間次第)
①子供のヤダヤダを解消する
②片づけ
③朝、自分で起きれるようになる
④習い事をやめたい
⑤子供のやる気を引き出す
⑥騒ぐ子供を静かにする
⑦子供に対するイライラをどうする
[参考図書]
・今回の研修に当たっては、
子育て現場における会話として、
(1)「いい加減にしなさい!と起こらない子育て」
(2)「今日から怒らないママになれる本」
川井 道子 著
を引用させていただきました。
コーチングとティーチング
ティーチング
コーチング
(引き出す)
(教える)
知識
「人」
能力、可能性
能力
技術
やる気
方法等
行動等
人は、無限の可能性を持っている。
コーチは、その可能性を引き出す役割をおこなう。
現実には、相手の状況をよく観察し、ティーチングとコーチングをうまく組合せる
ことによって、成果を上げていくことが重要である。
ゴール:夢、目標
成果目標、学習目標
なりたい姿、望む状態
COACHING(概念図)
コーチングの定義(足立)
•その人の能力、可能性を引き出し
ながら、自発的な行動を促し、目標
達成をサポートするコミュニケー
ションの手法である
人間観
プロセス
•人間は無限の可能性を持っている
•コーチングフロー
•人はみな違う
•GROWモデル
•相手が必要としている答えはその人
の中にある
スキル
ファウンデーション
ライフバランス
ニーズ、価値
強み等
•聴くスキル(相手を受けとめる)
•承認のスキル(相手をやる気にさせる)
•質問のスキル(可能性を引き出す)
子育てにおけるコーチングの有効性(私見)
(1)コーチングは目標達成に向けてのコミュニケーションであり、
子供に夢とか目標を持ってもらうことができる。
そのことで、毎日をワクワクと楽しみながら取り組むことができる。
(関わるお母さん、保育士さんにとっても同様)
(2)子供は成長が早く、どんどんできるようになっていく。
子供のできるようになっていくところ、いいところを承認することで、
更なる成長のサポートにつながる。
(3)子供は好奇心旺盛である。
いろいろなことをやりたがる。いろいろなことに疑問を持つ。
「ああしなさい」、「こうしなさい」、「ああしてはダメ」、「こうしてはダメ」で
はなく、体験できるチャンスを与える。学べる機会を与えることが大事。
コーチングは行動に焦点をあてたコミュニケーションであり、
行動を促し、行動した結果をフォローしていきます。
また、子供の「なぜ?」には、「なぜだろうね?」と質問で切り返し、
「考えさせる。調べさせる」ことを行います。
そのことで子供の自立を促していきます。
(4)一人ひとり子供は、皆違います。
一人ひとりの子供に応じたかかわり方、指導の仕方が必要です。
そして、その子の持って生まれたその子供ならではの力を引き出して
あげましょう。
コーチングは個別対応を原則にしています。
(5)子供は、まだ自己基盤が整っていない。
コーチングでは、相手の自己基盤(ファウンデーション)を整えることを
重視しています。
子供の「生活のバランス」を整えたり、「責任」とか「愛情」とか「人の役
に立つこと」など、しっかりした考えを持つ子供に育てることが出来ます。
(6)コーチングは人間尊重がベースになっています。
子供を温かい目で見つめ、接していきましょう。
子供の存在をしっかり受け止めてあげましょう。
子供の話をしっかりと聞いてあげましょう。
そうすることで、子供に自己肯定感が生まれ、
自分を大切にする心がはぐくまれていきます。
心豊かな子供に成長していくことでしょう。
子育てにおけるコーチングの活用分野は広い!
子育てコーチングの基本は、「受け止める」こと
(1)子育てコーチングの基本は、まず、「子供の気持ちを受け止めること」である。
例えば、赤ちゃんが泣いた時、
「おーよしよし、泣いているの、おなかすいたの?」という感じ。
(2)では、どうして受け止めることができなくなるのか?
子供が、2~3才になり、口答えをしたり、言うことを聞かなくなると、そちらば
かりに目が向かって、この「受け止める」ことを忘れてしまうのである。
また、下に子供が生まれたりして時間的にも、精神的にもお母さんに余裕が
なくなるといった環境的なことも大きな原因となる。一方、子供は子供で「もっ
とお母さんに自分の気持ちをわかってほしい」と思うので、ダダやイヤイヤを
エスカレートしていく。この悪循環が子育ての悩みを大きくしていると言える。
(3)受け止めるための大切な3つのポイント
①まず、子供をよく見る。
先入観を持たずにあるがままをみる。観察する。
②しっかり聞く
③信じて待つ
「リフレイン」
(1)リフレイン(同じ言葉の繰り返し)
「なるほど、何々なんですね」と同じ言葉を繰り返すことにより、相手との共感
が生まれる。
自分が投げたボールが、また、自分のところに返ってくると、安心感、完了
感を生じる。
「ちゃんと聞いていますよ」ということを伝えることができる。
Aさん
Bさん
リフレインの例
Bさん:「Aさんの趣味は何ですか?」
Aさん:「私の趣味は、ゴルフです」
Bさん「なるほど、Aさんの趣味はゴルフなんですね」
「リフレイン」ワークの実施
二人ペアーのなり、交互にリフレインの実習
子供:「お兄ちゃんがたたいたぁ、私なにもしてへんのにぃ…」
お母さん:「そっか、お兄ちゃんがたたいたいの?痛かったねえ」
子供:「うん、思い切り、ここ、バーンって」
お母さん:「そう、ここ? バーンってやられたの?」(ヨシヨシ)
「お兄ちゃん叩くのはアカンなあ」
子供:「でも、わたしもときどき弟のことたたいちゃう」
「Iメッセージ」で伝えるワークの実施
二人ペアーのなり、交互に「YOUメッセージ」と「Iメッセージ」の違いの実習
はじめに「YOUメッセージ」
お母さん:「たたくのやめなさい!」、「あなたはどうしてすぐにたたくの!」
子供
:「だって、・・・・・・」(反論する)
次に、「Iメッセージ」
お母さん:「あなたがたたくのを見ていると、お母さんは悲しくなるなぁ」
「お母さんは、あなたがたたくのをやめてほしいなぁ」
子供
:「わかってるって、私がたたいたら、お母さん悲しいんやろ」
伝え方のスキル:「YOU、I、WEメッセージ」について
では、メッセージにはどんなものがあるか、説明をしておきます。
メッセージには、YOUメッセージ、Iメッセージ、WEメッセージの3種類があります。
(1)YOUメッセージ {あなた」を主語にする
YOUメッセージは、相手へのメッセージです。(あなたメッセージです)
「自分のよいところが、このように認められている」という事実が伝わります。
表現としては、「あなたは、○○ですね」という言い方です。
例えば、「あなたは、ネクタイのセンスがいいですね」とか
「あなたは、前向きな方ですね」といった感じです。
YOUメッセージの危険性
「当たっている」、「当たっていない」とか「うれしい」、「うれしくない」といった判
断が出てくる。
そして、YOUメッセージの危険性は、「ほめ殺しになる危険性」とか「その人へ
の評価、いやみになる可能性」があることです。
(2)Iメッセージ 「私」を主語にする
相手の存在が、自分に何をもたらしているかを伝えるメッセージです。
即ち、「自分のよいところが、他者にプラスの影響を与えていることが伝わって
いきます。 (自分の価値がより大きく感じられるでしょう)
表現としては、「私は、○○さんが、何かされているのを見て、こんな影響をも
らっています」という言い方です。
例えば、「私は、あなたのネクタイのセンスのよさを見習いたいと思います」とか、
「誠実なあなたとご一緒できて、私は、とてもうれしいです」
11
コーチングの活用によるお母さんの対応
お母さん:「そうか、ペコは学校へ行きたくないんやね?」
「何かイヤなことあるの?」
ペコ
:「だって面白くないもん」
お母さん:「面白くないの!何が面白くないの?」
ペコ
:「先生きらいやねん」
お母さん:「そう、きれいなお姉さん先生だって喜んでたのにね」
「どんなところがきらいなん」
ぺこ
:「あのね、何言ってるかわからへんねん」
ペコが学校へ行きたくない理由は
「先生が何を言ってるかわからへんから」だったのです。
先生に聞き直してもやっぱりわからへんこと、
ときどき早口になったりもすること、
言われたとおりにやってみたら違っていたことなどなど
お母さん:「じゃあどうしたらいいと思う?」と質問
ペコ
:「一緒に学校に行って先生と話をして!」と言います。
お母さん:「わかった、じゃ一緒に行こう、そしたら学校行けるね」
先生に正直に伝えると
先生:「先生、気づかなくてごめんね、ちゃんと確認して
わかるまで何度でも説明するから、いつでも言ってね」
とペコの目を見て言って下さいました。
ペコは先生に手をつながれて恥ずかしそうにしながらいつもの笑顔で
手をふってくれました。
「このリフレインしながら気持ちを受け止める」対応をどのように感じましたか?
頭ごなしに、すぐに否定するのではなく、質問をして理由を聞いてあげましょう。
解決策が見えてきます。
決めワザ5:「リフレーミング」:色メガネをはずすワーク
思い込みの枠をはずしてみましょう。
次の言葉をリフレーミングしてみてください。
(思い込みの枠をはずして組み替えることがリフレーミングです)
(1)甘えん坊
(2)飽きっぽい
(3)あわてんぼう
(4)おとなしい
(5)気が強い
(6)気が弱い
(7)騒がしい
(8)のんびりしている
(9)優柔不断
(10)わがまま
「視点を変える」ワークの実施
先ほどの視点を変える質問を交互に投げかける。(1)~(8)
(1)今回の子育ての悩みを解消できるようになったら、
5年後のあなたにどのように役立っていると思いますか?
(2)子供をがみがみ怒っているあなたを客観的に見たらどのように見え
ますか?
(3)あなたの子供さんはどんなお母さんを望んでいると思いますか?
(4)子育てがうまくいった時、そこに何が見えますか?
(5)今までの子育てのやり方を一新させるとしたら、
どのようにやりますか?
(6)あなたの尊敬している○○さんだったら、今回の子育ての悩みに対し
てどのように対処すると思いますか?
(7)今、子育ての対応がうまくいってないことを、
あなた自身に原因があるとしたらどんなことだと思う?
(8)そもそもお母さんであるあなたの役割はどんなこと?
決めワザ6:「質問」:問いかけて答えを引き出す
「Why」の質問から「What」「How」の質問を活用する
コーチングでは質問をすることで、クライアントの心の中にある問題を明らかにし
たり、本人も気づいていない思いを引き出したりしていくのですが、
このとき、Why(なぜ、どうして)という言葉は要注意という考え方をします。
それは、「Why(なぜ、どうして)」という事には、相手を責めたり問いつめる
ニュアンスがあるからです。(「詰問」と言う)
「どうして、あなたは言うことを聞かないの?!」
「どうして、あなたはすぐにたたくの?!」
「どうして、あなたは約束を守らないの?!」
「どうして、あなたは勉強をしないの?!」
このように言われたとき、
子どもはどんな気持ちになって、どんな答えをするでしょうか?
コーチングセッションシート(質問)
コーチ役;
クライアント役:
(目標)
① ここまで取り組んできて、どんなことを感じていますか?
② これからどんな子供に育てていきたいですか?
③ そして、あなた自身はどんなお母さんになっていきたいですか?
④ そういったお母さんが実現した時、どんないいことがありますか?
⑤ 子供にとってのメリットはいかがですか?
(現状)
⑥ 目指すお母さん像に対して、現在はどんな状態ですか?
(理想の状態に対して、何%まで達成していますか?)
⑦ これまでどのような子育てをしてきましたか?
今はどんなことをやっていますか?
(ギャップの分析) リソース等
⑧ 理想の状態を実現するためには、どんなことが必要ですか?
⑨ これまでの子育てでうまくいったことはどんなことですか?
⑩ あなたのお母さんとしてのいいところはどんなところですか?
⑪ あなたの子供のいいところはどんなところですか?
⑫ 子供はあなたにどんなことを求めていると思いますか?
(行動の決定とフォロー)
⑪ では、これから理想的なお母さんになるために、具体的にどんな事を実施してい
きますか? (他には? 他には?)
⑫ いつから実施しますか?
どのように実施しますか?
⑬ ここまで話してみていかがですか?
⑭ では、一緒になってやっていきましょう。
まとめ
•
今日の気づきと学び
•
3ヵ月後どうなっていたいですか?
•
今日からはじめる事